各地からの報告をもとに
新型コロナによる緊急事態宣言をふまえ、春闘期の地連担当者会議はすべてオンライン開催とし、上京団交渉等(調査官、事務官、女性、青年協交渉)については、各地連を通じて本部に報告された職場実態とそれにもとづく要求を常任の中央執行委員が最高裁に伝える形で実施しています。
調査官上京団交渉
家裁調査官については、昨年11月に担当者会議を実施しています。同会議を踏まえた上京団交渉を2月8日に実施しました。
主張した職場実態と要求は以下のとおりです。
3月の応用研修延期を含め、調査官の要求を主張
人員については、最高裁が増員にむけた予算要求すら行わない中、コロナ禍を背景とした保全事件や児童福祉法28条事件の増加に伴う負担の増加、調査官未配置庁等への出張・てん補等の具体的な実態などを示して追及し、調査官の大幅増員を求めました。
組織的事務処理体制についても触れ、当事者との意思疎通、信頼関係が構築しにくくなることや日程調整、情報の共有・統合に要する負担が増えるなど、事件処理の質や効率化の点からの指摘を行いました。
少年調査票の様式改定に関わっては、裁判官を交えた検討会を行った職場において、最高裁から記載例が示されない中では疑問を出し合うにとどまったことも示し、関係職員の理解と納得を十分に得ながら時間を十分にとってすすめるよう追及しました。
3月8日から実施される調査官応用研修については、研修参加者自らが集約した研修参加に対する不安の声、延期やオンライン開催を求める声を伝え、実施の必要性や感染防止対策の丁寧な説明を求めました。その後、研修日程等が一部見直されました(全司法情報3527参照)。
この他、SEABISの使い勝手の悪さや官用車利用ができない場合などの出張に伴う負担、小規模庁における若手調査官の育成のための態勢整備、早期内示や家庭事情への配慮をはじめとする異動に関わる問題などについて主張し、要求の実現をめざしました。
上京団という位置づけもあり、最高裁の回答は従前どおりにとどまりましたが、改めて職場実態をつぶさに伝え、当局に検討を求める機会となりました。
地連事務官担当者会議・上京団交渉
現場任せ・職員任せの在宅勤務
2月14日〜15日、地連事務官担当者会議と引き続く上京団交渉を行いました。
会議では、人員に関わって、文書開示や文書管理を担当する総務課、人・給システム導入を控える人事課、庁舎新営、感染防止対策物品の調達を担当する会計課などが全国的に繁忙な状況にあることが明らかになりました。
コロナ関係では、在宅勤務について、最高裁による統一的な指針や取扱いが示されないために、現場任せ、職員任せとなっている実態、在宅勤務の試行に関して組合及び職員への説明が不十分といった報告もあり、最高裁が各地の状況を全国にフィードバックすることが必要との意見もありました。
ジョブローテーション、専門性など様々な角度から事務官制度を討議
IT化の課題では、NAVIUS、SEABIS等の各種システムの使い勝手の悪さ、毎週木曜日の職員端末のフルスキャンによる事務支障等の実態が報告されました。また、インターネット閲覧専用PCの台数が不足していることや、ウェブ分離ソリューションの概要や導入スケジュールを早期に示してもらいたいとの意見も出されました。
職員制度に関わっては、新採用事務官の配置を含むジョブローテーションのあり方、専門性を付与するための研修などについて様々な角度から討議を行いました。また、新たな枠組みで増設された下級裁の事務局専門職の発令を小規模庁にも求める意見がありました。
昇格課題では、4級や3級で退職せざるを得ない事務官がいることが報告され、「退職時までに誰でも5級」の枠組みの運用問題や共済組合が統合された場合の係長ポストの確保をはじめ、事務官の処遇が後退しないよう追及が必要との意見も出されました。
増員、在宅勤務、システム改修、超勤実態把握などで上京団交渉
上京団交渉では、繁忙解消のための増員、在宅勤務時の環境整備、システムの改修、フルスキャンによる事務の停滞、正確な超過勤務の実態把握、昇任・昇格など、会議で出された職場実態等を踏まえて追及し、要求前進をめざしました。
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