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  トップページ > 全司法新聞 > 2011年6月 > 2129号
 
全司法新聞
 
 
道理のない給与削減法案阻止に向け、職場地域で運動の強化を
 
 国公労連は、5月13日の提案以降、政府(総務省)との間で政務官交渉3回、人事恩給局長交渉1回(全司法本部から書記長が参加)の交渉を重ねてきました。
 私たちは、この間一貫して、(1)財政事情悪化の責任を公務員に転嫁する総人件費削減に道理も根拠もないこと、(2)公務員賃金の引き下げが経済をいっそう冷え込ませ、復旧・復興に悪影響を与えること、(3)全国で行政・司法を支え奮闘している公務員の士気を下げること、(4)労働基本権が制約されている下で現行制度にもとづかない賃金引き下げは憲法違反であること、など主張し、賃下げ提案の撤回を要求してきました。
 政府との最終交渉となった2日の総務大臣交渉においても国公労連はこれまでと同様の主張を行い、政府の統一的見解を問い質しました。
 片山大臣は、「給与削減は、公務員給与の現状、財政事情、国民世論の動向を見ながら進めてきた。その過程で起きた大震災でいっそう財政事情が厳しくなり、やむを得ない措置として提案したもの」「家計支出への影響が何らか出ることは事実だが、震災復興過程で相当投資が増えることが景気を押し上げる効果もあり、全体として判断する必要がある」「今回の提案は心苦しいが、厳しい財政事情からあえてやらざるを得ない。理解の上、協力してほしい」「労働基本権を整理した上で論ずるのが一番まっとうなやり方だが、合意を得られるよう鋭意やってきた。最後は国会が決めるのであり、担保は勤務条件法定主義である。現行憲法の枠組みでも臨時・異例の措置として許されると考える」とこれまでと同様に納得のいく説明はありませんでした。
 そのうえで、「現下の政府、財政が置かれた事情を考えると(提案は)心苦しいが、ぜひ受け止めてほしい」と提案どおり強行する姿勢を明らかにし、双方平行線のまま総務大臣交渉は終了しました。翌3日、政府は国家公務員の給与を向こう3年間にわたって10〜5%削減する賃金引き下げ法案を閣議決定しました。
 政府の閣議決定に関して、人事院総裁は、「今回の給与減額支給措置は、労働基本権が制約された状況下において国家公務員法第28条の定める手続によることなく、給与減額を行おうとするものであり、一部の職員団体との間で合意に至ったものの、反対を表明している職員団体があるほか、職員団体に属していない職員も多数いる中での給与減額支給措置については遺憾である」「給与減額支給措置は平成25年度末までの約3年間の措置とされており、「今回の給与減額支給措置が行われる間、労働基本権制約の代償措置が本来の機能を果たさないことにならないかとの懸念がある」との問題意識を述べ、「今後、国会において、これらの点も含め、慎重な審議が行われることを期待する」との談話を発表しました。
 また、6日には西岡武夫参議院議長が、「人事院を無視した形で政府が法案を提出したのは遺憾であるのみならず、法的にも問題だ」「議員運営委員長と相談の上だが、議案を付託する考えは議長としてない」との発言をしています。
 このように私たちの主張する現行制度に基づかない賃金引き下げは、人事院や参議院議長も問題意識を表明しています。
 また、閣議決定後の6日に実施した衆・参65人の総務委員に対する議員要請行動においても、自民党の複数の議員からは「今の時期に国家公務員の賃金を下げるのはどうかと思う。ポピュリズムで公務員を叩いていればいいという時代ではない。公務員がしっかり働ける環境をつくることが必要だ」、「立場は違うが、賃下げ反対では一致している。2割削減を掲げる民主党を労組が応援するのはおかしい。復興に多額の国債発行が必要だと考えているが、そんなときにGDPを下げたら逆効果だ」との発言があり、民主党議員からも「(公務員賃金は)下げるべきではない。また、反対を押し切ってまでやるものではない。賃下げはGDPを含むすべての産業に波及する問題だ」との発言がなされました。
 議員本人や秘書など対応の違いはありますが、この間の一貫して筋の通った主張をしてきたことにより、少しずつですが、公務員を取り巻く状況は変わりつつあります。閣議決定により、今後は国会での審議となりましたが、国民の理解と共感を得ながら、賃金引き下げ法案の廃案を求め、引き続き、国公労連の提起する運動に結集し、職場・地域からのとりくみに全力をあげていくことが必要です。
 
