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全司法新聞
 
「求められる役割にふさわしい組織と運動」をみんなで作ろう
全司法第76回定期大会
 

組織と運動をみんなで作り、
つなぐ決意を込めて
 全司法は、7月21日から23日、滋賀県長浜市において第76回定期大会を開催しました。
 「求められる役割にふさわしい組織と運動をみんなで作り、明日につなごう!」というスローガンのもと、人員、超勤(上限規制)実態をはじめとする職場の現状、昇格、職種、次世代育成、宿日直等の課題が議論されたほか、賃金、憲法、平和と民主主義、少年法などの課題についても??全司法に求められる役割が活発に語られました。また、大量退職・採用期を迎えるにあたって、組織拡大・強化がきわめて重要になっていることを確認する大会となりました。

簡素化・効率化の到達点を職場で共有し、意識を変えよう

 定期大会には代議員・オブザーバー、執行部・来賓など含め全体で100人が参加し、議長には札幌支部の桂茂憲代議員、大阪支部の豊田勝利代議員が選出されました。
 まず、中央執行委員会を代表して中矢委員長が、参院選の争点を中心とした情勢及び大会の目的と役割に触れながらあいさつを行った後、国公労連の橋本副委員長、全法務の小山書記長、裁判所退職者の会全国連合会の中島会長から激励と連帯のあいさつをいただきました。
 続いて、本部から、2019年度運動方針案(第1号議案)、2018年度決算と会計監査報告、2019年度財政方針案(第2号議案及び第3号議案)の提案を行いました。
 運動方針の提案で、長岡書記長は、消費税増税、年金を含む社会保障改悪、大企業優遇・アメリカ追随といった安倍政権の政治姿勢を「逆立ちの政治」と指摘し、「市民と野党の共闘が広がる中で、多くの国民が政治に関心を示す状況が生まれれば、安倍政権の暴走にストップをかけられる。『8時間働けばふつうに暮らせる社会』や『だれもが安心して働き続けられる社会』の実現をめざして力を尽くそう」と呼びかけました。
 職場諸要求の課題では、事務の簡素化・効率化について最高裁が通達等の見直しに言及し、最高裁の責任ですすめる姿勢を示したこと、厳格化一辺倒の過誤防止策から合理性のある事務処理へと大きな転換をはかったことの2点を大きな到達点として指摘し、「職場全体で共有することが必要であり、職場の管理職の意識を変えさせなければならない」と述べました。また、今般勝ち取った家裁調査官の二重の異動解消をはじめ、2012年に「家裁調査官育成のための新たな新施策」が導入されてから7年でかなりの改善を勝ち取ったことに触れ、「たたかえば要求は実現することを確信にしよう」と呼びかけるとともに、今後も様々な課題で最高裁を追及し、具体的な要求前進を勝ち取っていこうと述べました。

組織拡大に全力、次世代継承に総力を

 組織拡大・強化の課題では、「大量退職期の入口に差し掛かったもとで、組織と運動の継承と発展をめざしていくことが極めて重要」だと強調し、組合員を増やすことに全力を尽くし、日常活動を点検してより一層全司法の活動を職場に根付かせていこう、若手組合員の育成を意識的にすすめ、全司法の組織と運動を次世代に継承するために総力を上げようと呼びかけました。
 討論では、情勢、民主的公務員制度、全司法大運動、賃金、少年法、平和と民主主義を守るとりくみ、事務の簡素化・効率化や超勤の上限規制を踏まえた職場実態、昇格、両立支援制度、宿日直などの要求課題、職種・階層、組織拡大・強化などのとりくみについて、延べ93人から発言がなされました。
 討論を受けて、執行部から2回の中間答弁及び討論終了後に総括答弁があり、議案の採決を行いました。提案された議案はすべて可決されました。

