おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2011年10月 > 2136号
 
全司法新聞
 
 
中高年齢層を狙い撃つ3年連続のマイナス勧告
私たちの生活に大きな打撃
 
 9月30日、人事院は国会と内閣に対して、本俸を0・23%削減する3年連続の給与引き下げを行うとともに、一時金については東北3県のデータがないことを口実に据え置いたうえ、「現給保障」の段階的廃止などを内容とする国家公務員の給与等に関する勧告及び報告を行いました。また、2013年度から段階的に65歳まで定年年齢を引き上げるとともに、60歳超の給与水準を引き下げる定年延長の「意見の申出」を行いました。

ボーナスは据え置き

 人事院は私たちの労働基本権制約の代償措置である役割を果たさず、3年連続となる本俸の引き下げ、一時金の現行(3・95月)据え置きなどを勧告しました。
 具体的には、中高齢層の賃金抑制政策として、50歳代を重点とする俸給表のマイナス改定を行い、50歳代層が支給される俸給表を中心に0・4%〜0・5%引き下げられます。
 また、2005年の給与構造改革に伴う経過措置額(「現給保障」)を段階的に廃止し、経過措置解消に伴う原資を用いて、来年4月1日現在で36歳未満の職員は最大2号俸、36歳以上42歳未満の職員は最大1号俸を回復するなどとしています。そのほか、「当分の間の措置」として昨年強行した55歳を超える行(一)職6級相当以上の職員への1・5%賃金減額措置も継続となっています。
 本年の人事院勧告の特徴として、昨年に引き続き50歳代に焦点を当てた給与抑制措置があります。
 一方、青年層の本俸引き下げを阻止したことは、これまでの運動の結果だとも言えます。
 なお、今勧告が実施された場合の遡及措置を12月期の期末手当で行うこととしています(計算方法は、基本的に昨年と同様です)。

育児休業短期取得
期末手当の減額なしに


 制度に関しては、育児休業を1日でも取得した場合、期末手当が減額されることもあり、取得を阻害する要因になっていましたが、私たちの運動や厚生労働大臣などの要請もあって、1ヶ月以内の育児休業の取得であれば減額しない措置を講じることが盛り込まれました。
 なお、報告では、国家公務員制度改革関連法案に関する人事院の問題意識や能力・実績に基づく人事管理を推進するため、人事評価制度の適切な運用、勤務環境の整備の一環として超過勤務縮減にむけたとりくみや心の健康づくりの推進等が触れられました。
 いずれも私たち勤務条件や職場環境に大きな影響を及ぼす問題であることから、今後の動きを注視しつつ運動を強める必要があります。

定年年齢を引き上げるも、給与水準は引き下げ

 人事院は勧告と同時に、公的年金の支給開始年齢の引き上げに合わせて、2013年度から3年に1歳ずつ段階的に定年年齢を引き上げ、2025年に65歳定年とする意見の申出を行いました。
 意見の申出では、民間の60歳代前半層の年間所得が60歳前の約70%であることを理由に、60歳を超える職員の年間給与を60歳前の70%に設定するとしています。職務内容に変更がないにもかかわらず一定の年齢になったということだけを理由にした給与の減額には合理性がまったくありません。また、民間は再雇用など雇用形態の変更が伴っていますが、公務は再任用ではなく定年延長である以上、60歳前との連続性を断ち切る給与制度は問題であると言えます。
 定年延長を含む高齢期の雇用問題は、人生設計にかかわる大きな課題であり、定年前の短時間勤務や役職定年制の導入など、いずれの内容も重要な労働条件です。今後の検討を進めるにあたっては、当事者である国公労連および全司法との意見交換を重ね、納得と合意の上で行うべきであると考えます。
 また、人事院は退職手当、定員および共済について、引き続き制度官庁と議論を進めるとしています。これらの課題は定年延長を行う上で密接な関係があることから、国公労連に結集し、政府に対するとりくみを強化していくことが必要です。

