全司法は1月22〜23日、静岡県伊東市において第72回中央委員会を、中央委員、オブザーバー、本部役員及び来賓の合計82名の出席で開催しました。春闘、組織強化・拡大、組合費引き上げなどで議論を深め、12年春闘方針を満場一致で可決し、12春闘と組織拡大・強化に向けて奮闘する決意を固め合いました。
中央委員会は、議長に札幌支部・我妻中央委員、愛知支部・神谷中央委員を選出し、始まりました。
冒頭、門田中央執行委員長、来賓の国公労連上田中央執行委員から挨拶を受けました。
上田中央執行委員は、公務員賃下げ法案、公務員制度改革関連4法案、「地域主権改革」、社保庁分限免職問題などに触れ、国民本位の行財政・司法を確立していくためにも、引き続き国公産別運動へ結集し、今春闘をたたかうことの重要性を呼びかけました。
森田書記長が11年秋年闘争の中間総括案、12春闘方針案、統一要求案(政府宛・人事院宛)を提案しました。齋藤財政部長からは中間決算報告、橋本会計監査委員から会計監査報告があり、これら報告については、全員の拍手で承認されました。
討論では、秋闘総括、春闘情勢、組織拡大・強化、組合費引き上げ予備討議、賃金、震災復興、労働基本権回復と公務員制度、全司法大運動、職場諸要求などの各課題について、のべ41名から発言がありました。
討論を受けて、森田書記長からの総括答弁後に、議案の採決が行われ、全ての議案・承認案件が満場一致で可決・承認されました。その後、2012春闘アピールを採択しました。
また、各支部から推薦のあった20支部33名の組合員に対する永年組合員表彰を行いました。
最後に、12春闘の奮闘と組織拡大・強化を全国大会に向けて、さらに進めていくことを改めて確認し、「団結ガンバロー」で閉会となりました。
職場を中心に据えた日常活動を
門田中央執行委員長挨拶要旨
野田首相は1月4日の年頭あいさつのなかで、東日本大震災からの復旧・復興、そして原発事故の収束、日本経済の再生の3課題について触れ、「社会保障と税の一体改革」を年度末までに法案を提出する予定です。それは、消費税を2015年度までに10%へ引き上げる一方、社会保障制度の切り下げというものです。しかも、不要不急の公共工事を復活させ、原発推進費、米軍への「思いやり」予算や政党助成金など無駄なお金は温存したままです。
大震災被災地の自治体をはじめ「出先機関廃止に反対」を表明する地方自治体の動きが大きくなっています。住民の権利や安全に責任を負う立場からの動きであり、『全司法大運動』とあわせて、「総対話MAP運動」に引き続き結集していくことを呼びかけます。
「国家公務員の賃下げ法案」は、未だ国会審議すら許していません。与野党の国会議員やエコノミスト等も様々な形で異を唱え、民間労働組合との共闘もかつてなく広がっており、決して情勢は一様ではありません。
日本では大企業の金余り状態が明らかになり、世界的にも経済的なゆがみが問題となるなか、昨年秋「1%の人による富の独占は許さない」とウオール街での大きな行動がありました。EU各国でも大きな集会やデモが開催されています。12年春闘は、すべての労働者の賃上げを掲げ、公務員の賃下げを何としても阻止するため、国公労連の旗の下に結集します。
全司法にとって、大事なことはいま職場で起きている問題に適切に対処していくことです。資料課組織の見直し問題や家裁調査官の育成のための新たな施策が提案されたことを受けて、これまでのとりくみで一定の要求前進を勝ち取りました。増員や昇格をはじめとした職場諸要求のとりくみは、最も重要視しなければならない運動です。しっかりとした職場要求の組織とその実現にむけたとりくみを中心に据え、常に組織強化と関連させながら日常活動を行い、組合員拡大につなげていくこうではありませんか。
討論での主な発言
11年秋闘中間総括
秋闘の中間総括に関わっては、「組合員の昇格を実現するため、交渉で追及するとともに、署名行動を実施した。組合が活動することによって、昇格が実現した」(福岡)と職場におけるとりくみを背景としたたたかいの成果が強調されました。また、「人事院勧告の取扱いを巡って、地元国会議員要請行動を初めて行い、職場にも活動をアピールすることができた」(熊本)と地域でのたたかいの報告がありました。
12年春闘情勢
春闘情勢に関わっては、「公務員バッシングなどの世論を変えていくために、裁判所の中のみの活動ではなく、官民一体のたたかいを行う必要がある」(大阪)、「国民生活を守るため、消費税増税と公務員賃金削減を行わせないとりくみを強化していく」(福岡)と12年春闘を官民一体になってたたかっていく決意が語られました。
主な課題とたたかい