副委員長に大杉氏、書記長に鳥井氏、書記次長に簑田氏を選出

 役員選挙では、立候補者全員が信任されました。本部専従役員では、田中副委員長、長岡書記長が退任し、新執行委員として大杉浩二さん(東京高裁)、簑田明憲さん(宮崎)が選出され、鳥井書記次長が書記長に就任しました。また、在京以外からは初の女性対策部長として牧坂弘美さん(愛知)が、河上真啓さん(大阪)が書記官、鮎川恭子さん(宮城)が調査官の職種担当として、新たに選出されました。あわせて、森慧佑執行委員について引き続き、国公労連中央執行委員に推薦するとの人事案件が承認されました。
 最後に、「『安倍9条改憲』反対、憲法を守り、活かすとりくみをすすめる決議」「少年法の適用年齢引下げに反対する決議」の2本の決議のほか、沖縄支部の濱口宜明代議員の読み上げにより大会宣言を採択し、委員長の団結ガンバローで閉会しました。

 
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中矢委員長あいさつ(要旨)
ここが組織強化・拡大の「がんばりどころ」
 

消費税・年金が重要な争点に

中矢委員
 今回の参議院選挙で何が争点になっていたかということは、これからの労働組合の運動を考えるにあたって重要な情勢の柱になります。
 まず、10月からの消費税の引き上げです。消費税はそもそも収入の少ない人ほど負担が重くなる逆進性の高い税金ですが、実質賃金が上がらず、個人消費が落ち込み、国民生活の苦しさが広がっているもとで税率を上げると、生活はさらに困窮し、日本経済は深刻な危機に陥ります。消費税の大部分が実質、大企業減税のために使われてきたことも明らかになっています。
 年金だけでは老後の生活資金が2000万円不足するとの報告書を金融庁が発表したことで、年金が一気に争点になりました。高齢等の理由で働けなくなった時に生活できるように、現役時代から労使で掛け金を掛け、国も財政を支出する年金制度は「賃金の後払い」と言われ、労働運動の中で勝ち取った制度です。これをご破算にする政策は断じて認められません。

一貫して憲法を守り活かす立場で

 最低賃金の引き上げは与野党一致しているように見えますが、「将来的に時給1000円を目標」にしている自民党と「ただちに1000円、すみやかに1500円を目指す」野党の立場は似て非なるものです。自民党が引き続き労働法制改悪を進めようとしているのに対して、野党は「8時間働けば普通に暮らせるルールの実現」を掲げました。これは、全労連などの要求を反映したものです。
 そして、憲法の問題です。安倍政権は2015年に安保法制を強行採決して成立させ、自衛隊がアメリカと一体で作戦を遂行できるよう着々と準備をすすめていますが、憲法9条が歯止めとなって、集団的自衛権を含む安保法制の全面的な発動ができずにいます。「自衛隊を憲法に明記する」ことは、この歯止めを取り払うことです。全司法は、憲法尊重擁護義務がある国家公務員の労働組合、裁判所職員の労働組合として、一貫して憲法を守り活かす立場で活動を進めています。憲法をめぐる問題は引き続き重要な課題だということを確認したいと思います。

職場での対話活動が運動の「要」

 一昨年の第74回定期大会で、支部の自主的・自立的な活動を全司法の運動の中心に据える方針を確立し、職場における対話活動の強化をその「要」として打ち出しましたが、いよいよ3年目に入ります。文字通りすべての支部で自主的・自立的な活動、職場における対話活動ができるようにしたいと考えています。
 裁判所は再び大量退職・採用期を迎えようとしています。これから毎年のとりくみが、今後何十年にも渡る全司法の組織状況と、裁判所における全司法の存在意義や役割を決めることになります。いよいよここが組織強化・拡大の「がんばりどころ」です。
 本大会でみなさんに「全司法が求められている役割」について、改めて考えてみてほしいと思います。そして、「やっぱり、全司法は大切だな」という認識をみんなで共有したいと思います。
 「求められる役割」を果たすために組織を強化・拡大し、今後も引き継いでいくこと、とりわけ「次世代の担い手」を作ることを、しっかり意思統一しましょう。

