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声明・決議・資料
 
第82回定期大会(2025年7月)採択の大会宣言・決議

大 会 宣 言

 私たちは、86名の参加のもと第82回定期大会を開催し、激動する情勢をふまえて、組織課題、賃金、「国民のための裁判所」実現、職場諸要求、憲法と平和、職員制度などについて討議を深め、向こう1年間の運動方針を確立した。
 裁判所は大量退職・大量採用期に入った。全司法が職場の多数派だった時代を知り、今も全司法の活動を担い、支えている世代がこの先10年ほどで職場を離れていくことから、全司法を守り、将来に引き継いでいくことが急務となっている。そうした状況のもと、全司法は、前回大会において、仲間を増やし、参加する人を増やし、担い手を増やして全司法をみんなで一緒に活動する組織に変えていくという新たな組織方針を確立し、これに基づくとりくみをすすめてきた。仲間を増やすための中心的なとりくみとして、新採用職員に対する「ファーストアタック」を全ての支部で実践することをめざしてきたが、未だ増勢に転じる一歩が踏み出せていない。参加する人を増やし、担い手を増やすとりくみも十分なものとはなっていない。
 全司法の結成以来、多くの先輩方がバトンを繋ぎ、ずっと大切にしてきた全司法の役割は、「要求を実現し、職場のルールを作る役割」「相談しあい、助け合う役割」「仲間を繋ぎ、居場所を作る役割」の3つに整理できる。私たちは、職場や組合員の要求を丁寧に拾い上げ、職場に根ざした運動を展開することで2025年諸要求貫徹闘争において、「今の時代に相応な職場環境の整備」として電子レンジの整備、書記官事務の統一、メンタルヘルス対策、裁判官も含めたパワハラ対策、カスハラ対策の事務連絡の発出、勤務時間管理システムの導入、事務官の処遇改善など、多くの課題で前進回答や今後の足がかりとなる回答を引き出してきた。
 さらに、昨年の人事院勧告では、若年層を中心に大幅な賃上げを勝ち取った。しかし、中高年層への改善は不十分な水準にとどまり、若年層においても、生活改善の実感につながっていない。私たち全司法は、すべての世代の物価高騰を上回る賃上げを実現するため、積極的に声をあげ、たたかいを展開する。
 2026年度は、民事訴訟手続デジタル化のフェーズ3、離婚後共同親権の導入、刑事裁判のデジタル化と大きな変化が生じる年となる。一方で、この間、裁判所の人員(定員)は10年で288人減少し、個々の職員の負担が重くなっているが、最高裁当局は人員シフトなどの小手先の対応に終始している。デジタル化で業務の簡素化・効率化を進めるとしているが、当局の現場任せの運用が、情報の格差を生むなど、新たな課題が生じている。こうした様々な課題を解決するために、職場のルールを作る全司法が役割を発揮することが求められている。
 30年目のとりくみとなる全司法大運動は、29回目となる請願採択という成果を勝ち取ったことはもちろん、裁判手続のデジタル化や離婚後共同親権の導入を見据えた人的体制整備を粘り強く訴えたことで多くの紹介議員の獲得につながった。増員をはじめとした裁判所の人的・物的体制の充実にむけて追い風が吹く今、全司法大運動はより重要なとりくみとなっている。30回目の請願採択を勝ち取ることで「国民のための裁判所」実現と裁判所の人的・物的充実をはかっていくため、広く世論に訴え、全ての支部で一筆でも多くの署名獲得をめざしていこう。
 2025年度からは、新たなプラットフォーム「TUNAG for UNION」を導入する。組合員に情報を届ける仕組みを確立し、支部における事務の省力化、本部と地連・支部間の連携強化を図るとともに、組織強化・拡大につなげるための有効な手段として、このツールを活用していこう。
 これまでの運動により勝ち取ってきた到達点を維持・発展させ、職場諸要求の実現と「国民のための裁判所」実現にむけたとりくみをさらにすすめるためには組織の強化・拡大が必要不可欠である。要求前進、組織強化・拡大に新たな一歩を踏み出す決意をここに表明する。
 以上、宣言する。

2025年7月22日
全司法労働組合第82回定期大会

「国民のための裁判所」実現のため、裁判所の人的・物的充実を求める決議

 2026年度、司法制度は大きな転換点を迎えます。離婚後共同親権の導入を含む改正民法の施行、民事訴訟手続のフェーズ3によるデジタル化の拡大、刑事訴訟手続のデジタル化の全面施行など、裁判制度の変化が一度に押し寄せてきます。国民の権利に直結する制度が見直され、司法のあり方そのものが大きく変化する年と言えます。裁判所では定員削減が続いており、職員は制度改正に伴う新たな業務のための準備をする余力がありません。この10年間で裁判官を除く裁判所職員の定員は288人も減少し、定員削減が慢性的な人員不足と超過勤務を常態化させています。メンタルヘルス不調による長期病休者の増加、一向にすすまない事務の簡素化・効率化など、限界を超えた職場実態を無視することはできません。
 改正民法の施行による家庭裁判所への影響はきわめて大きなものになると考えられます。離婚後共同親権が導入されれば、事件数の増加が予想されるとともに、親権をめぐる紛争はより複雑化し、職員にはより専門的な対応が求められます。家裁調査官、調停委員、裁判官といった各職種が連携しながら事件に向き合う必要があるにも関わらず、2025年度の家裁調査官の増員はわずか5名にとどまり、裁判官・書記官の定員は維持されたものの、事務官は減員されるという現状は、法改正への対応を困難にするばかりです。現在でも家庭裁判所では初回の調停期日が後ろ倒しになり、職員は昼休みも当事者対応をしなければならない状況で事務処理に追われていますが、これに加えて改正民法の施行によって事件数が増加すれば、職場が繁忙になることはもとより、適正迅速な事件処理の面でも大きな支障が生じることが危惧されます。
 裁判所のデジタル化について、本年1月から導入された職員向けのe事件管理システム(RoootS)は不具合や使い勝手の悪さが職場から数多く出されています。さらにオンライン申立て等を実現するシステム(TreeeS)の開発・導入はフェーズ3開始に間に合わず、mintsで迎えることになります。紙・TreeeS・mintsの3つの方法により記録を管理せざるを得ず、職場の繁忙度をよりいっそう高める原因となりかねません。
 デジタル化は、それを支える人的・物的基盤が整っていなければ裁判手続が順調にすすむとはいえず、むしろ国民の司法アクセスが損なわれる危険すらあります。当事者に対するサポート、セキュリティの確保、スムーズな運用支援などを担うのは現場の職員です。その職員に対する適切な育成がなされず、必要な部署に適切な人員が配置されないままとなれば、裁判所のデジタル化が立ち行かなくなるおそれもあります。
 こうした状況にさせないためにも、家庭裁判所における家裁調査官をはじめとした裁判官、書記官、事務官の定員を増やして実効性ある人的体制整備、デジタル化に対応していくための大幅増員、庁舎設備や備品整備、当事者の多様なニーズに対応する環境整備などを求めていくことが重要であり、当面は2026(令和8)年度予算の概算要求において、司法制度の転換点となる2026年度を万全の体制で臨めるように要求を行うことが必要です。
 以上を踏まえ、「国民のための裁判所」の実現にむけて、裁判所の人的・物的充実を強く求めます。

 以上、決議します。

2025年7月22日
全司法労働組合第82回定期大会

 
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