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  トップページ > 全司法新聞 > 2012年1月 > 2141号
 
全司法新聞
 
 
苦難を乗り越えて
全司法労働組合中央執行委員長 門田敏彦
 
 新しい年を迎え、全国の組合員のみなさんにご挨拶を申し上げます。
 年頭にあたり、全国大会で確認した「総対話と学習、全員結集、地域共同」を合言葉に、組織拡大・強化を一体のものとして職場を基礎にとりくむ決意を、改めて申し上げます。
 東日本大震災は発生から10ヶ月が経過しようとしています。被災地では、大地震と大津波、さらに福島第一原発事故による、かつて経験したことのない大きな被害を被りました。まだ困難な生活を送られているみなさんに対して改めてお見舞いを申し上げます。
 被災地の復旧・復興が大きく遅れている状況にありますが、裁判所においては、原発事故にともなう賠償・補償問題や地震・津波による被害で、産業全体が大きな打撃を受けたことによる倒産事件や労働紛争事件、相続事件などの事件増が見込まれます。そのような中で、裁判所としての役割がますます重要になってきます。全国各地の裁判所において、依然として人的・物的充実が不十分な現状のもと、「全司法大運動」をはじめ、人的・物的充実をはかり、「国民のための裁判所」実現をめざすとりくみを強める必要があります。
 一方、政府は、労働基本権制約の代償機関である人事院勧告制度を無視し、私たち国家公務員の賃金を平均7・8%引き下げる「臨時特例法案」(賃下げ法案)を国会に提出しました。かつてない暴挙に対して、国公労連をはじめ公務産別はもちろんのこと、民間労働組合からも大きな支援を受け、中央、地方でたたかいが大きな広がりをみせました。廃案に持ち込めなかったのは残念ですが、法案提出から半年以上も国会での審議すら許さなかったのは、私たちの運動の大きな成果です。全司法は、引き続き廃案に向けて国公労連に結集して全力を挙げる決意です。
 政府は、国家公務員総人件費2割削減のもと、次期通常国会での賃下げ法案の成立や、国の出先機関廃止に向けたアクション・プランの法制化を目論んでいます。また、骨抜きにされた労働者派遣法「改正案」の成立、「税と社会保障の一体改革」で消費税増税や年金の支給水準切り下げなど、国民に新たな負担を押しつける施策を次々に打ち出しています。
 99%の労働者・国民に負担が押しつけられた歪んだ社会に対して、世界で運動が大きく広がっています。全ての労働者の賃上げと雇用確保、国民のための行財政・司法に向けて、「全司法大運動」と「21世紀国公大運動」に結集し、安心して暮らせる社会をめざして、全国各地で奮闘しましょう。
 
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新春恒例座談会
これからの青年たち、大いに語る
2012年 輝かしい未来とするために

青年に引き継がれるバトン ひろがるつながり
 
 全国で活発な活動を展開する青年たち、それらをまとめる青年協議会。青年の要求実現のため、年3回の上京団交渉をはじめ、「よく学び、よく遊ぶ」をモットーに様々な活動をしています。秋のとりくみを確認する会議におじゃまして、職場の状況、組合に対する思いなど率直に語ってもらい、未来への展望を切り開く新春座談会となりました。