 
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総括答弁(要旨)
要求前進・組織拡大に向け、
やるべきこと、できることは、全てやろう
 

情勢

情勢分析・認識共通は要求実現に不可欠

総括答弁する長岡書記長
 年金2000万円問題や森友・加計問題に加え統計不正等により、行政に対する国民の信頼が揺らいでおり、安倍暴走政治の本質が指摘された。近年、全司法が政治課題について取り扱うべきではないとの意見が散見されるが、勤務条件法定主義のもと、情勢を分析し共通認識にすることは、要求実現のために不可欠である。「組合員とその家族の命と生活を守る」という立場から、基本的人権が広く尊重され享受される社会の実現をめざし、大企業優遇、国民には痛みを押し付ける政治に対し、「誰もが安心して暮らせる社会」の実現を求める立場から反対するものである。国民本位の政治へと変えていくために、特定政党支持の押しつけに反対する立場を堅持した上で、政治革新にとりくむことも方針で提起しており、国民のための政治、憲法と民主主義が活かされる社会の実現をめざして、広範な労働者・国民との共同のたたかいに結集していきたい。
 人事院が検討する住居手当の見直しは多くの職員にとって改悪であり、見直しの凍結はもとより、算定方法の見直しや最高支給限度額の改善など、改悪部分を減らし、多くの職員が利益を享受できるよう、引き続き産別結集を軸にとりくんでいきたい。

全司法大運動

各支部の総括を土台に次年度もとりくみ推進を

 国会議員要請行動の経験や、地域共闘のつながりの中で署名数を確保している経験など、全司法大運動の意義をしっかり受け止め奮闘してきたことが報告された。福岡支部柳川分会では7人の組合員全員が思いを共有し、それぞれ分担しながらとりくんだ結果、署名数の増加と組合員全員の達成感につながったとの教訓も示された。2019年度全司法大運動のスタートにあたり、各支部での課題を次期の執行部で改めて確認し、各支部の総括を土台にした推進計画の作成に着手するよう要請する。次年度も国公増員請願署名と全司法大運動署名を車の両輪に位置付け、相乗的に高めていくことを重視したい。

職場諸要求

最高裁回答を下級裁や管理職に徹底させよう

 超勤上限規制では、不適切な管理職の対応も含め、職場で生じている問題点が明らかになった。これから秋のたたかいにおいて、最高裁回答を現場の管理職員に守らせるとりくみを現場ですすめてもらいたい。
 全司法は上限規制が健康課題であることを踏まえ、導入段階から、過労死ラインを容認する他律的部署について裁判所においては設定しないこと、仮に設定するとしても、限定的に行うこと、特例超勤は趣旨に則った限定的な運用を行うよう求めてきた。一方で、超勤の申告は過不足なく行うべきであり、必要な超勤はきちんと認められるべきである。適正な運用を図らせると同時に、事務の簡素化・効率化も含め、いかに超勤を減らしていくかが重要。上限規制もテコに、心身ともにゆとりを持って働きつづけられる職場環境を作っていきたい。
 依然として事務の簡素化・効率化が現場任せとなり、繁忙状況が続く中で、配置の問題も含めて簡素化・効率化に逆行するような実態も指摘された。通達改正等に言及した最高裁回答を、具体的な改善策を打ち出させる武器にし、最高裁回答の趣旨を下級裁当局や現場管理職に徹底させることが決定的に重要。秋以降、最高裁回答を活用し現場での対応を強化するとともに、職場の隅々で認識の共有を図ってもらいたい。
 困難当事者の増加やカスタマーハラスメントに対する組織的な対応が求められていることが指摘された。国公労連も当事者等からの暴行、暴言、名誉棄損等に問題意識を強めており、政府・人事院との交渉でも追及を強めるとともに、人事院のパワハラ検討会のヒアリングでも対策の必要性を説明している。厚生労働省が策定した安全確保対策要綱も参考に、当事者からのハラスメントや人権侵害に対し組織的に対応していくよう、国公労連等にも結集しながら追及を強めたい。
 多くの代議員から、現在の宿日直の運用や連絡員体制が限界に来ていることが明らかにされ、宿日直は「勤務密度の極めて薄い断続的勤務」とする人事院規則と裁判所の実態の矛盾についても指摘された。宿日直は待機中心であり、何らかの対応が常にあれば、本来業務として勤務時間の割り振りや交代制勤務で対応すべきである。こうした矛盾を最高裁に訴え、令状センター実現に向けて検討を加速させるよう求めるともに、当面、通常業務と同等の事務に対しては超過勤務で対応するよう要求したい。
 昇格闘争において、個別の発令を要求していくことや事務官処遇改善に向けたポスト拡充の必要性について指摘された。引き続き昇格改善に向けて最高裁への追及を強めるとともに、昇格を視野にいれた人材育成・能力開発を当局の責任で行わせるため、評価者訓練の徹底や人材育成のスキル向上を求めていきたい。

