おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2010年3月 > 2098号
 
全司法新聞
 
各種制度課題浮き彫りに
 
 2月12〜13日、静岡県熱海市において第37回全国司法制度研究集会及び第16回全司法中央労働学校が開催されました。
 書記長を中心に66名の参加となり、冒頭、沖本委員長より開会の挨拶がありました。
 司研集会では、第1報告として福岡支部による裁判員制度の運用状況についての現状の報告のほか、制度が始まっての問題点、今後予想される問題点と、とりくみの重要性などが報告されました。
 第2報告は、大阪支部から、被疑者国選弁護事件・医療観察事件の事務処理態勢と改善点についての報告がされました。被疑者国選弁護事件については対象事件の範囲が拡大されてからの様々な問題点等が、医療観察事件については現状とそれをふまえた改善点についてそれぞれ報告がなされました。
 第3報告は、「家庭裁判所家事部を巡る情勢を考える」のテーマで、中部地連、東京地連が共同報告され、後見等事件の効率処理の現状と課題、家事審判法改正を控えての家事部職場への影響をテーマに、前回の司研集会のおさらいも交えながら問題提起がなされました。
 引き続く労働学校では、「国公共済会の加入促進のために〜組合活動の活性化と組織強化を」の演題で、国公共済会専務理事松渕秀美さんによる講演がなされました。民間生保と国公共済会の違い、国公共済会の優位性、助け合いの精神等をわかりやすく講演いただきました。
 1日目最後は、本間副委員長による「裁判所共済組合における運営審議会委員の果たす役割と共済制度」について、身近でありながら制度も複雑であり、学習機会の少ない共済制度の仕組みや、全司法推薦の運営審議委員の役割について学習を深めました。
 夜の懇親会では、各地連からの決意表明等も行われ、大いに懇親を深め合いました。
 二日目は、『公務員制度改革の到達点と今後〜「自立的労使関係の措置に向けて(報告書)」を分析する』の演題で、国公労連書記次長秋山正臣さんから公務員制度改革の到達点や政府等の考え、報告書の分析評価などについて講演いただきました。
 引き続いて、牧山書記長による「裁判所における新たな人事評価の概要と運動のポイント」について報告があり、多彩な資料を交え、学習を深めました。(各詳細は、2・3面)
 
ページの先頭へ
 
裁判員制度の運用状況について
 
 福岡支部からは、裁判員裁判の現状と問題点、今後予想される問題とこれからのとりくみの観点等に関わって、報告がなされました。
 報告ではまず、裁判員裁判が概ね順調に処理されているのは、実施までにプロジェクトチームの結成をはじめ、ひとえに「万全の態勢」作りにむけて様々な準備に励んできた関係各所の頑張りに尽きる、というものでした。
 しかし実際に事件に当たってみて判明した問題点もあり、システムの改善要望や公判前整理手続の限界についても問題提起がなされました。また裁判員旅費の支払いや公判期日の確保などについても現場の観点からの指摘がなされました。
 これからは否認事件も含め、複雑・困難な事件にも直面することや、3年後の制度見直しに向けて、担当の現場からはどのような意見を挙げていくべきなのか、との問題提起がありました。
 人的態勢については、刑事部内での配置見直しも必要であるが、今後も引き続き、人的・物的充実に向けて、労働組合も奮闘すべきであるし、裁判員候補者に満足してもらう為には、応対にも工夫が必要であることなどが指摘され、報告を締め括りました。
 
ページの先頭へ
 
被疑者国選弁護事件・医療観察事件の事務処理態勢と改善点について
 
 大阪支部からは、被疑者国選弁護事件・医療観察事件の事件処理態勢と改善点について、報告がなされました。
 報告ではまず、被疑者国選弁護事件について、裁判員制度が施行された昨年5月21日に合わせて、対象事件の範囲が大幅に広がり、全勾留件数のうち、約8割が対象事件になったこと、捜査段階における被疑者の人権擁護の観点から、大幅な改善が施されたものと言えるが、その一方で、令状事務(特に休日の令状当直事務)が大変繁忙になっている状況が明らかにされました。
 増えた事務量を、どのようにして効率よく処理していくかについては、クリアすべき問題もあるとの報告がなされました。
 続いて医療観察事件の処理について、期限が決められている中で多数の関係者を相手に期日調整する必要がある等、現場における率直な感想も交えての現状報告がなされました。今後は、最終的には立法機関の判断となるが、この制度を運用していくにあたり、その受け皿として、果たすべき各機関の役割も含め検討が必要ではないか、という問題提起がされました。
 裁判員制度と併せて、ますます人的・物的充実が求められると言えます。
 
