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  トップページ > 全司法新聞 > 2008年6月 > 2057号
 
全司法新聞
 
「裁判員調整官」を新設
訟廷管理官・裁判員係を増新設
整備求めた組合要求が実現
 
 最高裁は、裁判員裁判実施に伴う組織整備として、8月1日付けで「裁判員調整官」や裁判員係等を新たに設置することを決定しました。これは、本部が、当面の重点要求として実現を求めてきた「裁判員裁判実施に伴う組織整備等に関する要求」の一部について、正面から応えてきたものとして大きく評価できるものです。

 最高裁は、裁判員裁判実施に伴う組織整備のため、「大法廷首席書記官等に関する規則」を一部改正し、次のとおり、「裁判員調整官」等を新たに設置することを決定しました。

(1) 裁判員調整官の新設
 全ての地裁本庁・東京地裁八王子支部・大阪地裁堺支部・福岡地裁小倉支部
(2) 刑事訟廷管理官の新設
 横浜地裁小田原支部・静岡地裁沼津支部・静岡地裁浜松支部・神戸地裁姫路支部・名古屋地裁岡崎支部
(3) 訟廷管理官の新設
 長野地裁松本支部・福島地裁郡山支部
(4) 裁判員係の新設
 全ての裁判員実施庁

 これらのポストは、「裁判員及び補充裁判員の選任に関して新たに発生する訟廷事務を掌る」ために新設されるものであり、(1)全ての地裁本庁並びに既に刑事訟廷管理官及び民事訟廷管理官が設置されている裁判員裁判実施支部には「裁判員調整官」が、(2)既に訟廷管理官が設置されている裁判員裁判実施支部には「刑事訟廷管理官」が、(3)これまで訟廷管理官が設置されていなかった裁判員裁判実施支部には「訟廷管理官」が新設されることになります。
 また、(4)今回新設された裁判員調整官、刑事訟廷管理官及び訟廷管理官の下に(全ての裁判員裁判実施庁)、「裁判員係」が新設され、同係に新たな訟廷係長ポストとして裁判員係長も設置されます。

裁判員裁判実施に伴う組織整備等に関する要求書の要点
 書記官事務を中心とした裁判員裁判の運用においては、明確な責任体制のもとで対外的な対応が必要となる。
 裁判員裁判の具体的な事務処理に関わっては、対内的にも訟廷及び公判部、事務局等を連携・調整する新たなポストが必要となる。
 裁判員裁判実施支部を抱える本庁については、裁判員裁判実施支部への本庁刑事部等からの応援態勢等を含めて全庁的に対応できる態勢を作る必要がある。
 裁判員裁判実施支部については、訟廷組織の民事・刑事への分割、訟廷管理官の配置をはじめとして、業務量等をふまえた個別具体的な組織機構の整備が必要となる。

