全司法本部は6月11日、2024年諸要求貫徹闘争における最高裁徳岡人事局長との交渉を実施しました。交渉には各地から上京した非常任中央執行委員も出席し、3回にわたる人事局総務課長交渉の結果をふまえ、要求の前進をめざして最高裁を追及しました。

人事局長交渉で各支部からの要請書を提出
人員
人的態勢の整備について、最大限の努力を行っている
人員については、次年度予算での各職種の大幅増員を求めたことに対して、「国の財政状況が逼迫している中、増員を取り巻く情勢が非常に厳しい」としつつ、「裁判所の人的態勢の整備を図っていく必要があることについて、財政当局の理解を得るべく説明を行っている」とし、「最大限の努力を行っている」と回答しました。
民法改正(共同親権等)を踏まえた家裁調査官の大幅増員要求に対しては、家裁調査官の増員が必要との認識は示さず、「親権に関する規定の整備等を内容とする民法等の改正の影響はもとより、家事事件全体の事件数の動向や事務処理状況等をきめ細かく把握した上で必要な人員の確保にむけて、引き続き努力していきたい」と回答しました。
ただ働き残業根絶
管理職員に対する指導を徹底するよう事務連絡を発出
早朝・昼休み・休日を含めた勤務時間管理を徹底し、ただ働き残業を根絶するよう求めたことに対しては、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うことについて、管理職員に対する指導を徹底するよう、下級裁に対して事務連絡を発出した」ことを明らかにし、「今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。
メンタルヘルス対策
原因を分析し、原因を取り除くことは重要
メンタルヘルスの不調を抱える職員が増加している中、原因分析と対策を求めたことに対しては、「病休取得の理由は職員ごとに様々であるから、一概に認識を述べることは難しい」としつつも、「原因を分析し、原因を取り除くことや職場復帰の手厚いサポートを行うことは重要」との認識を示しました。
また、ストレスチェックの職場環境改善に関する調査項目をメンタルヘルス対策に活用するよう求めたことに対しては、「幹部職員等が(ストレスチェックの)集団分析結果に基づき集団の実情を把握し、職場環境の改善にさらに活用できるよう、何らかの工夫ができないか検討している」ことを明らかにしました。
デジタル化
記録電子化後に必要なネットワーク、端末を整備
デジタル化後の法廷および事件関係室の設備・備品の整備について、最高裁の考え方を示すよう求めたことに対して、「今後の業務のあり方や予算状況等の諸事情を総合的に考慮した上で検討する」としつつ、「記録が電子化された後は、裁判所に出頭した当事者等が電子化された記録を閲覧しながら各手続きに参加することが想定されるほか、来庁者が公示送達や訴訟記録の閲覧を行う場合も電子的に行うことになる。これらに必要なネットワークや閲覧用の端末は、裁判所において整備する」と回答しました。
マイクロソフト365導入に伴う混乱の解消のため、全国的な運用方針の作成と活用にあたっての知識付与を求めたことに対しては、「運用指針について要望があることは承知した」「活用できるよう、必要な情報発信をしてきたい」と回答しました。
職員制度・職種
電子速記タイプライターのメンテナンスを実施
書記官事務を全国で統一するよう求めたことに対しては、「デジタル化の検討にあたっては、事務処理の統一(標準化)という観点も当然必要になる」との認識を示すとともに、「改正民事訴訟法下における書記官事務の事務フローを整理・構築するとともに、個々の事務処理におけるシステム操作を含む事務処理の手順をまとめた資料を作成することとし(中略)現在執務要領の作成作業等を行っている」と回答しました。
今年4月から設置された新たな類型の専門職を高裁所在地以外の地家裁にも拡大するよう求めたことに対しては、「専任事務官の専門性の活用については、問題意識を持っている」とし、「今期の設置状況(注:東京地2、大阪地1、名古屋家1、福岡地1の計5)を踏まえて、さらなる展開を検討していきたい」と回答しました。
電子速記タイプライターのメンテナンス契約について、「これまでの使用状況等に鑑み、製造元によるメンテナンスを実施したい」と回答しました。
宿日直の負担軽減
宿日直、連絡員体制廃止の拡大は困難
宿日直廃止庁および連絡員体制廃止庁の拡大、裁判官の泊まり込み態勢や登庁処理態勢の拡大を求めたことに対しては、廃止庁の「これ以上の拡大は困難」「裁判官が令状処理をする場所を含めて、各庁において(中略)検討・実施されている」との従前回答にとどまりました。
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