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給与削減阻止! 総務省前で3日間の座り込み行動
 
 国公労連、全労連公務部会は、政府が5月13日に提案した「人事院勧告に基づかない公務員給与引き下げ(3年間1割カット)」について、その暴挙をゆるさないため、6月1〜3日に緊急の総務省前座り込み・要求行動(8時30分〜18時30分まで10時間)を実施しました。全司法からも、本部・東京地連・在京近県支部を中心に、座り込み行動へ参加しました。
 緊急の提起となった座り込み行動には、中央だけでなく全国から参加し、民間労働者の仲間も集まり、全体でのべ1400人の仲間が結集しました。
 
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公務員制度改革関連法案の内容と問題点
 
 政府は6月3日に、賃金引き下げ法案とセットで公務員制度改革関連法案を閣議決定しました。今回は、この法案の内容と問題点を指摘します。
 公務員の労働基本権に関する法律は「国家公務員の労働関係に関する法律」にまとめられ、あわせて、国家公務員法も改定されます。国家公務員の労働関係に関する法律は、第一章から第七章までと附則によって構成されています。
 法案の中身ですが、これまでのたたかいの結果として、(1)不当にも剥奪されてきた労働基本権の一部である団体協約締結権を制度化したこと、(2)「排他的交渉代表制」(少数組合を交渉の場等から排除する制度)を制度化させなかったこと、(3)交渉拒否などの不当労働行為が禁止されたこと、(4)交渉が不調だった場合の調停や仲裁など、調整システムを設定させたこと、など一定の到達点を築くことができました。
 しかし、その一方で、(1)認証労働組合制度(労働組合として認証を受けなければならず、認証を受けるためには一定の要件を満たさなければならない)が設けられたこと、(2)管理運営事項を交渉対象事項と認めないこと(管理運営事項については全司法新聞第2120号参照)、(3)協約締結にあたって「内閣の事前承認制」が制度化されたこと、などが問題点として指摘されます。
 見送られた争議権の付与も含め、制度が不十分かつ中途半端な形であれば、本来であれば労使対等のもとで労働条件を決めていくはずが、実質的には公務員労働者の権利、労働条件が制約され、悪化してしまう可能性も懸念されます。
 これまで、こうした問題点を政府に対し修正するよう求めてきましたが、閣議決定までの間に十分な対応はありませんでした。引き続き、国会審議での修正を求めるとともに、公務員に相応しい労使関係を築き上げていくことが重要です。
 なお、具体的な施行時期は来年7月または10月とし、給与に関する中央交渉は2013年度、各府省における団体交渉締結は2014年度からの開始が想定されていますが、賃金引き下げ法案の行方とあわせて、先行きは不透明な状態にあります。
 
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必要な人員確保に努力 第3回給与課長交渉を実施 6・7
 
 全司法本部は、6月7日、諸要求期の給与課長交渉(第3回)を実施し、増員、労働時間短縮、超勤縮減等、健康管理、IT、庁舎・機械設備、宿舎、旅費・庁費について最高裁を追及しました。

【増員・欠員補充】
 増員に向けた基本姿勢を追及したところ、「必要な人員の確保について引き続き努力していきたいと考えている」と回答しました。また、国家公務員の定員を巡る厳しい情勢などから、「財政当局との折衝は、これまで以上に厳しくなる」との認識を示しました。

【東日本大震災への対応】
 被災地における復旧・復興に必要な応援態勢については、「裁判官及びその他の裁判所職員の応援態勢を含めた必要な事務処理態勢の整備について検討している」と回答しました。また、急増する業務に対応するため、事件処理方法の指針発出など働きやすい職場環境作りについて「(既に発出した指針もあるが)引き続き必要な支援を行っていきたい」としました。

