Q1 国民投票制度は、改憲の賛否を国民投票で決めるというものではないですか?
安倍晋三首相が「今国会での成立を強く期待する」(施政方針演説)と訴える憲法改正手続き法案。自民党は憲法記念日(5月3日)までに成立させる意向を示しています。
法案はその名の通り、国民投票制度などの「憲法改正」手続きを定めるものです。この法案自体に改憲の中身は書かれていません。しかし、自民党は戦力不保持の憲法9条2項を削除する新憲法草案を発表。安倍首相は、自衛隊の海外派兵、米軍協力を加速させることを明言しています。つまり「手続き法案」は、9条改憲に向けた具体的な一歩に過ぎないのです。
したがって、「日本を戦争する国」にしないためには、改憲の発議をさせない、国民投票を許さないことが重要になっています。
「国民の意思を示すためにも国民投票が必要」との主張は、改憲に賛成でない立場の人からも出されています。しかし、改憲手続き法を作らせないこと、それ自体が、戦争反対の国民意思を実現する意味を持っているのです。
「国民主権」を持ち出して、手続き法に賛成するのは間違いです。
Q2 与党と民主党との協議で修正され、これなら公正な手続きで国民投票ができるのでは?
「改善」されたのは事実ですが、憲法改正の手続き法として十分な公正さが保障されているとは、とうてい言えません。
当初案ではメディアを使った無料広告は「会派の議員数を踏まえて」となっていました。これが、修正案では「賛成の政党、反対の政党に同一の時間」と変更されました。「議席数に応じた広告では改憲派を利する」との批判を受けたものです。
しかし、テレビやラジオでの有料広告放送はほぼ野放し。「投票日7日前から禁止」が与党修正案では「14日前から禁止」に変更されていますが、それ以外の期間はカネにものをいわせた大量宣伝が可能です。
ねつ造された「納豆ダイエット」の例をみても、テレビの影響力は巨大。財界が9条改憲に積極的な現実を考えれば、四六時中流される改憲美化キャンペーンで、国民が世論誘導される恐れがあります。
国民投票に関する運動では、「国公法等の公務員の政治的行為の制限は適用しない」が盛り込まれ、「地位利用」に関しての罰則も削除されました。しかし、公務員、教育者の「地位利用」は禁止されたままです。また、改憲反対の意見表明や運動に参加することが行政処分の対象となる可能性があります。
最低投票率の定めがなく、投票率が50%台ならば有権者総数の3割以下の賛成で改憲成立になるなどの問題点も改善されていません。

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