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  トップページ > 全司法新聞 > 2023年3月 > 2396号
 
 
全司法新聞
 
ビジネスコート(知財高裁・東京地裁中目黒庁舎)訪問記
開庁から4か月の職場実態
 

 昨年10月、知的財産高等裁判所・東京地方裁判所中目黒庁舎(通称・ビジネス・コート)が業務を開始しました。知的財産高等裁判所、東京地方裁判所の商事部、倒産部、知的財産権部など、ビジネスに関する裁判部が中目黒に移転したものです。2月20日、全司法本部は東京地裁支部と一緒に、同民事分会の職場会に参加して、組合員から率直な職場実態を聞きました。

本部と東京地裁支部で訪問
庁舎入口の様子

デジタル化で全国の先駆けを目指すものの…

 ビジネスコートは、中目黒駅から徒歩約10分で、桜並木で有名な目黒川が見える場所に建っています。庁舎は地下1階・地上5階建てで、淡いピンクの外壁に内部の案内表示なども桜のモチーフがあしらわれた、きれいな建物でした。ウェブ会議用ブースや国際会議を開くための会議場も備えています。
 玄関を入ると広いロビーに待合用の椅子が並べられていました。その片隅に桜の花びらを象ったお洒落な木製のラックが設置され、数台のタブレットが置かれていて、開廷情報を見ることができます。ただ、システムから直接データが転送されるわけではなく、MINTASのデータを抽出し、人手を介して整理したデータを表示しているのは、東京高地裁(霞が関)と変わりません。法廷には紙に出力した開廷表が掲示されていました。
 主に非訟を担当していることもあって、事件関係室がたくさん作られていました。ただ、机や椅子などの什器は専用のものを揃えたわけではなく、東京高地裁の庁舎で使っていたものを持ってきたため、スペースの割に机と椅子が少なくガランとした部屋になっているなど、あまり機能的とは言えません。他庁よりも立派なウェブカメラを整備したものの、ディスプレイのサイズとマッチせず養生テープで固定しているものもありました。
 書記官室も普通に執務用のデスクが並んでいて、他の庁舎との違いは感じません。ビジネスコートと言っても事務そのものは変わりがないため、特徴的な「現代型オフィス」を作った最高裁のデジタル推進室とは位置づけが違うのでしょう。なお、一人当たりの面積は通常より広めだそうです。

記録の閲覧謄写に対応できる人員などが重点要求

「ビジネスコート・コンセプト」
裁判所のホームページから

 職場の最大の要求は人員で、「訟廷部門の書記官につき、知財部との兼務を解消すること」です。破産、商事非訟、知財などの事件は閲覧謄写の申請が多く、対応する訟廷部門が繁忙で、本来は増員を要求したいところ、せめて兼務を解消して欲しいとのことでした。行政共助も多いとのこと。民事8部では9名中5名が、休職も含めて健康面で問題を抱えている実態もお聞きしました。「通信環境を改善すること」との要求も出されています。ビジネスコートのコンセプトにもかかわらず、開庁以来、電波が入りにくく、Wi―Fiが繋がりにくかったとのことでしたが、この間、少しずつ改善されているようです。また、目黒川が近くを流れている影響もあり、地下の湿気も問題になっているそうです。
 「全国の組合員に伝えるのに、何か特徴的なトピックはありますか?」と尋ねると、手元に持っていたスマホを示されました。ビジネスコートの職員は1人1台スマホが貸与され、内線電話のかわりに使っています。ただし、スマホに直接着信があるわけではなく、部屋の固定電話で受けたものを転送しているとのことでした。席にいなくても電話ができるメリットはあるものの、スマホに転送すると回線が空くので、新たな電話が架かってきて、すぐに対応ができないといった問題もあり、「固定電話を取って対応した方が良いという感じになっています」との実態も出されました。
 裁判所のデジタル化への対応も踏まえ、鳴り物入りで開庁したビジネスコートですが、設備面も含めて、まだまだ課題が多いと感じました。今後の改善に期待します。

 
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「集まる」春闘 各地で会議・イベントを開催
 

 全司法は、23春闘を「集まる」春闘にしようと呼びかけています。2月には各地連で、オンラインも活用しながら、集まって会議や学習会等が開催されました。

楽しく学び合えるイベントに

オンラインと会場を結んで(中部地連)
中部地連ロースクール

 中部地連は2月18日、21名の参加でオンライン併用の「中部地連ロースクール(裁判所の組織・制度と全司法を知る学習会)」を開催しました。「クイズで学ぶ裁判所の制度としくみ」の企画では、会計課所属の職員が「物件費について」「共済掛金について」、女性担当が「両立支援制度について」など、地連執行委員が分担してクイズを出題し、ZООМの投票機能を活用して、オンライン参加者も含めた全員参加型のイベントとなりました。
 また、米島地連副委員長が「給与と昇給・昇格について」講義し、本部から参加した中矢委員長がインタビュー形式で定年年齢の引き上げについて解説。鳥井地連委員長が「組織拡大強化の必要性」について講演して、翌日の組織対策会議につなげました。
 翌日の会議では、組織の強化・拡大について集中的に議論し、とりわけ、労働組合の活動や成果を「見える化」する必要性が確認されました。新入組合員へのフォローも含めて、組合員にわかりやすく情報を伝えるための工夫や、未加入者に「知ってもらう」ためにメリハリをつけて情報提供する必要性などが指摘されました。

