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全司法新聞
 
多くの前進・足がかり回答で「職場のルールを作る役割」を発揮
2025年諸要求貫徹闘争
 

 全司法本部は6月3日〜6日、諸要求貫徹闘争におけるまとめの最高裁交渉を実施しました。2026年度予算の概算要求にむけて、人員、昇格、デジタル化予算について「最大限努力」の姿勢を引き出したほか、各庁への電子レンジ設置、行(二)職等へのパソコン配布など、多くの課題で前進・足がかりとなる回答がありました。
 これらを踏まえ、本部は7月11日に予定していた「プレート行動」の中止を提案しました。


氏本事務総長と交渉

人員で「最大限努力」の姿勢を示しつつ、増員は明言せず

 「必要な人員の確保に向けて最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しましたが、「国の財政事情が引き続き逼迫している」とし、事件数についても「2023年度は多くの事件が2022年度よりも増加しており、2024年度についても2023年度に引き続き増加している」ことは認めながら「長期的に見れば」という言葉を付け加えて概ね減少または横ばいで推移している」との認識を変えませんでした。そうした認識のもとで「内部努力が不可欠」と回答しており、増員要求に転じる姿勢は示されませんでした。
 なお、欠員補充等を主張したのに対して「採用方法の拡大も含め人材確保のあり方を検討していきたい」と回答しています。具体的な内容は示しませんでしたが、検討内容を注目していく必要があります。

家裁に期待される役割を果たせるよう態勢整備を検討

 2026年5月は、改正民法(離婚後共同親権の導入等)及び改正民事訴訟法(デジタル化フェーズ3)が同時に施行されることから、これらへの対応が焦点となりました。
 離婚後共同親権等の導入にむけて、家裁調査官・書記官の大幅増員を求めたのに対しては「家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していく」と回答しましたが、増員に言及することを避けました。研修の充実を求めたことについては、これまでに実施した研修をあげたうえで「今後もこのような研究会や研修を引き続き実施するほか、改正法の趣旨・内容の理解に資する協議会や研修、情報提供等を行っていく」と回答しました。

「フェーズ3を万全の態勢で迎えるために十分に配慮」

 デジタル化については、「間近に迫ったフェーズ3を万全の態勢で迎えるために、RoootSを始めとする各種システムが安定的に稼働し、障害時においては迅速な対応ができるよう十分に配慮していきたい」「今後も不具合が見つかった場合は速やかに改修するので、安心してRoootSを利用してもらいたい」と回答しており、これを足がかりに改修を求めていくことが重要です。また、デジタル化予算の確保について「最大限努力」の姿勢を示しました。
 5月16日に刑事裁判のデジタル化に関する法律が成立したことに関わって、システムの開発状況について「2025年度も引き続き開発をすすめている」と回答するとともに、令状センター構想の早期実現を求めたのに対して「令状処理態勢の集約の可否を含め、今後の合理的な令状処理態勢のあり方について、具体的に検討をすすめるとともに関係機関との協議を続けていきたい」と回答しました。
 また、「2026年1月から、下級裁においても、勤務時間管理システムを導入する方向で準備をすすめている」ことを明らかにしました。客観的記録を基礎とした勤務時間管理と勤怠管理のデジタル化を求める全司法の要求に答えるものとなっています。

パワハラ、カスハラで最高裁の姿勢を示す

 ストレスチェックの活用に関わって「集団分析の単位の最低人数を10人から5人に見直」すとの回答があり、これによって係単位での状況が把握できることになります。ただし、結果は幹部職員に提供され、管理職員との意見交換に活用されるにとどまることから、活用についてさらに追及を強める必要があります。
 裁判官によるパワハラの報告が増加していることを踏まえた対策を求めたことに対して「職種を問わず全ての職員に対する研修等の機会を通じた各種ハラスメントの防止に関する意識啓発、相談しやすい体制づくりやその周知等、ハラスメント防止に向けたより効果的な取組に努めていきたい」と回答しました。
 カスハラについては、「いわゆるカスタマーハラスメントに関しては、パワーハラスメントになり得るような言動に対しては、組織として毅然とした対応も求められること等の認識を広げていくことが重要」と回答しました。