東日本大震災について

【司会】3月11日に発生した東日本大震災は多くの人的・物的被害が発生しました。大震災から半年以上が経過しましたが、復旧が遅れているのではないかと感じています。被災地にいて、思うことはありませんか。
【参加者】震災当初は、瓦礫の撤去などで多くのボランティアが来てくれて、ある程度復旧が進みました。ただ、マスコミによる報道のされ方に問題があり、石巻市が取り上げられると、そこにボランティアがたくさん来てくれるのですが、報道されない地域は、全く復旧が進んでいません。
 ボランティアの人数も次第に少なくなっていますので、もっといろんな地域の実情を報道して欲しいと思います。また、可能であるならば、みなさんにも被災地に実際に来てもらい、実情を見てもらいたいですね。
【司会】ところで、全司法では、被災地の職員を支援するための「救援カンパ」にとりくみましたが、職場ではどのように受け止められていましたか。
【参加者】労働組合は困った人を助けるために活動しているので、今回の「救援カンパ」は、まさに被災した組合員(職員)およびその家族にとって不十分ながらも一定の支援になったのではないかと思っています。
 社会で困っている人を支援する活動は誰もが賛同できると思います。
【参加者】組合からのカンパの呼びかけは、当局よりも早かったので、すごいなと思いました。当然、私もカンパしました。ところで、1つ疑問があるのですが、全国から集められたカンパは、その後、どうなったのでしょうか。
【参加者】今回のとりくみは、被災地以外の組合員を中心に行いました。全国から集められたカンパは被災した各支部(岩手、宮城、福島および茨城)の被害状況に応じて分配し、各支部で具体的な基準に基づいて組合員等に交付されています。
【参加者】今回の大震災では実家が流されました。大変悲しい出来事でしたが、温かい励ましのメールや救援物資、カンパをいち早く届けていただき、元気をいただきました。この場を借りて、御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 裁判所機能や生活基盤が復旧するまで長い時間を要しましたが、そんな中でも頑張れたのは全国の仲間の支援があったからです。全国に仲間がいること、全司法という組織があることのありがたさを改めて感じました。引き続き、全司法を強く、大きくしていかなければと思っています。

組合加入のきっかけは?

【司会】大変元気があり、熱い思いを持たれている青年の皆さんですが、労働組合に入ったきっかけなどを聞かせてもらえませんか。
【参加者】労働組合は、ヘルメットをかぶってゲバ棒を持っているとか、ちょっと過激なイメージを持っていました(笑)。
 私が組合に加入したきっかけは、職場の組合役員から飲み会の誘いがあり、その頃には職場にも慣れ、職場以外でも仲間作りをしたいと思っていたことから、組合に入りました。
 当初抱いていた組合に対するイメージも役員の方々の話を聞くうちに払拭されました。
【参加者】フレッシュセミナーの時に、歓迎会を開いてもらい、いろいろ話を聞かせてもらいました。
 私も最初、組合に対してはあまり良いイメージを持っていなかったので、その時には加入しませんでした。
 支部に配置されて、分会役員から改めて勧誘を受け、職場に比較的年齢の近い組合員がいたこともあって、安心して入りました。
【参加者】私は採用2年目です。職場の先輩から飲み会に誘われて、労働組合の役割などについて話を聞くうちにとても興味が出てきましたが、加入は躊躇していました。
 そこに青年協常任委員や前青年協議長から加入の誘いを受けたこともあり、加入しました。
【参加者】私は以前、兵庫県の職員として働いていました。兵庫県にも労働組合はありましたが、組合に対する良いイメージがなかったので、加入しませんでした。
 裁判所に採用されて4年目になります。最初の2年間はいろんな方から猛烈な勧誘がありました。その時は「絶対に入るまい」と思い、全て突っぱねていました。
 ただ、私は元々人助けが好きというか、困っている人を見過ごせない性格で、ちょうどそんな時、私の同期が職場のことで困っていました。私は、何とかして彼を助けたいと思っていましたが、自分だけの力ではどうにもならなくて、同じ職場の先輩(組合役員)に、相談したらすぐに解決したのです。そのようなことがあり、組合の必要性・役割を感じて組合に加入することにしました。
【参加者】リーマンショックの影響で、日本でも派遣切りが問題となり、年越し派遣村などの支援が行われる中で派遣労働者も労働組合を作るべきという話を労働法の教授がされ、「皆さんも社会に出たら労働組合には入った方が良い」と言われていました。先ほどの話ではないですが、裁判所の労働組合であれば、そんなに過激なことはしないだろうと思い、フレッシュセミナー後の勧誘の場で加入しました。
 ただ、一人では心細かったので、同期2人も誘って一緒に加入しました。そのうち1人は現在、支部で書記長をしています。
【司会】今回、秋季年末闘争における運動の確認と最高裁交渉のために集まっていますが、オブザーバーの方は、どういう気持ちで参加されていますか。
【参加者】採用2年目になりますが、採用当初から組合に加入しており、初めて役員をすることになりました。
 組合は飲み会等を通じて組合員同士の懇親を深めるものというイメージしかなかったのですが、労働組合がどんな活動をしているのか、自分の目で見て、体験することも良いとのアドバイスを受け、快く送り出してもらえたので、参加しました。
【参加者】採用3年目です。各地の青年部がどのような活動をしているのか、特に新規採用者に対する各地のとりくみに興味があったので、参加しました。
 各地で新規採用者の加入のために、担当者を配置し、継続的な呼びかけを行うなど工夫したとりくみがなされており、会議に参加して良かったです。