職種・階層

「全ての支部で青年部の結成・再結成をめざす方針」を支持・援助

 行(二)職員の処遇の維持確保に向け、最高裁への追及を強めるとともに、部下数制限撤廃に向けて、国公労連への結集を強めていきたい。書記官の課題では、「郵券事務から書記官を解放する」との観点で、送達費用手数料化の早期実現を強く求めるとともに、具体的な改善策を最高裁に提案できるよう、地連書記官担当者会議で議論を深めたい。速記官の課題では、電子速記タイプライター官支給という大きな要求実現を踏まえ、組合の存在意義をアピールし全司法の力を大きくしていくことを確認したい。
 レク活動を中心に、青年部の元気な活動が伝わる発言が相次いだ。今後も青年らしく楽しい活動をすすめるとともに、「自分たちの要求は自分たちで実現する」との立場で、青年が自主的に話し合い、改善すべき課題や要求を見つけ出す活動も位置付けてもらいたい。その上で、全司法青年協が提起する「全ての支部で青年部の結成・再結成をめざす方針」を支持し、惜しみなく必要な援助をしていくことを全体で確認したい。

組織

活動に自信と確信をもって加入呼びかけを

 組合員を増やすために「当たり前のことを当たり前にやる」こと、私たちの活動に自信と確信を持って加入を呼びかけること、対話や教宣を通じて組合の存在意義を感じてもらえる活動の重要性など、教訓に満ちた発言があった。人と人との結びつきで成り立つ組織であるからこそ、仲間を大切し、悩んでいる人をひとりにしないという思いを全体で共有したい。全司法が職場で果たしている役割を職場にしっかりと伝え広げる活動を今後も重視していきたい。
 大量退職、大量採用期を迎える中で、組織拡大に組織の総力を挙げ、人材育成を意識的にすすめていくこと、要求と組織を一体のものとした活動をさらに広げていくことを全体で確認し、要求の前進、組織の拡大に向けて、それぞれの持ち場で力を尽くし、「やるべきこと、できることは全てやる」決意を固め合いたい。

