全司法本部は10月2日、「2017年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」に基づき、最高裁今崎事務総長と交渉を行いました。
「経過措置の維持に向けた強い要望は認識」
2017年人事院勧告は4年連続の改善勧告となったものの、人事院が「給与制度の
総合的見直し」の完成に固執したことにより、今年度末で現給保障の「経過措置」が終了し、ベテラン層職員で平均約6,000円の賃下げとなる状況が生じます。
これをふまえ、賃金・一時金などの改善部分を早期に実施するとともに、「給与制度の総合的見直し」の中止、現給保障の「経過措置」延長を関係機関に働きかけることなどを要求しました。
これに対して、事務総長は「給与制度の総合的見直しについては、職員の処遇に与える影響は大きいものがあり、職員が、生計費の維持、確保という観点から、給与制度の総合的見直しにおける俸給表水準の引下げに伴う経過措置の維持に向けた強い要望を持っていることは認識している」としたうえで「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
「計画的かつ継続的な人材育成の取組が重要」
今年の人事院勧告と同時に出された「公務員人事管理に関する報告」(以下、「報告」)は、裁判所の施策に反映すべきものも多く含まれていることから、今回の交渉では、「報告」に関わって主張しました。
研修の充実や人材育成について、事務総長は「裁判所においても、計画的かつ継続的な人材育成の取組が重要であることから、OJTを中心とした育成に関する基本的な考え方を組織的に共有し、育成課題の設定や育成課題を踏まえた指導・助言等をより適切に行うことにより、その一層の充実に努めたい」とし、人事評価制度との関連については「引き続き、管理職員の指導・評価能力の更なる向上を図りつつ、職員の人事評価や人材育成に対する理解がより一層深まるよう努力していきたい」と回答しました。
「組織全体として超過勤務の削減に取り組む」
長時間労働の是正について、「報告」が「府省の組織全体として業務の削減・合理化に取り組むことも不可欠である」「職員の健康保持の観点からは、超過勤務手当が支給されない管理職員も含めて、適切な方法により職員の勤務実態を把握し、措置することが重要である」等と記載していることを指摘して、勤務時間把握や事務の簡素化・効率化で最高裁がイニシアチブをとるように求めたのに対しては、「最高裁としても、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を推進して、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減に取り組む必要があると考えている」とし、「より一層下級裁を指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」と回答しました。
ハラスメント防止「人事院のとりくみ参考に」
ハラスメント防止については、「人事院として妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントやセクハラの防止に関する制度の周知を図るほか、パワハラ防止については、事例の紹介等を行うことにより各府省の取組を支援するとされており、裁判所としても、それらを参考にしつつ、職員が健康で働きやすい職場環境の向上により一層努めていきたい」と回答しました。
「経験等を活かした能力発揮が図られるよう育成」
定年延長については「政府内で国家公務員全体の問題として検討が進められているものと承知しており、裁判所としては、引き続きその検討状況を注視していきたい」としました。
これに関連して「一定の年齢や経験を重ねた職員にとっては、それまでのキャリアの中で身に付けた経験や能力を活用できるようにし、組織の中で役割を果たすことが本人のモチベーションに繋がり、組織の活性化にもつながる」と主張したのに対しては、「年齢を重ね経験を積んだ職員については、その経験等を活かした能力発揮が図られるような育成が意識的に行われるよう、引き続き取り組みたい」と回答しました。
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