ページの先頭へ
 
家庭裁判所家事部を巡る情勢を考える
 
 司研集会最後の報告は、「家庭裁判所家事部を巡る情勢を考える」として中部地連、東京地連に報告をいただきました。
 冒頭、神谷さんより後見等事件の基本説明があり、成年後見制度は、今年で施行10年という節目にある。家裁の成年後見の仕事は、大きく「開始事件」、「監督事件」の2つに分かれる。最高裁の統計を見ると、「開始事件」の申立て件数は右肩上がりで増加し、事件増の理由としては、高齢化による認知症等の高齢者の増加、こうした方が被害者となる犯罪の増加など、成年後見制度の利用のニ‐ズが著しく高まっていることがあげられる。また、「監督事件」は累積的に増えており、後見人等の事務が本人死亡まで続くのが大半であり、全ての事件について後見等監督事件を定期的に立件していけば、そうした数字となるとの報告がなされました。
 東京地連からは、前回の司研集会での東京地連の報告の整理として、「開始事件」においては受理時面接の導入等、「監督事件」については民間の銀行員をはじめとした参与員の活用などが提言された。また、効率化を進めるだけではなく、不正事案への対処など適正な事件処理を巡る観点での提案もなされたことが報告されました。
 後見等監督事件の現状と課題をパワーポイントをつかって報告されました。その他、後見等事件の処理全般に関わっての課題では、第1に、参与員の活用について、その育成の在り方など、今後十分に検討していく必要があること。第2に、小規模庁や支部における後見等事件の事務処理について、その庁の実情をしっかりと踏まえた事務分配の検討や工夫をしていく必要があること。第3に、事務処理に応じた検討と責任体制の整理が必要であるとの報告がされました。
 家事審判法の改正に関わっては、家事審判法の改正が、利用者や家裁の現場に無用な混乱を招かぬよう注視していくこととあわせて、適切な情報提供を求めることが必要であるとの問題提起がなされました。
 最後に、家裁の理念を踏襲しつつ、新しい時代の要請も取り入れ、真に国民が利用しやすい家裁の実現を目指して、且つ、今後も人的充実や態勢整備を求め、家裁職員が働きやすい職場環境を確立するため、全司法の意見をきちんと当局に伝えていく必要があると締めくくられました。
 
ページの先頭へ
 
国公共済会の加入促進のために
 
 国公共済会松渕専務理事から「国公共済会の加入促進のために〜組合活動の活性化と組織強化を〜」の演題で講義を受けました。
 冒頭、10春闘アンケートによると、27・5%もの組合員が生保や損保の掛金に負担を感じている。10%の組合員が生保等の掛金を節約の対象にしているとの報告がなされました。また、民間保険会社は戦後8社が破綻しており、大きな要因は、予定利率と実際の運用が逆転しているいわゆる逆ざやが一つであり、リスクの高い運用をせざるを得なくなっている。一方、国公共済会は、単年度決算で運用の必要もなく、安全性で大きく優位していることが強調されました。
 また、規制緩和、福祉削減、自己責任等、新自由主義と「構造改革」のもと、格差と貧困が拡大されている中、対極にあるのが「助け合いの国公共済会」である。自主の原則、民主の原則、原価の原則、公開の原則、連帯の原則の5つの原則を柱に、多くの組合員に対し安心を提供してることが報告されました。
 国公共済会の会員になれるのは国公労連の組合員であることから、国公共済会を大きな武器として、組織拡大・強化にとりくむことが重要であること。組合員にとっても同じ補償内容であれば、国公共済会が経済的に優位であること。支部にとっても財政活動の一環になることなど国公共済会について大いに学習を深めることができました。
 
ページの先頭へ
 
共済運営審議委員の果たす役割と共済制度
 
 本間中央執行副委員長による「裁判所共済組合における運営審議会委員の果たす役割と共済制度について」の講演が行われました。
 採用から退職後までも続く共済組合との関わりについて、意外に知られていないことが多い。運営には運営審議会委員が深く関わっており、この間の運動により現在の委員の数が守られている。
 今後も、推せん委員を活用していくには組織拡大が不可欠であることが強調されました。
 共済制度にかかわっては短期掛金における拠出金の負担が総額の50%にもおよんでおり短期経理を大きく圧迫していること。共済制度も拠出金など国の施策によるところが大きく、これを変えていくには政治の転換が必要であること。
 標準報酬月額の算定に基本給以外も入ることについては、多くの組合員から加算しないようとの要望が強いことから、共済運審の場においても共済本部に要望を伝え、事務方を通じ、財務省に要望を伝えていることなどが報告されました。
 また、積立金も十分でなく健全経営が成り立たない等の場合は、結婚手当金などの付加給付ができなくなることもあり、十分な積立金が必要であることも指摘されました。
 全体として、短い時間ではありましたが、共済制度について学習を深めることができました。
 