「福利厚生の観点から」電子レンジを整備

 職場に電子レンジを整備する旨の回答がありました。組合員から出されていた「目に見える要求」が実現したことになります。あわせて、その理由として「新たなニーズの実現にむけた『今の時代に相応な職場環境の整備』」「福利厚生の観点から」と回答したことが重要であり、今後の物品整備要求の足がかりになるものとして評価できます。

福島、前橋、神戸に「新たな類型の専門職」発令

 事務官の処遇改善に関わって、新たな類型の専門職について、4月期に福島地裁、前橋地裁、神戸地裁で発令があったことが明らかになりました。まだきわめて少ない発令数にとどまっていますが、発令実績を積み上げていくことで、3級で団子状態になっている事務官の4級昇格を改善させていくことが重要です。
 昇格全般については、次年度裁判所予算における級別定数改定について、「各職種の職責や役割等を念頭において、職員の勤務条件にも配慮しながら、最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しました。

書記官事務の統一のための資料を作成

 書記官事務の統一を求めたのに対して「デジタル化後の書記官事務の検討にあたっては、事務処理の統一(標準化)という観点も当然必要になる」との認識を示した上で、「特大庁における検討結果を全国に提供したり、下級裁との間で、統一(標準)化が相当な事務を抽出するとともに、統一化した事務のあり様について意見交換して、統一(標準)化のための資料等を作成することを検討している」と回答しました。

行(二)職等にパソコン配布

 電子速記タイプライターのメンテナンスは「7月頃からと11月頃からの2回に分けて実施する」と回答しました。
 行(二)職および医療職(非常勤職員)へのパソコン配布について「考えてみたい」との回答は従来の最高裁の姿勢を変えさせたものであり、大きな成果の一つです。

「事務連絡」発出で見えた全司法の役割

 最高裁交渉での特徴として、全司法との交渉・折衝を踏まえて最高裁が次のような事務連絡を発出し、これらを確認する形で交渉回答としたことがあげられます。
令和6年6月10日付け「超過勤務の管理について」
令和7年4月21日付け「出張時のタクシーの利用について」
令和7年5月21日付け「冷暖房の柔軟な稼働について」
令和7年5月29日付け「裁判所におけるカスタマー・ハラスメントへの対応について」
 まさに全司法が「職場のルールを作る役割」を発揮して勝ち取った成果であり、こうした事務連絡の内容が職場で徹底されるよう要求し、働きやすい職場につながるものとして活かしていくことが重要です。

 
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各庁に電子レンジを整備、下級裁にも勤務時間管理システムを導入、
行(二)職等にパソコンを配布など、多くの要求が前進

最高裁人事局長交渉
 
 全司法本部は6月4日、2025年諸要求貫徹闘争における最高裁徳岡人事局長との交渉を実施しました。交渉では、3回にわたる人事局総務課長との交渉をふまえ最高裁を追及した結果、勤務時間管理システムの導入、書記官事務の統一、電子レンジの整備など、多くの課題で前進や足がかりとなる回答を引き出しました。

人員

人事局長交渉で各支部からの要請書を提出

「引き続き最大限努力」の姿勢を示す

 人員について、次年度予算での大幅増員を求めたことに対して、「国の財政が引き続き逼迫している状況において(中略)増員を取り巻く情勢は、依然として厳しい」としつつ、「必要な人員の確保について引き続き最大限努力していきたい」と回答しました。
 改正家族法の施行を見据えた家裁調査官の大幅増員要求に対しては「家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していく」との姿勢を示すにとどまりました。

「国民のための裁判所」実現

改正民法(家族法)の「研究会や研修を引き続き実施」

 改正家族法に対応していくための研修等の充実を求めたことに対して、「家族法改正対応PTでの検討を踏まえて(中略)成果物を順次情報提供している」とした上で、「裁判官や関係職員に対し、今後もこのような研究会や研修を引き続き実施するほか、改正法の趣旨・内容の理解に資する協議会や研修、情報提供等を行っていく予定である」と回答しました。

