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  トップページ > 全司法新聞 > 2007年9月 > 2039号
 
全司法新聞
 
初任給中心に8年ぶり俸給表改善
主な内容、感想
 

 8月8日、07年度の人事院勧告が出されました。内容は、0・35%、1、352円の官民較差にもとづき、初任給を中心とした若年層の俸給月額と一時金の0・05月改善、子等の扶養手当の500円引き上げ、地域手当の改定(一部は07年4月遡及)であり、昨年の比較企業規模の改悪がなければ、さらに大きなプラスが予想されたことを考えると不満ですが、6年ぶりのベア勧告、8年ぶりの俸給の改善は一定評価できます。しかし、所定勤務時間の短縮を、来年の勧告に先送りしたことは極めて不満です。3人から感想を聞いてみました。

子育て世代も改善を
福岡支部 長岡 文生
 今勧告では初任給や若年層の賃金改善が行われた。職場の青年達は、差額支給の初体験ができることをとても喜んでおり、私たち青年OBも、若い頃の要求がやっと実現できたと嬉しく思っている。
 とは言え、私たち子育て世代も生活は楽ではない。切りつめるところは全て切りつめ、愛する子供が苦しい思いをしないよう日々頑張っている。実感はわかないが好景気と言われている状況だから、若年層にとどまらず、全体への賃上げに強く期待をしていたが、地域間格差拡大や一部キャリア優遇だけが行われ、期待は破られた。
 賃金は生計費原則である。子供の成長とともに学費などの負担が待っている。給与カーブが下げられ、生活に必要賃金が払われない状況で、安心して子育てができるか不安である。500円の扶養手当引上げでは、とても子育て支援がなされたとは思えない。

青年層の格差是正?
札幌支部 河内 光二

 これまで永きにわたりベアが無く賃上げどころか賃下げの嵐で青年層にとっては、久しくあるいは初めての賃上げかと思われます。これは、わずかであっても賃上げという運びになったことは一定の成果と言えます。
 しかし、月例給は初任給を中心とした若年層のみの俸給表の改定であり、全体の改定には及んでいません。また、改善された初任給も民間との格差の全てが是正されておらず、さらに、昨年の比較企業規模の引き下げにより基準幅が小さくなっていることについては、決して満足のできる内容ではありません。
 全体の改定となるよう、この人勧を足がかりにさらなる前進に期待がかかります。

昼は外に行きたい
東京地裁支部 小野美奈子

 特例措置を受けて昼休みを30分にしていますが、昼休みの始まりの時間に休めないことも多く、仕出し弁当や持参したお弁当を食べると、昼休みが終わってしまいます。
 電話や窓口に対応する私を見かねて、外に食事に行きにくそうな人もいて、自分だけの問題ではないと痛感します。
 最近は、子どもの心の問題を親のせいにしたがる教育改革やらで、早寝早起き朝ごはん、が声高に言われていますが、働く母には、たかが15分、されど15分です。キレやすい子どもに育ったら、子どもを預けて働く母が悪いのかしら。
 時短勧告見送りは、非常に辛いです。

 
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育児の短時間勤務制度新設
制度・運用さらに充実
 

 国公労連女性協等に結集した運動が実り、部分休業(育児時間)の対象となる子の範囲の拡大や育児のための短時間勤務制度の新設等を内容とする育児休業等に関する法律の一部改正法が5月16日に公布され、8月1日から施行されました。

 全司法は、各支部女性部を中心として、「子育てと仕事の両立」を求め、国公労連女性協に結集し、子育て支援制度の拡充を求める運動を展開してきました。
 「育児短時間勤務制度」等の関連法は5月16日に交付されましたが、第166回通常国会の状況もあって、施行に関する閣議決定が遅れ(7月17日閣議決定)、同20日に人事院規則発出、8月1日施行という非常にタイトなスケジュールでの実施となりました。そのため、この間の全司法のとりくみと到達点をふまえつつ、新たな育児支援策の内容をあらためて確認してみます。
 全司法は、最高裁に対して、「育児短時間勤務制度」新設にあたっては、現場のニーズを把握するとともに、使い勝手のよい制度とするよう求めてきました。こうした全司法の申入れ及び関連法の成立を受けて、最高裁は、人事院規則発出前で制度の詳細が固まっていない6月7日の段階で、「来年4月ころまでに育児時間又は育児短時間勤務を取得することを考えている職員から希望聴取する」措置を執りました。このなかで、「施行直後からの取得希望にもできる限り対応」する姿勢を確認するとともに、丁寧なニーズの把握を求めた結果、育児時間及び短時間勤務希望者の合計数は、全国で340名近くに上りました。

 こうしたとりくみを受け、人事院規則公布後に裁判所の運用を固めるなかで、最高裁は、全司法に対し、「育児時間については、取得希望の申出をした職員について概ね承認がされる見通し」、「育児短時間勤務については、勤務時間の割振りモデルに当てはまる請求についてはできる限り速やかに承認する」「モデルに当てはまらない請求については、業務に与える影響等を考慮しつつ、異動期等も踏まえて慎重に検討」、「8月からの取得希望に対しては、各庁において、承認の可否や承認時期等の見通しを伝えるとともに、早期に承認できるものについては遺漏のないよう対応」していく姿勢を明らかにしました。
 また、取得しやすい環境づくりの観点から、制度の詳細を職場に周知するよう申し入れに対して、育児時間を取得した場合の休暇や給与、育児短時間勤務の取得形態(モデル)や育児短時間勤務を取得した場合の休暇や給与、保育時間との関係等を整理した別紙「Q&A」が配布されました。
 制度設計及び運用の両面において、きめ細かな対応を引き出しています。

 
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ここが知りたい―参院選
 

 安倍政権は二つの大きな支持基盤をもっていました。1つは大都市部の中間層や上流層で、もう一つは地方や農村部の有権者ですが、参院選ではこの両方が政権に愛想をつかしました。
 小泉政権の構造改革で地方は疲弊し、都市との格差も大きくなりました。このため、自民党支持は減りましたが、民主党には行きませんでした。しかし、安倍政権が構造改革の継続を打ち出したのに対して、民主党が格差に歯止めをかける公約を打ち出したため、地方票が民主党に流れました。
 大都市部の票は小泉政権下では自民党に流れていましたが、今回は民主党に戻りました。「政治とカネ」の問題や年金の問題などで、古い体質の自民党が復活すると疑ったからでしょう。
 選挙結果を受けて安倍政権が構造改革と軍事大国化という従来路線を転換するとは思えません。今回、構造改革への批判はそのまま民主党の票となりましたが、改革に明確に反対してきた共産党と社民党は伸びず、自民と民主の間でのキャッチボール状態が定着したとみることができます。
 「民主党に裏切られた」と感じた国民は次は自民党に投票するでしょう。
 安倍首相自身は二つの離反にどう対処するのか。構造改革をやめたいところだが、現在政権の唯一の支えとなっている財界は構造改革の継続を求めています。その財界は消費税引き上げを要求しており、悩ましい。
 安倍政権は改憲と教育再生という路線に突っ走る可能性があります。今後、集団的自衛権行使についての有識者会議の報告書が出され、恒久的派兵法案も提出されます。国会には憲法審査会が設置されます。自民党はこの路線に民主党を引きずり込もうとするでしょう。したがって、国民の政治監視はますます必要になります。
 (談)渡辺一橋大学教授

 
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