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司法制度改革

どうなる司法制度改革 !? どう変わる仕事と職場
司法制度改革司法制度改革審議会意見書の分析と評価
裁判外紛争処理機関“ADR”の機能と位置づけ

裁判との連続性を重視したADRの提案

 ADRという言葉は、本来「代替的紛争処理」という意味しかもちませんので、意見書で併用されている裁判外紛争処理機関という言葉の方を使いたいと思います。
 一般的に裁判外紛争処理機関と言われるものは、世界的に見れば独立行政法人型、株式会社型、ボランティア型などがあります。わが国でも、裁判外紛争処理機関は、弁護士会・行政・業者団体などに多数設置されています。代表的なものは労働委員会などです。裁判外紛争処理機関は、迅速性や簡便性などの利点がありましたが、その一方で法的保護がほとんど受けられず、結果として最終決着が裁判で行われるというデメリットがありました。意見書ではまず「ADR基本法」を制定し、各裁判外紛争処理機関との関係性・統一性をもたせるとともに、裁判との連続性を重視する方向での設置の提案をしています。

事実上裁判所制度と同等の機能や役割をもつ

 この場合、裁判外紛争処理機関は、「時効の中断」等の裁判所で行われてきた法的作用の一部をもつとともに、裁判外紛争処理機関の進行過程で裁判所を活用することができるなど、裁判制度との連続性や補完性が予定されています。わが国の憲法では、裁判所外に特別の裁判所をもつことを禁止していますが、裁判外紛争処理機関に現行の裁判制度との連続性や補完性をもたせることで、事実上は裁判所制度と同等の機能や役割をもち、「特別裁判所」的な存在になることが懸念されています。

国民の要請に応える「大きな司法=裁判所」が基本

 また、最高裁は、司法制度改革審議会へのプレゼンテーションの中で、「裁判所職員(当面はOBとしている)の裁判外紛争処理機関への活用」を明言しています。裁判外紛争処理機関が社会の中で成長・拡大し、役割が大きくなった場合、単にOBの活用ですむのか、あるいは民間企業でいう職員の転籍・出向の方向にすすむのかは、今後の裁判外紛争処理機関の中身や方向性にかかっています。裁判制度は、基本的人権の保護を含めた法的保護全般に強い権限を有しており、こうしたADRという制度的保障のない「疑似裁判所」をつくって迅速性のみを重視する方向での設置には反対する必要があります。また、裁判外紛争処理機関の問題は、国民的司法需要に十分応えうる「大きな司法(=裁判所)」の実現が前提だという主張を行うことが重要です。

ADR相関図(アメリカ合衆国型の場合)

 
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