私たちは、全国の裁判所に働く職員で組織している全司法労働組合です。
私たちは、国民がより利用しやすい司法の実現のために、「いい裁判所を作りたい」をスローガンに裁判所の人的・物的充実を求める国会請願署名にとりくんでいます。
いま、国民の権利意識の高まりや企業の経済活動のグローバル化、規制緩和などがすすむなかで、さまざまな法的紛争が増加し、事件も複雑で困難なものとなっています。こうした紛争を公正・迅速に解決していくために、裁判所に寄せられる期待も増しています。
しかし、裁判所の現状はこうした期待に十分に応えられるものとなっていません。「裁判に時間や費用がかかりすぎる」「裁判の手続きや結果がわかりにくい」「裁判の進行が強権的だ」「判断が行政寄り、大企業寄りだ」など、司法に対する国民の強い不満が出されています。
こうした現状もふまえ、2004年11月までの3年間の期限で内閣に「司法制度改革推進本部」が設置され、急ピッチで検討と法案化の作業がすすめられてきました。これまでに裁判員法や裁判迅速化法、人事訴訟の家裁移管、簡裁事物管轄拡大、など主だった諸法が成立し、司法制度改革の具体化に向けた政府・司法制度改革推進本部の作業はほぼ終了し、今後周辺法・規則等の制定や運用の具体化が図られていくことになります。ちなみに裁判員制度は、刑事合議体の全部で実施するのか一部で実施か専門部を作るのか、連日的開廷の態様、公判前整理手続、公判記録のあり方、裁判員選任手続、など、今後の運用検討と具体化に委ねられており、課題は最高裁をはじめとする各庁当局に「万全の態勢を整えさせる」ことに移りつつあります。こうしたもとで、制度改革に当たってその前提となる裁判所の人的・物的な充実がなければ、その実効性は確保されません。
私たちは、裁判所を国民から遠ざけ、裁判所による権利救済や紛争解決の機能を阻害している大きな原因の一つは、国家予算全体のわずか0.3%台という、極めて限られた裁判所予算にあると考えています。
私たちは、21世紀の司法が国民により利用しやすく信頼されるものとなるためには、国民の立場に立った司法制度の改革と、その制度を支える裁判官と裁判所職員の大幅増員、裁判所施設等の充実が何よりも不可欠なものだと考えています。その両者が一体のものとして実現したときに、国民の期待にしっかりと対応でき、きめ細かな司法サービスの提供が可能となる、国民のための裁判所の実現に向けた展望が開かれるものと考えています。
私たちは、真に国民のためになる司法改革を大胆に推進していくために、引き続き努力していく決意ですが、当面する重点的な課題として、裁判所予算の大幅増額による人的・物的充実のため、別紙「請願署名」にみなさんからのご協力をいただきたくお願い申し上げるものです。 |