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全司法新聞
 
「令状センター構想」今こそ実現へ
 

 全司法は2005年の第62回定期大会において、宿日直制度の問題点や令状処理業務の重要性を踏まえ、「宿日直制度の見直しを求める提言」を確立しました。宿日直や連絡員体制と職場との矛盾が深まる下、今こそ提言に基づく令状センター構想の早期実現が求められます。

仮眠できない宿直、事実上「待機義務」となる連絡員

 夜間令状処理業務をめぐる職場実態として、宿日直実施庁においては令状請求の頻度が高く、大規模庁を中心に仮眠さえ取れない実態にあり、翌日の勤務にも影響を及ぼすものとなっています。また、中小規模庁では、職員構成の変化からも、毎月5回割り当てを受ける職員も少なくなく、健康管理の観点からも放置できない状況が続いています。また、連絡員体制により令状処理を行っている地方の小規模庁では、「事実上の待機義務が課せられている」との指摘も出され、精神的なプレッシャーや深夜に登庁して処理する身体的負担など、これまで多くの問題点が指摘されています。

高まる令状処理に対する関心

 加えて、裁判所は今後大量退職期を迎えることになります。令状事務の経験の無い職員が増える下で、職員が交代で処理を行うことは、令状処理体制として脆弱と言わざるを得ず、事務過誤につながりかねない危険性もはらんでいます。
 多くの国民の反対を無視して強行成立させた共謀罪は本年7月施行されましたが、通信傍受法の対象拡大も含め、監視社会への懸念が高まる下で、裁判所の令状処理に対する国民の関心はこれまで以上に高まることも予想されます。衆議院法務委員会においても、令状事務について「裁判所が組織としてしっかり高めていくことが必要」との指摘がされています。
 全司法は2005年7月に開催した第62回定期大会において、宿日直の全廃と「裁判
官直受け方式」等を中心としたそれまでの「宿日直制度の見直しを求める提言」を見直し、全国一か所ないし数か所の「令状センター設置」を柱とした「新たな提言」(以下、「提言」という。)を確立しました。

「将来考え得る選択肢の一つ」↓まさに今!

 裁判所における令状処理業務は、国家の国民に対する人権制限を直接的に監視する極めて重要な司法作用です。提言では、令状処理業務は通常業務であると明確に位置付けた上で、その重要性を再確認し、人権の砦たる裁判所機能の一層の強化と、裁判所の人的・物的充実の重要性を指摘しています。こうした基本的な考え方の下で、将来的な通信技術の発達を踏まえて、令状センターによる24時間の事務処理態勢の確立(交替制勤務による対応を検討)と、当面の過渡的措置として、事件動向や地理的交通条件を考慮して、高裁所在地及び高裁支部所在地への集約を図ること、令状部の態勢充実による専門部署での事務処理と裁判官の宿直について要求をしています。最高裁は全司法の提言に対し、「将来考え得る選択肢の一つとして受け止めている」と回答しています。
 しかし、提言確立から12年が経過し、裁判官の泊まり込みや年末年始の宿日直廃止が一部すすめられてきた他は、具体化がすすんでおらず、宿直の負担軽減も十分に図られていないのが実情です。また、最高裁は本庁集約化についても「これ以上の拡大は困難」と回答していることから、提言が打ち出した令状センター設置までの当面の措置についても、既に限界が来ていると言わざるを得ません。
 これらの状況を踏まえると、宿日直制度の抜本的な見直しは避けては通れず、今こそ令状センター構想の実現は急務の課題と言えます。

職場の理解と合意のもとに実現を求めよう

 令状センターを設置した場合、勤務形態の在り方も含めて、職員の労働条件にも直結する課題が生じてくることから、提言の具体化を実現していく過程においては、大幅増員をはじめとする職場の態勢整備を図っていく必要があります。何より、職場全体の理解と合意に基づきすすめていくことが大切です。全司法が確立した提言について、改めて職場全体での確認と意思統一を図るとともに、共通の認識の下で運動をすすめ、最高裁に実現を求めていく必要があります。4月に予定する第41回司法制度研究集会においても、令状センター構想の実現に向けた検討をすすめる予定です。

