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全司法新聞
 
月例給を2.76%引上げ、一時金0.10月改善。
「給与制度のアップデート」で不利益変更も
2024年人事院勧告
 

 人事院は8月8日、国会と内閣に対して、国家公務員の給与に関する勧告・報告、公務員人事管理に関する報告および国家公務員の育児休業法の改正について意見の申出を行いました。「給与制度のアップデート」の成案が盛り込まれています。

24国民春闘で賃上げを勝ち取った成果の反映

 給与勧告では、官民較差に基づいて、月例給を2・76%(1万1183円)引き上げるとともに、一時金を0・10月引き上げて年間4・60月分とするよう勧告していますが、この勧告の背景には、24国民春闘において、全労連に結集する民間労働者がストライキ権の確立・行使を含む交渉力を発揮し、単純・加重平均で3%台の賃上げを勝ち取った運動の成果があります。
 給与改定にあたって、初任給改善(高卒2万1400円、大卒2万3800円)をはじめ、若年層に特に重点を置きつつ、おおむね30歳後半までの職員に重点を置いて、全俸給表の引上げ改定となったことは私たちの運動の成果と言えます。しかしながら、中高齢層については改定率が逓減され、物価上昇分にも満たない勧告となったことは極めて不満です。
 一時金について、人事院は期末手当に0・05月、勤勉手当に0・05月均等に配分するとしており、人事院の能力・実績主義強化の姿勢は依然として変わっていません。

寒冷地手当「見直し」、支給から外れる地域も

 寒冷地手当については、増額改定などが行われる一方、対象から外れる地域が相当程度あり、非支給等となる地域の職員は不利益変更を被ることになります。寒冷積雪地域の生活実態を踏まえていない見直しは到底容認できません。

「給与制度のアップデート」

地域手当は都道府県を基本に5つの区分に

 地域手当については、これまで市町村単位で定められてきた級地区分を都道府県単位に広域化し、4%、8%、12%、16%、20%の5つの区分に再編成した上で、中核的な市については地域の民間賃金の実態を踏まえて級地区分を個別に設定すること、異動保障を3年間に延長することなどが措置されています。
 また、現在は10年ごととされている地域手当の見直しの時期を短縮するとしています。

新幹線通勤は大きく改善、マイカー通勤は「ゼロ回答」

 通勤手当については、1か月あたりの支給限度額を15万円に引上げ、新幹線等の特別料金等を支給限度額の範囲で全額支給するという改善が行われます。一方で、マイカー通勤に係る通勤手当の改善はゼロ回答となっており、職場の切実な要求であるマイカー通勤の改善が反映されなかったことは到底納得できるものではありません。

配偶者の扶養手当を廃止し、子に係る手当を引上げ

 扶養手当については、配偶者に係る扶養手当(6500円)を廃止し、子に係る手当が1万3000円に引き上げられます。子に係る扶養手当の増額は、配偶者に係る扶養手当を廃止することなく措置すべきです。

再任用職員に住居手当等を支給

 再任用職員への諸手当の支給は、長年の要求であり、切実な要求が前進したことになります。一方で、扶養手当については引き続き除外されています。

給与勧告のポイント

月例給

 * 官民較差11,183円(2.76%)を用いて引上げ改定
 * 初任給を大幅に引上げ(給与制度のアップデートの先行実施)
   総合職(大卒)…230,000円(29,300円UP)
   一般職(大卒)…220,000円(23,800円UP)
   一般職(高卒)…188,000円(21,400円UP)
 * 若年層に特に重点を置きつつ、おおむね30歳台後半までの職員に重点を置いて、
   全ての職員を対象に全俸給表を引上げ改定