ただ働き残業根絶

来年1月から下級裁に勤務時間管理システム導入

 令和6年6月10日付け人事局総務課長・能率課長事務連絡「超過勤務の管理について」に基づく勤務時間管理の徹底を求めたことに対しては、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うことについて、管理職員に対する指導を徹底するよう、下級裁に対して事務連絡を発出しており、今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。
 なお、勤務時間管理システムについて「2026年1月から、下級裁においても導入する方向で準備をすすめている」ことを明らかにしました。

メンタルヘルス対策

集団分析の単位を10人から5人に

 ストレスチェックの集団分析結果に基づく職場環境改善を求めたことに対しては、「よりきめ細やかに把握できるよう、集団分析の単位の最低人数を10人から5人に見直」すことを明らかにし、「職場の人間関係等を詳しく分析することができるようになり、幹部職員と当該集団の管理職員による原因分析や職場環境改善にむけた意見交換などに集団分析結果がさらに活用されていく」との認識を示しました。
 カスタマーハラスメントへの組織的な対応を求めたことに対しては、「組織として毅然とした対応も求められること等の認識を広げていくことが重要」とした上で「下級裁に対し、人事院が作成したカスタマーハラスメント対策にかかるポスターを周知するとともに、各庁の事務フローを踏まえた対応が行われるようあらためて指示した」と回答しました。

デジタル化

「(RoootSの)不具合が見つかった場合は速やかに改善」

 RoootSを改修し、操作性に優れた利用しやすいシステムとするよう求めたことに対して、「今後も不具合が見つかった場合は速やかに改善するので、安心してRoootSを利用してもらいたい」との姿勢を改めて示しました。

職員制度・職種

書記官事務の統一のための資料等を作成

 書記官事務の統一(標準化)を求めたことに対して、「下級裁における検討の支援として、特大庁における検討結果を全国に提供したり、下級裁との間で、統一(標準)化が相当な事務を抽出するとともに、統一化した事務の在り様について意見交換して、統一(標準)化のための資料等を作成することを検討している」と明らかにしました。
 高裁所在地以外の中・小規模庁にも新たな類型の専門職を整備するよう求めたことに対して「高裁所在地以外の地家裁事務局にも新たな類型の専門職を設置できる枠組みを設けることとした」と回答しました。なお、今年4月には福島地裁、前橋地裁、神戸地裁に整備されています。
 電子速記タイプライターのメンテナンスについて、「2019年に整備した30台を対象に実施するメンテナンスについては、7月頃からと11月頃からの2回に分けて実施する」ことを明らかにしました。さらに、メンテナンス中も安定的に使用できるように必要な台数の確保を求めたことに対しては、「販売元で確保している予備機を使用するほか、整備台数の多い庁から代替機を貸し出すことを検討している」と回答しました。
 行(二)・医療職へのパソコン配布を求めたことに対して「パソコンを配付することについて、考えてみたい」とのこれまでの最高裁の考え方を変える回答をしました。

採用について

「採用方法の拡大も含め」検討

 人材確保にむけた最高裁の考え方を示すよう求めたことに対して「今後も優秀な人材を確保するため、採用方法の拡大も含め人材確保のあり方を検討していきたい」と回答しました。

職場環境の充実・改善

福利厚生の観点から各庁に電子レンジを整備

 職員が快適で安全に執務できるような環境を求めたことに対して、「整備の必要性・費用対効果も踏まえつつ、福利厚生の観点から、当局において責任をもって行うべき」との姿勢を示した上で、「新たなニーズの実現にむけた『今の時代に相応な職場環境の整備』として、電子レンジを整備したい」と回答しました。

タクシー利用

タクシー利用が抑制的に運用されないよう「考え方」を示した

 タクシーの利用を柔軟に認めるよう求めたことに対し、「『旅費業務の取扱いに係るQ&A』および『出張時のタクシーの利用について(事務連絡)』において、あらためて、出張時のタクシーの利用が抑制的に運用されることがないよう、タクシーを利用できる場合についての基本的な考え方を示した」と回答しました。

