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  トップページ > 全司法新聞 > 2024年7月 > 2427号
 
 
全司法新聞
 
サービス残業根絶、メンタルヘルス対策、
書記官事務の統一、事務官の処遇改善などで前進。
電速タイプのメンテナンス実現
2024年諸要求貫徹闘争
 

 全司法本部は6月10日〜13日、諸要求貫徹闘争におけるまとめの最高裁交渉を実施しました。2025年度予算の概算要求にむけて、人員、昇格、デジタル化予算について「最大限努力」の姿勢を引き出したほか、サービス残業根絶、書記官事務の統一、専任事務官の処遇改善、メンタルヘルス対策などで前進・足がかりとなる回答がありました。また、電子速記タイプライターのメンテナンス実施の回答を勝ち取りました。
 これらを踏まえ、本部は7月17日に予定していた「プレート行動」の中止を提案しました。


事務総長交渉に臨む中央執行委員

労働時間短縮・超勤縮減等
下級裁あて事務連絡を発出


 この間、重点課題として主張してきた超勤実態の把握、早朝・昼休み・休日における勤務時間管理について、最高裁は、交渉初日の6月10日付けで事務連絡を発出し、引き続き指導を徹底する姿勢を示しました。
 事務連絡の内容はこれまでの交渉における最高裁回答のとおりですが、「人事局総務課長、同能率課長」連名で高裁事務局次長、地家裁局長宛の正式な事務連絡として発出したことに大きな意味があります。これを職場で活用し、サービス残業をなくしていくことが重要です。

事務の簡素化・効率化
書記官事務の統一をすすめる姿勢明確に


 全司法は書記官事務の簡素化・効率化をすすめるとともに、裁判を利用する国民の利便性の観点から、全国統一の事務処理要領の作成や書式の統一などを求めてきましたが、今回の交渉で最高裁は、次のとおり、デジタル化を契機として書記官事務の統一(標準化)をすすめる姿勢を明確にしました。
 「マイクロソフト365の導入やその活用を含めたデジタル化の検討にあたっては、事務処理の統一(標準化)という観点も当然必要になる」との認識を示し、「書記官事務の事務フローを整理・構築するとともに、個々の事務処理におけるシステム操作を含む事務処理の手順をまとめた資料を作成することとし、(中略)現在執務要領の作成作業等を行っている」(人事局長)と回答。
 「新ウェブサイトを構築した上で、チャットボットの活用等により利用者のニーズを向上させることも考えてみたい」(人事局長)と回答。「文字の取扱いについては、システム化による事務の標準化・合理化をすすめる上で大きな問題であると認識しており、近日中に指針を示したい」(人事局長)と回答。

メンタルヘルス対策
職場環境改善にストレスチェック活用の姿勢示す


 職場でメンタルヘルス不調が増加していることを踏まえ、対策を立てるよう強く要求したのに対して、事務総長交渉において「メンタルヘルスへの対応」に言及し、人事局長交渉では「原因を分析し、原因を取り除くことや職場復帰の手厚いサポートを行うことは重要」との認識を示したうえで「全ての職員が心身ともに健康に職務に精励できるよう、ストレスチェックの結果の活用やカウンセラーによる相談態勢の整備、職員が自らの不調に気づくための知識付与や円滑な職場復帰支援などにとりくんでいきたい」と回答しました。
 とりわけ、ストレスチェックについて、全司法は2016年度の導入当初からセルフチェックにとどまらず、職場環境改善に活用するよう求めてきましたが、昨年度に職場環境改善に係る調査項目を追加したことに続いて、今回、これを活用する姿勢を示しました。

デジタル化
予算確保に「最大限努力」


 デジタル化については、遅れていたRoootSを7月に先行導入すべく準備をすすめている状況を説明するとともに、刑事手続のデジタル化にむけたシステムの開発を今年度からすすめていくことを明らかにしました。また、記録の電子化後も視野に入れて、オンライン環境を整備することも回答しました。
 裁判手続き等のデジタル化関連予算について、局長交渉においても「予算の確保は大変厳しい状況」との認識を強調していましたが、粘り強い追及により事務総長交渉で「最大限努力」の姿勢を示させました。
 また、昨年10月にマイクロソフト365を導入して以来、未だ職場が混乱している実態を伝え、最高裁が指針等を示すよう求めたのに対して、「職員が適切に活用できるよう」「必要な情報発信をしていきたい」と回答しました。

