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  トップページ > 全司法新聞 > 2023年3月 > 2397号
 
 
全司法新聞
 
賃金・平和・増員 切実な要求実現を求めて
3・2中央行動
 

 昨年10月、知的財産高等裁判所・東京地方裁判所中目黒庁舎(通称・ビジネス・コート)が業務を開始しました。知的財産高等裁判所、東京地方裁判所の商事部、倒産部、知的財産権部など、ビジネスに関する裁判部が中目黒に移転したものです。2月20日、全司法本部は東京地裁支部と一緒に、同民事分会の職場会に参加して、組合員から率直な職場実態を聞きました。

「緊急の賃上げ勧告」要求をアピール

デジタル化で全国の先駆けを目指すものの…

 ビジネスコートは、中目黒駅から徒歩約10分で、桜並木で有名な目黒川が見える場所に建っています。庁舎は地下1階・地上5階建てで、淡いピンクの外壁に内部の案内表示なども桜のモチーフがあしらわれた、きれいな建物でした。ウェブ会議用ブースや国際会議を開くための会議場も備えています。
 玄関を入ると広いロビーに待合用の椅子が並べられていました。その片隅に桜の花びらを象ったお洒落な木製のラックが設置され、数台のタブレットが置かれていて、開廷情報を見ることができます。ただ、システムから直接データが転送されるわけではなく、MINTASのデータを抽出し、人手を介して整理したデータを表示しているのは、東京高地裁(霞が関)と変わりません。法廷には紙に出力した開廷表が掲示されていました。
 主に非訟を担当していることもあって、事件関係室がたくさん作られていました。ただ、机や椅子などの什器は専用のものを揃えたわけではなく、東京高地裁の庁舎で使っていたものを持ってきたため、スペースの割に机と椅子が少なくガランとした部屋になっているなど、あまり機能的とは言えません。他庁よりも立派なウェブカメラを整備したものの、ディスプレイのサイズとマッチせず養生テープで固定しているものもありました。
 書記官室も普通に執務用のデスクが並んでいて、他の庁舎との違いは感じません。ビジネスコートと言っても事務そのものは変わりがないため、特徴的な「現代型オフィス」を作った最高裁のデジタル推進室とは位置づけが違うのでしょう。なお、一人当たりの面積は通常より広めだそうです。

記録の閲覧謄写に対応できる人員などが重点要求

 職場の最大の要求は人員で、「訟廷部門の書記官につき、知財部との兼務を解消すること」です。破産、商事非訟、知財などの事件は閲覧謄写の申請が多く、対応する訟廷部門が繁忙で、本来は増員を要求したいところ、せめて兼務を解消して欲しいとのことでした。行政共助も多いとのこと。民事8部では9名中5名が、休職も含めて健康面で問題を抱えている実態もお聞きしました。「通信環境を改善すること」との要求も出されています。ビジネスコートのコンセプトにもかかわらず、開庁以来、電波が入りにくく、Wi―Fiが繋がりにくかったとのことでしたが、この間、少しずつ改善されているようです。また、目黒川が近くを流れている影響もあり、地下の湿気も問題になっているそうです。
 「全国の組合員に伝えるのに、何か特徴的なトピックはありますか?」と尋ねると、手元に持っていたスマホを示されました。ビジネスコートの職員は1人1台スマホが貸与され、内線電話のかわりに使っています。ただし、スマホに直接着信があるわけではなく、部屋の固定電話で受けたものを転送しているとのことでした。席にいなくても電話ができるメリットはあるものの、スマホに転送すると回線が空くので、新たな電話が架かってきて、すぐに対応ができないといった問題もあり、「固定電話を取って対応した方が良いという感じになっています」との実態も出されました。
 裁判所のデジタル化への対応も踏まえ、鳴り物入りで開庁したビジネスコートですが、設備面も含めて、まだまだ課題が多いと感じました。今後の改善に期待します。

 
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『暮らしむきアンケート』から見えた青年の厳しい生活実態
青年協常任委員会・最高裁交渉
 

 3月5日〜6日、第3回青年協常任委員会と最高裁交渉を実施しました。今回は、愛媛支部からオブザーバーも参加しました。

諸要求期、友好祭典にむけて着々準備

 常任委員会では、諸要求期交渉で一人一言要求(青年の要求を寄せ書き形式で最高裁に交付するもの)を実施すること、青年の異動要求を一斉調査すること、総研生を対象としたLINEグループを作成・運営すること、友好祭典にむけて財政活動第2弾を実施することなどが決まりました。また、新採向けパンフレットのデザインも確定しました。
 会議の中では先に実施した暮らしむきアンケートの分析についても話し合いました。賃上げの要望が例年とは段違いで高まっており、今年の賃上げ希望額の平均値(3万3千円)は昨年のそれと比較して5千円高いこと、職場実態の中で青年が最も改善を求めているのは「人手不足」であることなどを確認し、交渉に向けた作戦会議に繋げました。
青年協交渉頑張りました!