 
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事務総長交渉回答要旨
 

人的体制の整備について

 次年度の定員について、「令和8年度の増員をめぐる状況は、これまでにない極めて厳しいものになるものと考えている」としつつも、「事務の合理化・効率化の取組状況など多種多様な要因を総合的に考慮」するとともに、職場実態、職員や職員団体の要望、休暇等の取得や健康管理にも配慮し、「必要な人員の確保に向けて最大限の努力をしていきたい」と回答しました。

超勤縮減・勤務時間の実態把握について

 客観的記録を基礎とした勤務時間管理と勤怠管理のデジタル化に関して、「勤務時間の把握については、職員の健康管理の観点からも、管理職員も含めて、的確な勤務時間の把握が重要」「管理職員が、勤務時間管理の重要性を認識した上で、部下職員の事務処理状況等をきめ細かく見て、超過勤務を的確かつ遅滞なく把握し、適切な勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底していくとともに、勤務時間の管理についてもシステム化を進めていきたい」と回答しました。

裁判所のデジタル化について

 デジタル化に関して、民事手続について、「本年1月にe事件管理システム(RoootS)が全庁に導入されたところであり、間近に迫ったフェーズ3を万全の態勢で迎えるために、e事件管理システム(RoootS)を始めとする各種システムが安定的に稼働し、障害時においては迅速な対応ができるよう十分に配慮していきたい」と回答しました。
 また、刑事手続について、「本年5月16日に成立した刑事訴訟法等の改正法の内容等を踏まえながら、令状処理態勢の集約の可否を含め、今後の合理的な令状処理態勢の在り方について、関係機関とも協議しながら、継続して検討を進めている」と回答しました。
 さらに、デジタル化関連予算について、「予算の確保は大変厳しい状況」との認識を示しましたが、「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。


職員の健康管理について

 ストレスチェックについて、「本年度から、結果をよりきめ細やかに把握できるよう、集団分析の単位を細分化して実施することにした」と述べ、「集団分析結果も活用しながら、職場環境の改善に努めたい」と回答しました。
 また、カスタマーハラスメントに対する対応に関して、「いわゆるカスタマーハラスメントに関しては、パワーハラスメントになり得るような言動に対しては、組織として毅然とした対応も求められること等の認識を広げていくことが重要」と回答しました。

権利について

 引き続き「誠実対応」の姿勢を示すとともに、「下級裁当局に対しても、職員団体に対して同様の認識で臨むよう、その指導を一層徹底」していくと回答しました。

 
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総務局、人事局、経理局、デジタル総合政策室と交渉
 

総務局交渉

増員、書記官制度、速記官制度などで要求

近年の認識は示しつつ、「長期的」認識は変えず

 次年度予算に向けて各職種の大幅増員と、最高裁事務官の大幅増員を求めたことに対して、「最高裁を含めて必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答する一方、「2026年度の増員をめぐる状況はよりいっそう厳しくなるものと考えている」との認識を示しました。
 事件数の動向については「2023年度は多くの事件が2022年度よりも増加しており、2024年度についても2023年度に引き続き増加している」との認識は示しながら、「長期的に見れば、成年後見関係事件など一部の事件を除いて各種事件は概ね減少または横ばいで推移している」との認識を変えませんでした。また、「長期的」との期間について「一概にお答えすることはできない」と回答するにとどまりました。
 職場では、事件数の増加に加えて、減員や急な退職、病休等による欠員のために繁忙度が増していることや、他の行政府省は「新規事業」を理由に増員要求を行っており、来年5月の「離婚後共同親権の導入」は新規事業であることなどを理由に増員要求するよう求めましたが、最高裁の姿勢に変化はありませんでした。

