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全司法新聞
 
直接意見交換する機会の重要性を実感
裁判所共済組合で富山支部を視察

今年度は全国3か所で支部視察を実施

 裁判所共済組合運営審議会委員の重要な役割として、支部視察があります。全司法の推薦で任命された運営審議会委員が実際に共済組合支部に足を運び、支部の実情を把握するとともに、支部の組合員と対話をする中で出された意見等を共済組合の事業内容に反映させるために実施しているものです。
 今年度は、和歌山支部(本庁、田辺支部)、富山支部(本庁、高岡支部)、鳥取支部(本庁、米子支部)、福岡支部(本庁、久留米支部)への視察が実施されました。また、このほかに本部組合員を対象としてウェブでの座談会も開催されます。


富山地家裁本庁の庁舎

共済支部の本部統合にむけた準備状況を聞く

 6月17日〜18日には富山支部視察が行われました。
 まずは、支部の概況説明を受けるとともに、事務担当者との意見交換を行いました。来年4月に予定されている本部統合に向けて、統合までの残日数等についてカウントダウンタイマーを設置することで組合員に意識してもらうきっかけとしている、メールの署名機能を利用して本部統合への機運を高めるといった工夫例が紹介されました。
 なお、富山支部からは本部統合に向けて、今の時期にやっておくべき事務等について質問が出されました。これまで3度の本部統合を行っていることから、共済本部から当該支部に対して、どの時期に何をしておくべきかといったスケジュール等が示されていると思っていましたが、そうした情報が下されていないことが明らかになりました。統合までのスケジュール等を示しておくことで、先を見据えた準備が可能となります。日々の業務と並行して統合の準備をすすめる共済組合係を不安にさせないためにも、必要な情報を下ろしていくことが重要だと感じました。

「統合されると相談するハードルが高い」との声も

 支部視察の際には、共済組合員を交えての座談会も行っています。座談会のはじめに、運営審議会の役割、共済組合の事業と組合員からの要望、共済組合組織の統合の経過等について、それぞれ委員(私)から説明しました。座談会には、共済組合がどんな事業をしているのかよく分からないという組合員も参加します。そうした方からの疑問や今後の統合に踏まえた不安などを聴くのも、私たち運営審議会委員の仕事です。
 座談会では「これまでは本庁に相談できる人がいたが、本部に統合されると顔も知らない人に相談をすることになりハードルが高い」といった意見、「そもそも共済組合に対してどのような給付請求ができるのか分からない」等の多くの意見が出されました。それらに対して、裁判所共済組合ウェブサイトの利用や、電話・チャット等を活用した質問の仕方などを紹介するとともに、そもそもウェブサイトを見たことがない組合員にどのように周知していくべきかといった観点で意見を出し合いました。
 また、人間ドック等の補助額引き上げや青年層の健康診断項目の充実等に関しての意見も出されました。健康診断の充実は裁判所共済組合だけで決められる課題ではないものの、職員が健康で安心して働き続けられるために必要な要求であり、運営審議会でも議論を続けていることを伝えるとともに、全司法もこうした課題にとりくんでいると紹介する機会となりました。
 今回の座談会では、マイナ保険証に関する問い合わせ、特に既存の組合員証が12月1日までとなっているところ、マイナ保険証に移行している組合員から「従来の組合員証は自分で廃棄していいのか、回収するのか」との質問が出されました。現時点では扱いは決まっていませんが、「そうであれば、勝手に処分せずに連絡があるまで保管する必要があることを周知するべき」との意見が出されました。

組合員の生の声を聴く重要な機会

 支部視察を通じて、本部統合に向けた情報共有や組合員の不安な思い、健康施策の改善など、多方面にわたる課題で組合員の生の声を聴くことができました。こうした声を次の運営審議会に活かしていきたいと思いました。
 また、共済組合が本部に統合されても、組合員と直接意見交換する機会は重要であり、各地に赴いての視察を今後も維持していくことが必要だと改めて実感することができました。

 
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「若い人たちからの要望は貴重だ」との発言も
夏の国公青年セミナーを開催
 
 6月22日〜23日にかけて、「夏の国公青年セミナー2025」が開催されました。1日目は学習会および2日目の交渉に向けた班別討議・模擬交渉、2日目は人事院、内閣人事局、財務省に分かれての交渉が行われました。

団体交渉の性質や法的根拠を学習

夏の国公青年セミナー2025を開催
 

 1日目には、国公労連笹ケ瀬調査部長による「当局交渉をめぐる諸問題と留意事項について」の講義が行われました。日頃、交渉に携わっていても、「どのような内容が交渉の議題となるのか」「管理運営事項は交渉できないと言われたらどうすればよいのか」「交渉の法的根拠は何か」といった基本的な疑問に正確に答えられる人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
 講義では、国家公務員法第108条の5を根拠に、例えば、「管理運営事項に関する要求」については、その執行によって影響を受ける勤務条件は交渉の対象になる等、分かりやすい解説がなされました。役員改選後の初めての交渉や、交渉相手が交代した場合などには、あらためて団体交渉の性質や法的根拠を確認しておくことが重要です。
 その後、2日目の交渉に向けた準備として、班ごとに分かれ、各職場の実態を共有しながら要求を整理しました。
 討議の中では、「国家公務員全体でカスハラ対策を」「3月の超過勤務が100時間を超えた者がいた」「青年職員の血液検査の法整備」「宿日直手当の改善」「労働基本権の回復」など、切実な実態や要望が共有されました。
 他単組との比較を通じて、「他では実現しているのに自分のところではできていない」といった発見もあり、要求の組み立てや課題の可視化につながりました。これらの気づきは、参加者にとって大きな財産となりました。
 討議の後は、国公青年フォーラムの委員が当局役を務めて、模擬交渉を実施し、翌日の交渉本番に備える内容の濃いカリキュラムとなりました。

