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全司法新聞
 
 
全司法本部四役 竹ア最高裁長官と会見
 
 全司法本部四役は、11月25日、就任挨拶をかねて、竹崎最高裁長官と会見しました。全司法本部と最高裁長官との会見は、最高裁が全司法との誠実対応を約束した「92・3・18事務総長見解」の翌年以降、毎年行われており、今年で18回目となります。最高裁からは、山崎事務総長、安浪人事局長、大竹給与課長が同席しました。
 会見では、門田委員長から、(1)東日本大震災への対応、(2)裁判所の人的・物的態勢充実、(3)国家公務員の賃下げ法案と労働基本権の各課題、(4)全司法との誠実対応の4点にわたり、全司法の要求や考え方を述べ、最高裁の見解を求めました。
 これに対して、竹崎長官からは、(1)に関わって、被災地の職員を中心に「職員各位のこれまでの努力に改めて敬意を表」し、今後は「職員の健康管理にも配慮しながら、人的物的支援」を検討する、(2)に関わって、「司法が、今後も時代の変化に的確に対応し、国民の期待と信頼に応えられるよう努力して」いく、(3)に関わって、「国会での審議の状況等を引き続き注視」し、「職員と職員団体の意見を聴くなど、適切に対応していく」としました。そして、(4)に関わって、これまでと同様、「平成4年(1992年)3月18日の事務総長見解の内容は当然のことである」とし、全司法と誠実対応をしていく基本姿勢を示しました。
 この会見での長官発言は、裁判所のトップであり、三権の長である最高裁長官が、全司法の代表と会い、裁判所における政策課題について、長官が直接考えを述べ、その内容も全司法の要求に対して前向きなものであることや全司法との誠実対応の基本姿勢を明らかにしたもので大きな意義があるものです。会見では、竹崎長官から震災後の復旧に向けた職員に対するねぎらいの発言がなされるなど全司法の主張をふまえた誠実な対応がなされました。
 
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住民本位の復興、公共サービスの拡充、社会保障改悪・大増税反対!!
11・10 中央行動
 
 11月10日、公務・公共サービス拡充、住民本位の震災復興、国民諸要求実現、「賃下げ法案」の撤回・廃案などを求めた全労連・国民春闘共闘・国民大運動実行委員会・全労連公務部会ほかが主催する「2011秋年闘争11・10中央行動」が展開されました。

 中央行動には、「国民本位の復興、暮らしを壊すTPP参加阻止、社会保障改悪・大増税反対!」を求めて、官民合わせて最大3000人が結集しました。全司法からは、本部、地連、在京を中心とした各支部から態勢71人が参加し、「11・10総決起集会」が日比谷野外音楽堂で開催されました。
 主催者を代表してあいさつした国民春闘共闘の国分博文代表幹事(全農協労連委員長)は、「TPP反対の一点での共闘が広がっている。TPPがねらう効率一辺倒の社会ではなく、人間中心の社会を守り、作っていこう」と呼びかけました。
 公務部会を代表して、全日本教職員組合(全教)の長尾副委員長は、「国家公務員の賃下げは、地方公務員、そして民間の福祉・医療労働者にも影響を及ぼし、景気を冷え込ませ、復興の足を引っ張ることになる。地域経済を活性化させ、消費を上向きにするには公務も民間も賃上げが必要だ。公務員の賃下げ法案撤回、大企業減税・庶民大増税反対の声を一緒にあげていこう」と訴えました。
 また、被災地を代表して福島県労連の齋藤議長から、「県内すべての原発の廃炉を求める請願が県議会にて全会一致で採択された。10月30日には福島市での原発反対大集会に1万人以上が結集した。この2つの歴史的な出来事に確信を持ち、『原発ゼロ』の運動をさらに広げていきたい」との決意がありました。

