この度、全司法本部少年法対策委員会では、基礎報告書「日本における少年司法の現状」(オルタナティブレポート)を作成し、子どもの権利条約から見た場合のわが国における少年司法の状況をまとめました。
この報告書は、「第2回子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会」で全国各団体・個人からの報告書とあわせて取りまとめられた上、国連「子どもの権利委員会」に提出されます。
今回、私たち全司法労働組合が政府報告書に対する「基礎報告」を行うに至った経緯を若干の説明をします。まず、2001年11月、日本政府が子どもの権利条約の規定に基づいて、日本の子どもの状況に関する第2回の日本政府報告書を作成し、国連に提出しました。このような政府報告書を定期的に提出することは、この条約を批准した国に義務付けられているものであり、今回の日本政府の報告書について、今後、国連「子どもの権利委員会」で審査されることになります。これに対し、「第2回子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会」は、国連における「日本政府報告書」の審査が政府の一方的な情報のみによって歪められることのないよう、いろいろな分野の団体および個人から子どもの状況についての生の情報を集め、「市民・NGO報告書」を作成して国連に届けるためにNGO(非営利の非政府組織)を設立してとりくみを行っているのです。
子どもの権利が問題になる分野はとても広範囲となりますが、裁判所に一番関わりの深い分野である少年司法の部分について、全司法が「基礎報告書」を担当することとなったものです。そこで、少年法対策委員会が、少年法「改正」に対するとりくみや「改正」少年法の運用状況調査などをつうじて得た問題点をまとめた報告書を作成し、全司法として「第2回子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会」に提出したわけです。なお、「NGO報告書をつくる会」は、全司法が従来から加盟している日本子どもを守る会(DCI日本支部)が中心となって幅広い団体・個人が参加している組織です。
このような機会を利用して日本の少年司法の実情を正確に世界に訴えることは大切なことであり、一方、これ以上の少年法改悪を阻止し、少年保護の現場をより充実したものにしていくためには実情に即した国連からの日本政府への勧告を得ることが大きな力になると考えられます。
今後、全司法としては「第2回子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会」の統一報告書作成に協力し、その後の国連での審査の経緯を見守っていきたいと考えています。
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