交渉で示された「青年の追い風」

 人事院との交渉では、賃金改善や比較対象規模の拡大、評価制度、住居手当、メンタルヘルス対策、異動など、幅広いテーマで意見を伝えました。
 人事院からは、初任給に限らず、青年層全体の賃金改善を「民間水準との比較のみならず人材確保の観点から総合的に検討する」との回答もありました。昨年に引き続き、青年にとって追い風を感じられる内容となりました。
 内閣人事局との交渉では、人員確保、非常勤職員の常勤化・定員化、休暇・休業制度の改善、カスハラ対策などを訴えました。
 財務省との交渉では、宿舎貸与の「5類型」の硬直的な運用の見直し、宿舎の確保やリノベーションを求めました。特に、設備については「女性や若年層のニーズに対応したものとなるよう、早急な改修と居住環境の近代化が不可欠」との視点から改善を強く求めました。

青年の声を直接届ける貴重な機会

 私自身は人事院交渉に参加しました。人事院側の回答は、「担当部局と共有する」にとどまりましたが、「若い人たちからの要望は貴重だ」との言葉もあり、真摯な姿勢がうかがえました。
 通常、単組交渉では「人事院に伝えておく」といった回答で終わることも多い中、今回のように直接人事院に要求を届ける場は非常に貴重です。
 今後もこのような場への参加を広げ、青年自身が声を上げていくことが何より重要だと感じました。

 
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ひろげよう連帯と共同の輪
第54回国公女性交流集会in長野
 

 6月14〜15日、オンライン併用で第54回国公女性交流集会in長野が開催され、「ひろげよう連帯と共同の輪」をテーマに、8単組・1県国公・1ブロック国公から112名の参加者が集いました。

「私の幸せは私が決める。私が作る」
要求を集めたタペストリーとともに

1日目には、「自分の生き方を切り拓くのは自分」をテーマに渡部容子弁護士の記念講演がありました。法を味方にし、DVやハラスメントを受けたときにまずは自分の受けている被害が人権侵害だと認識すること、一人で悩まずに早期に相談することが大切なこと、幸福追求権・自己決定権があり、国民は法の下に平等であるから、ジェンダーに縛られず、悩んだときや苦しいときに「私は本当はどうしたいのか」を考え、「私の幸せは私が決める。私が作る」が一番大事ということを、NHK朝ドラ・「虎に翼」のセリフを織り交ぜながら、楽しく分かりやすく講演していただきました。ふだん意識をしているつもりでいても、生活の中にひそんでいる多くのジェンダー問題について改めて気づかされました。
 関口国公女性協議長(全司法・神奈川支部出身)の基調報告では、ジェンダーギャップ指数が146か国中118位の日本の女性労働者をとりまく情勢と国公女性協のとりくみについて報告がありました。
 また、松代大本営平和祈念館企画運営委員の北原高子さんの「松代大本営平和記念館について」と題するミニ学習会では、アジア太平洋戦争末期に、戦争指導の最高機関である大本営、天皇、政府機関などの国の関連施設を東京から移すことが計画され、終戦前年の1944年11月から長野で巨大な地下壕が幾つも掘り進められ、終戦のその日まで工事は続けられていたこと等についてのお話がありました。
 1日目の最後には、アピールの提案・採択が行われ、全国の皆さんから寄せられた一言メッセージで作ったタペストリーが披露されました。


全司法からの参加者

分科会で交流し、松代大本営地下壕を見学

松代大本営を見学
 2日目は、4つの分科会に分かれました。弁護士の渡部容子さん、長野県労連副議長の藤綱みどりさん、のん・性教育カエルンジャーレッドの土井希実さんを助言者に迎え、現地とオンライン併用で、ハラスメントやジェンダー、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)について学び、意見を交流しました。
 フィールドワークでは、松代大本営平和祈念館の古澤絵美さんにガイドをしていただきながら、幾つもある松代大本営地下壕の1つ、象山地下壕を見学しました。アジア太平洋戦争末期、空襲を避けようと、大本営などを移すために24時間体制で終戦のその日まで掘り続けた地下壕は、ダイナマイトを使いながらほぼ手作業で掘られたとは思えないほど大きく、広く、不気味でした。終戦間際の食料もない中、朝鮮人7割、日本人3割といわれている労働者たちが、どれほど過酷な作業で、劣悪な労働環境だったのか、実際に歩くことで、ひしひしと感じました。
 実行委員の奮闘のおかげで非常に有意義な2日間でした。

 
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