「賃下げ法案」の撤回・廃案を

 引き続く、「総務省前要求行動」では、公務・公共サービス拡充、住民犠牲の地域主権改革反対、公務員賃金引下げ反対、労働基本権の回復を求めて要求行動を実施しました。
 公務部会の野村代表委員はあいさつの中で、「賃下げ攻撃は憲法違反であり、共感を広げるため大いに地域に打って出ることが重要。国民が動けば社会は変わる。世論を変えよう」と呼びかました。
 連帯あいさつを行った全国一般東京地本の梶副委員長は、「官民労働者が手をつなぎ学習をして、一致する要求で団結・連帯することが大事だ。国民的要求の共同を広げていこう」と呼びかけました。
 決意表明では、国土交通労働組合の山川書記次長が、「6つの組合が合併し、国土交通労働組合を結成した。地方防災の安心と安全を現地の仲間は守っている。地方整備局を廃止する必要があるのか。二重三重に国民の命を守る」と決意を語りました。
 行動の最後に、日比谷公園から国会へ向けて請願デモを実施し、霞ヶ関の官庁街にシュプレヒコールが響き渡りました。そして、衆・参の議員面会所で「憲法違反の賃下げ法案は撤回せよ」等の請願行動を行いました。
 デモ終了後には、国会前行動を実施し、憲法違反の「公務員賃下げ法案」を直ちに廃案することなどを求める国会議員要請を行いました。
 
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増員、健康管理、新たな施策など、第3回給与課長交渉を実施
 
 全司法本部は、大竹給与課長と秋季年末闘争期の第3回交渉を実施し、増員、次世代育成支援対策等、男女平等などの課題および家裁調査官の育成のための新たな施策に関する要求などについて追及しました。

増  員

 増員の基本姿勢については、「司法制度改革をより実効性のあるものとするため、裁判所の人的態勢について充実強化をはかっていく必要があることや、各庁の事件処理状況を詳細に説明して、財政当局に対して理解を得るべく全力を挙げている」と回答しました。
 そのうえで、民事立会・家事部門の人的手当について「適正迅速な処理を行っていくために書記官の増員要求を行っており、今後とも事務処理状況等を踏まえながら必要な人的態勢の整備に向けて努力していきたい」と回答しました。
 東日本大震災被災地への人的手当については、「種々の要素を総合的に考慮して、人員手当を含めた必要な態勢整備を検討していきたい」と回答しました。

健康管理

 職員の健康管理のためのメンタルヘルスについては、「今後も各庁の必要に応じて職員の健康相談体制の充実に向けて下級裁を指導していきたい」と回答し、被災地で勤務する職員のメンタルヘルス対策について「仙台高裁管内でカウンセリング会の開催を昨年度より大幅に増やしており、」「最高裁における電話によるカウンセリングを実施している」と回答しました。

休暇・休業、次世代育成支援対策等

 育休の代替要員確保について、書記官は「本年度も一定の条件の下で、正規職員である書記官で補充できる扱いとした」とし、調査官については、「本年度から育休正規補充の運用を開始した。今後の運用については、年度ごとに充員状況や育休正規補充の必要性等を勘案しながら実施規模等について検討していきたい」と回答しました。

男女平等・母性保護

 女性職員の登用拡大に向けた基本姿勢については、「各高裁においては、第3次拡大計画で掲げられた数値目標の達成に向けて、従前のとりくみの見直しや、新たなとりくみの実施を積極的にすすめていく」と回答しました。

職員制度(家裁調査官)