 
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現給保障の「経過措置」維持、人事管理などで主張
17年人勧の取扱い等で総長交渉
 

 全司法本部は10月2日、「2017年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」に基づき、最高裁今崎事務総長と交渉を行いました。

「経過措置の維持に向けた強い要望は認識」

 2017年人事院勧告は4年連続の改善勧告となったものの、人事院が「給与制度の
総合的見直し」の完成に固執したことにより、今年度末で現給保障の「経過措置」が終了し、ベテラン層職員で平均約6,000円の賃下げとなる状況が生じます。
 これをふまえ、賃金・一時金などの改善部分を早期に実施するとともに、「給与制度の総合的見直し」の中止、現給保障の「経過措置」延長を関係機関に働きかけることなどを要求しました。
 これに対して、事務総長は「給与制度の総合的見直しについては、職員の処遇に与える影響は大きいものがあり、職員が、生計費の維持、確保という観点から、給与制度の総合的見直しにおける俸給表水準の引下げに伴う経過措置の維持に向けた強い要望を持っていることは認識している」としたうえで「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。

「計画的かつ継続的な人材育成の取組が重要」

 今年の人事院勧告と同時に出された「公務員人事管理に関する報告」(以下、「報告」)は、裁判所の施策に反映すべきものも多く含まれていることから、今回の交渉では、「報告」に関わって主張しました。
 研修の充実や人材育成について、事務総長は「裁判所においても、計画的かつ継続的な人材育成の取組が重要であることから、OJTを中心とした育成に関する基本的な考え方を組織的に共有し、育成課題の設定や育成課題を踏まえた指導・助言等をより適切に行うことにより、その一層の充実に努めたい」とし、人事評価制度との関連については「引き続き、管理職員の指導・評価能力の更なる向上を図りつつ、職員の人事評価や人材育成に対する理解がより一層深まるよう努力していきたい」と回答しました。

「組織全体として超過勤務の削減に取り組む」

 長時間労働の是正について、「報告」が「府省の組織全体として業務の削減・合理化に取り組むことも不可欠である」「職員の健康保持の観点からは、超過勤務手当が支給されない管理職員も含めて、適切な方法により職員の勤務実態を把握し、措置することが重要である」等と記載していることを指摘して、勤務時間把握や事務の簡素化・効率化で最高裁がイニシアチブをとるように求めたのに対しては、「最高裁としても、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を推進して、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減に取り組む必要があると考えている」とし、「より一層下級裁を指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」と回答しました。

ハラスメント防止「人事院のとりくみ参考に」

 ハラスメント防止については、「人事院として妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントやセクハラの防止に関する制度の周知を図るほか、パワハラ防止については、事例の紹介等を行うことにより各府省の取組を支援するとされており、裁判所としても、それらを参考にしつつ、職員が健康で働きやすい職場環境の向上により一層努めていきたい」と回答しました。

「経験等を活かした能力発揮が図られるよう育成」

 定年延長については「政府内で国家公務員全体の問題として検討が進められているものと承知しており、裁判所としては、引き続きその検討状況を注視していきたい」としました。
 これに関連して「一定の年齢や経験を重ねた職員にとっては、それまでのキャリアの中で身に付けた経験や能力を活用できるようにし、組織の中で役割を果たすことが本人のモチベーションに繋がり、組織の活性化にもつながる」と主張したのに対しては、「年齢を重ね経験を積んだ職員については、その経験等を活かした能力発揮が図られるような育成が意識的に行われるよう、引き続き取り組みたい」と回答しました。

 
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「すべての権利には誕生日がある」運動の成果を次世代に
第43回国公女性協総会
 