組織見直し
訟廷管理係長・新たな類型の専門職の拡大姿勢示す


 昨年9月に最高裁が「組織見直し」についての考え方を示し、全司法は1月の中央委員会で考え方を確立し、これにもとづく追及を続けてきましたが、今回、事務総長交渉で初めて議題としてとりあげ、基本的な考え方を回答させました。
 また、組織見直しの中で打ち出された、「専門性の付与と活用」を踏まえた専任事務官のポスト運用について、訟廷管理係長については「専門性の活用をいっそう図りたい」、新たな類型の専門職について「今期の設置状況を踏まえて、さらなる展開を検討していきたい」とそれぞれ、発令の拡大につながる姿勢を引き出しました。

速記官
電子速記タイプのメンテナンスを実施


 速記官が使用する電子速記タイプライターについて一人1台を基本とした整備や、保守・メンテナンスを実施するよう求めていたことに対して、「製造元によるメンテナンスを実施したい」との回答を勝ち取りました。

人員
「最大限努力」も、増員は名言せず


 人員については、人員確保に向けて最大限努力の姿勢を示しましたが、あわせて、予算の厳しさを強調しています。今年度の通常国会で、離婚後共同親権の導入などを含む民法改正が行われ、2年後までに施行されることを踏まえた家裁の人的態勢整備について強く求めました。とりわけ、重点とした家裁調査官の増員については、「親権に関する規定の整備等を内容とする民法等の改正の影響はもとより、家事事件全体の事件数の動向や事務処理状況等をきめ細かく把握した上で、必要な人員の確保にむけて引き続き努力していきたい」と回答したものの、明確な増員姿勢を示しませんでした。
 職場の人員配置について、メンタルヘルス不調による病休が増加していることを踏まえた機動的な応援態勢や最高裁が管理する「空き定員」の活用を求めたことに対しては、「長期の病休等を取得する職員がいる場合には、職場の状況に応じて応援態勢を組むなど必要な対策が講じられているものと考えている」との認識を崩しませんでした。

昇格
「最大限努力」の姿勢を示す


 昇格については、次年度裁判所予算における級別定数改定について「最大限努力」の姿勢を示しました。

 
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ストレスチェックを職場環境改善に活用、
職員制度に関する要求前進、最高裁人事局長交渉
 

 全司法本部は6月11日、2024年諸要求貫徹闘争における最高裁徳岡人事局長との交渉を実施しました。交渉には各地から上京した非常任中央執行委員も出席し、3回にわたる人事局総務課長交渉の結果をふまえ、要求の前進をめざして最高裁を追及しました。


人事局長交渉で各支部からの要請書を提出

人員

人的態勢の整備について、最大限の努力を行っている

 人員については、次年度予算での各職種の大幅増員を求めたことに対して、「国の財政状況が逼迫している中、増員を取り巻く情勢が非常に厳しい」としつつ、「裁判所の人的態勢の整備を図っていく必要があることについて、財政当局の理解を得るべく説明を行っている」とし、「最大限の努力を行っている」と回答しました。
 民法改正(共同親権等)を踏まえた家裁調査官の大幅増員要求に対しては、家裁調査官の増員が必要との認識は示さず、「親権に関する規定の整備等を内容とする民法等の改正の影響はもとより、家事事件全体の事件数の動向や事務処理状況等をきめ細かく把握した上で必要な人員の確保にむけて、引き続き努力していきたい」と回答しました。

ただ働き残業根絶

管理職員に対する指導を徹底するよう事務連絡を発出

 早朝・昼休み・休日を含めた勤務時間管理を徹底し、ただ働き残業を根絶するよう求めたことに対しては、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うことについて、管理職員に対する指導を徹底するよう、下級裁に対して事務連絡を発出した」ことを明らかにし、「今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。

メンタルヘルス対策

原因を分析し、原因を取り除くことは重要

 メンタルヘルスの不調を抱える職員が増加している中、原因分析と対策を求めたことに対しては、「病休取得の理由は職員ごとに様々であるから、一概に認識を述べることは難しい」としつつも、「原因を分析し、原因を取り除くことや職場復帰の手厚いサポートを行うことは重要」との認識を示しました。
 また、ストレスチェックの職場環境改善に関する調査項目をメンタルヘルス対策に活用するよう求めたことに対しては、「幹部職員等が(ストレスチェックの)集団分析結果に基づき集団の実情を把握し、職場環境の改善にさらに活用できるよう、何らかの工夫ができないか検討している」ことを明らかにしました。

