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声明・決議・資料
 
第80回定期大会(2023年8月)採択の大会宣言・決議

大 会 宣 言

 私たちは、94名参加のもと、第80回定期大会を開催し、激動する情勢をふまえて、組織課題、賃金、裁判所のデジタル化、国民のための裁判所、全司法大運動、職場諸要求、憲法と平和、職員制度などについて討議を深め、向こう1年間の運動方針を確立した。
 2023年諸要求貫徹闘争では、人員、超勤縮減、健康管理、デジタル化、昇格を重点課題として交渉に臨み、とりわけ定年年齢引上げに伴う昇格運用の維持が最大の争点となったことから、事務官の「退職までに誰でも5級」の到達点を実質的に維持するため、最高裁に対して「60歳までに誰でも5級」の実現を迫った。この点、きわめて不十分な回答が出されたものの、16年ぶりのプレート行動も辞さない姿勢でたたかったことで、「退職までに誰でも5級」の枠組みの維持、ベテラン職員の処遇改善にむけた足がかり、他職種・級に影響を及ぼさないことの確認をはじめ、デジタルインフラの整備、ストレスチェックの調査項目拡充、冷暖房の柔軟な稼働、専任事務官の専門性の活用など、数多くの前進回答を得ることができた。これは、全国の仲間がプレート行動を背景に、一丸となってたたかったことによる成果である。
 一方、デジタル化をはじめとする職場の諸要求実現のためには、人的・物的充実にむけた予算の確保が大きな課題となっており、「裁判手続デジタル化にむけた人的・物的充実」という新たな意義が加わった「全司法大運動」の役割はますます重要となっている。この「全司法大運動」は国会内の支持が広がっており、今年度も与野党を問わず多くの党・会派から58名の紹介議員を獲得し、27回目の請願採択を勝ち取った。公正・迅速な事件処理の要請に応え、国民の権利が十分保障される司法の実現に向けて、さらなる裁判所予算の拡充と態勢整備を求めていく必要がある。
 職場の外に目を向けると、物価上昇が続き経済格差は広がり、国民生活は悪化の一途をたどっている。物価上昇を上回る賃上げが急務となる中、賃金の大幅引上げがますます重要となっており、長時間労働を是正し、「8時間働けば人間らしく暮らせる社会」の実現、全国一律最低賃金1,500円以上の早期実現、地域間・世代間格差の解消をはじめ、全ての労働者の大幅賃上げが課題となっている。さらに、人事院においては「給与制度のアップデート」が検討されており、新しい制度が中高年層の労働条件悪化や格差拡大を招くものにならないよう、引き続き国公労連に結集し、労働組合の意見を反映させていく必要がある。
 また、昨年12月には安保3文書が閣議決定され、第211回通常国会では軍拡財源確保法等が成立したことと相まって、憲法と平和が大きな焦点となっている。労働組合は、組合員とその家族の命や生活を守ると同時に「生活と権利、平和と民主主義を守る」役割を担い、国民的運動の中でその力を発揮することが求められている。
 裁判所の大量退職期がはじまりを迎える中、全司法にとっては、「組織強化・拡大」が「待ったなし」の最重点課題となっている。新型コロナウイルス感染症が感染症法上の2類から5類に変更され、コロナ禍以前の日常が戻りつつある今、これまで縮小を余儀なくされていた各地でのとりくみを以前のかたちに戻し、「対話」や「集まる」活動を積極的に行っていくことが求められる。そして、全司法が職場で果たす3つの役割(@要求を実現し、職場のルールを作る役割、A相談しあい、助け合う役割、B仲間を繋ぎ、居場所を作る役割)を全ての職場であらためて確認するとともに、全司法の存在を職場に示しながら組合員拡大に流れを変える動きをすべての支部でつくる必要がある。
 これまでの運動により勝ち取ってきた到達点を維持・発展させ、職場や組合員の要求実現と「国民のための裁判所」の実現にむけたとりくみをさらにすすめるため、活動の担い手を増やし、全司法の果たす役割を次の時代につなげていく決意をここに表明する。

 以上、宣言する。

軍備の拡張ではなく、国民生活を守る政策と予算を求める決議

 6月21日、第211通常国会の閉会にあたって開かれた記者会見で、岸田首相は「5年間で43兆円の防衛予算確保や防衛産業の基盤を強化する法案も今国会で成立」したと述べました。2023年度予算は、岸田政権が昨年12月に閣議決定した「安保3文書」を前提に防衛費を5年間で43兆円、国内総生産(GDP)比2%程度に倍増させることを見込んだ「大軍拡」予算の初年度に当たります。
 6月16日には、その財源確保のための防衛財源確保特別措置法(軍拡財源確保法)を成立させました。これは東日本大震災の復興予算やコロナ禍を経て強化が求められている医療体制整備のための予算を軍事費に回すことなどを内容としており、本来必要とされる予算を目的外使用するものであって、許すわけにはいきません。しかも、これで財源問題が終わったわけではありません。今後、税収不足の穴埋めのために国債を発行し、消費税をはじめ様々な増税や社会保険の掛金増額などで国民負担を求め、「歳出削減」の名のもとに社会保障費をはじめとする国民生活関連予算を削減せざるを得なくなることは明らかです。政府が打ち出す「こども・子育て支援政策」や、国民が切実に求める物価対策等に実効性を持たせるための予算を確保することも困難になります。また、そうした予算のもとで、今後、裁判所を含めた国の組織の予算削減が厳しく求められる可能性があり、増員要求などで最高裁が私たちに回答している「国の財政事情」は、これまでとは比較にならないほど厳しくなります。
 問題の根本には、防衛予算の倍増ありきの政府・与党などの方針があります。前提となる「安保3文書」が打ち出した敵基地攻撃能力の保有は、従来の政府見解が憲法に抵触するとしてきたものであり、集団的自衛権の行使を自衛隊の任務に加えた安保法制のもとで、むしろ日本がアメリカの戦争に巻き込まれるリスクを高めることになります。世界第3位となる軍事費が本当に必要なのか、アメリカの要求のままに防衛費を増額し、その言い値で大量に兵器を購入することになっていないのか、という点も問題です。
 憲法9条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とし、2項で戦力を持たないことを定めています。国際紛争は「武力対武力」ではなく、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」して対話と交渉によって話し合いで解決することを国の基本原則として決めています。軍備の拡張ではなく、憲法を活かした外交努力こそが求められています。
 平和を守ることで、巨額の予算を軍備の拡張に使うのではなく、教育、福祉、医療、中小企業や農林水産業の支援などに使うことができ、国民生活を守り、改善することが可能になります。それこそが憲法が示す政治の役割です。私たち全司法は、憲法尊重擁護義務を負って働く国家公務員の労働組合、司法の現場で働く裁判所職員の労働組合として、憲法を守り活かす立場から、軍備の拡張ではなく、国民生活を守る政策と予算を政府に求め、国民的な運動に結集することを決意します。

 以上、決議します。

2023年8月9日
全司法労働組合第80回定期大会

 
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