全司法本部は6月4日、2025年諸要求貫徹闘争における最高裁徳岡人事局長との交渉を実施しました。交渉では、3回にわたる人事局総務課長との交渉をふまえ最高裁を追及した結果、勤務時間管理システムの導入、書記官事務の統一、電子レンジの整備など、多くの課題で前進や足がかりとなる回答を引き出しました。
人員
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人事局長交渉で各支部からの要請書を提出 |
「引き続き最大限努力」の姿勢を示す
人員について、次年度予算での大幅増員を求めたことに対して、「国の財政が引き続き逼迫している状況において(中略)増員を取り巻く情勢は、依然として厳しい」としつつ、「必要な人員の確保について引き続き最大限努力していきたい」と回答しました。
改正家族法の施行を見据えた家裁調査官の大幅増員要求に対しては「家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していく」との姿勢を示すにとどまりました。
「国民のための裁判所」実現
改正民法(家族法)の「研究会や研修を引き続き実施」
改正家族法に対応していくための研修等の充実を求めたことに対して、「家族法改正対応PTでの検討を踏まえて(中略)成果物を順次情報提供している」とした上で、「裁判官や関係職員に対し、今後もこのような研究会や研修を引き続き実施するほか、改正法の趣旨・内容の理解に資する協議会や研修、情報提供等を行っていく予定である」と回答しました。
ただ働き残業根絶
来年1月から下級裁に勤務時間管理システム導入
令和6年6月10日付け人事局総務課長・能率課長事務連絡「超過勤務の管理について」に基づく勤務時間管理の徹底を求めたことに対しては、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うことについて、管理職員に対する指導を徹底するよう、下級裁に対して事務連絡を発出しており、今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。
なお、勤務時間管理システムについて「2026年1月から、下級裁においても導入する方向で準備をすすめている」ことを明らかにしました。
メンタルヘルス対策
集団分析の単位を10人から5人に
ストレスチェックの集団分析結果に基づく職場環境改善を求めたことに対しては、「よりきめ細やかに把握できるよう、集団分析の単位の最低人数を10人から5人に見直」すことを明らかにし、「職場の人間関係等を詳しく分析することができるようになり、幹部職員と当該集団の管理職員による原因分析や職場環境改善にむけた意見交換などに集団分析結果がさらに活用されていく」との認識を示しました。
カスタマーハラスメントへの組織的な対応を求めたことに対しては、「組織として毅然とした対応も求められること等の認識を広げていくことが重要」とした上で「下級裁に対し、人事院が作成したカスタマーハラスメント対策にかかるポスターを周知するとともに、各庁の事務フローを踏まえた対応が行われるようあらためて指示した」と回答しました。
デジタル化
「(RoootSの)不具合が見つかった場合は速やかに改善」
RoootSを改修し、操作性に優れた利用しやすいシステムとするよう求めたことに対して、「今後も不具合が見つかった場合は速やかに改善するので、安心してRoootSを利用してもらいたい」との姿勢を改めて示しました。
職員制度・職種
書記官事務の統一のための資料等を作成
書記官事務の統一(標準化)を求めたことに対して、「下級裁における検討の支援として、特大庁における検討結果を全国に提供したり、下級裁との間で、統一(標準)化が相当な事務を抽出するとともに、統一化した事務の在り様について意見交換して、統一(標準)化のための資料等を作成することを検討している」と明らかにしました。
高裁所在地以外の中・小規模庁にも新たな類型の専門職を整備するよう求めたことに対して「高裁所在地以外の地家裁事務局にも新たな類型の専門職を設置できる枠組みを設けることとした」と回答しました。なお、今年4月には福島地裁、前橋地裁、神戸地裁に整備されています。
電子速記タイプライターのメンテナンスについて、「2019年に整備した30台を対象に実施するメンテナンスについては、7月頃からと11月頃からの2回に分けて実施する」ことを明らかにしました。さらに、メンテナンス中も安定的に使用できるように必要な台数の確保を求めたことに対しては、「販売元で確保している予備機を使用するほか、整備台数の多い庁から代替機を貸し出すことを検討している」と回答しました。
行(二)・医療職へのパソコン配布を求めたことに対して「パソコンを配付することについて、考えてみたい」とのこれまでの最高裁の考え方を変える回答をしました。
採用について
「採用方法の拡大も含め」検討
人材確保にむけた最高裁の考え方を示すよう求めたことに対して「今後も優秀な人材を確保するため、採用方法の拡大も含め人材確保のあり方を検討していきたい」と回答しました。
職場環境の充実・改善
福利厚生の観点から各庁に電子レンジを整備
職員が快適で安全に執務できるような環境を求めたことに対して、「整備の必要性・費用対効果も踏まえつつ、福利厚生の観点から、当局において責任をもって行うべき」との姿勢を示した上で、「新たなニーズの実現にむけた『今の時代に相応な職場環境の整備』として、電子レンジを整備したい」と回答しました。
タクシー利用
タクシー利用が抑制的に運用されないよう「考え方」を示した
タクシーの利用を柔軟に認めるよう求めたことに対し、「『旅費業務の取扱いに係るQ&A』および『出張時のタクシーの利用について(事務連絡)』において、あらためて、出張時のタクシーの利用が抑制的に運用されることがないよう、タクシーを利用できる場合についての基本的な考え方を示した」と回答しました。
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