女性部活動を考え、元気の出る総会に

 9月23日と24日の2日間、単組、ブロック・県国公等から48名が参加して、第43回国公労連女性協総会が開催されました。
 1日目は学習会と位置づけ、「女性部って必要?―女性部運動の歴史と活動に学ぼう―」と題して全労連女性部長の長尾ゆりさんの講演を受けた後、分散会で意見交流を行いました。
 長尾さんの講演では、全労連女性部が実施した調査を通して浮き彫りになった「6割が慢性疲労、4人に1人が流産経験、65%が仕事を辞めたい」という働く女性の厳しい実態が報告され、「働き方改革」「女性活躍」を掲げる安倍政権のもとで、むしろ男女格差が拡大している状況などが明らかにされました。
 また、女性部活動の歴史を振り返りながら「すべての権利には誕生日がある」と述べて、女性部の運動を通して一つ一つの権利を獲得してきた経過を説明し、そうした権利を現実に行使することができる職場を作り、権利を後退させず、絵に描いた餅にしないためにも労働組合や女性部が必要であると強調されました。
 また、女性の権利を守り、女性の視点を労働組合の運動に反映させていくためにも女性部が必要であるとして、とりわけ、学習の場、集まって話し合う場の重要性が指摘されました。講演後の分散会の中では、働きやすい職場を次世代につなぐ必要性が語られ、女性のとりくみとして、ランチ会や学習会など、集まる機会を広げていくことが確認されました。

佐藤みゆきさん
(東京地裁支部)

 2日目は、女性協が提起した議案についての討論が行われ、のべ15本の発言がありました。とりわけ、福島で開催された国公女性交流集会の成果について多くの発言が出され、次回の集会成功に向けた意思統一が行われました。
 最後に橋本議長が「身近なところから意識改革をし、両立支援は女性も男性もともに、青年の中からも育児、介護についても語り合おう」と述べて締めくくり、元気の出る総会になりました。
 提案された議案は全て可決され、新役員として橋本恵美子さん(全法務出身)が議長に再任されたほか、全司法からは常任委員として引き続き東京地裁支部の佐藤みゆきさんが再任されました。

(本部女性対策部)

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調査官の育成新施策見直しに向けて「寄せ書き行動」行います

二重の異動、過密スケジュール…

 「養成部を修了してから1か月もしない間に2回も転居しなければならず、体力的にも経済的にもしんどい」「実務修習のスケジュールが過密で、トイレに行く暇もない」。
 2012年度から調査官の育成新施策が導入されました。この施策は、3人1組のグループ修習を基本とし、入所3年目で小規模庁に異動するなど、これまでの調査官の育成のあり方を大きく変えるものでした。この施策には問題も多く、特に、2年間の養成部研修を終え、その年の3月に総研から所属庁に戻った後、4月には馴染みのない小規模庁に異動する「二重の異動」の問題、過密な実務修習のスケジュールの中で超勤をしないよう指導されるため、個々の事件への関与が不十分なものにならざるを得ないという問題などが指摘されています。

調査官一人ひとりの問題意識を最高裁に

 全司法では、これまでも、最高裁に対し、育成新施策の問題点を指摘して改善を
要求してきましたが、最高裁は2016年秋季年末闘争期の交渉において、「特に任官後の小規模庁配置が本年度末でちょうど3年が経過することから、その育成等の状況を適切に把握した上で、必要な検討を行っていきたい」と回答しました。
 これを受けて、全司法は今年の5月に「家裁調査官の育成新施策の見直しに関する要求書」を提出しましたが、今年の秋季年末闘争では、さらに調査官一人ひとりが抱いている育成新施策の具体的な問題意識や改善点を直接最高裁に伝えるため、育成新施策見直しを求める寄せ書き行動を行うことにしました。
 このとりくみは、調査官及び調査官補(合同研修中を含む)を対象に、未加入者にも協力を求めていきます。集約した寄せ書きは、12月5日の最高裁人事局長交渉において提出します。
 任官後も活き活きと仕事を続けていくための施策が求められています。皆さんのご協力をお願いします。

 
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「3000万人署名」を柱に全国市民アクションがスタート!