【時短・健康】
 超過勤務の縮減対策について、「合理的な事務処理に向けた意識改革の徹底」、「超過勤務を的確かつ遅滞なく把握するよう管理職員への指導を徹底」と回答しました。また、被災地における抜本的な超過勤務縮減対策について、「必要性・緊急性の薄い超過勤務がなされないよう指導しているものと認識」しているとしました。
 健康診断の充実については、「女性職員の構成比率が高いことや一般定期健康診断等の受検率が他の行政府省と比べて非常に高いこと等、裁判所の特殊性を主張して健康診断に必要な予算を確保してきたところである。今後も健康診断を将来にわたって安定的に実施するために必要な予算を確保できるよう努力して行きたい。」と回答しました。

【庁舎】
 庁舎の新営・増築については、「職員の勤務条件に関わる問題として、常に関心を持って努力」しているとし、「必要な予算を確保していきたい。」と回答しました。
 また、東日本大震災により被害を受けた裁判所庁舎については、「資材等の調達が震災の影響により不安定な状況ではあるが、できる限り速やかに復旧工事を進めていきたい。」と回答しました。
 
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全国の力を結集することを確認 地連行(二)担当者会議と上京団交渉 6・5〜6
 
 6月5日〜6日にかけて、地連行(二)担当者会議と、引き続く行(二)上京団交渉が行われました。
 会議は、各地連の行(二)担当者と行(二)組合員、本部行(二)対策、総勢22名の参加で開催し、公務員給与引き下げに関する直近の情勢や行(二)職をとりまく情勢、これまでのとりくみ経過と到達点などについての基調報告から始まりました。
 その後、勤務時間のスライド制や退職不補充が続く職場、アウトソーシング等の職場実態、職員制度、昇格改善やその他労働条件全般などに関わって、各地連および、管内各支部の職場状況や要求にもとづき議論を深めました。また、組織の拡大・強化に関わって、参加者の経験もふまえた意見交換をしました。
 最高裁交渉では、冒頭に行(二)職要求署名(1955筆)を当局に手交し、公務員給与引き下げ問題も絡めた賃金改善、新たな昇給制度・人事評価制度、定員削減及び民間への業務委託反対、行(二)職の将来展望、各地連の昇格重点要求者の昇格実現などについて追及しました。
 全体的には従前の回答にとどまったものの、交渉参加者が追及した切実な職場実態や要求については受け止めるとしました。また、標準職務俸給表における部下数制限に関わって、「後補充がない中でも処遇を維持してもらいたい」との主張に対しては、「運用等で許される範囲で、できる限りの努力をしていく」と回答しました。
 今後も行(二)職の要求の実現と前進に向けて、日常的に職場に根付いた活動を通じて、より深く職場からの要求を掘り下げて、各地連・管内各支部からの意見や職場実態を会議に持ちよることなどを確認して2日間の会議と交渉を締めくくりました。
 
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全国の女性の交流深まる 全国女性交流集会 5・21〜22
 
 5月21・22日、第41回国公女性交流集会が石川県の山代温泉で開催されました。全国から子供も含め247名が参加しました。全司法からは総勢53名(開催地である石川支部を中心として中部地連から43名)が参加しました。
 東日本大震災を踏まえた内容の見直しを行い、復興に向けて私たちの仕事を検証し、今、何ができるかを考え、内外に発信していくべきだとして集会の開催が決定されました。
 一日目に記念講演があり、元国公労連女性協議長などを歴任した伍淑子さんから、震災を踏まえ、公務職場で働くということについて講演がありました。また、被災地へのメッセージうちわ作りなどの企画もありました。
 夕食交流会では、単組を越えた交流が深まりました。また、全司法の交流会では、和菓子と抹茶を楽しみ、リラックス法の講習会も企画され、好評でした。
 二日目は、原発問題や行政の役割などの分会会が開催され、それぞれが興味のある分科会に参加しました。
 二日間の限られた日程のなか、主催者の熱意が感じられ、全国の公務職場で働く女性の交流と連帯が深まった良い集会でした。
 
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