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司法制度改革

どうなる司法制度改革 !? どう変わる仕事と職場
司法制度改革司法制度改革審議会意見書の分析と評価
国民の司法参加 「裁判員制度」の民主性

 司法制度改革審議会は、司法を支える国民的基盤として「国民の司法参加」を検討してきました。司法が国民から信頼されるものとなるためには、国民が「統治主体」として積極的に司法に参加することが必要だとの問題意識からです。「最終意見書」では、国民の司法参加の形態として、(1)裁判手続きへの参加、(2)裁判官選任過程への参加、(3)裁判所、検察庁、弁護士会の運営への意見反映、(4)調停委員、司法委員、参与員制度の拡充、検察審査会の権限強化、(6)専門委員制度の導入などが提言されています。

国民である裁判員が事実認定と量刑判断

 国民が裁判手続きに参加し、裁判の主要な部分を担うことは、司法を民主化するうえで重要な制度です。司法判断に対する権力者の影響を排し、公正・迅速な裁判を実現すること、判断内容に健全な社会常識を反映させるため国民の司法参加の制度が設けられてきました。そのための制度として、陪審制度、参審制度、陪審・参審併用型などがありますが、意見書では「裁判員制度」という日本型の参審制度を提言しました。
 この制度は、選挙人名簿から無作為抽出された一定数の「裁判員」が、重大な刑事事件の事実認定と量刑について、職業裁判官と同等の権限をもって裁判に参加するというものです。裁判員が事件ごとに無作為抽出される点は、陪審制度の要素を取り入れたものですが、職業裁判官が裁判員とともに事実認定と量刑に係わることから、実質的には「参審制度」そのものとなっています。
 司法の民主化、つまり司法権行使に対する国民のコントロールを徹底する観点からは不十分だとの指摘もありますが、現状より国民の司法参加が大きく前進するものであり今後の運動につなげていく努力が求められています。
 制度の具体化にあたって、裁判員の人数をどの程度にするか、裁判員の権限を具体的にどこまで認めていくのかなどは、更に「検討する」とされています。具体的な内容次第では制度導入の趣旨が事実上骨抜きにされるおそれもあります。国民の司法参加を実質的に保障するとの立場から、裁判手続きに国民の声がより反映されるよう、裁判員数も充分な数が確保されることが重要です。また、裁判員の評決結果が重視されるような仕組みが大切です。
 裁判員制度が導入されるとすれば、その具体化にあたっては、選任のための具体的な実務処理や裁判の進行上で生ずる諸手続きや人的体制の確保など多くの課題が発生することになります。職場の労働条件の改善とともに積極的な検討が必要です。

裁判官の任命手続きへの国民参加も提言

 意見書では、国民の裁判官に対する信頼を高める観点から、最高裁が下級裁の裁判官として任命されるべき者を指名する過程に国民の意思を反映させるための機関の設置を提言しています。国民の意見反映が図られるようになることは評価できますが、委員の構成や選考基準によっては、委員会の性格が大きく変わる可能性があり、中立・公正な選考基準の確立が求められています。裁判官の独立との観点も慎重な検討が必要です。

裁判員は選挙人名簿から無作為抽出

「裁判員」選任プロセスの一例

 また、最高裁判所裁判宮の国民審査制度の形骸化が指摘されていることから、意見書は、審査対象者の情報開示の充実など国民審査制度の実効化を図るための措置の検討を提言しています。
従前の裁判官任命諮問委員会制度なども参考としながら、最高裁判所裁判官の選任過程が国民に分かりやすいものとすることが求められています。

裁判所運営への国民の意見反映

 国民の健全な常識を反映させ、裁判所に対する国民の理解と信頼を高め、司法基盤を強化するため、裁判所運営に国民の意見等を反映することが可能となるような仕組み - 家裁委員会の充実、地裁での同様の機関新設などの導入が提言されています。
 裁判所運営に国民の意見を積極的に反映しようとすることは評価できますが、委員会方式では、委員の選考基準が重要なポイントになります。また、裁判所運営に対してどのような権限内容となるのかによっても大きな違いが生ずることになります。形式的な委員会とさせないため、権限の具体化と裁判所の積極的な対応が求められるとともに、司法権の独立、裁判官の独立との関連も慎重に検討されることが大切です。

各種委員制度の拡充、専門委員制度の導入、検察審査会の権限強化

 司法の国民的基盤強化のため、専門委員制度の導入と調停委員、司法委員、参与員制度の拡充、また検察審査会の議決に拘束力を持たせるなど検察審査会の権限強化が提言されています。
 とくに専門技術的見地から裁判の全部または一部に関与して裁判官をサポートする新たな訴訟手続きへの参加制度が提言されています。具体的には争点整理のサポートなど広範な関与が検討されています。内容によっては、とりわけ書記官の職務とも大きく関連するものとなる可能性があり、十分な検討が必要です。

戦前の日本の陪審制、欧米4カ国の刑事裁判制度との比較

 
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