 19人の著名人が「安倍9条改憲NO!」を掲げて

 安倍首相が9条改憲を打ち出し、改憲が大きな焦点となっているもとで、ノーベル賞学者の益川敏英さんら19人の著名人(左下参照)を発起人として「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が結成され、とりくみが始まっています。とりくみの柱は「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」で、来年5月までに3000万人の集約を目標としています。「安倍9条改憲NO!」の名称は、改憲に反対する人だけではなく、将来的には時代にあわせた改憲が必要だと考える人も含め、安倍政権が特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法案などの違憲立法を次々に強行成立させてきた経過をふまえて、「立憲主義を無視した政権のもとで、9条を変えさせることに反対する」という最も広い一致点をめざしてとりくむ趣旨からです。

憲法に対する考え方の違いを越え、幅広い共同目指す

 「全国市民アクション」は「戦争法」「共謀罪法」反対の運動をすすめてきた総がかり行動実行委員会などがとりくみの中心になり、全国の「9条の会」も参加するものとなっており、全司法も全労連・国公労連などを通じて結集することにしています。
 「改憲派」の人たちは北朝鮮情勢を理由にしていますが、ミサイルや核開発などの北朝鮮への対応は外交的手段によって解決されるべきで、9条改憲・軍事力強化では解決できません。むしろ、米軍と自衛隊との共同作戦で日本が巻き込まれるリスクが高くなります。
 裁判所職員の労働組合として、全司法は憲法を守り、生かす立場に立っていますが、組合員の中には「時代に合わせて新しい権利を書き込んだ方が良い」「戦争をしない歯止めになるなら、9条を変えてもよい」との意見を持っている方もあるかもしれません。
 「全国市民アクション」は、そうした考え方の違いを越えて、安倍政権(選挙の結果できる可能性のある新たな政権も含めて)が憲法を無視した政治を続け、その辻褄合わせのために改憲すること、憲法の基本原則(国民主権、平和主義、基本的人権の尊重)を変えること、に反対するとりくみとして、可能な限り幅広いとりくみにすることを提起しています。

市民アクション

発起人19氏(敬称略)

有馬頼底(臨済宗相国寺派管長)、内田樹(神戸女学院大学名誉教授)、梅原猛(哲学者)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、鎌田實(諏訪中央病院名誉院長)、香山リカ(精神科医)、佐高信(ジャーナリスト)、澤地久枝(作家)、杉原泰雄(一橋大学名誉教授)、瀬戸内寂聴(作家)、田中優子(法政大学教授)、田原総一朗(ジャーナリスト)、暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)、なかにし礼(作家・作詞家)、浜矩子(同志社大学教授)、樋口陽一(東北大学・東京大学名誉教授)、益川敏英(京都大学名誉教授)、森村誠一(作家)
 
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支部の主体的・自立的な活動を運動の中心に!
 
あなたの職場で「対話」を!

 全司法は、第74回定期大会において、将来に向けた組織の維持・発展をめざして、「支部の主体的かつ自立的な活動を運動の中心に据えていく」ことを確認しました。組合員を主人公とした創意工夫あるとりくみを、すべての支部ですすめましょう!

支部の独自性を活かした活動を展開

 全司法は、職場に存在する様々な要求の実現と国民のための裁判所実現に向けて、長年にわたり多種多様なとりくみを行ってきました。残念ながら組合員の減少が続いているものの、働きやすい職場環境と利用しやすい裁判所を築くために全司法が果たしている役割は少しも低下しておらず、むしろますます増していると言えます。組合員の支持はもちろん、組合員拡大のために職場全体から理解と支持を得られるとりくみをすすめ、要求の実現に向けて組合員の期待に応える運動を展開していかなければなりません。
 とはいえ、組合員の減少に伴い、各支部においても活動に困難をきたしている実情があります。そのような状況の下であっても、全国大会においては、多くの支部の代議員から、全司法の活動やこれまで築いてきた到達点、職場で果たしている役割など、「全司法の存在を職場に示していくこと」の重要性が「活動の見える化」として強調されました。
 それを職場に近い支部で具体化していこうというのが「支部の主体的かつ自立的な活動を運動の中心に据えていく」という新しい組織方針です。もちろん、みんなで決めた全国統一方針に一丸となってとりくみ、要求と組織の前進をめざす点においては、これまでと変わるところはありませんが、その具体化に当たって、支部の独自性を活かした運動をすすめていくことが特に重要となります。

