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全司法新聞
 
10春闘 国民生活に根ざした運動を
 
 「変化をチャンスに 貧困・格差の解消 内需の拡大を」をスローガンに、新政権下での10春闘がはじまりました。全司法は、10春闘スローガンが、職場で、地域で、組合員一人ひとりの確信として広がるように、「総対話と学習、全員結集、地域共同」を合言葉にとりくみをすすめ、貧困の根絶、格差の解消、雇用と生活の安定をめざす諸行動に結集し、「目に見え、音が聞こえる」春闘行動を展開します。

貧困・格差の解消
 政府は、09年10月20日に日本の相対的貧困率(2007年調査)を日本政府としてはじめて発表しました。発表によると、114万円以下の所得で暮らす人の割合が15・7パーセントで国民の7人に1人が貧困状態にあること、また、18歳未満の子供の貧困率も14・2パーセントにのぼることが明らかとなりました。
 労働者・国民の生活が悪化している主な原因は、高齢化の進展に伴う低年金受給者の増大、非正規労働者の増加とそれに伴うワーキングプアの増大です。非正規雇用労働者は、今や全労働者の3人に1人の割合まで増加し、ワーキングプアとされる年収200万円以下の労働者は1067万人にものぼり、年々増加しています。
 09年11月の完全失業者数は331万人と前年同月比で75万人増加しています。11月の有効求人倍率(季節調整値)も0・45倍(正社員有効求人倍率は0・27倍)と低迷しており、新卒予定者の内定率は大卒61パーセント(09年10月1日現在)、高卒55・2パーセント(同10月末現在)と非常に低い水準にあります。

内需の拡大を
 09年11月の消費者物価指数は前年同月比1・7パーセントマイナスで9か月連続のマイナスとなっており、政府も日本経済がデフレ局面に入っているとの認識を示しました。「国民生活基礎調査」によれば、一世帯あたりの平均所得金額は556・2万円(07年)で年々減少してきており、94年の664・2万円から16・3パーセント減少しています。公務員労働者も、09年人事院勧告で15万4000円の年収減が強行され、一時金の支給月数も60年代の水準に逆戻りしました。
 ところが、大企業はこの不況下においても内部留保を積み増してきており、98年の209・9兆円から08年には428・6兆円へと2倍近く(218・7兆円)増加させています。09年3月期決算をみても、売上高、経常利益とも大幅に減少しているにも関わらず、内部留保は25兆円も積み増ししています。95年5月に、日経連が「新時代の『日本的経営』」で、労働者を「長期蓄積能力活用型」「高度専門能力活用型」「雇用柔軟型」の3グループに分け、労働力の「弾力化」「流動化」を進めることを打ち出し、98年には労働者派遣法が改悪されました。98年以降積み上がった218・7兆円の内部留保は、リストラによる解雇と非正規労働者への置き換え、賃金の引き下げと下請け単価切り下げなど、労働者、中小企業への犠牲転化のうえに積み上がったものとも言えます。
 また、一部大企業は、雇用を守るための内部留保の取り崩しは拒否する一方で、赤字決算のなかでも、株主配当のために内部留保を取り崩しました。株主配当のためには内部留保を活用するが、雇用確保のためには活用しないという理屈は通用しませんし、到底納得できるものではありません。

10春闘の課題
 雇用と働くルールの破壊が貧困と格差の拡大を生み、日本経済低迷の原因であることは明らかです。また、内部留保の過剰なため込みは、国内需要に転化せず需要不足を引き起こすため、国内経済を更なる不況に陥れることにもなります。
 売上高も従業員給与も低迷するなか、内部留保のみが急増している日本企業・社会の姿は、明らかに富の配分に偏りがあると言えます。利益を労働者と社会に的確に還元させ、労働者の生活改善と内需の拡大を図っていくことが求められます。
 10春闘では、労働者に全ての犠牲を転化し、利益を生み出す社会から、労働者の生活改善と内需拡大路線に舵を切らせることが課題となります。そのため、最低賃金の引き上げ、非正規労働者の正規化と働くルールの確立、全労働者の賃上げをめざしてとりくむことが重要です。とりわけ公務においては、初任給改善を重視し、公務員労働者全体の賃金の底上げをめざします。