ページの先頭へ
 
公務員制度改革の到達点と今後
 
 労使関係制度検討委員会が、公務員の労働基本権問題に関する報告書「自律的労使関係制度の措置に向けて」を出したことを踏まえ、講演冒頭で国公労連の基本的な要求に触れ、公務員も憲法28条が定める「勤労者」であり、憲法に規定された基本権人権である労働基本権は公務員にも保障されるべきものであって、国民の権利保障とも一体にルールある社会の根幹をなすものであると指摘されました。今後のスケジュールについては、前政権が昨年2月に決定した工程表(2010年度中に所要の法案提出、2012年までに施行)がベースとなっていること、報告書については、基本的視点として、議会制民主主義、財政民主主義、近代公務員制度の原則や公務員の地位の特殊性を踏まえて整理する必要があること。制度骨格にかかる論点は、最終的に一つの結論を出したものにはなっておらず、民間に近いパターン、現行制度に近いパターン、その中間のパターンを示すに留まっていることなどが指摘されました。
 最後に基本的には労働三権は一体のものであり、労使の力関係によるところが大きく、組織の拡大強化は不可欠であることを強調されました。
 
ページの先頭へ
 
裁判所における新たな人事評価制度
 
 裁判所における新たな人事評価制度は、「人材育成および任用の基礎とするための評価」が昨年秋から本格実施されたことに続き、「給与・昇任等に活用する評価」が本年10月から実施される予定であり、裁判所の評価制度全体の内容がほぼ固まりつつある。
 このため、(1)人事評価結果の活用を中心とした制度全体の理解、(2)裁判所における人事評価制度のポイントについて理解を深めたうえで、人事評価結果の活用は、各庁当局の権限に属することを念頭に、たたかいの舞台となる各支部のとりくみを整理する必要がある。
 「人材育成および任用の基礎とするための評価」は、「目標・課題」の位置付けを理解することが要となる。先に全司法が行ったアンケートの結果を見ても、「目標・課題」の位置付けが十分に理解されていない。引き続き、人材育成という本来の目的が達成できるよう職場への手当をすすめてもらいたい。
 07年の改正国公法で能力・実績主義が規定され、08年の人事院勧告で人事評価の結果を給与に反映させる仕組みが整えられた。
 「給与・昇任等に活用する評価」結果は、昇任、分限(降任・免職)、昇格、昇給、勤勉手当、分限(降格・降号)に活用される。各制度の内容を理解し、各支部・職場の実態をふまえた運用としていくことが肝要。
 書記長には、当を得た主張、迅速な対応のほか、組合員に自信を持って要求を出してもらう環境作りが求められる。結果として表れる昇格や昇給発令は、個人の属性や努力のみの問題ではない。組合員だからこそ勝ち取れるメリットもここにあることを、広く職場に伝えることが大切。よりよい制度としていく態勢を整備することが必要と強調しました。
 
ページの先頭へ
 
2・12中央行動
 
 「なくせ貧困!仕事よこせ、守ろう雇用と暮らし!」をテーマに、2月12日、10春闘第2次中央行動が実施され、全司法から総勢79名が参加しました。
 みぞれ交じりの寒風のなか、国民要求実現中央集会(日比谷野外音楽堂)には、在京各支部の仲間も29名参加、霞が関包囲行動(財務省・金融庁・経産省)等を行い、最後に国会請願行動で締めくくられ、全体で7000人の仲間が全国から結集しました。
 皮切りは、社保庁職員の分限免職撤回、雇用確保を求める厚労省前の要求行動でした。中央集会では、労働者派遣法の抜本改正、「格差と貧困」の解消、国民本位の景気回復、不公平税制の是正、大企業の内部留保をはき出させ大幅賃上げの実現、後期高齢者医療制度の廃止、社会保障の充実などのアピール採択、さらに霞が関包囲行動では、全司法は財務省に対して、「公務員の削減反対、国民本位の財政確立、民主的な予算の確立」などを要求し、門前での要求行動をしました。
 国会議事堂へむけての請願デモでは、日比谷野音から約2キロメートルをシュプレヒコール挙げながら一時間近く行進しました。
 「民間も含め大人数で活気があった」、「とにかく寒いが、国会デモは良い体験でした」という感想がだされるなど元気の出る中央行動でした。
 