デジタル化

記録電子化後に必要なネットワーク、端末を整備

 デジタル化後の法廷および事件関係室の設備・備品の整備について、最高裁の考え方を示すよう求めたことに対して、「今後の業務のあり方や予算状況等の諸事情を総合的に考慮した上で検討する」としつつ、「記録が電子化された後は、裁判所に出頭した当事者等が電子化された記録を閲覧しながら各手続きに参加することが想定されるほか、来庁者が公示送達や訴訟記録の閲覧を行う場合も電子的に行うことになる。これらに必要なネットワークや閲覧用の端末は、裁判所において整備する」と回答しました。
 マイクロソフト365導入に伴う混乱の解消のため、全国的な運用方針の作成と活用にあたっての知識付与を求めたことに対しては、「運用指針について要望があることは承知した」「活用できるよう、必要な情報発信をしてきたい」と回答しました。

職員制度・職種

電子速記タイプライターのメンテナンスを実施

 書記官事務を全国で統一するよう求めたことに対しては、「デジタル化の検討にあたっては、事務処理の統一(標準化)という観点も当然必要になる」との認識を示すとともに、「改正民事訴訟法下における書記官事務の事務フローを整理・構築するとともに、個々の事務処理におけるシステム操作を含む事務処理の手順をまとめた資料を作成することとし(中略)現在執務要領の作成作業等を行っている」と回答しました。
 今年4月から設置された新たな類型の専門職を高裁所在地以外の地家裁にも拡大するよう求めたことに対しては、「専任事務官の専門性の活用については、問題意識を持っている」とし、「今期の設置状況(注:東京地2、大阪地1、名古屋家1、福岡地1の計5)を踏まえて、さらなる展開を検討していきたい」と回答しました。
 電子速記タイプライターのメンテナンス契約について、「これまでの使用状況等に鑑み、製造元によるメンテナンスを実施したい」と回答しました。

宿日直の負担軽減

宿日直、連絡員体制廃止の拡大は困難

 宿日直廃止庁および連絡員体制廃止庁の拡大、裁判官の泊まり込み態勢や登庁処理態勢の拡大を求めたことに対しては、廃止庁の「これ以上の拡大は困難」「裁判官が令状処理をする場所を含めて、各庁において(中略)検討・実施されている」との従前回答にとどまりました。

 
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事務総長交渉回答要旨
 

人的態勢の整備と超過勤務の実態把握について

 次年度の定員について「令和7年度の増員をめぐる状況は、これまでにない極めて厳しいものになる」としつつも、職場実態、職員や職員団体の要望、休暇等の取得や健康管理にも配慮し、「必要な人員の確保に向けて最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しました。
 また、適正な人員配置には超勤時間の正確な把握が必要不可欠との指摘に対して、「職員の負担感にも配慮しながら」事務の簡素化・効率化のとりくみを進めていく旨や「(管理職員が)適切な超過勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。

職員の健康管理について

 メンタルヘルスを悪化させる職員の増加等を踏まえ、ストレスチェックの結果を活用するよう求めたことに対して、「対象となる全ての職員がストレスチェックを受検するよう、制度への理解の浸透を深めるとともに、職場環境の改善に努めたい」と回答しました。
 また、ハラスメントについては、「幹部・管理職員を始めとする全ての職員に対する研修等の機会を通じた各種ハラスメントの防止に関する意識啓発、相談しやすい体制づくりやその周知等、ハラスメント防止に向けたより効果的な取組に努めていきたい」と回答しました。
 「メンタルヘルスへの対応を始めとする職員の健康管理について、(中略)きめ細かな配慮をすると、事務総長としては、はじめてメンタルヘルスに言及した回答を行いました。

組織見直しについて

 「組織見直し」に関して、事務の簡素化・効率化および職員の処遇改善を求めたことに対して、「より質の高い司法サービスを提供していくためには、裁判手続のデジタル化を始めとした情報通信技術の活用、通達等の見直しを含めた各種事務の簡素化・効率化とともに、組織・機構の見直しによる事務の合理化・効率化を一層推し進め、職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指していくことが必要」とした上で、「最適な人的態勢を構築していきたい」と回答しました。