変化をチャンスに
 10春闘は、「国民生活第一」を公約とした民主党政権のもとでたたかうはじめての春闘でもあります。
 私たちのたたかいを反映し、労働政策審議会が12月28日に出した労働者派遣法改正の答申には、この間の規制緩和一辺倒の路線を転じ、規制強化・労働者保護に向かう内容も盛り込まれましたが、登録型派遣原則禁止まで5年間の猶予期間を設けている等の問題点が残されており、とりくみの一層の強化が必要となっています。
 政府の政策を、文字どおり「国民生活第一」のものとして前進させていくために、私たちの国民生活に強く根ざした運動の一層の発展が求められています。
 
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適正迅速な裁判の実現、繁忙解消に向けて議論
12月6日・7日地連書記官担当者会議と上京団交渉
 
 12月6日、7日東京・南青山会館において、地連書記官担当者会議を開催し、全国各地連から書記官が結集しました。
 民事立会部では、簡裁、地裁を問わず、過払金返還請求事件が相変わらず多く係属しており、しかもこれまでとは異なり、取下や和解で終了するケースが減っており、当事者が判決を求めることが多くなっています。このため、民事立会部の書記官は繁忙になっています。また、労働審判事件も全国的に増加していますが、その性質上、解決が長引くことは許されません。本庁以外の大きな支部も含めて、実施庁では適正迅速な裁判を実施するための態勢をしっかりと整備する必要があります。全国的に超過勤務の縮減が叫ばれている中、超過勤務の縮減には裁判官の協力が必要不可欠です。民事立会部では、弁論準備手続等への選別立会や判決チェックの在り方など職場全体で改めて見直す余地があり、超勤縮減に向けた積極的な報告が全国から寄せられました。
 家事部も全国的に繁忙な職場実態であり、昼休みも当事者の対応を求められるなど厳しい職場実態が報告されました。また、人事訴訟事件が家裁に移管されて6年になりますが、なかなか期日が入れられないとの報告もありました。人事訴訟事件を家裁に移管した本来の目的に反することがないよう、適正迅速な裁判に必要な人員を家裁に配置することが求められます。
 書記官事務の簡素化に向けては、全国の効率的な事務処理の報告に加え、記録編成通達の柔軟化、証拠等関係カードに関する執務資料の改訂、研修等における講義の映像(DVD)化、ウェブ閲覧が可能な階層範囲の拡大など、即戦力なアイデアが出されました。
 7日の午後は、最高裁給与課長との上京団交渉を実施し、交渉の席上で全国の職場実態を当局に伝え、事務の簡素化・合理化に向け積極的な提案を行うとともに、繁忙な職場実態の解消に向けた当局の努力姿勢を追及しました。
 
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2010年春闘アンケート
食費・教養・被服費を節約、医療・介護の充実求める 生活不安が鮮明に、手当など改善を!
 
 2010春闘要求・意識アンケート調査の結果では、不景気や公務員給与削減の影響を強く受けた職員の生活不安や職場の諸問題が浮き彫りになっています。集約数は、47支部1204名で組合員1割以上を抽出調査しました。
 全司法は、国公労連提起の平均月額1万円引き上げをはじめとする「2010年統一要求案」(議案書送付済)について、全司法第70回中央委員会、国公労連第134回拡大中央委員会で討議・決定し、公務産別のたたかいに結集するとともに3月の最高裁人事局長交渉に臨みます。

国公労連の統一要求案
 国公労連の春闘統一要求書案概要は次のとおりです。
(1) 国公労働者の賃金を平均月額10000円、臨時・非常勤職員の時給を100円以上引き上げること。
(2) 行政職(1)高卒初任給を159000円、大卒初任給を198000円に引き上げること。
(3) 臨時・非常勤を含め、公務職場労働者の最低賃金を時間給1000円、日額7500円、月額150000円以上に引き上げること。
(4) 一時金の支給月数を引き上げ、改善部分をすべて期末手当にあてること。
(5) 地域間の給与格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。
(6) 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。
(7) 単身赴任手当の支給要件・額を改善すること。
(8) 寒冷地手当の支給要件を改め支給額等を改善すること。

