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全司法新聞
 
一人ひとりが連帯と共同行動の輪の中に
貧困・生活危機突破の大運動 09春闘

国民の生活と権利守れ
 
 格差と貧困を拡大する「働くルール」の破壊は、米国発の金融危機を契機として、「派遣切り」という最悪の形で表れました。
 一方、貧困撲滅、働くルールの確立を旗印としたこの間の私たちの運動により、働く仲間の連帯がひろがり、労働者派遣法の抜本改正を求める世論と運動の高揚など、「貧困・生活危機突破の09春闘」をたたかう条件も切り開かれています。

変えよう大企業中心社会
 東京商工リサーチの発表によると、昨年の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、前年比11パーセント増の約1万5600件であり、5年ぶりに1万5000件を超えました。倒産の形態は、「不況型倒産」が全体の76パーセントを占めており、上場企業の倒産も戦後最多となっています。日銀の調査によれば、昨年9月末の国内銀行の中小企業貸出残高は前年比で約6兆円減少しており、中小企業に対する貸し渋り、貸し剥がしが行われています。
 一方で、大企業は巨額な内部留保を積み増し(資本金10億円以上の金融・保険を除く全企業で07年度228兆円)、配当金と役員給与を引き上げる一方で、従業員数も従業員給与も減らしてきたことは、この間、様々な場面で指摘されているとおりです。
 こうしたなか、昨年は、グッドウィルへの事業改善命令にはじまり、「名ばかり管理職」や「偽装請負」、残業代未払い等の違法行為の告発、雇い止めの撤回、「年越し派遣村」等の様々な場面で労働組合が活躍しています。
 また、8万5千人を超える非正規労働者の解雇や内定取消への批判が強まるなかで、官房長官も、内部留保の活用に言及していますし、労働者派遣法の抜本改正に向けては、労働組合内だけでなく、野党間でも足並みがそろってきています。
 09春闘は、こうした情勢のなかで、「貧困と生活危機突破の国民的共同の運動にこそ勝利の展望」があることを確認し、各地域での行動に組合員一人ひとりが参加しながら、労働者の連帯と共同行動を発展させることが求められています。

国民の信頼を基盤に全司法大運動の飛躍が鍵
 裁判所においては、5月21日の裁判員制度施行を控えて、「万全の態勢」づくりをすすめていきます。そのためにも、昨秋から各地でとりくみをすすめている「裁判員裁判の態勢整備に向けた私の要求書提出行動」等で示された問題点の解決を着実に図っていくことが求められます。
 また、百年に一度とも言われる深刻な金融・経済危機のもとで、私たちの仕事にも様々な影響が及んでくるものと思います。この間、内定取消に絡む労働審判の利用等も報道されています。
 一連の司法制度改革は、「規制緩和の受け皿」としての役割が期待されていたこともあり、司法に対する国民の期待は高まっています。国民の権利と生活を守るために、それぞれの持ち場で、私たちの役割を果たしていくことが求められています。
 そして、これらに着実にとりくむなかで明らかとなった課題を、全司法大運動とも切り結びながら整理し、国民の理解を得ていくとりくみへとつなげていくことが求められています。

民主的な公務員制度の確立にむけて
 公務員制度改革推進本部が11月に提出した「報告」は、労働基本権制約の「代償措置」機能を後退させ、一般公務員を含めて、給与、任免などに関わる企画立案の機能を内閣人事局に移管するとしていますが、前提となる労働基本権回復の議論は棚上げされたままとなっています。
 政府は、国家公務員制度改革基本法の改革の工程を当初の5年から4年に前倒しするとしていますが、公務員の労働基本権回復は国民の権利義務に影響を与えるものであり、国民的な合意なく進められるものではありません。ILO勧告に基づき国民的な議論をすすめていくため、国民生活を守る課題と結合した、私たちの主体的なとりくみが求められています。
 
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裁判員制度 円滑な実施にむけて総力を挙げてとりくむ
最高裁長官と全司法四役会見
 
 全司法本部四役と竹崎最高裁長官との会見の要旨は次のとおりです。

裁判員制度
 裁判員制度について沖本委員長は、施行が間近に迫っていることから、「国民の理解と納得など、参加に向けた環境整備」「裁判員などに対する接遇などの研修の充実」「3年後見直しに向けた検証作業の準備」「引き続き円滑な施行に向けた整備と安定した裁判制度として定着していくための態勢づくり」を求めました。
 竹崎長官は、「国民の理解と信頼を得て円滑に実施できるよう総力を挙げて取り組んでいかなくてはならない」とした上で、「これから制度実施までの間は、引き続き、国民の不安や疑問を解決できるよう制度の運用等の検討を重ねるとともに、裁判員候補者等に対する接遇といった点も含めて、国民が安心して参加できるようきめ細かな準備を進めていく必要」「これまでにない大きな制度改変であることから、実施後も運用の状況をよく見て、常に必要な見直ししていくという姿勢が必要」「人的物的態勢についても、現下の財政状況の中で、内部努力を重ねながら、引き続き力を注いでいきたいと考えている」「職員の皆さんの果たす役割も極めて重要であることから、円滑な制度のスタートに向けて御協力をお願いしたい」と表明しました。

