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全司法新聞
 
 
学び語り合った二日間 第17回中央労働学校
 
 2月6〜7日、静岡県熱海市において第17回中央労働学校が開校されました。青年層を中心に、総勢76名が出席。国公労連秋山書記次長の労働基本権課題をはじめ、5つの講義と班別分散会討論で学習を深めました。

  今年の中央労働学校は、各支部の組織強化および次世代役員の育成の観点から開校されました。
 講義は、1日目に国公労連秋山書記次長の「憲法とILO基準にそった労働基本権の確立をめざして」、福岡支部柏木書記次長(前青年協議長)の「青年に求められること」、国公共済会松渕専務理事の「国公共済会の優位性を確信に‐広げよう届けよう『国公共済会』‐」があり、2日目に斉藤書記次長の「労働組合活動の魅力、とは?」、森田書記長の「評価制度(勤勉手当・査定昇給)とその概要について」の5講義がありました。
 また、1日目と2日目の講演終了後には、全体を6班に分けた分散会を行い、受講した講義を踏まえて、討論を深めました。そして、最終日程として、分散会討論を踏まえた全体討論を行いました。
 「憲法とILO基準にそった労働基本権の確立をめざして」では、労働基本権回復に向けて最新の情勢と今後の動向、これから何をしていくべきなのかについて学習しました。
 「青年に求められること」では、講師自身の笑いあり涙ありの実体験をふまえて、青年が主体的に行動することの重要性について学習しました。
 「国公共済会の優位性を確信に‐広げよう届けよう『国公共済会』‐」では、国公共済会の優位性等について学習しました。
 「労働組合活動の魅力、とは?」では、言葉力を強化して、自らの言葉で発信していくことの重要性について学習しました。
 「評価制度(勤勉手当・査定昇給)とその概要について」では、制度導入の経緯と運用について学習しました。
 分散会では、参加者の中から司会者や報告者を決め、自主的な会議運営をしながら、各講義についての意見、疑問点等を出し合い、理解を深めていきました。
 全体討論では、各班から分散会討論を報告。「基本権は、職場内で、いっそう議論を深めなくてはならない」「基本権を踏まえると今以上にマンパワーが必要。青年の加入拡大を重視」「何でも話し合える雰囲気づくりが重要」「組合は職場で仲間との繋がりが持てる」「困った仲間を放っておかないとりくみが大切」などの報告がありました。
 また、1日目夜の全体交流会では、地連の枠を越えて交流が深まりました。
 最後に、各班の代表に修了証書の授与があり、中央労働学校は閉校となりました。
 
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国民世論の喚起が重要 秋山国公労連書記次長
 
公務員の労働基本法

 冒頭、公務員制度改革をめぐる近年の経過を示したうえで、これまで行われてきた公務員制度改革の一貫した狙いについて、政権党に従属するモノ言わぬ公務員づくりを進めてきたものであると強調しました。
 また、労働基本権回復について、政府・関係閣僚の姿勢が基本的に前向きなのは、国家公務員の総人件費2割削減の「手段」として導入する狙いが大臣の答弁・回答に表れていることを指摘したうえで、労働基本権を、そのような「手段」にさせない運動を強めていくべきであると強調しました。
 年末にたたき台として出された「自律的労使関係制度に関する改革素案」について、より具体的に団体交渉の当事者や交渉事項の範囲などについて提示されてきたことを示したうえで、今後はパブリックコメントも参考にしながら、検討が進められていくことを指摘しました。そして、労働組合が「正論」を主張するだけでは、「既得権益の擁護」とされかねないことから、今後はナショナルセンターを含めた、公務大産別規模の運動へと、国民全体を巻き込んだ世論喚起が必要であると示しました。そのためにも、組織拡大・強化はもちろん、足を外に出す共闘こそが、組合活動の活性化にもつながることを強調しました。
 最後に勤労者通信大学や今回のような労働学校での学習を深めていくことが重要であると強調して、講演を締めくくりました。

講演 「憲法とILO基準にそった労働基準法の確立をめざして」の感想
世界では、多くの国で協約締結権が認められていると知り、我々裁判所職員にも権利が必要だと思いました。
協約締結権など、公務員制度改革に関してじっくりと聞くことができ、有意義でした。
直面している大きな問題の一つなので、勉強して、知識を深めていきたいと思います。
労働基本権の回復に伴い、組合の必要性と重要性を認識することができました。
 
