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全司法新聞
 
労働法制の改悪はゆるさない 息の根を止めよう
残業代がゼロに 100万署名で提出断念を
 

 「いくら働いても残業代ゼロ」「労働条件変更は使用者が自由に」「不当解雇も金を払えば合法に」などを狙う労働法制の改悪がもくろまれています。
 この「日本版ホワイトカラーエグゼンプション(以下、WEという)」を柱とする労働法制の改悪問題は、私たちの運動による反対世論の高まりをうけ、安倍首相が、今国会での提出を断念せざるをえないところまで追いつめています。

財界の要求
 このWEは、労働基準法が定める「1日8時間、1週40時間、残業すれば割増賃金を支払う」という労働時間の規制を、一定収入以上の労働者から外し、残業代をなくすというものです。
 また、労働契約法を新設して、就業規則を使用者が一方的に決め、労働条件の変更を自由自在にするためのルールづくりを提案しています。
 加えて、不当解雇の金銭解決制度について、「引き続き検討することが適当」としています。
 この背景には、アメリカ財界からの要求や日本経団連の「年収400万円以上のホワイトカラーには、労働基準法の労働時間規制を適用除外せよ」との主張があり、政府・厚生労働省は、この財界の要求に応えようと検討してきたものです。

大幅な減収
 経団連が求める年収400万円以上の労働者に導入すると、1013万人が対象者とされ、総額11・6兆円、1人当たりにして114万円もの残業代が横取りされてしまいます。
 年収400万円で月80時間残業している労働者は、年140万円の減収となります。(下記表を参照)
 この制度が導入されれば、一定条件のサラリーマンは1日8時間・週40時間の労働時間規制から除外され、目標とノルマ達成のために、残業代もなく何時間でも働くことを迫られます。
 企業は、労働時間管理に責任を負わなくなるので、サービス残業をさせたといって追及されることもなく、労働者が過労死しても責任を問われることもありません。企業にとってこんなうまみのある制度はありません。

情勢は流動的
 安倍政権は、今通常国会に改悪法案提出・成立をもくろんでいました。
 しかし、私たちの「残業代ゼロ制度」「長時間労働の野放し合法化法」「過労死促進法」だとする宣伝により、急速に反対世論が形成されました。
 世論をうけ、与党内で先送り論が強まると、厚生労働省は慌てて「年収900万円以上、実際の適用対象は2万人程度」との試算を示しましたが、その説明も「世論無視だ」と批判を受けました。
 「提出断念」といっても、WE導入をあきらめたわけではなく、与党内からも「参院選後の国会では当然やる課題だ」との声が聞かれ、夏の参院選を前に、国民の批判をかわすため一時的にフタをし、選挙後に提出するねらいがあります。
 また、柳沢厚労省大臣は、「方針は全くかわっていない」として、今国会提出に執念をもやしており、予断を許さない情勢です。
 完全に改悪の息の根を止めるため、現在取り組んでいる100万署名に全力をあげることや、選挙権の行使で痛打を浴びせることが重要です。

 
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賃金改善と、まともな雇用を
坊農書記長に聞く
 

 2007年春闘は、安倍政権にとって初めての賃金改定となります。1999年以来、まともな賃上げもない中、暮らしの改善が切実なだけでなく、9条改憲の条件づくりとなる改憲手続き法案(国民投票法案)の廃案をめざすために、広範な国民的共同が求められています。
 そこで、坊農書記長に、今春闘の目的、通常国会の課題と選挙の意義、全司法のたたかい、組織問題について聞きました。

今春闘の目的とかまえ
‐今春闘の目的と全司法のたたかいの構えはどのようなものになりますか?
 今春闘においても財界は、労働者の暮らしや権利の保護を目的にする制度を企業にとって使い勝手の良い制度に変えることを求めています。春闘は、このような財界の求めに対して、労働組合と労働者が抗議の行動を起こし、暮らしの改善や権利の回復などの要求を実現するために力を集中させるものです。
 今春闘の目的は、(1)労働者の犠牲による経費削減を進めようとする企業に対し、賃金改善やまともな雇用を求めるたたかいをすすめること、(2)「偽装請負」や「ただ働き残業」などの違法行為を社会的に告発して、その是正や労働者保護の規制強化を求めること、(3)国や地方自治体に、年金や社会保障、最低賃金制度の充実などを求めることです。
 全労連は「まもろう憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会を」を合言葉に、今春闘のとりくみをすすめることとしています。
 このような情勢の下で、全司法は、「総対話と学習、全員結集、地域共同」を掲げ、(1)「構造改革」路線と公務員総人件費削減に対するたたかい、(2)「国民のための裁判所」実現をめざしたたたかい、(3)組織拡大・強化のとりくみをすすめることをたたかいの基本的な構えとしています。