 
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全司法第37回機関紙コンクール審査結果
 

 定期大会にあわせて、第38回機関紙コンクールを開催しました。
 支部の自主的・自立的な活動をすすめていくうえで、支部独自の機関紙発行は要となるとりくみです。また、組織の強化・拡大のためには、職場で目に見える活動をすすめることが必要不可欠であり、その最も有力なツールとなるのが機関紙です。すべての支部が機関紙発行を活動の中心に位置付けてとりくむことを呼びかけるとともに、次年度以降、さらに多数の機関紙がコンクールに応募されることを期待します。
 最優秀賞の「あゆみ」(沖縄支部)は、情報の鮮度、読まれる工夫、集団編集体制、スケジュール管理などに気を配って年20回の定期発行を行うとともに、SNSとの連携を図るなど、充実した教宣活動を行っていることを全体として評価しました。
 第1部門の優秀賞は、毎号充実した紙面で年45回の圧倒的な発行回数を実現している「うず」(徳島支部)、支部の機関紙に相応しい内容と読みやすい紙面の「全司法あいち」(愛知支部)の2紙としました。とりわけ、組織強化を意識して多くの組合員を登場させ、職場会も結びつけた紙面づくりをしている「うず」のとりくみは、全国をリードする素晴らしいものです。
 第2部門の応募作は今年も少なく、分会での機関紙発行が困難になっている様子がうかがえました。しかし、分会の機関紙は組合員に労働組合を身近に感じてもらううえで、最も効果があるとりくみです。今後、発行する分会が増えることを期待します。
 「日刊みんじ」(東京地裁支部民事分会)、「おはようけいじ」(東京地裁支部刑事分会)はバランスがとれた内容で、組合員だけでなく、未加入者・管理職も含めた職場の貴重な情報源となっていることを評価して優秀賞としました。
 第3部門では、青年部・女性部の機関紙については優秀作を選び、わかりやすく、読みやすい紙面の「てべなん。」(札幌支部青年部)、女性部の活動の楽しさが伝わってくる「日向かぼちゃ」(宮崎支部女性部)を、青年協議長賞、女性対策部長賞としました。青年部・女性部の機関紙は発行するだけでも大きな意義があります。「青年部活動の再起動」「女性が集まる機会」が重要な組織課題となっており、こうしたとりくみともあわせて、多くの青年部・女性部等が機関紙を発行されることを期待します。
(教宣部)

 
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全司法大運動署名通算23回目の請願採択 紹介議員一覧
 

 全司法がとりくんだ「裁判所の人的・物的充実を求める請願」は6月26日、衆・参両院で採択されました。通算23回目の請願採択です。以下の方々に紹介議員になっていただきました。

衆議院 31名

宮川典子(自民)
宮崎政久(自民)
遠山清彦(公明)
逢坂誠二(立憲)
枝野幸男(立憲)
川内博史(立憲)
松田功(立憲)
黒岩宇洋(立憲)
松平浩一(立憲)
田嶋要(立憲)
阿部知子(立憲)
小川淳也(立憲)
櫻井周(立憲)
神谷裕(立憲)
森田俊和(国民)
藤野保史(共産)
畑野君枝(共産)
赤嶺政賢(共産)
笠井亮(共産)
穀田恵二(共産)
志位和夫(共産)
塩川鉄也(共産)
田村貴昭(共産)
宮本徹(共産)
橋千鶴子(共産)
清水忠史(共産)
本村伸子(共産)
重徳和彦(社保)
中島克仁(社保)
階猛(無所属)
柚木道義(無所属)

参議院 25名

真山勇一(立憲)
有田芳生(立憲)
宮沢由佳(立憲)
杉尾秀哉(立憲)
福島みずほ(社民)
田名部匡代(民主)
木戸口英司(民主)
森ゆうこ(民主)
櫻井充(民主)
井上哲士(共産)
市田忠義(共産)
岩渕友(共産)
紙智子(共産)
吉良よし子(共産)
倉林明子(共産)
小池晃(共産)
田村智子(共産)
大門実紀史(共産)
武田良介(共産)
辰巳孝太郎(共産)
仁比聡平(共産)
山下芳生(共産)
山添拓(共産)
糸数慶子(沖縄)
伊波洋一(沖縄)

※社保…社会保障を立て直す国民会議
 沖縄…沖縄の風
(順不同・敬称略)