30分の交渉時間を目一杯活用

 交渉では、30分という短時間の枠を有効利用するため、賃金、異動期にまつわる要求、総研の電子レンジ増設、デジタル化、健康診断に焦点を絞って臨みました。
 賃金については、暮らしむきアンケートで、生活が「かなり苦しい」、「やや苦しい」と回答した青年の割合は56・4%(昨年より3・2ポイント増)であったことや、「食費を削っている。」「2日に1回しかお風呂に入れない」といった実情を訴えました。
 異動期にまつわる要求としては、採用・異動直後に事務に不慣れであることを理由にただ働き残業をしてしまう青年がいること、異動でシマのメンバーが大きく入れ替わると、青年が仕事を教えてもらいにくくなることを伝え、改善を求めました。
 総研の電子レンジ増設については、門限や家電の持ち込み制限等、厳しいルールの下で寮生活をしている総研生にとって、電子レンジの台数不足の問題は単に「不便」というだけでなく、「健康・安全」にもかかわる問題であることを主張しました。
 デジタル化については、青年に負担がかかりすぎないこと、ユーザーフレンドリーなシステム開発、IT人材の育成等を求めました。
 健康診断については、青年の健康に対する関心が強まっていること、女性職員の割合が増え、女性がん検診のニーズが高まっていることを主張しました。
 当局はいずれも従前回答を繰り返したものの、「職員の意見を聞き、取り入れられるものは取り入れていきたい」という姿勢を示しました。

賢く、強くなった青年協

 会議、交渉の後には、これまで常任委員全員で受講してきた「わくわく講座(全労連初級教育制度)」の学習発表会を開催しました。

 
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集まって、悩みを共有し、連帯感が向上
地連女性担当者会議・上京団交渉
 

 2月26〜27日にかけて、地連の女性担当者9名と本部・女性対策部4名の計13名が参加して地連女性担当者会議と引き続く上京団交渉を実施しました。

仲間と広くつながる重要性を確認

 昨年度は新型コロナ感染症の影響から、オンライン会議の後に本部・女性対策部と在京役員等で交渉を実施しましたが、今年はリアル参加を基本に会議と交渉を実施しました。
 初めに、女性対策部員で国公女性協議長でもある根本厚子さん(東京地裁支部)から、女性をとりまく情勢や国公女性協の取り組みについての報告とともに、6月17〜18日に新潟・越後湯沢で開催される国公女性交流集会への参加呼びかけがありました。女性の要求を実現するためには、裁判所だけで取り組むのではなく、国公女性協や全労連女性部など、多くの仲間と広くつながって共に運動を前進させていくことが非常に重要であると感じました。

女性の「寄せ書き」を最高裁に提出
女性の登用、母性保護の拡充、労働時間等で強い要求

 次に、翌日の上京団交渉の議題とも関連して、事前調査にもとづく各地の職場実態を出し合って討論しました。
 男女平等に関する要求では、女性の登用について、育児や家事だけでなく仕事面での負担が増え、女性職員が疲弊している実態や、登用にあたって転居する必要性についての疑問が出されました。また、母性保護の拡充等に関する要求では、生理休暇が取得しづらいことや、妊婦の業務軽減に関する対応が管理職によって異なること、更年期障害に関する休暇制度の新設について強い要望が出されました。
 労働時間等にかかわる要求では、職場が繁忙で育児時間を取り消さざるを得なくなっている実態や、朝の超勤が業務として認められづらいといった意見が出されました。
 女性職員の健康に関する要求では、女性がん検診の年齢制限の撤廃や検査項目の充実、不妊治療に関する金銭的な助成などに強い要望が寄せられました。
 家庭的責任を有する職員に関わる要求では、育児時間や子の看護休暇等の制度の拡充、男性の短期育休取得の際の代替要員確保の要望が出されました。
 2日目の午前中は、各支部の組織と活動についての意見交換を行いました。
 「集まろう女性、届けよう私たちの願い」の寄せ書き行動については、いろいろと工夫して取り組むことで、女性組合員のつながりを深めることができたという報告が各地からありました。また、育休中の組合員にもオンラインで参加してもらうイベントを開催した支部もあり、きっかけや手段は何であれ「集まる」ことがいかに大切で有意義であるかをあらためて実感しました。

職場実態を伝え、事務の効率化等で率直なやりとりも

 最高裁交渉では、冒頭に全国から集まった寄せ書きを、参加者を代表して中部と九州の担当者から手交した後、「異動の内示が遅いと保育園の入園申込みに間に合わない」といった非常にリアルで切実な実態や、障がいのあるお子さんを抱えながら様々な休暇制度等を利用して必死に働くシングルマザーの職員の心情などを伝えながら、全ての職員が働きやすくなるための職場環境の整備や制度の拡充などの要求について強く訴えました。
 総務課長の回答は「従前どおり」との回答がほとんどでしたが、事務の効率化等の具体案については率直なやりとりを行うことができ、秘匿情報のマスキング処理の範囲を縮小することなど、参加者から様々な提案を行うとともに、複数のシステムをほぼ同時期に導入したことにより非効率的な事務処理を余儀なくされた問題などで職場実態をぶつけました。
 女性同士が集まり、意見を交わすことにより、悩みの共有による連帯感の向上や、要求実現のための取り組みへの意欲と活力の充足などが行えた、とても意義のある2日間でした。

 
 
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