裁判所のデジタル化について

 デジタル化に関しては、「国民の利用のしやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさにも十分配慮していきたい」という姿勢を示しました。
 また、「令状センター構想」については、「法制審議会刑事法(情報通信技術関係)部会で取りまとめられた要綱(骨子)案に示された内容等も踏まえながら、最高裁としても、令状処理態勢の集約の可否を含め、今後の合理的な令状処理態勢の在り方について、関係機関とも協議しながら、継続して検討を進めている」と回答しました。
 また、デジタル化関連予算について、「裁判手続のデジタル化の動きがますます加速していく中、裁判所のデジタル化のために必要な予算の確保に向けては、最大限の努力をしていきたい」と最大限努力の姿勢を示しました。

権利について

 引き続き「誠実対応」の姿勢を示すとともに、「下級裁当局に対しても、職員団体に対して同様の認識で臨むよう、その指導を一層徹底」していくことを確認しました。

 
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総務局、人事局、経理局、デジタル総合政策室と交渉
 

総務局交渉

「2025年度の増員をめぐる状況はよりいっそう厳しくなる」

 次年度裁判所予算の概算要求にあたって、新たな制度の運用状況や、各種事件の事件数の動向、事務処理状況等を踏まえながら検討していくことになる」と回答しつつも、「2025年度の増員をめぐる状況はよりいっそう厳しくなる」との認識を示しました。また、家裁調査官の増員については、総務課長交渉と同様の回答を繰り返しました。
 各庁の配置定員について、「削減ありき」で下級裁との調整を行わないよう求めたことに対して「事件動向や事務処理状況等をきめ細かく見つつ検討をすすめることから、個々の職員の負担が過度に重くなることはない」と回答し、最高裁が管理する「空き定員」の活用を求めたことに対しては、総務課長交渉と同様の回答を繰り返しました。こうした回答に対し、各庁当局に対して職場の繁忙状況等を具体的に伝えても増員されないと伝え、職場実態とかい離した認識だと厳しく追及しました。

民法、刑訴法など法改正への対応求める

 離婚後「共同親権」の創設に関して、家庭裁判所の機能充実を求めましたが、「家族法制の見直しに伴う民法等一部改正においても、改正法の各規定の趣旨・内容等について、適切に周知していきたい」との回答にとどまりました。
 また、「共同親権」に関する申立への家裁調査官の関与については、「今後、調停事件等の審理運営に係る事項として各庁において検討されるものであり、最高裁としても必要な支援をしていくことになる」と回答し、最高裁の考え方は明らかになりませんでした。
 刑事訴訟法改正に伴う位置情報端末の装着について「技術支援を業者から受けながら、位置測定端末の開発や具体的な運用にむけた検討をすすめている」ことを明らかにするとともに、事件記録等の廃棄にむけて「一連の遡及適用事務について、具体的な事務処理手順等を示す準備をすすめている」ことを明らかにしました。

「標準化にむけ、執務要領を作成

 書記官事務の統一(標準化)にむけて、「個々の事務処理におけるシステム操作を含む事務処理の手順をまとめた資料(執務要領)を作成することとし、2024年4月に、そのための態勢整備を行ったところである。今後、この執務要領の作成作業と並行して、通達に定めるべき事項の検討や、執務の参考となる各種の資料作成に繋げていくことになる」と回答しました。

電子速記タイプライターのメンテナンス実施を検討

 電子速記タイプライターについて、「これまでの使用状況等に鑑み、製造元によるメンテナンスを実施することを検討している」と回答しました。

人事局交渉

名簿を提出し、43名の異動希望を実現するよう追及

「組織見直し」を機に事務局ポストの専任事務官への「開放」を要求

 「組織見直し」を契機に書記官等有資格者が占めている事務局のポスト(とりわけ総務・人事のポスト)を専任事務官に開放することで専任事務官の処遇を維持・改善するよう求めたのに対し、「書記官事務の経験がないということだけで事務官の昇進の途を奪うようなことは考えていない」と従前回答を繰り返しました。

他高裁からの名簿借り採用者の異動実現を要求

 異動要求に関わっては、43名の異動要求者名簿を提出し、対象者の名前をあげながら異動の実現にむけて努力するよう求めました。また、他高裁の採用候補者名簿から採用(名簿借り採用)された職員について、本人の希望に基づき、当初の採用候補者名簿の高裁管内に異動させるよう下級歳への指導を求めました。これに対して最高裁は、「採用された庁を管轄する高裁の採用候補者名簿から採用された者と同様に扱われる」と従前回答を繰り返しました。

