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第81回定期大会(2024年8月)採択の大会宣言・決議

大 会 宣 言

 私たちは、92名参加のもと、第81回定期大会を開催し、激動する情勢をふまえて、組織課題、賃金、「国民のための裁判所」実現、全司法大運動、職場諸要求実現、憲法と平和、職員制度などについて討議を深め、向こう1年間の運動方針を確立した。
 裁判所は大量退職期に入り、全司法が職場の多数派だった時代を知る世代、今も全司法の活動を担い、支えている世代が今後10年ほどで退職していく。若い世代に組織と運動を引き継ぐことが急務であり、そのために、「仲間を増やす」「参加する人を増やす」「担い手を増やす」という3つのとりくみに全力をあげることを確認した。
 これら3つのとりくみを実現していくことで全司法の基盤を強固なものにし、現在組合員が直面する様々な課題にとりくんでいく。
 今年の春闘は、「物価高騰に見合う大幅賃上げ」の世論と運動が高揚する情勢のもとでたたかわれた。多くの労働組合がストライキを構えて交渉に臨んだ結果、26年ぶりの高水準の賃上げ回答を引き出した。一方で、物価高騰も終息の兆しを見せず、さらなる賃上げが急務となっている。賃上げは労働組合が要求しなければ実現しない。直ちに全国一律最低賃金1,500円実現をはじめ、官民一体となって社会的賃金闘争をすすめていき、さらなる賃上げを求めていく。また、今年の人事院勧告では給与制度のアップデートが予定されているが、いまだにその内容を国公労連に対して明らかにしていない。一方的な不利益変更は許されるものではなく、労働者本位のアップデートとなるよう、引き続き国公労連のとりくみに結集する。
 職場では、新たなコミュニケーションツールとしてMicrosoft365が導入された。しかし、基礎的な知識付与が不十分であり、運用方法が統一されないために、職場では混乱が生じている。また、裁判手続きのデジタル化を実現するシステムであるRoootSは、開発遅延により2度にわたって導入時期が後ろ倒しとなった上、先行導入庁からは、仕様や操作性に関して多数の問題点が指摘されている。最高裁は、デジタル化にむけて十分な検討をしているのか、また必要な予算を確保しているのか、疑わざるを得ない状況である。最高裁はこれまでの交渉を通じて、職員の意見を聴きながらデジタル化をすすめる姿勢を示している。これを足掛かりに、デジタル化による労働強化を許さないたたかいをすすめていく。
 4月には、「組織見直し」がはじまった。ありのままの職場実態を把握できる全司法の特性を活かし、組合員の率直な意見を訴えることで、「組織見直し」を机上の空論に基づく「人減らし」とさせず、事務の簡素化・効率化や処遇改善をはかる機会にさせていく。
 メンタルヘルス不調の増加も問題となっている。これまで全司法は、メンタルヘルス不調を出さない職場環境作りのためにストレスチェック結果の活用を求めてきたところ、2024年諸要求貫徹闘争期の回答で、最高裁は、集団分析結果を活用して職場環境改善をすすめる姿勢を示した。これは全司法が粘り強く追及してきた成果であり、これ以上メンタルヘルス不調で苦しむ仲間が出ないよう、引き続き追及を強めていくことが必要である。
 人員に関して、長年にわたる人員削減に加えて、育児・介護、病気休暇、退職等で定員上の配置があっても空席になっているところも多く、地方職場を中心に個々の職員の負担が重くなっている。さらに離婚後共同親権が導入されることを踏まえると、家裁職員、とりわけ家裁調査官の大幅増員が必要不可欠である。国会の議論では、共同親権賛成・反対双方の立場から裁判所の人的体制整備の必要性が唱えられた。増員にむけて追い風が吹く今、「国民のための裁判所」を掲げて裁判所の人的・物的充実を求める「全司法大運動」を盛り上げるチャンスである。29回目の請願採択を実現するため、全支部で一筆でも多く署名を集めて世論に訴えかけることが必要である。
 これまでの運動により勝ち取ってきた到達点を維持・発展させ、職場や組合員の要求実現と「国民のための裁判所」の実現にむけたとりくみをさらにすすめるため、仲間を増やし、参加する人を増やし、担い手を増やして全司法をみんなで一緒に活動する組織に変えていく決意をここに表明する。
 以上、宣言する。

2024年7月23日
全司法労働組合第81回定期大会

共同親権等の民法改正を踏まえ、家裁の人的・物的充実を求める決議

 5月17日、離婚後共同親権導入を含む民法改正案が可決・成立し、今後2年以内に施行されることになりました。
 そもそも家庭裁判所は今でも繁忙で、職場からは切実な増員要求が出されています。これに共同親権や面会交流の拡大などの改正民法にもとづく事務が加わることを考えると、大幅増員は待ったなしの状況ですが、最高裁は「親権に関する規定の整備等を内容とする民法等の改正の影響はもとより、家庭事件全体の事件数の動向や事務処理状況等をきめ細かく把握した上で、必要な人員の確保にむけて、引き続き努力していきたい」と述べるにとどまっています。当面、2025(令和7)年度予算の概算要求において、大幅増員の要求を行うことが必要です。
 これまで、離婚後共同親権の導入については賛否両論があり、様々な議論が行われてきました。家裁の職場からも、離婚に際して葛藤が高まった父母が協力態勢を築くことの難しさ、共同親権が相手方や子どもを支配したり、あえて行動を妨害し、攻撃するための手段として用いられる懸念、共同親権を定めることが事案の解決につながらず、むしろ、紛争を長期化させたり、新たな火種になる危惧などが示されていました。
 法案の国会審議においても、DV被害者をはじめ多くの国民から反対や不安の声が湧きおこる中での成立となりました。離婚時に双方の真意にもとづいて共同親権を定めることができるのかという問題に加え、双方の合意ができない場合に裁判所が共同親権を定めることができる規定があることや、共同で決めることが求められる事項で話し合いがつかない場合への対応、DV・虐待被害者の保護など、多数の問題が山積みになっており、採決の際にも衆議院で12項目、参議院で15項目の附帯決議がつけられました。加えて、共同親権について賛否いずれの立場からも、家庭裁判所の体制整備が求められました。
 法案が成立したことで、今後、その運用が課題となります。立法趣旨や国会審議の経過を踏まえ、附帯決議を活かした運用を誠実に行うことで、制度をより良いものにし、国民からの信頼にこたえていくことが裁判所には求められています。とりわけ、家庭裁判所の役割がきわめて大きくなるとともに、事件の増加や複雑困難化が予想されることから、人的・物的な体制の整備は必要不可欠です。附帯決議でも「改正法により家庭裁判所の業務負担の増大及びDV・虐待のある事案への対応を含む多様な問題に対する判断が求められることに伴い、@家事事件を担当する裁判官、家事調停官、家庭裁判所調査官等の裁判所職員の増員、A被害当事者及び支援者の協力を得ることなどにより、DV・虐待加害者及び被害者の心理の理解を始めとする適切な知見の習得等の専門性の向上、B調停室や児童室等の増設といった物的環境の充実、オンラインによる申立てやウェブ会議の利用の拡大等による裁判手続の利便性の向上、子が安心して意見陳述を行うことができる環境の整備など、必要な人的・物的な体制の整備に努めること」とされており、家裁調査官や書記官の増員は重要な課題です。
 こうした経過を踏まえ、政府や最高裁に対し、家裁の人的・物的充実を強く要求するものです。
 以上、決議します。

2024年7月23日
全司法労働組合第81回定期大会

 
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