人勧の取扱いをめぐる動き

 国公労連は、政府に対し、(1)11年人事院勧告の取扱いは国公労連との合意に基づき決定すること、(2)「給与臨時特例法案」を撤回することを内容とする要求を行いました。
 10月4日には給与関係閣僚会議が開催されましたが、「給与特例法案と人勧を両方やるというのはあり得ない。(特例法案は)三党協議で明確に(復興)財源と位置付けられれば国会も通るかもしれない」(川端総務大臣)、「ボーナスで調整するためには臨時国会中に結論を得る必要がある。虻蜂取らずでは国民の負託に応えられない」(安住財務大臣)との発言がなされるなど、人勧の取扱いに関する結論は持ち越しとなっています。
 このように人勧の取扱いをめぐる今後の見通しは不透明な状況ですが、連合の古賀会長が人事院勧告について「これまでの政府、民主党と連合の議論経過からすると、今回の勧告は全く無視してもらわないといけない」と述べ、公務員連絡会(連合)も同様の要請を行っていることから、政府が人勧の取扱い議論を「棚上げ」したまま、「賃下げ法案」と公務員制度改革関連4法案の「一体処理」を10月中下旬からの臨時国会前にも確認することも考えられます。
 しかしながら、この間の中央・地方での宣伝行動などにより、国民の理解と共感も着実に広がってきています。このように公務員バッシングを打破する展望を切り開きつつあることに私たち一人ひとりが確信を持ち、国民的な理解と共感を広げるとりくみを継続・強化することが求められます。
 
ページの先頭へ
 
2012年度裁判所予算の概要が明らかに
 
 最高裁は、全司法本部に対して9月30日、2012年度裁判所予算要求の概要を明らかにしました。増員については総数115人(判事30人、書記官85人)、施設については、都留支部(山梨)・尼崎および浜坂支部(兵庫)・佐世保支部(長崎)、富士支部(静岡)の庁舎新営や被災地をはじめとした庁舎耐震改修(本庁3庁、支部8庁、簡裁2庁)が要求されました。

 最高裁は、増員要求について「国家公務員の定員を5年間で10パーセント以上合理化するという政府の定員削減方針など、非常に深刻な国の財政事情の下で極めて厳しい状況になっている」としつつ、「司法制度改革については、法制度の枠組みが完成し、裁判員制度を始めとして実施・運用段階に入っている」「これらの制度改革をより実効性あるものとするため、種々の見直しとともに、裁判所の人的態勢についても国民の負託に応えていく裁判を実現するための充実強化を図っていく必要がある」との基本姿勢を明らかにしました。
 その上で、「個々の事件が複雑困難化しているだけでなく、新受事件数も依然として高水準にある民事訴訟事件」「成年後見関連事件を中心に、新受事件数が引き続き増加傾向にある家事事件」について、適正迅速な処理を行っていくために、さらに裁判部門の処理態勢を強化する必要があるとしています。
 増員要求の内訳は、裁判官が昨年の概算要求より15人減って30人、書記官は昨年と同数の85人となりました。また、家裁調査官の増員要求は今年も見送られました。
 定員削減については、内閣からの協力要請を受けて、定員を巡る情勢が厳しさを増す中で、引き続き裁判部の充実・強化を図っていくことについて国民の理解を得るという観点に立ちつつ、今年度は65人の定員削減を行うこととしています。
 9月20日に閣議決定された、前年度当初予算額のうち施設費を含む裁量的経費の10%に相当する額を削減して要求するとの概算要求組替え基準に関しては、「予算の柔軟性に乏しい裁判所にとって大変厳しい内容であったが、司法権の適正な行使のために必要と考えられる予算額については確保できるよう要求をしており、裁判所の業務に支障は生じない」と説明しました。
 庁舎新営要求では、「昭和30年代及び40年代の建築で老朽化が著しいうえ、事件関係室が不足等しており、耐震診断結果がa(震度6強〜7の大規模地震が発生した場合、倒壊・崩壊する危険性が高い)であったことも考慮」して新営が要求されました。
 一方、一昨年度に庁舎新営要求を行い、その後の見直しで見送られた高松地家裁丸亀支部について、「老朽度や狭あい度などの点で問題があることは十分に認識している」と説明しました。
 また、裁判所庁舎の耐震化について、評価aから評価dとなるように「可能な限り早期に予算措置が図られるよう最大限の努力をしていきたい。特定建築物(階数3以上かつ延べ床面積1,000平方メートル以上)については、遅くとも2015(平成27)年度末までに、耐震安全性の基準を満足する施設の割合を少なくとも90パーセント以上とするよう努めたい。」との姿勢を示しました。
 