 家裁調査官の育成のための新たな施策については以下のとおり回答しました。
《情報開示と誠実対応》
 職員からの質問や意見には、誠実に対応する考えであるので、職制を通じて申し出もらって差し支えない。そのような場合には、各管理職員において、丁寧に対応するよう下級裁を指導したい。
《グループ修習の効果》
 グループ修習の実施方法や研修生に対する指導の在り方等について、職場の関心が高いことは承知しており本年9月にその概要を職場等に示し、意見を聴取したところである。
 なお、修習事件数については今後、総研がその目安を示すことにしているが、それにあたっては、実際に面接調査を行うのか否か、また、従来の実務修習における修習事件数等を考慮して検討する。
《当事者や少年等に与える影響への配慮》
 子どもが極度に緊張しているなど、研修生4人で面接をすることが困難と認められるときは、指導担当者と主担当研修生のみで面接を行うなど、柔軟に対応する。
《異動への配慮》
 今回の施策が実施された以後についても、異動は本人の生活関係に影響を及ぼすことがあることから、本人の希望や家庭状況等には一定の配慮をしていきたい。なお、今回の施策が徹底されると、任官直後は小規模庁を中心に配置されるので、異動負担の大きい庁に配置されている中堅の調査官は、これまでよりも希望地に配置されることが可能になるなど、今まで以上に家庭事情に配慮したきめ細やかな任用配置が可能になる。
《単独調査面接の機会確保》
 他の家裁調査官補2人が同席しない面接を予定していることに加え、他の家裁調査官補2人が同席する場合においても、主担当者が主として面接をすすめるなど、主担当者と副担当者との間で適切な役割分担を実践することで、面接技法や調査面接の経験を十分習得できるものと考えている。
《「指導担当者補佐(仮称)」に対する研修の実施》
 指導担当者には指導方法等に関する研修が実施される予定であり、研修内容が還元されるよう、丁寧に説明していきたい。
《指導方法の一貫性を保つための方策》
 指導担当者が実務修習の途中で異動する場合には、研修の進捗状況や各研修生の課題などを丁寧に引き継ぐとともに、研修生に対しても十分に配慮していきたい。
 
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ステンチュラの要求、今が正念場
地連速記官担当者会議と上京団交渉
 
 11月13日〜14日、地連速記官担当者会議に引き続き、最高裁交渉が行われました。
 13日の会議では、例年行っている速記官の養成再開署名について、今後の実施のあり方を含めての中長期的な課題の存在についても討議を重ねた上で、全司法大運動と同時にとりくんだり、各地での行動等に速記官が積極的に参加する中で、署名の協力を得ていくことが必要であるという確認をしました。
 多くの速記官が自費で購入しているステンチュラの官支給実現のために、諸要求期に向けて速記官1人1枚の署名運動を引き続き行うことを確認し、未加入者も含めた、速記官全員分を集約するために各地連担当者の協力を得ながら、全員一致の結果を出していくという目標を掲げました。ステンチュラの要求に関しては、今が正念場であるとの認識のもと、他職種の理解を得るための活動にも力を入れていくこと、また、要求署名以外の運動も視野に入れて組み立てていくことを、それぞれ確認をしました。
 速記官の立会いについては、各職場実態が大きく異なってはいるものの、速記要請の際には、速記官の意見をよく聴き、職場実態をよく見てほしいという要求が確認されました。
 14日の上京団交渉では、裁判員裁判の立会いについて、他の一般の否認事件と同等に扱ったうえで、速記の要請をし、殊更速記官を排除しないことを現場に対して指導するように求めました。これに対し最高裁は、「各庁に、要望を改めて伝える」と回答しました。ステンチュラの官支給について、各地で非常に強い要求があることを重ねて伝え、中央研修の結果について、実務に役立つように職場にフィードバックすること、それも含めたブロック研修を実施することについても要求を伝えました。法廷用卓子について、立会いに支障がある場合は、各庁にて申し出てほしいとの回答を得ました。その他、特定健康診断、異動、昇給・昇格等についての追求を行いました。
 今後、署名や調査など各地連・支部の速記官に御協力をお願いすることになります。他職種の組合員皆様にも併せて御支援をお願いいたします。みんなで力を合わせて頑張りましょう。
 
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女性の要求に耳を傾け、実現に向けた活動を
地連女性担当者会議
 