「柔軟な発想で新たに合理的な事務を確立していくことが必要」

 今後の書記官事務については、「記録の電子化も視野に、改正民訴法および改正民訴規則のほか、システムの仕様等も踏まえつつも、柔軟な発想で新たに合理的な事務を確立していくことが必要と考えており、最高裁としても、下級裁における検討を支援していきたい」「各庁において、それぞれの態勢に応じた事務フローの検討をすすめてもらうことになるが、最高裁においても、各庁の検討を支援するとともに、高裁と連携して書記官事務の統一(標準化)について検討をすすめていきたい」との姿勢を示しました。
 また、「新たな制度が導入される際や事務処理を大幅に変更する必要がある場合には、引き続き、適切な事務処理を支援するために、必要に応じて、最高裁においてマニュアルや執務の参考となる資料等を作成し、職員へ周知するなど適切に対応していきたい」と回答しました。
 速記官に関わっては、本年度に予定されている電子速記タイプライター(2019年度整備の30台)のメンテナンスについて、早期実施と代替機の確保等を求めて追及しました。

人事局交渉

健康管理や両立支援制度などで要求

ストレスチェック「さらに活用されていく」と認識

 ストレスチェックの集団分析結果を基に、職場におけるストレスの実態を把握し、原因を分析して、職場環境の改善に繋げるよう求めたことに対し、「よりきめ細やかに把握できるよう、集団分析の単位の最低人数を10人から5人に見直した上で実施する」ことから「集団分析結果がさらに活用されていくものと認識している」と回答しました。

「職場環境の維持・向上に努めていきたい」と回答

 裁判官のパワーハラスメントを中心に、具体的な事例も示しながら、その根絶や組織的な対応を求めました。これに対しては、「幹部・管理職員をはじめとする職員全般の意識啓発や相談体制の整備等を行い、ハラスメントのない、職員が働きやすい職場環境の維持・向上に努めていきたい」と回答しました。
 カスタマーハラスメントについては、組織として対応し、迅速かつ適切に職員の救済を図ることを求めたことに対して、令和7年5月29日付け事務連絡「裁判所におけるカスタマーハラスメントへの対応について」を発出したことを明らかにしました。この回答を受けて、当該職員が冷静に対応するのが難しいことや、本来対応を指示すべき管理職が不在にしていることが多い実態を伝え、改めて組織的な対応を求めました。

非常勤のステップアップ制度の運用拡大を要求

 ステップアップ制度の運用拡大を求めた上で、制度の利用を希望する職員の氏名を挙げて、最高裁として当該庁と希望者の有無を情報共有し、選考の実施を調整・検討することを要求しました。
 これに対し、最高裁は、職員の採用は、「競争試験による採用が原則であり、選考による採用は例外的な採用方法とされていることを踏まえると(中略)希望者がいるからといって、必ずしも選考が実施されるとは限らないことは、理解してもらいたい」と回答しました。

育児時間等の利用、回答と実態のかい離を追及

 育児時間等の制度を利用する職員が家庭生活と職業生活の両立ができるよう、業務量の調整を行うよう求めたことに対し、「管理職員が主導して他の職員の業務分担を含めた調整をしたり、業務の実施方法について工夫したりすること等を行っているものと認識している」と回答しました。
 この回答を受けて、職場が繁忙であるため、育児時間の利用を撤回した育児時間利用者がいること等の職場実態を例に挙げ、回答と職場実態に乖離があることを主張してさらなる改善を求めました。

経理局交渉

ナンバーディスプレイや録音装置付き電話機の整備を求める

事務の簡素化・効率化「順次速やかにとりくんでいきたい」

 会計事務の簡素化・効率化を求めたことについて、「今後も、通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」と従前回答を維持しつつ、M365を活用した情報共有や各庁で取扱いにばらつきのある通達等の解釈等の整理など、事務の合理化に努めた実例を挙げました。この回答を受けて、M365や複数ある業務システムの習熟が課題となっていることや、紙文書をデータ化して決裁に上げている等の実情を訴え、改善を求めました。
 カスタマーハラスメント防止に有効なナンバーディスプレイや録音装置付き電話機の整備を求めたことに対し、「各裁判所において、個別に、庁の実情を踏まえた整備の必要性が検討されているものと承知している」との回答にとどまったため、あらためて最高裁による全国一律の整備を求めました。