賃金・手当に関わっては、「寒冷地手当が削減されてきた。とりわけ、賃金水準が低い若年層の負担が大きくなっている。また、事故が起きた原発の近くで働く職員に、何らかの手当を支給すべきである。放射能汚染を避けて、県外からの通勤を余儀なくされている職員に、通勤緩和を実施し、通勤手当を満額支給するべきである。被災地住民の所得税免除や医療費の無料化についても国政に訴えるべき」(福島)、と被災地の実態が報告されました。
賃下げ法案に関わっては、「いまだ趣旨説明すらさせていないのは、これまでの運動の成果。これからも地域に出た運動など、あきらめずにとりくむ」(熊本)、「地域での公務員賃下げ反対のビラ配りに参加した。受け取る人、受け取らない人、『頑張れ』と声を掛ける人、様々だが元気が出た」(立川)との決意表明が出されました。
原発事故に関わっては、「原発は一旦事故が起きると、町そのものが消えてしまう。静岡県にある浜岡原発の危険性については、女性部の機関紙や日刊するがで告発をしてきた」(静岡)など、脱原発の運動が大きな広がりを見せているとの報告がありました。
21世紀国公大運動については、「地域主権改革に基づく、国の出先機関廃止の再検討を求める自治体キャラバン行動を実施し、熊本市議会で初めて請願を採択できた。地道なとりくみを続けていくことにより、成果を上げることができる。また、国公大運動の中で、全司法が果たすべき役割を再確認していき、今後も積極的にとりくみに結集していきたい」(熊本)、と地域において地道な活動を実践したことによる成果と、国公大運動に結集していく決意が述べられました。
「国民のための裁判所」実現に向けては、「全司法大運動の意義について職場会や教宣紙で説明を行い、組合員全員の意識を高めている。また、今年は地元議員要請行動を予定している」(福岡)、と全司法大運動署名を集約するためのとりくみや、請願採択に向けた今後のとりくみについての発言がありました。
職場諸要求に関わっては、「連絡員態勢において、当局は、『原則、待機義務はない』としつつ、実際には夜中に電話を受けて登庁しており、職員の負担が大きい実態がある」(秋田)との意見が出されました。
職種課題については、行(二)に関わって、「定員削減などにより、行(二)職の不安が大きくなってきている。引き続き、処遇の維持や研修体制の充実などが必要である」(東京高裁)、との発言がありました。家裁調査官に関わっては、「新たな施策の実施の中で改善要求を継続していくことが必要不可欠である」(東京家裁)、との発言がありました。速記官に関わっては、「ステンチュラの官支給を求める」(神奈川)、との意見が出されました。
組織拡大・強化
組織課題では、第67回定期大会で確立した「新たなJOプラン」を基礎に、組合員拡大および脱退者を防ぐために日常的な活動を充実させることが必要との観点から、強化・拡大に向けて、創意あるとりくみの発言が多くありました。
第1次組合員拡大強化月間の総括では、「10月採用に対する呼びかけを行った。4月採用者の早期加入に向けて勧誘方法を改善していきたい」(大阪)、「拡大推進委員会を設置した。早期に具体的な計画を立てることが重要」(福岡)、「久しぶりに中央委員会を確定人員から増勢して迎えることが出来た。庁規模が大きく個々が埋没しかねない中で、一人ひとりに気をかけ、すぐに加入しなくても声をかけていくことが大事であることを支部全体で確認した」(東京地裁)、「定期大会で『組合活動が見えづらい』との声があったことを踏まえ、折衝メモを作成し回覧するようにしている。地道な活動を通じて組織拡大につなげたい」(愛媛)など、職場に見える活動を行うことで加入や脱退防止につなげた貴重な経験が報告されました。
日常活動の充実に向けては、「拡大推進委員会任せにせず、執行部も積極的に参加している。未加入者も視野に入れた教宣紙を作っており、教宣紙の位置づけは重要」(宮崎)、「組合員や新採用を紹介する記事など、分かりやすい紙面を数多く発行することで、組織を下げ止まらせることが出来た」(岡山)、「全労連の初級組合員講座に参加して、インターネットを活用した情報発信の良さを知ることが出来た」(宮城)といった意見が出されました。
特に、京都からは「組合を知らないことが加入に結びつかない要因と考え、未加入者への配付を目的とした教宣紙を月2回発行するようにしている。内容も青年役員の意見を聞きながら作成しており、作成していて勉強になる」との貴重な意見が出されました。
組織拡大・強化は喫緊の課題であり、2〜4月を拡大のチャンスととらえ、全組合員参加型のとりくみで組織増勢に転じさせる決意を固め合いました。
全司法の発展に努めていく
青年協報告 井上青年協事務局長
中央委員会2日目の冒頭に、井上青年協事務局長から青年の暮らしむきアンケートのとりくみ、2012年度新規採用者の加入拡大、青年層における学習活動の3点を中心とする活動報告がされました。