 共産党は党全体としてメッセージをいただきました。

 
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少年法適用年齢引下げ反対で広がる運動
 

 全司法は第76回定期大会で「少年法の適用年齢引下げに反対する決議」(下に記載のもの)を採択し、法制審議会と最高裁に提出しました。

「各界懇」のとりくみで運動に広がり

 少年法の適用年齢については、2017年以降、法制審議会の少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会での審議が行われており、7月31日には第17回会議が開催されています。
 一方、この間、適用年齢引き下げの問題点が伝わることで、これに反対する声が徐々に広がっています。
 特に、日弁連の呼びかけに応えて、子どもの成長発達や立ち直りに関心を持って活動している諸団体が集まって1月8日に作られた「少年法の適用年齢引下げ問題に関する各界懇談会」(各界懇)は、保守系の団体を含め、立場の違いを超えた多くの団体が参加して、とりくみをすすめています。全司法も参加し、中心的な役割を担っています。
 4月9日に、与野党から多数の国会議員の参加を得て、院内集会を成功させたのに続いて、6月13日には15団体連名で「私たちは少年法適用年齢の引き下げに反対です。有効に機能している現行少年法の維持を強く要望します」とする要望書を法務大臣、法制審議会、衆参両院議長、主要政党などに提出するとともに、記者会見を行いました。会見の様子は共同通信が配信するとともに、ヤフーニュースにも掲載され、多くの人の目に止まりました。あわせて、参加団体の周辺にも適用年齢引き下げの問題点が広がりつつあります。

法制審にも影響秋がヤマ場か?

 こうした動きは、法制審議会の審議にも影響を与えているものと思われ、6月に予定されていた会議が流会となったほか、7月の会議以降、9月に次回の日程は入っているものの、何を審議するのかといった具体的な審議予定が立っていない状況になっているとも言われています。
 一方で、法制審議会の全体会議が毎年9月と2月に開催されることから、来年2月の全体会議に向けて、この秋が大きなヤマ場になるとの見方が強くなっています。まさに、適用年齢引き下げを許すかどうか、せめぎ合いの状況になってきたとも言えます。
 引き続き、こうした他団体との共同のとりくみを広げるとともに、今回の大会決議を活用した学習・宣伝を行うなど、裁判所の職場内での世論づくりを行って行くことが重要になっています。


少年法の適用年齢引下げに反対する決議

 2017年2月9日、「少年法における『少年』の年齢を18歳未満とすること及び非行少年を含む犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事法の整備の在り方」について法制審議会に諮問され、現在、少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会において審議がすすめられています。
 公職選挙法で選挙権を行使できる年齢が18歳以上となり、民法の成年年齢が18歳に引き下げられることが決まったもとで、これと年齢を揃えることが少年法の適用年齢引下げ論の根拠とされていますが、そもそも、適用年齢は目的に沿って法律ごとに定められるべきものであり、一律に揃える必要はありません。
 家裁調査官、裁判所書記官など、現場で実際に少年事件に関わってきた多くの者が18歳・19歳を少年法の適用年齢から外すことについて、実態にそぐわない違和感や問題意識を持っています。18歳・19歳は経済的・社会的にはまだまだ成熟していない、まさに少年法に相応しい人たちです。高校卒業、進学・就職という人生の転機を迎える年齢であることから、その躓きが「非行」という形で現れるケースもある一方、成長・発達段階において、生活環境の変化等によって立ち直るきっかけを掴む可能性が大きい年齢でもあります。少年事件の現場でも、家庭裁判所や少年院が実施する教育的措置の効果が現れやすく、更生の可能性が高い年齢であり、こうした18歳・19歳を少年法の適用年齢から外すことは、本人の更生にとっても、再犯を防止して安全な社会を作るうえでも、百害あって一利なしです。
 また、少年法は教育を目的とした法律であるため、まだ非行に至らない段階や軽微な事案であっても保護的措置、教育的措置をとることができる仕組みになっており、時には社会からドロップアウトする危険性のある若い人たちを保護するセーフティネットの役割を果たしてきました。その大きな柱が「すべての事件が家庭裁判所に送られ(全件送致)、家裁調査官の調査や裁判官による審判を受けたり、様々な教育的措置が行われる」ことです。18歳・19歳をこうした枠組みから外してしまうことは、家庭裁判所の福祉的・教育的機能を大きく後退させることにつながります。
 ところが、法制審議会における審議は、もっぱら犯罪者処遇のあり方に議論の中心が置かれ、18歳・19歳の実態や、これを少年法の適用年齢から外すことの法的・刑事政策的な課題について十分な検討が行われているとは言えません。家庭裁判所が担うことが検討されている「若年者に対する新たな処分」も、法的に様々な矛盾が指摘されるとともに、少年法が果たしている役割の代替とはなり得ない制度です。実務においても、出頭確保や家裁調査官による調査のあり方など、運用や効果の面でも多くの問題が懸念されます。現行の少年法の適用年齢を維持し、家庭裁判所の人的・物的充実を図っていくことこそが、国民から負託された家庭裁判所本来の役割を果たすのにふさわしい在り方だと考えます。
 私たちは、少年法の適用年齢引下げに反対し、家庭裁判所の福祉的・教育的機能に相応しい事件処理体制の確立をめざしてとりくみをすすめることを決意します。
 以上、決議します。