庁舎新営・増改築「予算確保にむけて引き続き努力」

 庁舎の新営・増改築等に必要な予算の確保にむけて「裁判環境、執務環境の改善に必要な予算の確保にむけて、引き続き努力を行いたい」と回答したのに対し、具体的な庁名を挙げて早期の庁舎新営を求めました。
 また、予算化された庁舎新営や改修等の不落原因については「建築資材の高騰、労働者の賃金上昇および労働者不足等が工事不調の要因と考えられる。計画を遂行できるよう予算の積算や確保等につき、今後も引き続き努力したい」と回答しました。
 物品整備について、「新たなニーズの実現にむけた『今の時代に相応な職場環境の整備』として、電子レンジを整備することを検討している」ことを明らかにしました。全司法の要求が実を結びました。

庁舎維持管理等経費の増額等を要求

 庁舎維持管理等経費の増額について、庁費節減による清掃等契約の減少などで職員の負荷が増した実情や、タクシー利用に関わって、タクシー利用が認められなかった事例を挙げ、これらの改善を求めました。
 宿舎の確保について、「転居を伴う異動にあたっては、必要な戸数を確保するよう努めるとの最高裁のスタンスに変わりはない」と回答したのに対し、宿舎の提示が内示後とされている現状において、一般職の内示が遅い実例を挙げ、住居確保や引っ越しに多額の費用がかかる実情とあわせて内示前の宿舎への入居申込みを可能にするよう求めました。
 このほか、共済組合の本部統合によって対応に時間がかかるなどの不満や、共済組合の人的態勢整備を求めました。

デジタル総合政策室交渉

大局的な視点に立ってシステム設計を行うよう追及

「必要な予算の確保に努める」と回答

 裁判所へのアクセスポイント拡充にむけて、「ITの利用環境にない当事者の司法アクセスに十分に配慮する必要があることは承知している」と、これまでと同様の回答をした上で、「利用しやすい裁判手続となるよう、関係機関とも協力しながら適切に対応していきたい」との姿勢を示しました。
 デジタル化関連予算を大幅に増額するとともに、裁判手続等のデジタル化に係る予算は別枠予算で確保するよう求めたことに対し、「裁判所のデジタル化のために必要な予算の確保に努める」と回答しつつも、「現在の財政状況に照らすと、予算の確保は大変厳しい」と財政事情の厳しさを強調しました。

「RoootSの改修要望」書を提出

 システム開発に関わっては、民事訴訟手続の全面デジタル化後、紙・TreeeS・mintsの3つの方法によって事件記録を管理する必要が生じるため、mintsの登録データをTreeeSに移行するよう求めましたが、「技術的に困難であり、そのような機能は設けられない」と従前回答を繰り返しました。
 また、RoootSについて、職場からは依然として使い勝手の悪さが指摘され、改善を求める意見も絶えないことから、職場の意見等を踏まえて「RoootSの改修要望」書を作成し、交渉の場で提出するとともに、使い勝手の部分も踏まえた改修を速やかに行うよう求めました。

ポータルの検索機能向上を要求

 courtsポータルで情報を一元的に管理し、検索がしやすいように改善するよう求めたことに対し、「合理的な職員周知や情報の管理に努めていきたい」と回答しました。この回答を受けて、情報を職員に確実に届ける仕組みを構築するよう求めました。なお、検索機能の向上については「要望については承っておくこととしたい」との回答にとどまりました。
 また、職員用タブレットの貸与・配布と庁内のワイファイ環境の整備を求めたことに対しては、「GSS導入により、職員貸与端末は持ち運びが容易な端末をとなるほか、裁判所の庁舎内には原則としてワイファイ環境を整備することになる」と回答しました。職場では、立ち上げから操作できるまでに20分程度かかるパソコンがあることも紹介しながら、高スペックのパソコン整備を求めました。
 その他、これまで各地から寄せられているデジタル化関連の改善を求める事項について直接伝えるとともに、各種システムが真に国民と職員にとって利用しやすいものとなるよう、大局的な視点に立ってシステム設計を行うよう追及を強めました。

 
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全司法第82回定期大会に向けて
新たな一歩を踏み出す大会に
 

 全司法は、7月20日から22日にかけて第82回定期大会を開催し、向こう1年間の運動方針と財政方針を決定します。今大会は、「要求前進、組織強化・拡大に新たな一歩を!」をメインスローガンに、これまで積み重ねてきた運動を基本に、組合員向けプラットフォームサービスの導入をはじめ、新たな労働組合活動を模索する重要な大会となります。