暮らしむきアンケートについては、全国単位で実施し、青年協全国統一要求を確立するための重要な調査活動であることを強調し、全支部でとりくめるよう、支部・地連に協力を要請しました。
2012年度新規採用者の加入拡大については、ここ数年の青年部の成果に触れ、「早期の計画、呼びかけ、継続した対話」が重要であることを強調し、拡大に向けたとりくみをさらに発展させ、全支部で新規採用者全員加入ができるよう、常任委員会などを通じて意思統一を図っていくとしました。また、新たなJOプランについても、支部・地連の実施行動計画を受け止め、支部・地連と連携して活動していくとしました。
学習活動については、青年部が独自に開催した学習会や青年主体で行われた労働学校についての報告に合わせ、青年層の学習意欲が上がっていることを述べ、オルグなどを通じて学習活動を強化していくことを報告しました。また、支部・地連に青年層に対する意見交換などを通じ、青年の育成に向けた協力を要請しました。
最後に、組織拡大・強化を行い、要求前進に向けた運動を展開する中で、全司法の発展に努めていく決意を表明しました。
森田書記長の総括答弁要旨
2011年秋季年末闘争の中間総括
昇格要求実現に向け、2度にわたる署名行動をはじめ、粘り強く要求した結果、昨年10月に重点要求者の昇格が実現したことが福岡から報告された。要求の実現は一朝一夕にはいかず、日常活動の積み重ねによる地道なとりくみこそが職場を動かし、当局を動かすということを実践してもらいたい。
「講師の負担を軽くし、役員経験者だけでなく、青年や女性など多くの組合員に講師を依頼し、身近な問題や経験を率直に語ることで有意義な学習会ができた」との宮崎の活動を参考に、学習を強めてもらいたい。
2012年春闘の情勢とたたかいの基本的な構え
消費税増税などの国民的な課題と公務員賃金引き下げ反対に立ち向かっていくためには、「真実を伝えて、国民世論を少しでも変えていくことが必要であり、国民世論を変えていくには、外に出る運動(行動)に積極的に参加し、その実情を訴えていくことが必要」である。各級機関において、今春闘において一歩でも二歩でも地域に出る行動を実施してもらいたい。
主な課題とたたかいの具体化
放射能被害が様々な分野に及び、目に見えない不安や具体的な被害が明らかにならない中で、所得税や住民税の全額免除、医療費の無料化など国民的課題や避難職員の通勤緩和、通勤手当の全額支給の要望が述べられた。国公労連への意見反映を行うとともに、福島においても県民の総意を広げていくため、県労連や県国公への結集やとりくみを強めてもらいたい。
給与臨時特例法案(賃下げ法案)に関する動きが不透明な中で、私たちはどのような運動提起があっても対応できるように万全の態勢をとっておくことが重要である。この間の運動の中で国民世論を変えてきたことに確信を持ちながら、国公労連が提起する様々なとりくみに結集していきたい。
家裁調査官の新たな育成施策に関しては、4月から始まるが、具体的な異動に関しては2年後となる。施策が実施される中で改善を求める点は、これまでどおり、その都度、改善を求めていきたい。
組織の拡大・強化のとりくみ
組織の拡大・強化のとりくみに関して、これまでの反省を踏まえ改善点や新たなとりくみの方策がないか検討したいとの前向きな意見、役員だけではなく、役員でない者も含めた全体として勧誘活動や組織としての力量を高めていくという新たなJOプラン(層としての役員形成)の実践、教宣活動の充実を図っていくことの重要性についての発言がなされた。特に、教宣紙の充実では、情報を提供するだけでなく、その情報に対する組合員の意見を一つひとつ拾っていく、それを組合活動に生かしていく、それがひいては組織拡大につながっていくこと、つまり、「執行部の活動を見せて、組合員一人ひとりが職場を見渡し、職場の問題を報告できるような体制をつくることが組合の基本である」ことを全体で確認したい。
また、未加入者に対しては、日常的な声掛けだけでなく、教宣紙に未加入者の情報を掲載したり、未加入者を様々な行事に誘ったりしていくことが加入につながること、私たちが特別な意識を持つことなく、全国で加入のとりくみをすすめていきたい。
組織課題に関しては、組織を拡大したいという思いが全国に広がり、それが実際に「コツコツとやる」「地道にやっていく」「まじめに誠実にやっていく」との言葉となって出てきており、「JOプラン」の方針が浸透してきている結果といえる。各支部が実践をしていく中で、第2次組合員拡大強化月間のとりくみにつなげていきたい。
可決・承認された案件
1.春闘方針案(可決)
2.中間決算報告(承認)
3.中間会計監査報告(承認)
4.制度特会の支出組み替えの件(承認)
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