具体的事例を示してパワハラ根絶を要求

 パワーハラスメントについては、札幌・釧路・岐阜・仙台の4支部から報告のあった具体的事例を示しつつ、根絶にむけた具体的な方策を講じるよう求めました。これに対して最高裁は、「パワーハラスメントの防止については、職員が働きやすい職場環境の維持・向上のために不可欠」「苦情相談に至っていない場合や、パワーハラスメントに該当しない場合であっても(中略)個別具体的な事情を踏まえた対応が行われている」と回答しました。

庁名をあげて宿日直・連絡員の廃止等を要求

 宿日直については、具体的な庁名をあげて、宿日直廃止庁・連絡員体制廃止庁の拡大、裁判官の泊まり込みや登庁による令状処理態勢の拡大、管理職への宿日直割当てなどを求めました。これらに対して、「(廃止庁の)これ以上の拡大は困難な状況」「裁判官が令状処理する場所を含めて、基本的には各庁において、その実態をふまえて検討・実施されている」などと回答しました。

経理局交渉

簡素化・効率化
できることから速やかにとりくんでいきたい


 会計事務の簡素化・効率化を求めたことについて、「今後も、通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」と従前回答を維持しました。この回答を受けて、一つの事務を行うのに複数のシステムを操作する必要があること等の実情を訴え、改善を求めました。

職員厚生経費の大幅増額は極めて困難

 職員厚生経費について「大幅な増額を求めていくことは極めて困難」と従前回答を繰り返したのに対し、青年の血液検査をはじめ、すべての職員が健康に働けるよう各種健康診断の充実を求めました。

資材高騰等の情勢も踏まえ、必要な予算を確保していきたい

 庁舎の新営・増改築等に必要な予算の確保にむけて「必要性・緊急性の度合いや当事者の利便を考慮しながら、資材高騰等の社会情勢も踏まえ、庁舎の物理的・機能的・社会的劣化の解消に向けて必要な予算を確保していきたい」と回答したのに対し、具体的な庁名を挙げて早期に庁舎新営を行うよう求めました。
 また、予算化された庁舎新営や改修等の計画が遅れていることについては「建築資材の高騰、労働者の賃金上昇および労働者不足等が工事不調の要因と考えられるが、計画を遂行できるよう可能な限り努力を行いたい」と回答しました。

庁費等
予算確保にむけて引き続き努力


 消耗品費、光熱水料等の一般庁費の大幅増額を求めたことに対して「今後も引き続き確保するよう努力していきたい」と回答しました。これを受けて、価格上昇に伴う支出増加に対応できるよう、年度途中であっても各庁に予算を配賦すること、試験的に導入されている枠配分方式によって各庁の清掃業務に影響が出ている実態等を訴えて改善を求めました。

も必要なサービスを維持できる

 共済組合について、「統合後も組合員にとって必要なサービスを維持できる」と回答したのに対し、東京高裁管内の各庁において、本年4月の統合に伴い、会計部門の人的態勢や事務分担を見直す必要があった実態を伝え、人員配置について考慮を求めました。
 このほか、旅費法の改正を踏まえた実費支給や、タクシー利用の運用緩和、SEABIS入力作業の集約、住宅事情調査の廃止、必要な宿舎の確保などを求めました。

デジタル総合政策室交渉

ITの利用環境にない当事者への配慮は必要

 デジタル化のサポート態勢を各庁に整備するよう求めたことに対して「利用者のサポートのための態勢も含め、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答し、従前と同様の姿勢を示しました。
 また、裁判所へのアクセスポイントの拡充を求めたことに対して「ITの利用環境にない当事者の司法アクセスに十分に配慮する必要があることは承知している」、利用者に対するIT面でのサポート体制として検討している事項を明らかにするよう求めたことに対して「ヘルプデスクの設置も選択肢の一つ」と回答し、従前と同様の姿勢を示しました。

組織的な情報伝達の仕組みを構築することは必要不可欠

 コミュニケーションツールについて全国的な運用方針を示すよう求めたことに対し、「試行錯誤しながら各ツールを活用していく中で徐々に整理されていくものと考えている」と総務課長交渉の回答を繰り返したため、情報伝達の仕組みを組織的に作っていくという視点に立って全国的な運用方針を示すよう厳しく追及しました。
 あわせて、コミュニケーションツールに関する基本的な知識付与を行うよう求めました。