 第1回地連女性担当者会議が11月20日、神奈川県川崎市で行われました。
 冒頭に森田本部書記長から、賃金引き下げ法案を巡る情勢報告と女性職員の採用・登用をより実効性のあるものにするための女性部としてのとりくみについて、解りやすい講演がありました。その後、各地連の活動や職場実態の報告・議論が行われました。
 東北地連からは、震災支援カンパや励ましへのお礼が述べられ、来年1月28日に支部女性部長会議を開催できる目処が立つなど、うれしい報告がありました。
 各地連からは、支部女性部長会議の開催、タペストリー要求行動、女性集会開催予定等の報告があり、九州地連の女性集会が予算を積み立てしているという話は、各地連とも興味を引く話題でした。
 中部地連からは、5月に開催された国公女女性交流集会に現地の石川支部を中心に実行委員として関わり、結果的に40名以上が参加したとの報告があり、「実行委員としては苦労もあるが楽しい交流が出来る集会なので、全国の女性の参加を呼びかけたい」との発言もありました。
 北海道地連や中部地連からは、異動希望が厳しい実態にある報告がありました。
 女性職員の採用・登用拡大に関わって、11月に大阪高裁に「女性職員のためのキャリア相談窓口」が開設され、庁内HPに相談員の顔写真・経歴等も含めて掲載され、誰でもメール等で相談できるシステムができたものの、気軽に相談する気持ちになれるような体制にしていくことが必要であるとの意見が出されました。
 また、女性部が休部して久しく、活動実績がないためどういうとりくみをすれば良いのか知りたいという支部の相談には、まず、昼食会やレクという形でみんなが集まれる機会を持つことが大切であり、企画する人も参加する人も楽しくなることから始めよう。というアドバイスがあり、相互に意見交換を行いました。
 最後に、女性職員の増加等により、あらゆる女性の要求に耳を傾け、その要求実現の活動していくこと、及び来年2月の交渉に向けて意見集約をしていくことを確認し、会議を終えました。
 
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事務官アンケートの結果を踏まえ、運動の方向性を検討
地連事務官担当者会議
 
 11月20日〜21日に地連事務官担当者会議及び事務官上京団交渉を実施し、各地連の事務官(法廷警備員を含む。)担当者及びオブザーバー(大阪支部)が参加しました。
 20日の担当者会議では、各地連から全国の事務官の実情が報告され、また、事務官が当面する諸課題について討議しました。会議では「事務官研修方針骨子」で実施が定められている「職務導入研修」が実施されていない庁があるという実態報告がなされました(上京団交渉でも追及)。また、仙台高裁及び東京高裁管内において既に導入・実施され、本年度から大阪高裁管内において導入されている「管理職昇任選考試験」について、既に導入された地連から実情が報告され、情報及び問題意識の共有をはかりました。
 そして、今回の担当者会議に先立って本部事務官対策委員会が提起した「全国事務官アンケート」の第1次集約(917名分)の結果が報告され、引き続き、年内を目途にアンケートを集約し、分析した上で、今後の事務官運動の方向性を検討していくことを確認しました。
 21日午後に実施した上京団交渉においては、増員、事務官の登用、OA・IT化、資料課組織の見直し、法廷警備員の補職解除等について最高裁を追及しました。新しい人事評価制度の導入後における「退職までに5級」の枠組みの維持については、最高裁の前向きな姿勢が感じられました。
 一方、資料課組織の廃止に伴う人員の活用について、原庁における繁忙部署での活用を基本にせよという追及に対しては、「全国的な見地から、繁忙状況に応じて庁を異にする人員の再配置を行ってきている。資料課廃止に伴う人員の活用についても同様であると考えている。」との従前回答が繰り返されました。今後、各当局に対する地連・支部の追及が重要になります。
 職種交渉では、本部交渉を上回る回答をさせることはできませんでしたが、充実した意見交換を行うことができました。
 
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集い、語り、未来へ! 全労連全国集会2011
 
 11月19日〜21日、静岡県浜松市で、全労連が主催する「全国集会2011」が開催されました。集会には全国から20単産、749人(うち女性は181人)が参加しました。

