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少年法関連
 
少年法等の一部を改正する法律案についての声明

2005年3月29日
全司法労働組合中央執行委員会

 
 2005年2月9日の法制審議会の答申に基づき、3月1日に内閣から少年法等の一部を改正する法律案が第162国会に提出されました。

 私たち全司法労働組合は、これまで一貫してよりよく少年たちが育っていくことを可能にする社会を目指してきていますが、今回の法案作成の経緯、その内容については、とても問題が多いと指摘せざるを得ません。今回の法改正への動きはもともと、現場のニーズとは離れたところから起きているものであり、保護観察所にしても、児童相談所にしても、当惑しているのではないかと思われます。該当する各機関に強くこの法改正を求める必要性が認められない様子は法制審議会少年法部会の議事録からも明らかです。

 法案について議論した法制審議会少年法部会には、児童の専門家が委員として加わってはおらず、今回の改正案の重要な部分である14歳未満の触法少年の扱いに関する部分についても、法律の専門家たちばかりで議論されており、この年齢の子どもの特性への配慮ができているとは言えません。この法案は厳罰化への流れを明確に示したものであり、少年に対しての福祉的教育的配慮をする手間を惜しんで、罰則で押さえつけようという安易な大人社会の姿勢を具体化したものとしか言いようがありません。

 法案では触法少年にもぐ犯少年にも警察による「調査」を認めていますが、これでは警察は事実上無制限に、どのような子どもに対しても強制的に「調査」を行えることになります。少年院送致年齢の下限もなくなり、何歳の子どもでも少年院送致される可能性があります。保護観察中の遵守事項違反を理由とする少年院送致も可能になりますが、威嚇による保護観察によっては少年の自主的な更生意欲は高められません。一方、国選付添人制度の導入については評価できますが、一定以上の重大事件に限定しての導入となります。重大事件でなくても付添人が必要な場合はあり、事件種別を限定せずに導入すべきです。

 子どもたちが健やかに育ち、社会の中で生き生きと日々を過ごし、大人に成長していくことを私たちは願っています。これは、私たちばかりでなく、すべての人々の共通の思いであるはずです。

 子どもに関わる現場が大した必要性も感じていない厳罰化に通じるこうした法改正をいたずらに行い、子どもたちを締め付けるということでは子どもが健全に育つ社会は実現できません。児童福祉機関、保護観察所などが本当の意味でより充実した処遇、子どもたちへのケアをしていけるだけの人材の確保と施設の充実が何よりも肝要であると考えます。

 私たちは家庭裁判所の現場で働く職員の立場から、児童福祉機関や保護観察所等で実際に子どもと関わっている人たちとの連携を深めながら、本当の意味で子どもたちが健やかに育つことのできる社会が実現できるよう努力していきます。

 政府は、刑事責任を問えない14歳未満の少年事件についても警察の「調査権」を認め、少年院への収容も可能にすることなどを盛り込んだ「少年法改正案」を今国会に提出しました。全司法中央執行委員会は、厳罰化では子どもが健全に育つ社会は実現できない、児童福祉機関などを充実すべきとの声明を発表しました。

 
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