日常生活と職場環境について

【司会】唐突ですが、皆さんは、休みの日や仕事が終わった後は何かやっていますか。
【参加者】以前は職場の野球チームに入っていましたが、支部に異動になったので、マラソンや山登りをしています。本部書記長もマラソンをやっていると聞き、負けられないという気持ちです。
【参加者】バレーボールを週1回、仕事が終わってからしています。検察庁職員も参加しており、交流を図っています。ところで、検察庁にも労働組合があったというのは本当ですか。
【参加者】本当です。以前は検察庁にも労働組合がありました。簡潔に述べますが、検察庁は、国から4号調整を付与する代わりに労働組合を解散するように言われた際に解散してしまいました。全司法も同じような提案を受けましたが、労働組合は残すべきとの決断をし、今に至っています。
 その後の賃金や労働条件を見た場合、裁判所の職場は労働組合があったからこそ、男女問わず働きやすい職場になっていると言えます(詳細は全司法労働組合運動史290頁参照)。
【司会】何か似たような話が今起きていますね。国会に提出されている給与臨時特例法案(「賃下げ法案」)ですが、国公労連は一貫して反対の立場でたたかっています。一方、公務員連絡会(連合)は国家公務員制度改革関連4法案とセットでの成立を条件に早々に賃下げに合意してしまいました。その点はどう思いますか。
【参加者】そこの違いを知らない未加入者が多いです。「組合は、賃下げに合意したの?」と聞かれました。「うちは合意していません」と説明しました。
 そういう意味では、「賃下げ法案」の話は、組合の活動に興味を持って貰うための良いきっかけだと思っています。青年層の誰しもが、毎月の賃金が5%、一時金で10%の削減を願っていないわけで、組合の意義を知ってもらう良い機会であると思います。
【参加者】私は、未加入者に聞こえるように話をしています。「法案の審議入りを止めたのは、100%私たちが反対したからです。」と。国公労連の主張はとても分かりやすかったと思います。この話は、それぞれの職場でもっとやって欲しいですね。
【司会】裁判所に入る前と後で、感じたことはありますか。
【参加者】はい。名古屋で試験を受けたときは、「最初は事件部」と言われていたのですが、実際には事務局でした。まあ、東京高裁管内は違うのかなと思いましたけど…。
【参加者】中部地連では「参事官室提言」の趣旨を徹底するようとりくんでいます。その後の配置については、本人にとってベストなタイミングで異動をさせることを前提に、裁判部配置となるように求めています。
【参加者】私は裁判所には女性が多いと思いました。私の職場も8人中3人が女性です。同性が多いといろんな相談もしやすいし、最近は女性の採用者も多いので、組合を通じて、若い人たちともネットワークができ、充実した裁判所生活を送っています。

