全司法ではこの間、国公労連の提起にもとづいて、春闘要求や職場実態に関する各種アンケートにとりくみました。全司法の集計分を取り出して見ると、生活や職場の状況が見えてきます。3つのアンケート結果から、その特徴を見ていきましょう。
生活実感
「苦しい」が4割
再任用者では7割
今年度も「国公労連2022年春闘要求組織アンケート」にとりくみました(集約数739人)。
生活実感では、38・6%が「かなり苦しい」「やや苦しい」と回答し、「かなりゆとりがある」「ややゆとりがある」との回答は11・7%に過ぎません。とりわけ、再任用者では、「かなり苦しい」「やや苦しい」が69・7%にものぼっており、再任用制度における賃金設定の低さが影響した結果となっています。
「働きぶりについて、心身の健康に不安を感じるか」では、55・3%が「強く感じる」「やや感じる」との回答しており、50歳代や再任用者では「強く感じる」が10%を超えています。
「労働条件等の課題で労働組合が力を入れるべき活動」では、「賃金・退職手当等の改善」と「職員の増員」が特に多く、続いて「仕事と家庭の両立支援対策」「業務のカット・簡素化」「メンタルヘルス対策など健康の維持・増進」となっており、生活実感や繁忙等の職場実態が反映されたものとなっています。
コロナ対策
「衛生資材の備蓄・確保・設置」を
「新型コロナ感染症対策として、職場での対策で必要なもの」としては、回答の多い順に「マスク・消毒液など衛生資材の備蓄や確保、設置」「テレワークの拡大・費用負担」「リモート会議の拡大」「アクリル板の設置などによる予防措置」となっています。
非常勤職員
雇用の安定、休暇をはじめとした格差是正を
「要求組織アンケート」と同じ時期に、国公労連の「非正規で働く仲間の要求アンケート」にとりくみました(集約数32人)。
生活実感では、「かなり苦しい」「やや苦しい」との回答が56・3%となっており、常勤職員よりも17・7ポイントも高く、非常勤職員が低賃金におかれている実態が表れた結果となっています。
「今の仕事や職場について、とくに不満や不安に感じること」では、従前と同様に、「雇用契約を更新されないのではないか」などの不安定雇用に対する不安が最も多くなっているほか、続いて「正社員との賃金・労働条件の格差」「賃金が安い」「休暇がとれない」が多くなっています。
「政府・人事院に対する要求」では、「期間業務職員の『3年公募要件』見直しなど、雇用の安定をはかる制度整備」が最も多く、「無給となっている休暇の有給化をはじめとした休暇の充実」「時給1500円未満の労働者をなくすこと」「採用時からの年次有給休暇の取得(付与)」が続いています。
カスハラ
受けたことがあるは5割
見たことがあるは7割
昨年7〜8月、国公労連に結集し、「カスタマーハラスメント実態調査」にとりくみました(集約数151人)。
調査結果では、53・0%がカスハラを受けたことが「ある」、72・2%がカスハラを受けている職員を見たことが「ある」と回答しており、裁判所の職場において、カスハラを受けることが珍しくない状況だと言っても過言ではありません。
職員救済のための制度
周知は極めて不十分
しかしながら、カスハラ被害にあった場合に相談窓口等に相談できることを「知らない」が81・5%、相談窓口の設置について「設置されていない」「わからない」があわせて87・5%にものぼります。2020年6月から、カスハラはパワハラの一類型(ハラスメントの行為者には、事件関係者を含む)とされるとともに、苦情相談を受ける体制を整備し、苦情相談があった場合には、当該問題を解決するために、迅速かつ適切に対処することが管理監督者の責務とされました。調査結果は、これらの制度周知が極めて不十分であることを示すものと言わざるを得ません。
カスハラ実態調査
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