通常国会の課題と選挙
‐1月25日から通常国会が始まります。また、春には一斉地方選挙、夏には参議院選挙と今年は「選挙の年」です。また、昨年に引き続き、憲法「改正」、国民投票法、労働法制など、国民的な議論を呼ぶ課題がたくさんありますね。
 憲法改悪の先駆けとなる「国民投票法」について、自民党幹事長は5月3日の憲法記念日までに成立をめざすことを明言しています。労働法制の改悪については、労働政策審議会労働条件分科会での検討内容をふまえて、関連法案が提出される見込みとなっています。
 何時間働いても残業代が出ない仕組みとされるホワイトカラー・エグゼンプションについては、大きな批判にさらされたことから、国会開会前に安倍首相が法案提出断念を表明しました。しかし、完全にあきらめたわけではなく、参議院選挙への悪影響を避けるということから通常国会への提出をやめたということであり、ホワイトカラー・エグゼンプションの制定については、財界からの強い要請があることをふまえると、決して安心できるものではなく、厚労省は今国会提出に依然として固執しています。法案提出の策動を根絶やしにするまで、運動を強化することが求められます。
 公務員の労働基本権問題などについては、現在、専門調査会で検討が行われています。政府や自民党からは、労働基本権付与とセットでの公務リストラの公務員制度改革がすすめられようとしています。公務員制度改革を参議院選挙の争点とするという動きもあわせて注視しながら、国公労連に結集してとりくみをすすめます。

具体的とりくみの展開
‐今春闘での具体的なとりくみや行動はどのようなものがありますか?
 2月13日の週を「春闘統一要求書」の確認・提出のための統一行動週間としています。交渉等を配置し、上申闘争を強めます。
 政府・人事院の回答日の翌日の3月15日に統一行動日として全国統一職場大会を開催します。実施にあたっては、国公労連他単組との合同を含む定時退庁行動を追求することとします。
 3月6日に、「安心できる雇用と賃金を!」をスローガンに全労連規模で行われる中央行動に結集します。全司法は、全国上京団でとりくみます。また、全司法青年協も同じ日に行われる青年中央行動に全国上京団でとりくむ予定としています。
 最高裁に対しては、「春闘統一要求書」にもとづく交渉を配置し、要求の実現をはかります(3月5日給与課長交渉、13日人事局長交渉)。

3〜4月は組織拡大を
‐全司法にとって、組織の拡大強化が急務となっています。どのようなとりくみに力を入れますか?
 3月1日〜4月末までを「第2次組合員拡大強化月間」と定め、新規採用者の早期全員加入、未加入者に対する「総あたり行動」、4月の異動・昇任(予定)者、再任用予定者に対する対策をはじめとする「第2次JOプラン」にもとづく組織の拡大強化を積極的かつ具体的に展開します。
 4月期は、退職・採用、昇任・異動など職場や組織が大きく変動する時期です。異動者や新規採用者へのはたらきかけをきめ細かく行うことが必要です。創意工夫を凝らしたとりくみで、多くの仲間を全司法に迎え入れましょう!

 
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国民に負担、大企業に手厚く
 

 
国民に厳しい政府予算案
 安倍内閣は、昨年12月24日の臨時閣議で、2007年度政府予算案を決定しました。
 定率減税の廃止による増税や社会保障関係予算の削減で、労働者に大きな負担を押しつける一方、「成長戦略」を口実とした大企業優遇予算をいっそう拡充する、財界の要望に添った予算案となっています。

大企業は減税 国民には増税
 2007年度政府予算案の全体規模を示す一般会計総額は、2006年度当初予算比4%増の82兆9、088億円であり(裁判所予算案は、総額3、303億9、400万円。一般会計総額の0・4%弱)、一般歳出総額も、同1・3%増の46兆9、784億円と3年ぶりに増加しています。
 大企業の業績改善や定率減税廃止により、税収は、2006年度当初予算比16・5%増の53兆4、670億円と、過去最大の増額幅となっています。その要因には、大企業がバブル期を超える空前の利益をあげるもとでの法人税収の増加があげられます。
 「バブル期を超える利益」にも関わらず、法人税収のピーク時だった1989年度と比べると、その額は86%の水準に止まります。これは、この間、法人税率が相次いで引き下げられ、最高時には43・3%(1984〜86年度)であった基本税率が、現在は30%程度にまで引き下げられていることが原因です。また、「証券優遇税制」の延長や、減価償却制度の見直し等により、大企業及び資産家に対して、新たに1兆円規模の減税措置を講じる案となっています。一方で、定率減税全廃により、労働者・勤労世帯には、所得税・住民税をあわせて1兆7、000億円規模の増税を、その穴埋めとして実施します。