職場会を自分の思いを伝える場に

 支部が行う日常活動としては、執行委員会の定期開催や交渉の配置、教宣紙の定期発行・配布など様々なものがありますが、その中でも特に「職場における対話活動」を重視することが、新しい方針の柱になっています。これまで全国統一行動として、年間8回程度の全国統一職場大会を提起していましたが、時期によっては、それにかえて職場会を実施するほか、職種や青年・女性で集まるなど、創意工夫した「対話活動」を強化することになります。組合員の皆さんは、自分の職場の状況や自分の思いを伝える場として、また組合員どうしのつながりを深める場として、呼びかけがあればぜひ参加してください。

組合は「自分たちのもの」できることから関わろう

 また、できる活動はみんなでやっていくことも意識します。新聞配布や組合費集金のサポーターといったものだけでなく、たとえば署名やアンケートは必ずとりくむといったことでも構いません。「労働組合は自分たちのもの、要求実現は自分たちの手で」という意識で、できることから関わってください。
 執行部は、対話やアンケートで集めた職場の要求を実現するため、秋年期に支部独自交渉の配置を重視します。効果的な時期に交渉を配置し、それに向けて組合員を巻き込んだ創意工夫ある活動(署名・寄せ書きや朝ビラなど)を企画・実施しましょう。
 組合員拡大にあたっては、年度当初にとりくみ計画を策定し、通年通して着実に実践します。勧誘の働きかけは職場から行っていくことが効果的ですので、この点でも皆さんの協力を呼びかけます。
 今年は新しい組織方針でとりくむ最初の1年です。ともに頑張りましょう!

 
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要求前進のため、投票に行こう!

10月22日衆院選が濃厚に

 9月25日、安倍首相は9月28日招集の臨時国会冒頭で衆議院を解散し、10月22日投票で総選挙を行うことを表明しました。
 これからのこの国の方向性を決める大事な選挙です。投票に行って自らの意思を表明することを、組合員のみなさんに呼びかけます。
 そのうえで、この間の運動との関係で、選挙の意義や争点を整理します。

追い詰められた末の解散・総選挙

 今回の総選挙は、森友・加計疑惑、南スーダンPKOの日報隠しが問題となるもとで、安倍政権が追い詰められた末の解散・総選挙です。
 森友・加計疑惑は、中立・公正であるべき行政が政権の思惑で歪められ、公務が私物化されたのではないかという問題です。経過を明らかにし、再発防止策を立てるのが国の仕事のあり方として当然であり、疑惑に蓋をすることは、公務員の役割や仕事のあり方を歪めるものとして無視できません。

9条改憲を許すかどうかの選挙

 安倍政権は成立以来、集団的自衛権行使容認の閣議決定、安保法制(「戦争法」)など、自衛隊が米軍と一体で活動する仕組みを整えつつ、特定秘密保護法、共謀罪法案などで、国民の批判を抑え込む仕組みを作ってきました。強行採決を繰り返してきたこともあわせて、「戦争する国づくり」と批判される理由です。これらは、明確な違憲立法ですが、憲法との矛盾を広げるだけ広げ、今度は9条改憲を打ち出しています。今回の選挙は、こうした改憲を許すのかどうかが大きな争点です。

労働法制改悪を許すかどうかの選挙

 経済政策についても、「アベノミクス」と称してすすめられた政策は、国民生活の改善には役立たず、税金と年金財源を費やして株価を一時的に引き上げただけでした。派遣労働の拡大などの労働法制改悪も含めて、すべては「企業が世界で一番活躍しやすい国」にするためだけの政策です。そして、次は「残業代ゼロ法」など、労働時間規制まで骨抜きにしようとしており、これを認めるかどうかが問われる選挙になります。

市民と野党の共同に注目する選挙

 私たちはこの間、「安倍政権の暴走ストップ」を掲げ、市民的・国民的な運動に参加してきました。そうした運動に後押しされて、野党共闘もすすんできています。
 安倍政権によって、立憲主義や民主主義が壊されようとしているもとで、野党共闘が一致した政策・方針をどう作るのかに注目していきたいと思っています。

 
 
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