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自分達で考え主体性を持った活動を 柏木前青年協議長講義
 
青年に期待するものされるもの

 労働組合とはどのような組織なのかという話から始まりました。職場に渦巻く組合員の不満を職場の要求として練り上げ、労働条件の維持・改善を図ることが目的であり、その要求を取りまとめるために、組合員同士の対話を重視して、連帯を深めて行く必要がある。この要求と連帯が、労働組合の2本柱であると説明されました。
 青年部の意義に関しては、職場にある青年に特化した課題を拾い上げ、独自の要求を作り、職場の改善を目指すこと、青年同士で懇親会やレク活動などの、仲間を作る交流の場所を提供することが青年部の意義であると話されました。
 また、これからの青年に求められているものとして、青年が自主性を持って労働組合の活動に積極的にとりくんでいき、一つ一つの活動に興味・関心を持って、考えて行動していくことが重要であり、青年一人ひとりが労働組合の必要性、重要性を認識し、組合員全員で活動に参加し、みんなで役員を助けていくことが大切であると強調されました。
 最後に青年が元気に運動を展開することが、職場や組織の活性化に繋がっていくと締めくくられました。

講演 「青年に求められていること」の感想
身近なテーマでしたので、自分であればどうすべきかと考えるきっかけとなりました。
青年は自主的に活動し、組合に興味・関心を持つことが重要だと感じました。
青年にできること、青年にしかできないことを考えながら組合に関わっていきたいと思いました。
青年が主体となって動くことにより、組合が活性化することを再認識しました。
 
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助け合い支えあいの共済活動 松渕国公共済会専務理事講義
 
優位性高い国公共済会

 国公共済会松渕専務理事は、「労働組合は、組合員みんなが力を合わせて困っている仲間に手を差し伸べること」にあると強調されました。その上で、国公共済会は、助け合い支え合いの精神で、組合員の生活の共済を目的とし、生命共済、医療共済、火災共済など様々な共済活動を行っていることを紹介。国公共済会の運営は、民主・公平・公開・原価・連帯の五原則を徹底し、安定した運営と健全な財政状況になっていることを強調されました。民間の損保会社との比較では、国公共済会は、掛金のうち給付にまわる分が70パーセントで、おおよそ民間損保が36パーセントであることから、非常に優位であることが示されました。
 国公共済会は、組合員とその家族だけが加入できるものであり、活動を通じて、組合への団結が強まること、活動そのものが組合活動であることから要求組織にも繋がること、組合財政にも寄与することなどが語られました。

講演 「国公共済会の優位性を確信に」の感想
「少ない掛け金で大きな保障」があり、もっと有効に活用していきたいと思いました。
妻と共に加入しようと思いました。
民間の保険会社などと比較して、多くの優位性があることを知ることができました。
国公共済会について、今まで知る機会があまりなかったので、今回の講演は自分にとって良い機会となりました。
 
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みんなは一人のために、一人はみんなのために 斉藤本部書記次長講義
 
魅力あふれる労働組合活動

 最初に、労働組合活動の魅力を語る前提として、「労働組合とその魅力」について話がありました。労働組合とは、その字のとおり「労働者が組み合う」組織であること、その目的は人間らしく生き、働くためであり、その精神は「みんなが一人のために、一人がみんなのために」という言葉に表されること。そして、労働組合自体は魅力があるなしで語られるものではなく、職場にあって当たり前の存在であることを伝えました。
 その上で、労働組合活動の魅力として(1)信頼を高めるための試行錯誤(2)言葉力の強化(3)自分のこだわりについて、それぞれ述べられました。
 (1)については、あらゆる場面において相手と早期に信頼関係を構築することは、その先において重要であり、この点、組合活動を通じて様々な試行錯誤を経験することで、自分を高めることが出来ることが話されました。
 (2)については、自分の思っていることを相手にどのように伝えるか、未加入者との対話や当局との交渉の場を経験することで、あらゆる場面に対応できるようになることが強調されました。
 (3)については、組合活動を行うことで、自らが日頃から抱いている仕事や職場へのこだわりの実現へむけたとりくみが出来ることが強調され、講師からは家庭裁判所、特に家事事件担当職場の改善とワークライフバランスの実現に向けたこだわりが話されました。
 最後に、労働組合の一番の本質は組合員の要求を実現することであること、裁判所は困った人を助ける機関であり、そこで働く職員が労働組合に結集し活動することは魅力であり当たり前であることを伝え、講演を締めくくりました。