2019年7月23日
全司法労働組合第76回定期大会

 
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2020年を核兵器廃絶の歴史的な転機に
2019原水爆禁止世界大会
 

核兵器をなくすのは市民社会の力

オープニングセレモニーで
「平和の鐘」が披露
 8月7日〜9日にかけて、長崎市において2019原水爆禁止世界大会が開催されました。
 当日は、台風一過のうだるような暑さの中、長崎市市民会館体育館で4千人が参加をして開会総会が行われました。
 開会あいさつでは、核兵器禁止条約の批准国にボリビアが加わり、条約の発効に必要な過半数に達したことが報告され、会場からは大きな拍手があふれたほか、インドとアメリカで集められた「ヒバクシャ国際署名」や核兵器廃絶を求める署名が被爆者に手渡されて核廃絶への想いが会場一体となり、2020年を核兵器廃絶の歴史的な転機とするため、ヒバクシャ国際署名を世界中に広げ、原水爆禁止世界大会ニューヨークへの総結集が呼びかけられました。あわせて、被爆国である日本が、核兵器禁止条約に参加していないことの問題が指摘をされ、日本も参加するよう「ヒバクシャ国際署名」の活動を大きく広げていくことが全体で確認されました。
 また、あいさつに立った田上長崎市長は、「核兵器をなくすのは市民社会の力だ」と述べた上で、「米いいなりで日本を戦争に引きずり込む安倍政治からの転換を目指し、原水爆禁止運動に連帯する」表明がなされ、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。

教訓が生かされないまま再稼働が続いている

 2日目は分散会が開催され、私が参加した第6分散会では「核兵器と原発」をテーマとした講義と意見交換が行われ、原発をなくし自然エネルギーへの転換をめざした交流が行われました。原発の問題では、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から八年が経過しているにも関わらず、その後処理が進まない中、事故の教訓が生かされないままに原発再稼働が続いている問題が各地から報告され、被災地や現地の声を反映させたものとなるよう求めていくことが確認されました。
 その後、国公労働者平和のつどいが長崎県国公の協力のもと開催されました。平和式典に備えるため、参加者には折り紙が渡され、折り鶴を折りながら、長崎の原爆投下により、母親、弟、妹を亡くされた被爆者の方の話を聞き、核廃絶のために何ができるのかを考える機会となりました。
 最終日の閉会総会では、「長崎からすべての国の政府への手紙」という特別決議を確認し、「核兵器のない世界」を実現するためのとりくみを全体で確認し、参加者が語り部となり、核兵器廃絶の運動をすすめていくことを全体で確認しました。
(田中年也)

 
 
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