ボーナス

 * 0.10月分引上げ(年間:4.50月→4.60月)
 * 期末手当及び勤勉手当に0.05月分ずつ配分

寒冷地手当

 * 月額を11.3%引上げ。
 * 新たな気象データに基づき、支給地域を改定
 ■ 支給額は2024年4月から、地域等の改定は2025年4月から実施。

給与制度のアップデート

@ 俸給… 係員・新卒初任給の引上げ等
A 地域手当
 * 都道府県を基本(大くくり化)。中核的な市については地域の民間賃金を反映
 * 20%、16%、12%、8%、4%の5級地に再編
 * 東京都特別区は引き続き20%
 * 異動保障の期間を3年間に延長(100%→80%→60%)
 * 現在10年ごととしている見直し期間を短縮。
 ■ 2025年4月から引下げを段階的に実施(1年1ポイントずつ)。
   これに合わせて引上げを段階的に実施。
B その他の手当
 ○ 扶養手当
 * 配偶者の手当を廃止。子の手当を13,000円に引上げ
 ■ 2025年4月から2年間で段階的に実施(7級以下は、6500→3000→廃止)
 ○ 通勤手当
 * 支給限度額を15万円に引上げ(新幹線等の特別料金も支給限度額の範囲で全額支給)
 * 採用時から新幹線等による通勤手当や単身赴任手当の支給を可能に
 * 育児、介護等の事情により転居した職員にも新幹線等の通勤手当の支給を可能に
 ■ 2025年4月から実施
 ○ 管理職員特別勤務手当… 平日深夜に係る支給対象時間帯と支給対象職員を拡大
 ○ 再任用職員(定年前再任用短時間勤務、暫定再任用)に手当支給
 * 地域手当の異動保障等、研究員調整手当、住居手当、特地勤務手当(準ずる手当含む)、
   寒冷地手当を支給
 * 支給額は一般の職員と同様
C ボーナス… 勤勉手当の成績率の上限引上げ等、特定任期付職員のボーナス拡充

国家公務員の育児休業法の改正(意見の申出)

 * 1年につき10日相当、1年の上限時間数なく育児時間を取得できるパターンを選択可能に
 * 対象を小学校3年生までの子に拡大(規則事項)
 * 子の行事参加(入園式・入学式、卒園式)や感染症に伴う学級閉鎖でも利用可能に(規則事項)
 * 非常勤職員の育児時間について、対象を小学校就学前の子に拡大

 
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「青年と向き合い、信頼すること」(小田)
「楽しく一緒にやっていこう!」(村上)
青年協議長「引継ぎ」対談
 

 7月の第81回定期大会、8月の第34回青年協総会で、中央執行委員・第16代青年協議長として活躍してきた小田春香さん(福岡支部)が退任され、新たに村上昇平さん(釧路支部)が選出されました。新旧議長に青年協や全司法の活動に対する思いを語っていただきました。

地域ごとに「青年の状況」にあった働きかけが重要

村上昇平さん、小田春香さん
 
小田 2年間の活動で全国の状況が見えてきて、やりたいと思うことが出来たので、ここで退任するのは心残りがありますが、後任にお任せしようと思います。
村上 それはどんなことですか?
小田 各地にどんな青年がいるか、その人が全司法の活動にどういう気持ちで関わっているのか、ということが見えてきたので、それぞれに合った働きかけをやりたいなと思っていたところです。
 例えば、活動に参加する青年たちが増えきて、楽しくレク行事などをやれるようになってきた地域では、学習を深めて労働組合の本来の活動にも目を向けてもらいたいと思いますし、全司法に関わる青年が少ない地域では、まず、そういう青年を増やしていくことから始めたいなと思っていました。

総研の課題、配置・異動要求実現に力を入れたい

小田 村上さんは、議長としてやりたいと思っていることはありますか?
村上 例えば、機会がなければ会うこともないだろう採用同期を集めてみるとか、全国的な組織だという点を活かして、青年同士のつながりをいろいろ作っていきたいと思います。
 また、総研を卒業して任官する際の配置先、異動希望の実現については、みんな関心が強いと思います。ちょうど年齢的にも結婚などの変化が大きい時期だと思うので、切実な要求もあると思いますから、異動要求実現のとりくみをやっていくことで組合員を増やすことにもつなげたいと思います。
小田 これまでも青年協で、総研卒業時も含めた異動要求のとりくみはやっていて、実現させた例も少なくないので、がんばってください。
 また、総研の課題は青年協がこの間とりくんで前進したものがいろいろありました。研修生へのパソコン配布、電子レンジをはじめとした総研の施設整備、研修生が取得できる休暇制度をわかりやすくまとめたものを出させたことも成果です。

「みんなで作り上げた友好祭典」が大きな成果

村上 ちょうど総研にいたので、私は参加できなかったのですが、昨年8月には全国青年友好祭典もありましたね。
小田 コロナ禍のブランクがあった中で、あのタイミングで109人の参加者を集めて成功させたのは大きかったと思います。緊張した様子で参加した青年たちが次第に仲良くなっていく中で、その場で自主的に運営を手伝ってくれるようになったり、みんなで作り上げた友好祭典でした。友好祭典がきっかけになって、各地で青年のとりくみが行われるようになったり、全司法の活動に関心を持ってくれる若い人たちも増えました。次の友好祭典は2026年の予定なので、よろしくお願いします。