予算の確保は大変厳しい状況

 ウェブ会議用の法廷および専用の事件関係室の整備や、ペーパーレス化をはかるためのタブレット配布、庁舎内のワイファイ環境整備などを求めたことに対して、いずれも「個別の機器等の整備については、引き続き今後の業務のあり方や予算状況等の諸事情を総合的に考慮した上で検討することになる」と回答しました。
 また、裁判手続等のデジタル化関連予算の確保について、「裁判所のデジタル化のために必要な予算の確保に努めるが、現在の財政状況に照らすと、予算の確保は大変厳しい状況である」と回答し、デジタル化関連予算の獲得にむけた積極的な姿勢が示されなかったことから、こうした最高裁の姿勢を厳しく追及するとともに、必要な予算獲得にむけて改めて努力を求めました。

2025年度も増速等を行う

 通信環境の基盤整備にむけて、「J・NET回線について(中略)予測される通信需要の増大に対応するため、2025年度中にも増速等の通信環境の整備を行うことを検討している」ことを明らかにし、この増速等は「2023年11月に増速を行わなかった拠点に限ら」ないと回答しました。

 
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全司法第81回定期大会に向けて
全司法をみんなで一緒に活動する組織に
 

 全司法は、7月21日から23日にかけて第81回定期大会を開催し、向こう1年間の運動方針と財政方針等を決定します。今大会は、結成以来、多くの先輩方がバトンを繋ぎ、ずっと大切にしてきた全司法という組織を次の世代に繋げ、全司法をみんなで一緒に活動する組織に変えていくために何をすべきかを考える重要な大会となります。
 結成以来つないできた全司法にしか果たせない役割は、「要求を実現し、職場のルールを作る役割」「相談しあい、助け合う役割」「仲間を繋ぎ、居場所を作る役割」という3つの役割に整理することができます。この「3つの役割」は、新採用職員をはじめとした組合員拡大のアピールポイントであるとともに、職場に依拠した活動が実践できているかを確認するための指標となるものです。

「3つの役割」発揮のためには3つのとりくみが重要

 裁判所は大量退職期に入りました。各級機関では、全司法が多数派だった時代を知っている世代が今も役員等として活動いただいていますが、組織の中心を担い、支えていただいている世代がこの先10数年で職場を去っていってしまいます。
 これからも全司法が職場で「3つの役割」を果たしていくためには、ベテラン層から若い世代に運動と組織を引き継いでいくことが不可欠であり、全司法の喫緊の課題となっています。
 そうしたことから、今大会では、次の3つのとりくみに全力を挙げることを確認したいと思います。
 第1に「仲間を増やす」こと、第2に「参加する人を増やす」こと、第3に「担い手を増やす」ことです。こうしたとりくみを実践していく上で「対話」は欠かせません。全司法が文字通り「みんなで活動する組織」になっていくためには、組合員同士の「対話」を重視し、「3つのとりくみ」を積極的に行っていく必要があります。
 また、こうしたとりくみを実践していくことは、全司法が職場で果たす3つの役割をより充実して発揮することにもつながります。

自分たちの手でチャンスを掴みにいこう

 第81回定期大会は、「仲間を増やし、担い手を増やし、みんなで活動する組織に変わろう!」を大会スローガンに掲げました。
 大量退職期は、同時に大量採用期でもあります。これからの約10年は、組織的に大きく前進する可能性を秘めていますので、自分たちの手でチャンスを掴みにいきましょう。

 
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法廷警備員の職種会議と上京団交渉を実施
 

 6月2日〜3日、地連担当者会議と引き続く上京団交渉を行いました。
 法廷警備員は2003年4月から、高裁所在地の各地裁に合計68名を配置する現在の体制となりましたが、単独での会議配置は、それ以後初めてになります。
 中部、近畿、中国、四国の4地連からは法廷警備員の組合員が参加し、生の職場実態を出し合うことができ、非常に有意義な会議となりました。


法廷警備員会議を久しぶりに実施

評価制度と処遇が噛み合わない兼務体制の矛盾

 職員制度の課題では、本来業務(警備業務)については、「一次評価者が現場(職場)にいない状態できちんと評価されているのかわからない。可もなく不可もなく一律で評価されているのではないか」との報告がされました。一方、兼務業務については、職場の中でベテラン化しており、係長が長期不在時などには中心的に業務を行うなどした結果、一定の職務評価を受けることはあっても、それが昇任・昇格に繋がることはない。法廷警備員は事務官と比較してポスト数が限定的(係長ポストは警備係長のみ)なため、職場で事務官との処遇格差が目に見えてしまい、「兼務事務に対するモチベーションの維持が難しい」との報告もありました。会議では、今後、本来業務(警備業務)をきちんと評価させ、昇格(専門職4級など)に反映させていくことの重要性が確認されました。

