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憲法を守り、活かし、その意味を伝える取り組みをすすめる決議
 
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憲法を守り、活かし、その意味を伝える取り組みをすすめる決議
 

 7月10日に実施された参議院選挙の結果、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党など改憲を掲げる政党が衆参両院で、改憲発議に必要な3分の2以上の議席を占めました。これを受けて、岸田首相は翌11日の記者会見で「憲法改正に取り組む」「できる限り早く発議に至る取り組みを進めていく」と述べています。
 しかし、参議院選挙後の出口調査・各種世論調査では、有権者が投票にあたって最も重視した政策は物価、景気、経済対策であり、「憲法改正」はごく少数にとどまっています。この選挙結果をもって「改憲が支持された」と言える状況ではありません。
 憲法は国の基本法であり、憲法で対応できない立法事実が現に発生し、国民の圧倒的多数がその必要性を認めた時にはじめて改正が検討されるべきものであって、世論を二分するような状況で変えることはできません。自民党が改憲4項目(@自衛隊明記、A緊急事態条項創設、B参議院の合区解消、C教育の無償化)であげているもののうち、災害・パンデミック・テロや侵略行為など緊急時における対応、平等な選挙制度の実現、教育の無償化は、すべて個別の法律と政策で対応可能であって、改憲の立法事実になり得ないことは明らかです。ましてや、これから内容を議論するといった「改憲ありき」の議論は本末転倒と言わざるを得ません。
 また、憲法には国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原則があり、これは改正手続によっても、そもそも変えることができないものです。
 憲法は主権者である国民が統治機構に政治権力を委ねるにあたって、これに従って国を運営するよう方向性を指し示し、権力を縛るために作られたものです。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」は憲法尊重擁護義務を負っています。
 基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」であり、国は国民の生命や自由を守り、幸福追求の権利を保障するために存在します。私たち公務員の仕事はそのためのものであり、同時に、私たち公務員も一人の国民として、この憲法によって基本的人権が守られています。
 平和主義は、さきの戦争の反省のもとに作られた日本国憲法の最も基本となる原則です。ロシアによるウクライナ侵攻や、東アジア周辺諸国との関係を口実に「反撃能力」の保有、防衛費の倍増や「核共有」とともに改憲を叫ぶ動きがありますが、「軍事対軍事」で平和を実現することはできません。戦争にならないための外交的努力や平和のための体制・世論づくりこそが重要であり、憲法9条はそのことを示しています。
 公務員の憲法尊重擁護義務に加えて、裁判所は「憲法の番人」と位置付けられており、私たちは憲法にもとづいて日々の仕事をすることが求められています。そうした裁判所職員を組織する労働組合だからこそ、全司法にはその活動において、憲法を守り、活かし、その意味を伝えていく責務があります。
 以上を踏まえ、私たちは引き続き、憲法を守り活かす立場でとりくみを進め、国民的な運動に結集することを決意します。

 以上、決議します。

2022年8月10日
全司法労働組合第79回定期大会

 
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