ページの先頭へ
 
「全員参加型」の組合活動で、組織強化を
日常活動を充実させ、組合員拡大へ
第1次組合員拡大強化月間(9月〜12月)
 
 今年も組合員の拡大と組織の強化をめざして、「第1次組合員拡大強化月間」がスタートしました。職場にある不平・不満などを要求として組織し、その一つひとつを実現していくためにも、何より仲間を増やすこと、そしてすべての全司法の機関(本部・地連・支部・分会等)の力量向上が課題となっています。

 全司法では、9月20日から12月22日までを「第1次組合員拡大強化月間」と設定し、(1)早期の新執行部確立、役員の任務分担と役割の学習、(2)正確な組織実態の把握、(3)向こう1年間の組合員拡大目標と具体的な行動展開計画の策定、(4)10月1日付け新採用職員の全員加入を目標として、全国各地で創意工夫あるとりくみを展開しています。
 ところで、なぜ「組合員拡大月間」でも「組織強化月間」でもなく、「組合員拡大強化月間」なのでしょうか?組合員を1人でも増やしていく「組合員拡大」のとりくみと、全司法の力量を上げていく「組織強化」のとりくみ。一見すると関連性は薄いのではないかと考えがちです。
 全司法は、組合員の拡大だけでなく、組織の強化もあわせて追求しています。その計画書ともいえるものが、昨年の全国大会で確立した「新たなJOプラン 1stステージ〜多数組織に向けた挑戦〜」です。
 労働基本権、とりわけ協約締結権の回復が文字どおり目前に迫る中、仲間を増やし、全司法の組織を強化し、職場における多数組織を形成することが何よりも重要です。仲間を増やすためには、「組合に入ろうよ」と声をかけるだけでは、なかなか仲間は増えていきません。日常的な活動をすすめる中で、「組合はこういうことをしているのか」「困ったときに組合は手をさしのべてくれる組織なんだ」といった組合への信頼を得ていくことが必要です。そのためには、組織を強化するとともに、組合の活動を担う人材を育成していくことが何よりも大切になります。
 これまでいくつかの支部で見られた、日常活動が低下することで、組合の求心力がなくなり、組合離れがすすむ、といった負のスパイラルを断ち切るためにも、全ての職場で日常活動を充実させることが求められています。
 日常活動を新しい役員だけで行っていくことには限界があります。教宣紙の発行や財政、未加入者への加入呼びかけといった機関運営に欠かせない役割を、役員の選出されなかった組合員の皆さんにも担ってほしいと考えています。そうすることで「役員請負型」ではなく、「全員参加型」の組合を作っていきたいというのが、全国大会で確立した「JOプラン」です。まず、そのことをすべての組合員の皆さんに訴えます。
 12月までの組合員拡大強化月間では、役員の入れ替わり時期であることも踏まえ、地連・支部の地盤固めを図っていくことを提起しています。
 新執行部発足にあたって十分な準備と現状把握を行い、活動の充実を図ります。あわせて、10月1日には全国でおよそ50名の職員が新たに採用されているため、全員を全司法に迎え入れるべく、歓迎会やガイダンスなどの波状的なとりくみを続けていきます。もちろん、日常活動を充実させることで、全司法への求心力も高めていきます。
 「役員請負型」ではなく、「全員参加型」の組合活動をめざし、これを読まれている組合員の皆さんが身近な活動に参加していただくよう、訴えます。
 
ページの先頭へ