今後も「3つの役割」を発揮していく

 
 全司法の結成以来、多くの先輩方がバトンを繋ぎ、ずっと大切にしてきた全司法の役割は、「要求を実現し、職場のルールを作る役割」「相談しあい、助け合う役割」「仲間を繋ぎ、居場所を作る役割」の3つに整理することができます。
 こうした役割は今後も変わるものではありませんが、今大会には、運動と組織を支える安定的な財政基盤を確立するため、本部費の引上げを含む財政議案(月額500円の一般組合費引上げ、2000円の臨時徴収再開)を提案します。こうした財政議案の提案に至った経過としては、新採用職員の加入拡大をはじめとした組合員拡大が思うようにすすまず、組合員の減少傾向に歯止めがかかっていないことにあります。昨年の定期大会で「全司法をみんなで一緒に活動する組織に」という新たな組織方針を確立し、そうした方針に基づくとりくみを実践してきましたが、未だ増勢に転じる一歩が踏み出せていません。
 本部役員体制の見直し、オンライン会議の活用、全司法新聞のデジタル化など、なんとか本部費の引上げが回避できないか検討を重ね、努力してきたところですが、結果として、組合員のみなさんに負担をお願いせざるを得なくなりました。厳しい組織・財政状況を踏まえ、ご理解いただきたいと思います。

勝ち取った前進回答を職場で活用することが重要

井上書記長

 全司法が職場で果たす「3つの役割」のうち、とりわけ本部が発揮すべき役割は「要求を実現し、職場のルールを作る役割」です。組織的に厳しい状況にあるもとでも、全司法は多くの要求前進を勝ち取ってきました。2025年諸要求貫徹闘争においては、勤怠管理のデジタル化(勤務時間管理システムを導入)、ストレスチェックのさらなる活用、カスタマーハラスメントへの対応、行(二)職・医療職へのパソコン配布、電子レンジの整備など、多くの課題で前進回答を引き出しました。
 今後は、こうした前進回答を職場で活用していくことで「働きやすい職場」に変えていくことが重要です。また、職場内で、全司法が要求したから実現したことを広くアピールし組織の強化・拡大に結びつけていくことが求められます。

組織強化・拡大にプラットフォームサービスを活用

 新たな労働組合活動を検討するため、2025年度から組合員向けプラットフォームサービス「TUNAGfor UNION」を導入し、組合員一人ひとりに直接情報を伝える仕組みを作るとともに、全司法内部の情報の一元化を図ります。また、TUNAGに入力されたデータを活用することで各種報告事務を整理し、支部役員の負担軽減を図ります。あわせて、新採用職員の加入拡大にむけたファーストアタックの次の「一手」として活用し、組織強化・拡大のとりくみを強化します。
 裁判所は大量退職期に入りましたが、大量退職期は大量採用の時期でもあります。組織的に大きく前進する可能性を秘めていますので、そうしたチャンスを掴み取りにいきましょう。

 
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物価高・教育費等の負担で賃金要求が切実
初の地連中高年担当者会議と上京団交渉を実施
 

「55歳昇給停止、60歳で7割の賃金」をやめよ!

 6月15〜16日、全司法では初めてとなる地連中高年担当者会議と引き続く上京団交渉を実施しました。
 会議では最初に中矢委員長が「中高年に関する政府統計では40歳から65歳を対象としたものが多い」として、この世代が裁判所の職場で置かれている状況や、生まれ育ってきた時代をテーマに基調報告を行いました。続いて、各地連の参加者から職場実態が報告され、これにもとづいて、中高年の要求について議論しました。
 特に意見が集中したのが、賃金です。人事院勧告で若年層の賃金改善が進む一方、中高年は置き去りになっています。それに加えて、定年が延びたのに、55歳で昇給停止になり、仕事の内容は変わらないのに、60歳を超えると賃金が7割になる制度をやめるべきだとの意見が多く出されました。また、号俸が頭打ちになると、昇級しなくなるため、55歳になる前から昇給しない職員も珍しくないことから、「今の中高年は、子どもの教育などで一番お金がかかる時期」「これでどうモチベーションを持って働けるのか」といった声が多く出されました。。

