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  トップページ > 全司法新聞 > 2010年9月 > 2110号
 
全司法新聞
 
2年連続のマイナス勧告
道理のない55歳超の一部職員への減額措置
 
 8月10日、人事院は、国会と内閣に対して、給与等に関する勧告と報告等を行いました。勧告では、本俸0・19%と一時金0・2月を削減する2年連続の給与引き下げを行いました。さらに、行(一)職6級相当以上で56歳となる年度からの賃金抑制措置の導入も強行しました。また、65歳定年延長に向けた骨格も示され、本年中に意見の申出を行うとしています。
 報告では、労働基本権回復に向けた論点として、付与する職員の範囲や交渉事項等の範囲などが示され、国民の理解を得ながら結論を出す必要があるとしました。また、非常勤職員の育児休業取得の意見の申出があった他、1回の病気休暇取得に上限を設けるなど病休制度の見直しについても報告しています。

 人事院は私たちの労働基本権制約の代償措置機関としての役割を果たさず、2年連続で本俸と一時金を削減しました。また、職務給原則に反し、年齢差別ともいえる55歳を超える行(一)職6級相当以上の職員への1・5%の賃金減額措置も、私たちの反対の声を無視して強行しました。こうした措置は民間でも導入している企業が少なく、民間準拠の姿勢にも反します。
 一方、初任給をはじめとする青年層の本俸引き下げを阻止し、55歳を超える職員を賃金減額措置の対象とさせなかったことは、これまでの運動の成果と言えます。
 なお、今勧告が実施された場合の遡及措置は、12月期の期末手当で行うとしています。
 今年度から月60時間を超える超勤手当の支給割合が引き上げられましたが、来年度からは、この計算基礎に日曜日も加えるよう勧告されました。
 来年1月から標準的な昇給は4号俸となります。なお、経過措置解消に伴う原資を用いて、来年4月に43歳未満の職員を対象に1号俸昇給させるとしています。
 報告では、労働基本権回復や試験体系を再編する採用試験の見直し、女性職員の採用・登用の拡大に関する指針の見直し等が触れられました。いずれも大きな問題であり、今後の動きを注視しつつ運動を強める必要があります。
 非常勤職員については、日々雇用を廃止するとともに、育児休業や育児時間、介護休暇を取得できる措置を行うこととなりました。
 病休制度については、連続一週間を超える病気休暇の場合、取得できる日数の上限を90日とすることや、復帰後の勤務日数に応じて、再度取得(リセット)する制度が導入されます。
 
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「活憲」〜憲法を活かそう
東京司法九条の会が講演会を開催
 
 「東京司法九条の会」では7月21日に、伊藤千尋氏(ジャーナリスト・朝日新聞記者)をお招きして「活憲の時代‐世界から見た憲法九条」と題した講演会を行いました。
 伊藤さんは中南米や欧州等に特派員として赴任された豊富な経験をお持ちで、主に中南米から見た平和の問題、憲法の問題について精力的に発言されています。
 近年、中南米では次々と民主的な政権が誕生しています。興味深いお話として、例えばベネズエラでは、お米の袋に憲法の条文が印刷されていたり、露店で憲法の本が売られており、赤ん坊を抱いた普通の主婦が買っていくわけですが、その理由は、役所の窓口で話をするとき「憲法にこう書いてあるじゃないか」と主張するためだというのです。
 また、コスタリカは軍隊のない国、平和憲法を持つ国として知られていますが、学校で「人はだれも愛される権利がある。だから愛されていないと思ったら国を訴えることができる」と教えられるそうです。ですから、小学生がボール遊びをしていて、柵がないために川にボールが落ちてしまう、これは自分の権利が侵害されていることだとして憲法違反の訴えを起こせるというのです。そして訴訟に勝って、国がちゃんと校庭に柵をつくったということです。
 コスタリカには憲法裁判所があって、年間一万二千件も憲法訴訟があるそうです。
 いずれの国も憲法が身近な暮らしの中にあるのです。普通の市民が憲法を根拠にして行政に対応を迫る、憲法に基づいて行動しているというわけです。
 日本はどうでしょうか。国民が憲法をまったく使っていません。わたしたちはよく「憲法九条を守ろう」と言うのですが、伊藤さんは、使うことが大事なんだ、と強調されていました。それが「活憲」、憲法を活かすということなわけです。「サッカーだって守るだけでは勝てないでしょう」というのです。
 日本との大きな違いは、平和に対する考え方にも現れていると言います。かの国々は、一人ひとりの人間が平和に生きられるか、ということがまず基本にあるというのです。だから堂々と国に対して権利を主張します。ところが日本では国家の平和がまず先という風潮だというのです。果たして日本は平和な国だろうか、大学を出ても就職できない、非正規雇用や劣悪な環境で若者が働かされる、こんな国を「美しい国」なんて言うのがおかしいというのです。
 確かに、国家が先だから消費税増税もやむなし、年間三万人もの人が自殺する、生存権がこんなに脅かされているのに疑問に思わない、米軍基地の負担を沖縄に負わせ続けるのもやむをえない、となっているのかもしれません。
 最後に伊藤さんは、「ねばならぬ」という悲壮感では市民運動は続かない。面白がってやる、楽しんでやることが大事、各自ができる方法を考えればいい、とお話しされ、「みんなでやりましょう」と結ばれました。
 自ら行動するジャーナリストの伊藤さんに励まされ、参加者は、力をもらえた、と喜んでいました。今後、得た力を行動に変えていくことが大切です。
 伊藤さんが言われたことは、平和運動に限った話ではありません。労働運動も一緒です。各自が楽しんで、出来ることをやっていくことが大事です。
 今後も九条の会を通じて、平和の問題はもちろん、様々なとりくみに力をつくしていきたいと思います。
 
 
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