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第79回定期大会(2022年8月)採択の大会宣言・決議

大 会 宣 言

 私たちは、101名参加のもと、第79回定期大会を開催し、激動する情勢をふまえて、組織課題、全司法大運動、職場諸要求、憲法と平和、職員制度、裁判所のデジタル化をめぐる課題などについて討議を深め、向こう1年間の運動方針を確立した。
 裁判所の大量退職のはじまりを迎える中、全司法にとっては、「組織強化・拡大」が「待ったなし」の最重要課題となっている。そのため、全司法が職場で果たす3つの役割(@要求を実現し、職場のルールを作る役割、A相談しあい、助け合う役割、B仲間を繋ぎ、居場所を作る役割)を全ての職場で改めて確認するとともに、全司法の存在を職場に示しながら組合員拡大に流れを変える動きをすべての支部でつくる必要がある。
 最高裁は、2022年諸要求貫徹闘争において、「裁判所のデジタル化」について基本的な枠組みを示した。国民にとって利用しやすい裁判所としていくために「裁判所のデジタル化」は非常に大きな課題であるとともに、職員政策の基本方針として示した「今後の方向性」の具体化など、裁判所当局がすすめる施策に、全司法の意見を反映させるとりくみの重要性がさらに高まってきている。
 加えて、裁判所のデジタル化に対応していくため、人的・物的充実にむけた予算の拡充が大きな課題となっており、「全司法大運動」は新たな役割が求められている。この「全司法大運動」は国会内の支持が広がっており、今年度も与野党を問わず多くの党・会派から紹介議員を獲得し、26回目の請願採択を勝ち取った。公正・迅速な事件処理の要請に応え、国民の権利が十分保障される司法の実現に向けて、さらなる裁判所予算の拡充と態勢整備を求めていく必要がある。
 職場諸要求をめぐっては、コミュニケーションツールの導入、利用者のための機器整備、法廷への機器設置が実現するとともに、定年年齢引上げや人事評価制度の検討状況を明らかにしたほか、事務官への新たな研修制度や令状センター構想の実施について検討姿勢が示されるなど、全司法の主張を受けて、多くの要求が実現・前進している。一方で人員配置や超過勤務縮減などの課題では、最高裁の回答と職場実態の乖離があることから、最高裁の回答を職場で活かすとりくみが重要となる。
 他方、職場の外に目を向けると、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が長期化する中で、経済格差の広がりと物価上昇が続き、国民生活は悪化の一途をたどっている。また、ロシアによるウクライナ侵攻や7月の参院選により改憲勢力が3分の2以上の議席を維持したことから、平和と憲法が大きな焦点となっている。労働組合は、組合員とその家族の命や生活を守ると同時に「生活と権利、平和と民主主義を守る」役割を担い、国民的運動の中でその力を発揮することが求められている。
 2022春闘は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の波が繰り返され、社会・経済活動の再開が現実の課題となる中、「コロナ禍からの経済回復のカギを握るのは、春闘での着実な賃上げの実現だ」との声が広がる情勢のもとたたかわれた。春闘の回答状況はコロナ前を上回る結果となっているものの、物価上昇を上回る賃金水準には及んでいないことから、労働組合がきちんと労働者の大幅賃上げの声を上げるとともに、全ての地域における最低賃金1,500円以上の早期実現や地域間格差の解消は急務となっている。引き続き、国公労連に結集して、労働者の雇用と権利を守るルールの確立をはじめ、公務労働者の初任給や諸手当改善、再任用職員・非常勤職員の処遇改善等に向けて運動を強めていく必要がある。
 全司法は今年で結成75周年を迎える。これまでの運動により勝ち取ってきた到達点を維持・発展させ、職場や組合員の要求実現と「国民のための裁判所」の実現にむけたとりくみをさらにすすめるため、全国の組合員一人ひとりが、全司法の果たす役割を次の世代に繋げていく決意をここに表明する。

 以上、宣言する。

憲法を守り、活かし、その意味を伝える取り組みをすすめる決議

 7月10日に実施された参議院選挙の結果、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党など改憲を掲げる政党が衆参両院で、改憲発議に必要な3分の2以上の議席を占めました。これを受けて、岸田首相は翌11日の記者会見で「憲法改正に取り組む」「できる限り早く発議に至る取り組みを進めていく」と述べています。
 しかし、参議院選挙後の出口調査・各種世論調査では、有権者が投票にあたって最も重視した政策は物価、景気、経済対策であり、「憲法改正」はごく少数にとどまっています。この選挙結果をもって「改憲が支持された」と言える状況ではありません。
 憲法は国の基本法であり、憲法で対応できない立法事実が現に発生し、国民の圧倒的多数がその必要性を認めた時にはじめて改正が検討されるべきものであって、世論を二分するような状況で変えることはできません。自民党が改憲4項目(@自衛隊明記、A緊急事態条項創設、B参議院の合区解消、C教育の無償化)であげているもののうち、災害・パンデミック・テロや侵略行為など緊急時における対応、平等な選挙制度の実現、教育の無償化は、すべて個別の法律と政策で対応可能であって、改憲の立法事実になり得ないことは明らかです。ましてや、これから内容を議論するといった「改憲ありき」の議論は本末転倒と言わざるを得ません。
 また、憲法には国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原則があり、これは改正手続によっても、そもそも変えることができないものです。
 憲法は主権者である国民が統治機構に政治権力を委ねるにあたって、これに従って国を運営するよう方向性を指し示し、権力を縛るために作られたものです。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」は憲法尊重擁護義務を負っています。
 基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」であり、国は国民の生命や自由を守り、幸福追求の権利を保障するために存在します。私たち公務員の仕事はそのためのものであり、同時に、私たち公務員も一人の国民として、この憲法によって基本的人権が守られています。
 平和主義は、さきの戦争の反省のもとに作られた日本国憲法の最も基本となる原則です。ロシアによるウクライナ侵攻や、東アジア周辺諸国との関係を口実に「反撃能力」の保有、防衛費の倍増や「核共有」とともに改憲を叫ぶ動きがありますが、「軍事対軍事」で平和を実現することはできません。戦争にならないための外交的努力や平和のための体制・世論づくりこそが重要であり、憲法9条はそのことを示しています。
 公務員の憲法尊重擁護義務に加えて、裁判所は「憲法の番人」と位置付けられており、私たちは憲法にもとづいて日々の仕事をすることが求められています。そうした裁判所職員を組織する労働組合だからこそ、全司法にはその活動において、憲法を守り、活かし、その意味を伝えていく責務があります。
 以上を踏まえ、私たちは引き続き、憲法を守り活かす立場でとりくみを進め、国民的な運動に結集することを決意します。

 以上、決議します。

2022年8月10日
全司法労働組合第79回定期大会

 
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