4月新採対策は準備万端

4月のとりくみを
しっかり意思統一(中国地連)
中国地連組織対策会議

 2月18日、中国地連の組織対策会議が開催されました。
 4月期新採用職員の早期加入にむけて、地連から事前準備、当日の勧誘シナリオ、加入後のフォローなど、どんな準備をしていくべきか提案があり、各支部からは、シナリオに対し、新採用職員にとってもっと身近なことを話した方がいいのではないか、話をする順番を変えたほうが新採用職員に対してプラスの印象が残るのではないかなど、よりよくするための意見が出されました。ここで出された意見も参考に、各支部で早期加入にむけてとりくんでいくことを確認しました。
 また、ここ5年間の組織実態報告書を基に、地連が各支部の組織人員の増減理由を分析し、対策を提案しました。これまでにない視点の提案であり、各支部とも興味深く資料を見ていました。各支部には傾向と対策も参考に、これからのとりくみを検討してもらうことになりました。
 今回は、書記長が招集対象となっていたこともあり、組織拡大に関する課題だけでなく、秋闘期の交渉の振り返りや諸要求期にむけたとりくみ確認など、盛りだくさんの内容で行われた会議となりました。

たくさん遊んで学んだ
ウインタースクール(北海道地連)

「集まる」ことの大切さを実感

北海道地連・ウインタースクール

街歩きレクで自然と仲良くなれた

 北海道地連では、2月18日〜19日、青年を対象としたウインタースクール(労働学校)を開催し、14名が参加しました。また、青年協から小田議長及び仲程事務局長が来賓として出席しました。近年コロナ禍で青年が「集まる」イベントを企画できていなかったこともあり、今回は学習だけでなく、街歩きのレクレーションもあわせて行いました。
 1日目の街歩きでは、3〜4人の班に分かれて、お題のスポットを訪れ、写真を撮るというルールで、札幌観光を楽しみながら交流を深めました。街歩き後の全体会では、各班が撮影した映え写真、変顔写真、トリックアート写真など楽しそうな様子の写真がたくさん紹介され、各班でいろんな楽しみ方をしていたことが分りました。参加者からは、「同じ班の人とは初対面だったが、歩きながら緊張せずに話せたので、自然と会話が弾んだ」との感想が出されました。

私たちの賃金と春闘との関係を学ぶ学習会

 2日目の学習会は、前半と後半に分けて実施しました。前半は、小田青年協議長から、12月から2月にかけて実施した「青年の暮らしむきアンケート」の結果をもとに、青年が今抱えている問題とその解決のために青年協が取り組んでいることについて紹介しました。後半は、「賃金」をテーマに学習を行い、物価高騰のもとでの賃上げの必要性等について小田青年協議長及び吉田青年対策部長(兼青年協副議長)が労働組合や公務員賃金に関する基礎知識をレクチャーしたうえで、全司法のYouTube動画2本(「全司法新聞で一緒に…2ndSeason」第7回及び「『労働者が賃金を要求するということ』(全労連事務局長・黒澤幸一さん)講演ダイジェスト」)を視聴しました。
 参加者のほとんどがコロナ禍で採用された青年で、お互い初対面という顔ぶれでしたが、閉会する頃にはすっかり打ち解け、和気あいあいと談笑している姿が見受けられました。今春闘のテーマである「集まる」ことの大切さを感じられるウインタースクールになりました。

 
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Opinion!裁判所のデジタル化 第5回

「デジタル化」って何でしょう?

岡田太郎(和歌山支部書記長)

 「デジタル化」って何なんでしょう?
 支部組合員に聞いてみたところ、「ペーパーレスになる」「便利になりそう」という回答が多かったです(圧倒的に多い回答は、「わからない」ですが)。多くの方(幹部を含め)も、同じような感想ではないでしょうか。
 では、「デジタル化」って何なんでしょう?

デジタル化は「情報の共有」

 あくまで考え方の一つですが、「情報の共有」ではないかと考えています。
 今や、クレジットカードの使用履歴は、スマホでいつでもどこでも確認できる時代です。裁判所では、未だに、裁判所に出向かないと、情報にアクセスできません。
 裁判所に期待されるのは、記録をデータ化し、国民の皆さんの端末からアクセスできるようにする(「情報の共有」)ことだと思います。
 さて、冒頭でデジタル化と聞いてペーパーレス化と答える方が多いと紹介しました。ペーパーレス化は、情報を共有するための前提・手段として重要でしょう。しかし、デジタル化に求められていることは、その先にあり、データ化された記録にアクセスできるようにして初めて目的を達成できるのだと思います。

デジタル化が目指すゴールを職員に説明すべき

 最高裁は、職員から直接意見を聴く姿勢ですが、今の職員の理解状況だと、議論の方向を誤る危険性があるように思います。
 最高裁は、職員から意見を聴く前に、「デジタル化」とは何か、デジタル化の目指すべきゴールを職員に説明する必要があるのではないでしょうか。

 
 
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