労働基本権
 労働基本権について、委員長は、「労働基本権は全面的に回復されるべき」とした上で、裁判所内部での検討にあたっては、全司法との誠実な対応を求めました。
 長官は、「労働基本権問題は、非常に大きな問題であり、政府等の検討状況を見守るとともに、具体的な措置が図られる際には、裁判所の組織の特殊性や職員の職務の特性を踏まえながら、適切な対応をしていく必要がある」と表明しました。

新たな人事評価制度
 裁判所における新たな人事評価制度について、委員長は、人事評価制度は、客観的、公平性、透明性、納得性が不可欠で単に差をつけるためのものであってはならないとした上で、裁判所にとって人材は大きな財産、力であることから、人材の育成、任用が重要であり、これに資するような評価制度の構築が不可欠であることと、制度の検討にあたっての全司法との誠実対応を求めました。
 長官は、「裁判所における人事評価制度については、ひいては国民の裁判所職員に対する信頼の確保に資するように、裁判所に相応しい形で、客観的で公正性、透明性、納得性の高い制度を整備していく必要がある」とし、「検討に当たっては担当部局に誠実に対応させたい」と表明しました。

全司法との誠実対応
 最後に委員長は、全司法との誠実対応について、1992年3月18日事務総長見解を基本とする労使関係の重要性を強調し、引き続き全国で全司法との誠実対応と健全な労使関係の構築を求めました。
 長官は、事務総長見解の内容は当然のことと考えているとした上で、「職員の勤務条件やこれに関する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならない」「担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいし、職員団体もその方向で努力してもらいたい」と、全司法との誠実対応を表明しました。
 
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経労委報告を読む
 
 新自由主義に基づく「構造改革」路線は、かつてないほどに格差と貧困を拡大させました。そして、新自由主義経済の破綻とも言える世界的経済危機の前に、大企業は、労働者を無法に解雇し、住居さえも奪い、その生存さえ脅かしています。こうした中、昨年12月16日に財界の春闘方針である経団連の「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)が出されました。
 急激に悪化する雇用問題への対応が注目されましたが、原案に「雇用の安定を最優先」と表現されていたものが、「雇用の安定に努力することが求められる」と後退しました。その一方で、副題で「労使一丸で難局を乗り越え、さらなる飛躍に挑戦を」とうたい、更なる生産性の向上を強調しています。これは、「雇用問題は努力するものの保障の限りではない、とにかく生産性の向上(利潤追求)こそが全て」というものであり、雇用の確保という社会的責任を放棄して、企業体の利潤追求と株主配当のみに固執する財界の姿が浮き彫りになっています。また、「激変する環境変化に対応するには、戦略的事業基盤の再構築が不可欠」とし、「政府は、その取り組みを後押しする競争基盤の整備を実施すべき」と強調し、格差と貧困を拡大させた反省すらなく構造改革路線の一層の推進を求めています。
 次に、今の経済危機をオイルショック、バブル崩壊に次いで戦後第3の危機と位置付け、過去の危機は労使が一丸となって乗り越えてきたと言い、今回の危機もそうして乗り越えるべきとしています。しかし、その前提となる労使関係を「労使が経済状況や企業実態を重視する成熟したものへと深化」と捉えており、不当な解雇や賃下げまで労働組合が「理解し容認する」という特異な労使関係を求めているものと言えます。
 また、「労使双方の最大の課題は、総額人件費のパイとなる新たな付加価値」と言いますが、これまで巨額の内部留保、株主配当及び役員報酬を増大させながら、賃金は逆に下げてきたことからすると、これが言葉だけのものであることは明らかです。
 仕事と生活の両立に関わる「ワーク・ライフ・バランス論」については、「両立支援策、労働時間短縮などの施策を表面的に捉えるのではなく生産性を飛躍的に向上させる新しい働き方への挑戦と位置付け」と言っています。これは、労働者が置かれている過重な仕事量を無視し、限られた時間の中での生産性の向上を図るというものであり、いわば過労死を迫るような働き方を強いる本質が見えます。
 これらのように経労委報告は、利潤追求を唯一無比のものとし、労働者はそのための道具にしかすぎないと捉えるものであり、その見識が大いに疑われます。
 今、全国各地で労働組合が結成されています。また、「年越し派遣村」に代表されるように「人間的連帯の輪」が広がっています。こうした動きにより、政府もマスメディアも内部留保の活用を言うようになるなど、運動によって財界・大企業を包囲しつつあります。今春闘はそうした情勢の変化に確信を持って旺盛に運動をすすめていくことが求められます。
 
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