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声明・決議・資料
 
第83回中央委員会(2023年1月)採択のアピール・決議

憲法を活かし、日本の平和と安全を守ることを求める決議

 岸田政権は12月16日、「国家安全保障戦略」などの「安保3文書」の改定を閣議決定しました。その最大の特徴は反撃能力=敵基地攻撃能力の保有です。
 そもそも、憲法9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めています。これまで政府は、自衛隊について「専守防衛」のための必要最小限度の実力だから、憲法で禁じられた「戦力」には該当しないと説明し、敵基地攻撃能力の保有も否定してきました。今回の閣議決定は、そうした憲法や国の防衛政策の根幹に関わる問題を、国会の審議もなしに一方的に変更するものです。「安保3文書」には「専守防衛に徹し」と記載されていますが、相手国の領土に攻め込む反撃能力=敵基地攻撃能力を持ち、世界第3位の軍事力を持って「抑止力」=「武力による威嚇」を背景にすることは、実態として「専守防衛」とは言えません。
 また、日本を守るという点でも、大きな問題があります。2015年に成立した安保法制によって、自衛隊の任務に集団的自衛権の行使が付け加えられたことから、「反撃能力」を持てば、たとえ日本が攻められなくても、同盟国であるアメリカのためにそれを使うことが可能になります。これは、日本を守るどころか、アメリカの戦争に日本を巻き込むリスクを高めることになります。
 加えて、そのための予算をどうするのかという点が大きな問題となります。岸田首相は今後5年間で防衛予算を43兆円とすることを指示し、その財源として徹底した歳出削減を打ち出し、さらなる増税も検討しています。実際、今年の通常国会に提出される2023年度予算は、防衛費が10兆円を超える大軍拡予算です。防衛予算を確保するために社会保障費の抑制など国民生活にしわ寄せがいき、コロナ対策で確保した予算を防衛費に回し、さらには、建設国債の一部を軍事費に充てるなど、この先、国の借金を拡大し、近い将来の大増税にレールを引くものになっています。
 防衛力増強が必要だという人でも、岸田政権が言うような大軍拡や増税に反対する人も多く、多くの世論調査で反対が多数となっています。裁判所予算は年間3200億円あまりですが、「国の財政事情が厳しい」ことが増員をはじめとした私たちの要求前進を阻んでいることを考えると、軍事費にこれほど多額の支出をすることは、職場諸要求実現のためにも看過することはできません。
 憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記載されています。これは、第一世界大戦後のパリ不戦条約から始まった国際的な枠組みの中に位置づけられ、日米ではなく世界に目を向ければ、国連やASEAN(東南アジア諸国連合)のとりくみ、核兵器禁止条約の発効など、話し合いによる平和の努力が着実に積み重ねられています。平和に対する不安が高まっている今だからこそ、「戦力対戦力」ではなく、憲法に基づく外交努力こそが必要です。
 私たちは国家公務員の労働組合、憲法の守り手である裁判所職員の労働組合として、憲法を活かすことによって日本の平和と安全を守る道を進むことを求めます。
 以上、決議します。

2023年春闘アピール

 今、官民問わず労働者の生活が危機に瀕している。急激な物価上昇、新自由主義政策の限界、軍事大国化に向けた動きが大きな原因である。
 物価上昇の背景には、ロシアのウクライナ侵攻による燃料や穀物の価格上昇、急激な円安により輸入価格が大幅に上昇していることなどが挙げられ、賃上げが不十分な中で物価のみが上昇し、実質賃金が下がり続けている状況にある。賃上げを実現するためには、労働組合の春闘の取り組みが重要である。また、社会的な運動によって、大企業の内部留保を労働者に還元させ、財界・大企業に社会的責任を果たさせること、物価上昇に対する緊急対策としての消費税減税など、政府にまともな経済対策をとらせることも必要である。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、これまで政府・財界がすすめてきた新自由主義政策の限界が見えてきた。医療や公衆衛生のための体制を切り崩してきたことにより感染爆発や医療崩壊を招き、労働法制の規制緩和が不安定雇用の労働者を増やし、失業と貧困を広げた。国民的な運動をとおして、新自由主義を転換し、公を取り戻すことが求められる。
 岸田政権は5年間で防衛費を2倍にする計画を立て、合わせて安保3文書を改定して敵基地攻撃能力を保有することを閣議決定した。こうした動きは「戦力を持たない」と決めた日本国憲法に反するものである。また、防衛費に充てる財源確保のため、増税や国の支出の削減が議論されている。軍事大国化は、国民生活はもとより、裁判所を含む国の機関に必要な予算を確保するという観点からも大きな問題である。さらに、憲法「改正」をすすめる動きも焦点となっている。国民の生活を守るための憲法を、裁判所職員の労働組合として守り活かす立場で運動に結集することが求められている。
 裁判所の職場に目を向けると、デジタル化の動きが加速しており、私たちの働き方も大きく変わろうとしている。最高裁はシステム開発にあたって、「実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を的確に把握し、裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが必要であり、職員および職員団体の意見も踏まえながら検討をすすめていきたい」との姿勢を示している。NAVIUSの失敗を繰り返させないためにも、デジタル化にかかる予算を十分確保させるとともに、実務で生じる課題について、意見を集約して施策に反映させるとりくみを強化する。
 また、人員に関して、次年度予算案では、裁判官を除く人員が31人減となる。デジタル化を理由とした人員削減を許さず、むしろデジタル化に向けた検討・準備や利用者サポートのためにも、必要な人員確保に向けて粘り強く追及を行っていく必要がある。デジタル化のもとで「国民のための裁判所」を実現するため、人的・物的充実をめざす「全司法大運動」の取り組みを強化していく必要がある。
 その他、人事評価の評語区分見直し、定年延長、テレワークの試行開始など私たちの労働条件が大きく変わろうとしている。また、非常勤職員に関しては、更新時公募要件の撤廃とステップアップ制度の拡大等、抜本的改善を求める声も強くなってきている。働く環境や労働条件が激動している中で、職場ではメンタルヘルスの不調を訴える職員やハラスメントに苦しむ職員も増加している。労働組合がその役割を果たし、様々な要求や課題を前進させるためには、職場に根差した活動を一つずつ着実に行い、一人でも多くの組合員を増やしていくことが必要不可欠である。
 そのために、全司法が果たす3つの役割(@要求を実現し、職場のルールを作る役割、A相談しあい、助け合う役割、B仲間を繋ぎ、居場所を作る役割)をすべての職場であらためて確認するとともに、組合活動の原点である「集まる」ことを通して、全司法の活動を職場に示しながら、組合員同士のつながりを強め、4月期新採用職員の早期全員加入を目標に組合員拡大につなげていこう。
 職場や組合員の要求と「国民のための裁判所」を実現するため、全国の組合員一人ひとりが、それぞれの持ち場で全力を尽くす決意をここに表明する。

2023年1月23日
全司法労働組合第83回中央委員会

 
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