アンケート結果の分析
 項目が多いため賃金・諸手当等に絞って分析・発表。

■賃金と生活実感
 現在の賃金については、50・0%が低い(低い・やや低い)と答え、加重平均17985円、中位数13942円、3分の2ライン10100円で、いずれの指標も昨年よりダウンしました。
 生活実感では、「かなり苦しい10・2%、やや苦しい39・8%」を合わせて50・0%が苦しいと答えています。特に50〜54歳の層は63・4%に達しており、子どもの教育費や住宅関係費、税・社会保険等の負担が顕著に反映されています。
 一方、家計での節約では、「食費の節約」60・0%、教養娯楽59・6%、被服費59・3%と続いており、厳しい生活状況を示しています。
■諸手当のあり方
 「A.配偶者の扶養手当」については、さらなる増額が必要33・4%、支給根拠・範囲等の制度見直し30・9%と合わせて64・3%が改善を要求しています。
 「B.子供の扶養手当」についても、増額33・4%、制度見直し30・9%、計64・3%となっています。
 「C.借家・借間の住居手当」については、増額42・2%、支給根拠・範囲等見直し27・1%、計69・3%にも達しています。
 「D.マイカー等の通勤手当」の増額・見直しは計64・4%となっています。
 また、地域手当74・9%、広域異動手当71・1%、寒冷地手当71・1%等についても高い比率で増額や改善を求める声が示されています。

メンタルヘルス対策は職場みんなの協力で
■メンタル対策(2つ選択)
 職場のメンタルヘルス対策の充実で必要なものについては、第1番に「仕事の分担など職場体制の見直し」42・9%、2番目に「業務量や勤務時間の見直し」36・7%、3番目に「年休等を活用した心身のリフレッシュ」27・0%が続いています。
 自由意見では、職員同士の声かけ、気配り、コミュニケーションが大切であり、何でも話し合える民主的な職場をつくることという主張もされており、管理職だけでなく、すべての職員に対して、研修等により、健康対策にむけた認識を高めることが求められています。
■政府への要求(5つ選択)
 政府への要求では、昨年に続き第1番が「医療・介護・保育などの改悪阻止と制度改善」59・6%、2番目が「年金改善と最低賃金保障年金制度の確立」49・2%となっていますが、「最低賃金大幅引き上げ、全国一律最賃制の確立」が43・2%で初めてトップ3に入り、続いて「消費税増税反対、大企業等への課税強化」39・5%、「派遣法の抜本改正、安定雇用の実現、失業対策」38・2%と、今日の深刻な雇用危機を反映した経済・雇用の安定を望む意思が示されています。
 これらのアンケート結果からも、貧困と格差の根絶、働くルールの確立を求める国公労連2010春闘の重点課題に、組合員の意識が反映されているといえます。

職場の声
・これ以上の公務員の賃下げは断固反対。一部天下りの批判から公務員全体が批判されるのは心外。
・互助制度の充実。下手な能力主義の抑制に邁進していきたい。
・国民のための公務員制度確立のため、国民との共闘をさらに進めてもらいたい。多くの組合員参加で、とりくみを組合全体のものとすれば組織拡大にもつながると思う。
・今の給与では結婚、子育てができない。大幅な賃上げを求めます。
・自己実現が若い人も老いた方も適切に実現できる仕組みを構築すべき。
・管理職だけでなく、同僚との協力が大切。競争原理はこれに反する!
・メンタル対策は昔のような人と人とのつながりを実感できる毎日。
・国を支える生活が安定しないと国も崩れる。対策の早期確立・実行を。
・各庁状況を把握し人員配置を。恒常的に残業をする部署をなくすべき。
・子育て中の女性が働きやすい職場になるよう。
 
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