他の庁でどういう業務をやっているのか共有されていない

 また、研修について、各職場とも警備業務は先輩職員から教わりながら習得しており、他庁がどのような警備業務を行っているか知らないとの実態が報告され、「全国一律での研修ができないか」「参考のため他庁の業務内容を知りたい。特に大規模庁の東京や大阪の業務内容を知りたい」といった全国規模での研修実施の要望とともに、「法的根拠や標準的な法廷警備の考え方、あり方が全国的に共有できるよう、最高裁が警備業務に関するハンドブックを作成し、配布してほしい」などの意見が出されました。

「今後も全国的な交流の機会を続けて欲しい」

 全司法のとりくみに関わっては、「法廷警備員が集まって意見交換を行うことができたのは有意義だった」との感想が出され、引き続き、オンラインミーティングも含めた活動を続けて欲しいとの要望が出されました。
 翌日の最高裁交渉では、職員制度(職務評価、研修)、昇格及び旅費等に関する要求について追及しました。当局回答は従前回答に終始しましたが、法廷警備員の生の声を当局にぶつけ、警備業務の実情を訴えることができました。

 
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将来に展望を持てる昇格改善を
行(二)担当者会議+上京団交渉
 

 6月2日〜3日、地連行(二)担当者会議と引き続く上京団交渉を行いました。会議には、オブザーバーを含む11名が参加し、職場実態について議論しました。


行(二)・法廷警備員合同で上京団交渉

物価高騰のもと、大幅賃上げと昇格改善が必要

 賃金に関わって、物価高騰が続く中で賃金が上がらない行(二)職の厳しい生活実態が報告され、大幅な賃金引き上げを求める強い要求が示されました。また超過勤務をさせない実態があるため、以前と比べて100万円以上も収入が減ったとの報告も出されました。
 昇格に関わって、行(二)職は退職後の後補充が行われていません。一方で、昇格には部下数が要件となっており、昇格できない実態があります。そのため処遇の維持がはかられていません。そのような中、「定年まで現在の級に据え置かれ、どうやってモチベーションを維持するのか将来の展望が描けない」という切実な声が出されました。処遇を維持・改善させるために、最高裁に展望を示させるとともに、部下数制限の撤廃にむけて国公労連に結集して人事院に対する追及を強めていく必要があります。

面談時にしか顔を合わせない評価者に不信感

 人事評価制度に関わって、評価者が行(二)職の仕事をどこまで理解しているのか分からない中で、日常の仕事ぶりをほとんど見ることもなく、面談時にしか顔を会わせることのない評価者から評価されることに不満を抱いている声が多く出されました。また、評価の基準が明確でない点も不信感を高める一因になっています。一時評価者との信頼関係をどのようにして築くのか、行(二)職がやりがいを持って働けるような制度となるよう当局を追及していく必要があります。

職員間の情報共有に取り残される不安も

 最高裁がデジタル化をすすめる一方で、行(二)職へのパソコン配布に背を向けているもとで、適切に情報が伝わっていないことへの不満の声がありました。パソコンが配布されていない行(二)職には、書面で知らされることになっていますが、すべての情報が行(二)職に伝わっているのかどうか分かりません。裁判所における情報共有のあり方が変わってきている中で、行(二)職だけが取り残されており、パソコンを支給すべきだとの強い意見が出されました。
 会議に引き続いて行われた交渉では、会議で出された職場実態や要求を最高裁に伝えました。
 交渉後には、全国の行(二)職が、自分たちの要求を直接最高裁に訴えるべきで、次年度はぜひ当該職種が参加してもらいたいとの感想が出されました。

 
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全司法大運動
昨年を上回る賛同を得て、28回目の請願採択!
 

 6月21日、「裁判所の人的・物的充実に関する請願」が衆・参両院で採択されました。通算28回目の請願採択となります。
 国会法第79条により「各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない」と定められていますが、与野党を問わず多くの政党・会派から紹介議員を得て全会一致で採択に至りました。紹介議員は表のとおりです。

 
 
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