 今回の「全国集会2011」は、経済危機や東日本大震災などによる労働者の深刻な雇用状況の改善をめざすための中期的な政策の立案と、その実現に向けた戦略を深め、今後10年程度の中期的な運動と、その運動を担う組織強化・拡大について深め合うことを目的に、全労連として10年ぶりの開催となりました。
 冒頭、主催者を代表して、全労連大黒作治議長が、「1989年11月21日に全労連が誕生して22年が経過したが、私たちはこの歴史から何を学ぶのか。これからの10年先を見据えて大いに議論してほしい」との挨拶がありました。
 1日目には、関西大学教授の森岡孝二氏による記念講演「働きすぎをなくし経済・環境危機を乗り越える」がありました。森岡教授(「過労死防止法の制定に向けた実行委員会」の実行委員長)は、講演の中で、「今日ほど、学生が弱い立場に置かれている時代はない。それは、ひいては労働者全体が弱い立場に立たされているから」と、今の大学生の就活状況と現在の社会構造の問題点を指摘し、減らない過労死や過労自殺問題について、労働組合に何が求められているのか、問題提起をした上で、サービス残業解消型のワークシェアリングをすすめることで、過労死や過労自殺を減らしつつ、350万人の雇用を創出できるとしめくくりました。
 各単産・単組からの特別報告では、森上恵子氏(日本民医連・東京民医労勤医会支部東葛分会委員長)から、自身の組合活動の体験をふまえ、「労働組合の活動は、温々としたところや高いところから、指示を出したり、話をしているだけではダメで、地面にはいつくばって、組織の中から運動の底上げを行うことをしなければいけない。役員はもっと組合員や職場の中に入っていくべき」との観点が強調されました。
 2日目は、各課題の分科会・分散会がありました。「職場の賃金闘争の再構築をめざして」の賃金闘争を課題とした分科会では、賃金の現状と課題を整理し、賃上げはもとより、成果・業績主義で進んだ賃金の個別管理化、男女格差是正や非正規の賃金改善等の課題をふまえた各職場のとりくみの教訓を共有し、賃金闘争の前進に向けた運動のあり方を議論しました。
 全労連調査局長の伊藤圭一氏は、「1997年以降の14年間、先進国で唯一、日本の賃金だけが下がり続けている。2008年のリーマンショック以降でさえ、日本を除く先進国の賃金は上がっている。日本と同じ輸出大国のドイツでも賃金は上がっている」としたうえで、「これは決してドイツの経営者がやさしいからではなく、労働組合がきっちり賃上げをかちとってきたからだ」と強調しました。
 2006年〜2007年は昭和のいざなぎ景気以上の好景気だったことから、マスコミも「賃上げの好機」とまで報道したものの、大企業労組はベースアップを掲げず、経営者側も高収益をあげているにもかかわらず、円高などを理由に、結局大幅な賃上げを行わないまま、現在に至っている状況を踏まえ、具体的に賃金闘争をするには、労働者がお互いの賃金について知り合うことが基本であり、そうすることで、団結が、より強固なものになります。このような、交渉に向けての事前準備が大切であることが確認されました。
 3日目は、「雇用の安定を社会保障拡充へ、全労連運動の新たな飛躍をめざして」をテーマにシンポジウムが開催されました。
 一橋大学名誉教授の渡辺治氏は、「2009年夏の総選挙で、民主党政権が誕生したが、総理大臣が3人入れ替わる中で、国民の期待からはかけ離れたものになっていった。今の野田政権は、これまでせき止められていた4大課題であるTPP参加、消費税引き上げと『一体改革』、原発再稼働、普天間辺野古移転に手を付けている」としたうえで、「労働運動に求められている課題は、雇用、公的就労と医療、介護施設の復旧・再建の強化であり、福祉国家型『ディーセントワーク』の先行実施の追求であり、地域主権改革に反対し、原発や大企業に依存しない地域経済と地域の再建である」と講演しました。
 「こうすれば必ず成功する」というマニュアルなど存在しません。過去の経験から現在の問題点を見つめ直し、、これからの運動に活かしていく必要があります。
 