ページの先頭へ
 
2・11トヨタ総行動
 
 2月11日、冷たい雨が降る中、トヨタ自動車が入居している名古屋駅前の「ミッドランドスクエア」ビル及びトヨタ自動車本社工場付近の豊田市山之手公園において、第31回トヨタ総行動が愛知県労働組合総連合などの実行委員会主催で行われました。この行動には全国から1000人以上が参加、全司法からは愛知支部を中心に13人が結集しました。
 トヨタ自動車は、生産・販売世界首位、日本を代表する大企業でありながら、一昨年来のリーマンショック以降、期間社員などを大量に解雇し、生産が上向けばまた採用するなど労働者を使い捨てにし、下請け中小企業には単価の切り下げを強要するなど、社会的責任を果たしていません。過去にはトヨタ自動車の労働組合による増益の最中の春闘でのゼロ・ベア要求が出されるなど、トヨタ自動車の労使は、ここ数年、何度も日本の労働者を失望させました。さらに、他社でも『トヨタがやっているからわが社も許される』と経営者が主張することもあるなど、他企業に与える影響力も非常に大きいものがあります。
 そこでトヨタ総行動では、参加者から世界的大企業であるトヨタ自動車の社会的責任を求める声を大きくあげるとともに、社会的にも大きくアピールしました。このようにトヨタ総行動は、単にトヨタ自動車の労働者を支援するだけに止まらず、トヨタの姿勢を変え、そして大企業中心の社会を変えようという取組みとなっています。なお、今年の参加者は、集会やデモ行進で、雇用の確保などを呼び掛ける一方、トヨタ自動車のリコール(無料の回収・修理)問題にも触れ「利益よりも安全性を第一に」と訴えました。
 引き続き大企業の社会的責任を果たさせていく運動を強めていくことが求められます。
 
ページの先頭へ
 
社保庁職員緊急カンパ
 
 社会保険庁の廃止に伴い、不当な分限免職処分(整理解雇)を強行された31名の全厚生組合員の仲間が、人事院に処分取消を申し立ててたたかっています。
 全司法は、今回の分限免職は、すべての国公労働者の課題でもあることから、分限免職処分撤回をめざすとりくみを共にすすめることを確認しています。
 現在、処分取消を求めるたたかいの闘争費や、分限免職された仲間の生活資金など、当面の費用を支えるため、国公労連は、「緊急カンパ」を提起しています。
 全司法は、組合員一人ワンコイン(500円)のカンパを呼びかけ、結集していくこととしました。
 組合員とそのご家族のみなさん、職場の仲間のみなさんのご支援をよろしくお願いします。
 
 社会保険庁の廃止に伴い、1月4日から日本年金機構の業務がスタートしていますが、正規や准職員で大量の欠員が生じ、業務運営に重大な支障を及ぼしています。
 厚生労働省は、社会保険庁の廃止を分限免職の理由としていますが、業務が継承される限り、その身分と雇用を引き継がなければならないことは国家公務員法第75条の身分保障規定からも当然のことです。同時に、今回の分限免職は、多くの点から裁量権の濫用であり違法であると指摘されています。
 日本年金機構が大量の欠員を抱え、経験者が不足しているもとで、社会保険庁職員を分限免職して年金機構から排除したことは大きな矛盾であり、国民的にも容認できるものではありません。
 年金記録問題の解決や専門的・安定的な年金業務を確立すること、安心してくらせる年金制度を確立することは国民の願いでもあります。
 そのためにも、分限免職処分を直ちに撤回し、年金機構の正規職員として採用することが、強く求められています。
 
ページの先頭へ
 
地連女性担当者会議
 
 2月21日から2日間、第2回地連女性担当者会議が行われました。各地連の女性担当者やオブザーバーが参加して、各地連の活動の報告、議論が行われました。
 産休・育休代替要員の確保や女性の登用拡大、異動、インフルエンザ流行時の休暇や子の看護休暇・介護休暇など女性の切実な要求について活発な討議がなされました。とりわけ、婦人がん検診等の見直しについては、わたしたちの命に関わる問題であり、女性職員の関心が高まる中、早期発見・早期治療に逆行するものとして各地連とも反対との意見で一致しました。
 また、討議の中で様々な職場実態も明らかになり、各支部でのとりくみについての情報交換もできました。
 母性保護の権利を安心して取得できる職場環境にしていく必要があることや、第2期裁判所特定事業主行動計画(案)が実効性のあるものになるよう趣旨の周知などを当局に求めていくことも確認されました。
 会議後、最高裁給与課長交渉を行いました。
 「諸制度の職場への定着については引き続き下級裁を指導していく。制度問題は従前どおり。育児・介護のための両立支援に関する改正事項についての情報は持っていない。婦人がん検診の見直しについては、引き続き皆さんのご意見を伺っていきたい」という回答でした。
 婦人がん検診の見直しについては、女性職員の健康を守るべき必要不可欠な検査項目です。今後も職場の要求を大切に、本部をはじめすべての機関でとりくみを進めることが重要です。
 
ページの先頭へ