生活保護や雇用保険「見直し」
 国債の新規発行額も、25兆4、320億円と、1998年度以来の低水準となっていますが、これは、社会保障分野で見込まれた6、800億円の自然増分を、生活保護の「見直し」や雇用保険の国庫負担の縮減で2、200億円圧縮、生活保護の母子加算を3年かけて段階的に廃止するとともに、雇用保険の国庫負担金を約1、800億円削減し、厚生年金保険料や国民年金保険料を引き続き引き上げて圧縮しています。

米軍思いやり予算過去最高
 その他、教育基本法改悪を具体化するための「全国学力テスト」や「学校評価」推進のための予算を盛り込んだほか、米軍への「思いやり予算」に2、173億円を計上し、「ミサイル防衛」システム関連経費は契約ベースで1、826億円(前年度30・5%増)と、過去最高としています。

時給1000円以上の実現を
 谷垣財務省(当時)が、「(国の法人税収が)30%で13・3兆ですから、これを40%にしますと18兆を多分超える」と語ったように、法人税率を40%に戻すだけで、新たに5兆円もの財源が確保できます。さらに、証券優遇税制の延長を当初案どおり廃止すると3、000億円規模の税収増が見込まれます。
 「リストラ効果」で空前の利益をあげる大企業や、マネーゲームで巨額の利益をあげる資産家に応分の負担を求めるとともに、大型公共事業や米軍協力等の予算の無駄を改めれば、増税に頼ることなく、社会保障等の生活関連予算の充実と、財政健全化の双方を図ることが可能です。
 労働分配率の増加等とあわせて、「格差と貧困」を拡大させない予算を求めていく国民的運動の強化が求められます。

 
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経労委報告をきる
国際競争力を口実にベースアップを否定
 

 日本経団連は、12月19日、春闘の「財界指針」となる「経労委報告」を発表しました。その内容は、「激化する国際競争のなかでは競争力強化が最重要課題」として、労働者に対し、一層劣悪な処遇と生活を押しつけるものです。
 「報告」は、「国際競争力」の強化を理由に、「賃金水準を一律に引き上げる余地はない」「(個別企業における賃金決定も)従業員一律のベースアップはもはやありえない」「短期的な成果は賞与・一時金に反映」とし、産業別の統一的な賃上げばかりか企業別の一律賃上げも拒否し、労働者個人への「個別賃金管理」を押しつけてきています。
 経団連が賃上げを許容する個別企業の「支払能力論」についても、「自社の成長と体質強化をめざす経営計画に基づいて、中長期的視野に立った計画的な賃金決定を意図するもの(96年報告)」としており、「現在は支払能力あり」でも「先行き不安を理由に支払能力なし」とできる概念です。
 この間、経営側が、「国際競争力強化」を口実として労働者の賃金を減少させる一方で、戦後最長の収益拡大を継続しているにも関わらず、国際競争ランキングで日本の順位が上昇していないことからも、リストラ・「賃下げ」が国際競争力強化に結びつかないことは明らかとなっています。
 また、「報告」には、最重要課題とする「国際競争力」についての説明は一切ありません。結局のところ、(きれいな言葉を書きならべながら)「個別賃金管理」で労働者の分断を図りながら、労働・社会保障・教育等の規制緩和を政府に進めさせ、労働市場の外にいた人々(被扶養者・外国人等)を低賃金の非正規・間接雇用等で労働市場へ強制動員し、その割合を増加させながら、個別化した正社員の処遇も低位平準化して、資本を投下・回避しやすい環境へ移行するとの戦略に貫かれています。
 財界の戦略を広く明らかにしながら、経済・政治闘争を結合した春闘を幅広く展開していくことが求められます。

 
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2007年度全司法推薦運審委員
 

 共済運審は、当局側・組合側が委員各5名、監査員は当局側2名組合側1名で運営されています。
 2007年度の顔ぶれは、本間委員、元山委員、遠藤委員、平本委員は昨年に引き続き、また新たに佐藤委員が加わり、新監査員には牧山さんが任命されました。カッコ内は職種。
 07年度事業計画の審議を行う運営審議会は1月25日の骨子運審をスタートに計画運審、決算運審とのスケジュールとなっています。骨子運審の詳細については次号掲載します。

 
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