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賃下げ法案の廃案をめざして、国会前座り込み行動
 
 全労連公務部会(国公労連・自治労連・全教等)は、11月22日より、衆・参総務委員会が開催される毎週火・木曜日に、憲法違反の賃下げ法案(給与臨時特例法案)の廃案に向け、国会前座り込み行動を実施しています。
 全司法本部や在京支部からも、座り込みや、昼休みの決起集会に参加しました。
 座り込み行動は、審議次第によりますが、今国会の会期末まで(12月9日)提起されています。
 国家公務員の賃金引き下げが地方公務員や教員、独立行政法人職員などに波及すること、さらには民間賃金にも影響し、個人消費や景気を冷え込ませ、税収減につながることをふまえれば、今回の特例法案は震災復興にとってマイナスとなることは明らかです。憲法違反の一方的な賃下げを許さず、公務・公共サービスの拡充をめざし奮闘しています。
 
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何が問題?ここが問題! これでいいのか労働者派遣法
 
 現在、派遣労働の実態が社会問題となっています。この問題について、読者から投稿がありましたので掲載します。

▲ある製造業の大企業が一万人規模の人員削減計画を発表した。円高、価格減少などで収益化が図れなかったことなどによるとのことである。他方で、これまでの利益は内部留保として蓄積されている。
▲一昔前は、業績が悪化したとしても人員削減に踏み出すことはわずかだった。しかし、今では一時的にでも業績が悪化すれば、人員を削減し、減収分を補てんしようとしている。そして、そのことがごくありふれた出来事のように扱われている風潮も生まれている。いつから人をこれほど簡単に切り捨てることができるようになったのだろうか。
▲2008年秋のリーマンショックによる大企業の派遣・非正規切りによって、可視化された派遣労働者をはじめとした非正規労働者の雇用実態。業績の悪化が見込まれれば、真っ先に首を切られ、住まいすらも失う。生存すら危ぶまれるという状況に簡単に追い込まれてしまう。これほどの異常があるのだろうか。
▲こうした根底の一つには、1999年に派遣が原則自由化され、2003年に製造業まで拡大された労働者派遣法がある。派遣労働は、極端に言えば、仕事があれば派遣が求められ、無ければ派遣切りとなる。しかも、製造業は生産調整を受けやすいことから派遣労働を認めれば雇用が極めて不安定になる。そのため、2003年までは規制されていたものである。2008年秋のリーマンショックによる派遣切りは、まさにこの製造業派遣がターゲットとなり、社会問題化した。これをきっかけとして、労働者派遣法改正論議となり、2009年の総選挙で民主党は同法の抜本的改正をマニフェストに載せた。
▲あれから2年が経過し、この11月、民主党は、自民党・公明党と同法の改定案の修正合意をした。内容は、製造業務派遣と登録型派遣の原則禁止の削除などである。元々、改定案自体にも抜け道があり、問題はあったが、それ以上に骨抜きとする内容で、もはや改定と呼べる代物ではない修正合意となっている。まるで、これからの大企業の人員整理の後押しをするような内容である。
▲派遣労働などの増加は、雇用の不安定化とともに低賃金化を招いている。1年間働き続けても年収200万円にも届かない労働者は、1000万人、年収300万円以下の労働者も加えると1800万人にも達し、全労働者の35パーセントにもなっている。日々の暮らしを不安なく送り、子供を健やかに育て、将来にささやかな夢を持つ。そんなごくごくありふれた日常すら許されない人達が増え続けている。一方で、ごくわずかな富裕層はその収入を増加させている。富の分配はあまりにも偏り、格差と貧困は拡大し続けている。人らしく生きるという人間の生来の権利さえも奪われてきている。
▲今、社会には大きな矛盾が渦巻いている。その矛盾は、人間らしさの否定となっている。庶民と呼ばれる私たちは、過剰な望みを持っているわけではなく、ごくごくありふれた日常を普通に生きていきたいと願っているだけであろう。それを実現するために、その願いを言葉にして、そして、行動していく時ではないだろうか。(哉)
 
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