講演 「労働組合活動の魅力、とは?」の感想
組合活動を通じて、自己発展ができることが一つの魅力であると感じました。自分の言葉で組合について話せるようになりたいと思います。
「言葉力の強化」「自分のこだわり」について、もっと努力して磨いていきたいです。
「組合に入ってよかった」という率直な気持ちを伝えていきたいと思いました。
「自分のこだわり」を、私も格好良く言い切れるようになりたいです。
 
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職場実態を踏まえた運用を 森田本部書記長講義
 
より良い人事評価制度に向けて

 裁判所における新たな人事評価制度は、「人材育成および任用の基礎とするための評価」と「給与・昇任等に活用する評価」の二つで構成されており、昨年10月から本格実施されたことから、これまでの経緯を含めて学習し、理解を深めました。
 まず、成績・能力主義を導入した経緯について、政府の「公務員の総人件費抑制」政策が背景にあること、「公務員制度改革大綱」が頓挫したことから現行制度の枠内でとりくむことが可能な範囲で評価制度(評価手法の改善と公務能率の一層の増進をはかるための実効ある評価)が導入されたことなど、導入に至る社会的な背景事情について説明がありました。
 その結果として、俸給表と俸給制度の見直しや勤務実績の給与への反映など私たちの賃金体系を大きく変えた2005年人事院勧告が行われたことから、俸給表全体の引き下げ、級構成の再編および号俸4分割など給与構造の再編、査定昇給の導入や勤勉手当の実績反映など勤務実績の給与への反映などの具体的な内容についての理解を深めました。
 そして、(1)「人材育成および任用の基礎とするための評価」は裁判所独自の評価制度であり、人材育成という本来の目的が達成できるよう職場での理解が必要であること、(2)「給与・昇任等に活用する評価」が具体的に運用されるのはこれからであり、これら二つの人事評価結果は各庁当局の権限に属することから、具体的な運用の問題点を各支部において改善させるとりくみが重要になっていくこと、そのためには、各制度内容を理解し、よりよい制度となるよう職場実態をふまえた運用をさせていくことが重要であることを参加者全員で確認しました。

講演 「新たな人事評価制度の概要について」の感想
基本的なことは分かっていましたが、改めて詳しく話が聞けて非常に良かったです。
昇格・昇級・昇任について、今までほとんど理解していなかったので、詳しい資料と説明がありがたかったです。
講演はもちろん、資料の分かりやすさに本当に驚きました。人に説明できるようにしたいと思います。
制度の導入までの経緯は、今まで調べていなかったので、今回の講義で学習できて良かったです。
 
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労働学校に参加して 参加者の声
 
楽しかったです。議論が白熱して、分散会の時間が非常に短く感じました。
短い時間でしたが、色々な人の話を聞いたり、交流することができたり、とても良い経験になりました。
二日間という短い時間でしたが、様々な良い刺激を受け、良い勉強をすることができました。これを職場に還元していきたいと思います。
交流会は楽しく参加させて頂きました。全体会議は、皆さんの個性が良く出ており、楽しかったです。
地連を超えて、同年代の仲間と交流することができて良かったです。普段会えない方の話を聞けて、ためになりました。支部に帰ったら、しっかりフィードバックしたいと思います。
全国各地の方々と交流ができ、とても楽しめました。
 