 本部は、08諸要求貫徹闘争方針で、裁判員裁判の実施に向けて、「模擬裁判・模擬選任手続で問題点をきちんと把握・整理させるとともに、年度途中から始まる裁判員等選任手続きに向けた組織体制の整備方針等も具体化させておく必要」があるとして、右掲要点のとおり、「裁判員裁判実施に伴う組織整備等に関する要求書」を確立し、最高裁に対してその検討を求めてきました。
 今回の規則改正は、裁判員裁判の実施態勢整備の検討にあたり、こうした全司法の要求についても、最高裁が正面から応えてきたものとして、大きく評価できるものです。
 一方、08年諸要求貫徹闘争方針では、「各地裁では、裁判員裁判だけでなく、被害者参加制度や検審事務の見直し等に伴う人材育成も含めたきめ細かな人的態勢の整備をすすめていく必要」があることを指摘しています。今後は、各庁の事務処理状況や人員配置の実態等をふまえたうえで、各支部・職場段階における具体的な配置の検討が必要となります。そのための労働組合としての対応が求められます。
 また、今回新設された裁判員調整官、刑事訟廷管理官及び管理官は、いずれも既存の訟廷管理官と同格のポストと位置づけられ、裁判員選任手続きに関する訟廷部門における責任者とされています。
 全司法は、「裁判員裁判の具体的な事務処理に関わっては、訟廷だけでなく訟廷及び公判部、事務局等を連携・調整する新たなポストが必要」としていますし、「裁判員裁判実施支部への本庁刑事部等からの応援態勢等を含めて全庁的に対応できる態勢整備」も要求しています。これらの要求もふまえつつ、引き続き、裁判員制度実施に伴う「万全の態勢整備」に向けたとりくみをすすめます。
 また、最高裁は、「裁判員係長の事務は、書記官が担当すべきものが多く含まれていることから、裁判員係長は書記官の中から任用される」としています。この間、参事官室提言と訟廷組織との関わりについては、「いまだ案を示せる段階には至っていない」とする回答に止まっている状況等もふまえつつ、引き続き、業務や問題点を整理し、専任事務官の活躍の場の確保に向けた追及を強化していくことが求められています。
 その他、08年諸要求貫徹闘争方針では、「裁判員等選任手続業務の中心となるシステム化やアウトソーシングは、各地裁からみると『最高裁次第』とならざるを得ないことをふまえて、職場の要求が一つでも反映されるよう引き続き追及」していくこととしています。本部は、最高裁が、裁判員選任手続のアウトソーシングに関して、データ入力業務等の一般競争入札を開始している状況等もふまえ、特に国民の裁判員裁判参加への最初のアクセスポイントと考えられるコールセンターについて、「国民の様々な不安や疑問等に的確に答え」られるようにするとの最高裁回答の到達点等もふまえつつ、その態勢整備に向けた追及を強化していくこととしています。
 
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夏季休暇取得環境を改善
今夏頃、評価の2次試行実施
5月13日 第1回給与課長交渉を実施
 
 全司法本部は、5月13日、諸要求貫徹闘争期における要求前進をめざし、賃金(諸手当を含む)、労働基本権、民主的公務員制度、高齢者雇用・再任用制度、休暇制度・育児休業、次世代育成支援対策、男女平等・母性保護、宿日直、権利、社会保障・共済制度の10項目について、最高裁事務総局人事局垣内給与課長との第1回交渉を実施しました。
 賃金に関しては、消費者物価の上昇等に基づいて追及し、当局は従前の基本回答を示しました。査定昇給・勤勉手当の運用での下位区分判定のバラツキに関する追及に対しては、「昨年6月と12月の勤勉手当について適切に運用された」との認識を示し、「本年6月期の評定についても、改めて勤勉手当、昇給、昇格、それぞれの場合について、問題となるべき事実の程度、発生時期等に応じた運用、考え方等を整理して下級裁に示すなど方策を講じた」と回答しました。
 労働基本権に関しては、国家公務員制度改革基本法案をめぐる情勢に基づいて追及し、当局は、「引き続き全司法との誠実対応」を回答しました。
 民主的公務員制度の確立に関しては、新たな人事評価制度についての追及に対し、第1次試行のアンケート結果や試行実施庁の意見等により「人材育成に有益と受けとめられた」との認識を示し、さらに、第2次試行を「今年の夏頃から」「行政府省の試行期間よりは短期間」「高裁の意見をふまえて、全国的な見地から、庁の規模や職種間のバランスを考慮して」「各庁の管理職員を中心に対象者の範囲を拡大して」実施するとの見通しを明らかにしました。また、「期首面談、自己評価、期末面談・評価内容のフィードバックの枠組みは維持」「新職員カードを主たる評価ツールとして検討を重ねる」「フィードバックのあり方も検討していく」と回答しました。
 有給休暇、育児休業、介護休暇等の取得状況については別表のとおりであり、新たに育児短時間勤務と自己啓発休業の取得状況も明らかにしました。また、「引き続き、取得環境の改善に努める」とし、「夏期における最高裁への報告等の期限の緩和をすすめる」と回答しました。
 次世代育成に関しては、「アクションプランが3年連続して数値目標を達成できた」とし、男女平等・母性保護とともに、職場のいっそうの意識改革と周知・配慮を行うことを回答しています。
 宿日直に関しては、従前回答を示すとともに、東京高地簡裁における試みについて「見守りたい」としました。権利についても、従前どおり、「誠実な対応」「下級裁当局への指導」を約束しています。
 社保・共済制度の改善については、旧来の「別人格論」を唱えつつも、本年4月の共済支部の統廃合について、「今後とも組合員へのサービスの状況について確認していく」と回答しました。
 大きな前進はなかったものの、夏季休暇の取得促進に向けた環境整備について前進回答が示されるとともに、全体として従前の到達点を維持させるものとなりました。
 