組合について

【司会】そろそろ本題ですが、青年の皆さんから見て、各地連・支部はどんなふうに映っていますか。
【参加者】中国地連の執行委員もしていますが、地連からは、「青年は好きなようにやれ」と放任状態です(笑)。
 一方、広島支部には青年部がないため、青年の運動を一部の人に少し頼りすぎている状態にあります。その点を改善する必要があると思っています。
【参加者】近畿地連はしっかりしています。と言うものの地連役員になって組合がこんなに動いていることを知りました。また、青年協常任委員として全国の地連・支部を見ると、上には上があると実感しています。
 近畿地連の各支部は、自信を持ってやっていける組織だと思っていますが、さらに上をめざします。
【参加者】東北地連は、青年を育てようという意識が少し弱いと感じています。その点は、私たち青年も意見を言っていないからなので、今年は地連との対話をメインに活動したいと思います。
【参加者】福岡の青年部はしっかりしていますが、基盤は十分とは言えません。
 青年部の役員選考は青年部だけで行っていますが、今、青年部役員を活発にしている人が支部に異動になったときにどうするのか、など一緒に考える態勢を整えることが必要だと思っています。
【参加者】県が広いと、なかなか集まれないので、メールマガジンとか、ホームページなどで、未加入者を含めてドンドン情報を発信していくべきだと思います。
 まずは企画して、人を集めてみる。それで集まらなかったら、そこで次の対策を考えれば良いと思います。情報を職場に回して、均一化を図っていくべきだと思います。

組織拡大について

【司会】組合員の拡大が全司法の喫緊の課題ですが、未加入者への声かけは、どのようにしたらいいと思いますか。
【参加者】個人的な感覚ですが、未加入者は、諦めている人が多いのではないかと思います。私たちは、バブルがはじけた後の世代ですので、景気は悪く、就職は厳しくなる一方でした。だから、良くなるはずがないと諦めている人もいると思います。今更何をやっても変わらない、給料下がっても仕方ないと、どこかで納得しているのだと思います。
 そんな中、私たちは、「一人ではできないことでも、みんなが集まればできる。」ということを対話によって伝えていくべきだと思います。
【参加者】近畿では、食わず嫌いの未加入者が多いので、とにかく組合を知って貰いたいと思っています。まずは声掛けが大事だと思います。
 組織率が高かった頃は、情報発信が少なくても職場の中いろんな話ができたでしょうが、今はそんな状況にないのですから、昔以上に宣伝などの情報発信が必要だと思います。
【参加者】役員は役員の仕事が大変だということを見せすぎてはいけないと思います。それを見た人は役員になることに対する不安が高まることにつながります。そのようにならないように私も頑張りたいと思います。
【参加者】青年の未加入者に対しては、「もっといろんな人と付き合えばいいのに」と思っています。
【参加者】未加入者は、話を聞く前から何をそこまで構えるのかなと思います。ただ、怖いというか、熱い活動というか、そんなイメージを持っているようなので、それは入ってもらえれば分かるのですが…。
 私としては、組合活動は自分にとってもプラスになるということを押し出したいと思っています。
【参加者】未加入者にはどんな話をしても聞いてもらえない人がいます。「組合の話は結構です」、「今のままでいいです」など、自分のことだけを考えているのではないかと思ってしまいます。
 私が組合に入った理由は、人との関係です。忙しい部署で残業していて、愚痴や不満を言えたのは、その時に一緒にいた先輩組合員だけでした。なので、人とのつながりの大切さを広めていきたいと思います。

青年のみなさんへ

【司会】最後に、熱い青年たちをまとめる青年協議長として何かありますか。
【青年協議長】皆さんの話で分かるように、組織拡大のためには、継続した対話が最も大事だと思います。
 一生懸命、組合勧誘の話をしたけど、入ってくれない、という話は良く聞きますが、たった1回話しただけで、未加入者の気持ちをつかむことや、組合の全て分かってもらうことは難しいと思います。やはり継続して話をすることが重要です。また、誘う側として「組合が大事だ」ということに自信を持って伝えることが大切だと思います。
 自分自身、組合に入っていて、とてもいい思いをさせてもらっています。この先裁判所で30年働き続けていく中で、青年運動を通じて、知り合った仲間は一生の財産だと思いますし、後輩にはそれを全部伝えていきたいと思っています。
 仕事の上での繋がりだけではなく、青年部を通じて、全国的な繋がりを持てたことは素晴らしいことだと思います。今後、青年協としては組織拡大を通じて繋がりの輪を広げていきたいと思っています。
 青年協に関わって1年間やってきましたが、これからも青年の要求前進・組織拡大に頑張っていきたいと思っていますので、宜しくお願いします。


 
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