再任用は年休繰り越し、ボーナス改善等が要求

 また、係長は役職定年の対象ではありませんが、加齢による体調等を考えると、高齢になって係長の仕事をするのは辛いと感じる職員もいることから、専門職にするなどラインポストからスタッフポストに変わる途を作る必要があるとの意見も出されました。
 デジタル化に関わっては、他の年代でも出される要求に加えて、小さな字が読みにくくなることから「システムの文字を大きくして欲しい」等の意見も出されました。
 再任用職員では、昨年の人勧で手当の支給が実現した成果を確認する一方で、他の職員なみのボーナス支給や「年休の繰越しを認めて欲しい」「同じ仕事をしているのに職員番号がリセットされて、メールを一から設定するのが大変」といった意見が出されました。
 また、中高年の組合員拡大に関わっては、対象者に計画的に声をかけることや、労働組合に相談したいことがあった時にアクセスできるよう、きちんとアンテナを張り、門戸を開いておくことが重要との意見が出されました。
 16日の上京団交渉では、会議の議論を踏まえた要求を主張しました。

 
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行(二)担当者会議と上京団交渉を実施
 

 6月15日〜16日、地連行(二)担当者会議と引き続く上京団交渉を行いました。会議には、オブザーバーを含む8人が参加し、各地の職場実態等に基づいて議論しました。

大幅賃上げと再任用職員の賃金改善が必要

 賃金に関わって、物価高騰が続いているもとで、大幅賃上げや再任用職員の賃金改善を求める要求が出されました。昨年度、人事院勧告に基づく賃金改善が行われましたが、行(二)職の賃金改善は低額にとどまり、物価上昇分には遠く及ばない賃上げとなっています。
 また、行(二)職は、1日当たりの勤務時間が長くなることを前提に採用され、一定額の超過勤務手当の支給があることで行政職俸給表(二)によって賃金が低く抑えられているもとでも生活が成り立っていました。しかしながら、裁判所では超過勤務はさせないという方針が示されたために、超過勤務手当の支給がなくなり、行(二)職の生活実態が一層厳しくなりました。
 賃金改善のために欠かせない昇格も、退職後は補充しないという方針があるために、昇格の要件となっている部下数が足りず、昇格できない実態があります。行(二)職の処遇が後退していることに対して、「将来の展望が開けない」「モチベーションを維持することができない」といった切実な意見が出されました。

適切に評価されているか分からない
行(二)・中高年上京団交渉

 人事評価制度に関わって、「評価者が変わる度に言われることが違う」「毎回同じ評定しか付かない」など、評価者が行(二)職の仕事を理解しているのか分からない中で評価されることに強い不満が示されました。また、「上位評価が付いたとしてもボーナスは標準でしか支給されない」といった実態も報告されました。面談時にしか顔を合わせない一次評価者との信頼関係をどのように築いていくのかが課題です。

職員間の情報共有に取り残されている実態が明らかに

 その他、行(二)職にはパソコンが配布されていないため、「courtsポータルに掲載されている動画は印刷できないので渡せない」と言われたなど、行(二)職が職員間の情報共有から取り残されている実態が報告されるとともに、早期のパソコン配布を求める意見が出されました。
 また、自動車運転手について、退職後補充がないために残された自動車運転手の業務量が増えている実態が報告されるとともに、下級裁においても非常勤職員の自動車運転手の採用を求める要求が出されました。
 会議に引き続いて行われた上京団交渉では、会議で出された職場実態や要求を最高裁当局に伝えました。

 
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全司法大運動 29回目の請願採択!
 

 全司法大運動でとりくんだ「裁判所の人的・物的充実に関する請願」が6月20日、第217通常国会において、衆・参両院で採択されました。通算29回目の請願採択となります。
 紹介議員は与野党問わず63人となり、紹介議員以外からもご支援の声をいただきました。紹介議員は表のとおりです。(敬称略)

 
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