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所定勤務時間の短縮を求め東京地連時短カルテ行動
 
【東京地連・齊藤書記長発】
 私の記憶が確かならば、今年の人事院勧告で勤務時間の短縮が必ず勧告されるはず。昨年末には人事院が勤務時間を7時間45分に短縮する方針を固めたとの報道もありました。
 しかし、人事院は春闘期の回答で「昨年同様の調査を行い、公務の時間短縮を検討する際の基礎データとして活用する」と言っています。あれ?調査?検討?検討次第じゃ勤務時間短縮は「なし」ってこと?
 このままでは危ない。何か手を打たないと…。
 東京地連では、今年の人事院勧告で確実に勤務時間の短縮が勧告されるよう、最高裁長官あて上申行動「時短カルテ」行動を提起します。
 一昨年7月の勤務時間見直しで拘束時間が延長されました。その結果、仕事と育児や介護を両立している職員にとって、厳しい職務・生活実態に追い込まれました。未だに、両立に悩み、苦しんでいる仲間もいます。
 1日も早い所定勤務時間短縮は職場総意の声であり、民間準拠というならば短縮は可能なはずです。「時短カルテ」行動を完遂し、早期の実現をめざします。
 
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評価試行 アンケート結果を公表
8割が”有益”と回答
 
 昨年7月の国公法改正により、能力・実績主義が導入されたことをうけ、「裁判所においても、客観的で公平性、透明性、納得性を高めることができる新たな人事評価制度の整備に向けた作業をすすめる」として、最高裁は、10月から1月までの4か月間、管理職の一部を対象としたパイロット庁方式による「裁判所における新たな人事評価の第1次試行」を実施しました。その後、試行に参加した被評価者及び評価者にアンケートを行い、5月9日にその結果を公表しました。

アンケート結果の概要
 アンケートの質問事項は、(1)「期首面談の準備」、「期首面談」、「自己評価」、「期末面談」を被評価者・評価者がどのように受けとめたか、(2)ツール(面談・自己評価シート、新職員カード等)の機能及び修正点、(3)第1次試行の枠組みが職員の人材育成の観点から有益なものといえるかである。
 (3)の枠組みが職員の人材育成の観点から有益なものといえるかについては、全体として有益と受けとめられた。
 (1)については、殆どの被評価者、評価者が試行期間に取り組む目標について互いの認識を共有できた、期首及び期末面談はコミュニケーションに有益と回答。自己評価について、後の業務遂行に有益であったとの回答が被評価者で8割、評価者で9割を占め、設定した目標以外の業務や個別の評価項目にかかる自己評価についても有益という回答が多かった。
 第1次試行の人事評価の枠組みについては、全体として肯定的に受け止められており、期首面談、自己評価、期末面談等も概ね順調に実施され、それぞれ有益であったと受け止められている。各ツールについても有効に利用されているが、いくつかの点で修正が求められている。

第2次試行にむけて
 あわせて、「第2次試行は、対象庁及び対象職員を第1次試行から拡大して実施したい。具体的な対象範囲等は現在検討中であるが、もう一度、管理職員を中心に実施することを想定」していることが盛り込まれており、引き続く対応の強化が求められます。
 
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