「楽しんで活動する」ことを心がけて

小田 もともと労働組合にネガティブなイメージを持っている青年がそんなに多いわけではありません。ちゃんと話をすれば聞いてくれるんですよ。先輩組合員、とりわけ役員のみなさんは自分も「労働組合は大切だ」と思って加入したり、活動されていると思うので、そういう先輩がネガティブなイメージを広げないことが大事だと思います。イメージ戦略は大きいですよ。
 そして、加入した時は青年自身も「やれることはやりますよ」という気持ちを持っていると思うので、その気持ちに応えて活動に参加してもらうことが大事だと思います。青年を信頼することかな。
村上 私も地元にいた時は周りの人たちに「一緒にやろう」と言って誘ってきました。
 「みんなが入っているから入る」という時代ではありませんし、青年もいろいろ情報を集めると思うので、それに向き合って、きちんと答えていくことが大事だと思います。納得すれば、加入してくれるし、一緒にやってくれると思っています。
 活動する時に大変そうにしていると、周りが引いてしまうと思うので、私は「楽しんで活動する」ことを心がけてきました。
 これから青年協議長として、全国のみなさんと一緒に楽しく活動していきたいと思います。

 
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とりくみの報告を共有し、組織拡大の決意を固める
各地連で定期大会を開催
 

 8月から各地連の定期大会が開催されています。東京、近畿、九州(いずれも8月3日)、北海道(17日)の各地連大会の様子をお伝えします。

東京地連

「働きやすい職場になるよう支えていく」ことが役員の役割

みんなで力を合わせて(東京地連)
 介護を理由とした高裁を超える異動要求を実現させた件について「異動が叶ったのは、粘り強く折衝で当局を追及したことが功を奏した」との報告や「障がい者枠採用の職員が駐車場を利用することを認めさせた」ことなど、支部のとりくみの成果が報告されるとともに、成果を組合員に周知し、全司法の存在意義をアピールしていくことが必要だとの発言がありました。
 活動に関して、役員の負担に言及する発言もありましたが、一方で「組合員がそれぞれ働きやすい職場となるよう運動していくことが大切で、それを支えるのが役員という視点で組合活動を考えてみてはどうか」といった発言もありました。

近畿地連

職場に依拠した活動を。「おかしい」と思う感覚は大事に

 人員に関わって、「育休や病休等で職場の全ての力が発揮できていない」「事務局ではてん補などの応援態勢がとられていない」といった実態が報告されました。また、家裁調査官からは、「家裁の職場は現状でも繁忙であり、離婚後『共同親権』導入を見据えて増員が必要」と発言がありました。
 組織強化・拡大に関しては、「原点に帰って相互扶助を追求していくべき。依然と比べてよそよそしい職場になっている。みんなが入る組合に変えていかなければならない」「きちんと活動していれば必要性は理解してもらえる」といった発言がありました。
 討論を受けて、地連は「職場に依拠した活動をしていこう。『おかしい』という感覚は大事にしよう」と総括答弁で述べました。

九州地連

「サテライト形式」で全員参加の討論を実施

 全員が討論に参加することを目指し、オンライン開催としつつ、地連が配信拠点を作るとともに、参加する支部も可能な限り代議員・オブザーバーが集合する形式(サテライト形式)で大会を開催しました。また、執行部の提案の後、3班に分かれてグループ討議を行い、それを踏まえて全体討論を実施しました。
 全体討論では、全司法大運動について「若手役員と一緒に議員要請に行ったことが、良い経験になった」「地元事務所を訪問したことが、中央行動での議員面談や紹介議員の獲得につながった」「国公女性交流集会に参加して有意義だった」など、とりくみの経験が語られました。また、新採用を中心とした組織拡大について「日常的な働きかけが重要」との発言があり、各支部から組織拡大に向けた決意表明がありました。
 地連からは、職場会を開き、そこでの職場討議を重視すること、全司法大運動について具体的な計画を立てて着実に実行すること、新規採用者の組合加入に力を入れ、組合員拡大をはかること、次世代育成の観点から地連の上高団交渉に青年代表者の参加を検討することなどが提起されました。

北海道地連

RoootS先行導入の情報共有を

 先行導入されたe事件管理システム(RoootS)について、保管金事務処理システムとの連携に不具合(RoootSで入力した金額と異なる金額でデータ送信)が発生したことや手探り状態で事務処理を行っているために事務効率がMINTASの半分程度といった職場実態が報告されました。また、「システムの全体像を把握している職員がいない。まるで人体実験をさせられているよう」といった発言もありました。こうした発言を受けて、札幌以外の支部から情報提供を求める意見や全国展開までに改修を求めていくべきといった発言があり、地連管内で情報共有を図っていくことが確認されました。
 また、採用4年目の若手職員や若手の家裁調査官が退職していることが報告され、「裁判所が魅力的な職場ではなくなってきている」という指摘もありました。

 
 
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