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内需拡大で景気回復を 2・10中央行動に7000人結集
 
 2月10日、東京・霞が関を中心に、全労連・国民春闘共闘などでつくる実行委員会が主催する「国民要求実現2・10中央総行動」が展開されました。

 中央総行動は、「なくせ貧困!仕事よこせ、守ろう雇用と暮らし!内需主導の景気回復を!」をスローガンに、労働組合や民主団体などから7000人が結集。全司法からは、全国上京団の仲間81人が参加しました。
 日比谷野外音楽堂での中央集会では、全労連の大黒議長が主催者あいさつを行い、「労働者の年収は12年間で61万円引き下がった。これでは景気回復はおぼつかない。旧社保庁と日本航空は、信頼回復や再建と称して解雇権を乱用して職員の不当解雇を行ってきている。どちらにも政府が強く関与していることはいうまでもない。年金や空の安心と安全確保は国民全体の課題。不当解雇撤回に向けて大きな支援を。いっせい地方選挙では、仕事起こしと市民の暮らしを守る砦としての自治体をつくるチャンス。今春闘の課題ともリンクさせて奮闘しよう」と呼びかけました。
 その後、各種団体が決意表明をし集会の最後に、参加者全員が「暮らし守ろう」と書かれたプラカードを掲げてシュプレヒコールを行いました。
 財務省前行動では、全労連の根本副議長が「菅内閣はTPP参加や消費税増税、公務員賃下げなどを狙い、国民に一層の負担を背負わせようとしている」と主催者あいさつ。また、静岡自治労連の菊池書記長は「静岡県は緊急雇用対策として8千人を雇ったがすべて短期雇用の臨時職員。これでは雇用安定も景気回復も進まない。さらに菅内閣は公務員人件費を削減しようとしているが、地域に対するマイナスの経済波及は大きい。大きなピンチをチャンスに変えるため頑張ろう」と訴えました。
 その後、上京団行動参加者は、日比谷公園内幸門から東京駅八重洲口方面へ向けて銀座パレードを実施。「すべての労働者の賃金をあげろ」「労働者派遣法を抜本的に改正しよう」「最低賃金を大幅に引き上げよう」などのシュプレヒコールが響き渡りました。
 
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大企業は社会的責任を果たせ 雪中の第32回トヨタ総行動
 
 2月11日、愛知県豊田市で、トヨタ自動車に社会的責任を果たすことを迫る愛労連などでつくる実行委員会が主催するトヨタ総行動が開催されました。同行動は、今年で32回目となり、全国から1000人が参加。全司法からは、愛知支部、中部地連及び本部から仲間が結集しました。
 雪が降り積もるなか、トヨタ本社近くの公園で開かれた総決起集会には、トヨタ自動車など大企業の社会的責任を求めるのぼり、各種団体の旗が林立しました。
 主催者挨拶した榑松実行委員長は、トヨタなど大企業が賃金を引き下げ、内部留保を大幅に引き上げてきたことが消費不況を招いていると指摘し、「トヨタの内部留保をはき出させ、賃金や下請け単価を引き上げることが必要」と強調しました。
 続いて、全労連の小田川事務局長が、「大企業の身勝手に対して、もっと怒りと声を大きくしていこう」と連帯のあいさつをしました。
 参加者からは、「非正規切りにあい、今こそ労働者派遣法の抜本改正による雇用の安定が必要」、「昨年末から中小企業で働く正社員から解雇相談が増加している。下請け単価の切り下げが要因で、大企業の横暴は目にあまる」などの声があがりました。
 最後に、「儲けを溜め込んだ大企業は内部留保を社会に還元せよ」、「下請け単価の削減をやめよ」などのシュプレヒコールが響き渡りました。
 
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公務員の労働基本権〜交渉の対象A〜
 
 前回に引き続き、協約事項(交渉の対象)について考えていきます。
 国家公務員法では、勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる、とされています。これを「情勢適応の原則」と言います。そして昨年12月に出された改革素案では、この原則は新たな労使関係が構築された以降も、勤務条件の決定原則として採用されるとしています。これは、公務員の特性として財源が税金である以上、上限でも国家予算の枠内で勤務条件は決まることとなります(労使間で極端な労働条件を決めることは出来ません)し、財政民主主義の原則から国会のチェックも働くことを表しています。
 この点、賃金をはじめとする自らの労働条件を改善させるためには、組織拡大・強化をよりいっそうとりくんでいくとともに、民間相場の底上げを行うことで公務の労働条件を改善する情勢を作り上げることが重要になります。そのためにも、私たちが春闘を中心に地域に一歩でも足を出して、民間の労働者との協同をすすめていくことが必要です。そうすることで、私たちの労働条件も向上することになります。
 それでは、締結された労働協約はどのような効力が発生するでしょうか。改革素案では、当局は協約内容を実施する義務を負います。また、平等取扱い(勤務条件の統一性)や職務給の原則、人事管理を円滑に行う観点から、基本的には組合に加入していない未加入者も含め、全体の勤務条件を統一的に定めることが必要とされています。
 これでは、組合が労力を果たして締結した労働協約が組合未加入者にも適応され、組合に入っていなくても良いではないか、との意見が出そうです。しかし、その考えが広がるとますます労働組合の力が弱まり、結果として私たちに不利な労働協約ばかり締結されてしまうおそれがあります。今こそ、労働組合が唯一、当局と労働協約を結ぶことが出来る組織であり、労働組合に結集して力を向上させることが私たちの労働条件を改善する手段であることをアピールし、組織拡大・強化をよりいっそう進めていく必要があります。
 
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