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声明・決議・資料
 
「裁判員調整官」を新設
 
訟廷管理官・裁判員係を増新設
整備求めた組合要求が実現


 最高裁は、裁判員裁判実施に伴う組織整備として、8月1日付けで「裁判員調整官」や裁判員係等を新たに設置することを決定しました。これは、本部が、当面の重点要求として実現を求めてきた「裁判員裁判実施に伴う組織整備等に関する要求」の一部について、正面から応えてきたものとして大きく評価できるものです。

 最高裁は、裁判員裁判実施に伴う組織整備のため、「大法廷首席書記官等に関する規則」を一部改正し、次のとおり、「裁判員調整官」等を新たに設置することを決定しました。

(1) 裁判員調整官の新設
 全ての地裁本庁・東京地裁八王子支部・大阪地裁堺支部・福岡地裁小倉支部
(2) 刑事訟廷管理官の新設
 横浜地裁小田原支部・静岡地裁沼津支部・静岡地裁浜松支部・神戸地裁姫路支部・名古屋地裁岡崎支部
(3) 訟廷管理官の新設
 長野地裁松本支部・福島地裁郡山支部
(4) 裁判員係の新設
 全ての裁判員実施庁

 これらのポストは、「裁判員及び補充裁判員の選任に関して新たに発生する訟廷事務を掌る」ために新設されるものであり、(1)全ての地裁本庁並びに既に刑事訟廷管理官及び民事訟廷管理官が設置されている裁判員裁判実施支部には「裁判員調整官」が、(2)既に訟廷管理官が設置されている裁判員裁判実施支部には「刑事訟廷管理官」が、(3)これまで訟廷管理官が設置されていなかった裁判員裁判実施支部には「訟廷管理官」が新設されることになります。
 また、(4)今回新設された裁判員調整官、刑事訟廷管理官及び訟廷管理官の下に(全ての裁判員裁判実施庁)、「裁判員係」が新設され、同係に新たな訟廷係長ポストとして裁判員係長も設置されます。

裁判員裁判実施に伴う組織整備等に関する要求書の要点
 書記官事務を中心とした裁判員裁判の運用においては、明確な責任体制のもとで対外的な対応が必要となる。
 裁判員裁判の具体的な事務処理に関わっては、対内的にも訟廷及び公判部、事務局等を連携・調整する新たなポストが必要となる。
 裁判員裁判実施支部を抱える本庁については、裁判員裁判実施支部への本庁刑事部等からの応援態勢等を含めて全庁的に対応できる態勢を作る必要がある。
 裁判員裁判実施支部については、訟廷組織の民事・刑事への分割、訟廷管理官の配置をはじめとして、業務量等をふまえた個別具体的な組織機構の整備が必要となる。

 本部は、08諸要求貫徹闘争方針で、裁判員裁判の実施に向けて、「模擬裁判・模擬選任手続で問題点をきちんと把握・整理させるとともに、年度途中から始まる裁判員等選任手続きに向けた組織体制の整備方針等も具体化させておく必要」があるとして、右掲要点のとおり、「裁判員裁判実施に伴う組織整備等に関する要求書」を確立し、最高裁に対してその検討を求めてきました。
 今回の規則改正は、裁判員裁判の実施態勢整備の検討にあたり、こうした全司法の要求についても、最高裁が正面から応えてきたものとして、大きく評価できるものです。
 一方、08年諸要求貫徹闘争方針では、「各地裁では、裁判員裁判だけでなく、被害者参加制度や検審事務の見直し等に伴う人材育成も含めたきめ細かな人的態勢の整備をすすめていく必要」があることを指摘しています。今後は、各庁の事務処理状況や人員配置の実態等をふまえたうえで、各支部・職場段階における具体的な配置の検討が必要となります。そのための労働組合としての対応が求められます。
 また、今回新設された裁判員調整官、刑事訟廷管理官及び管理官は、いずれも既存の訟廷管理官と同格のポストと位置づけられ、裁判員選任手続きに関する訟廷部門における責任者とされています。
 全司法は、「裁判員裁判の具体的な事務処理に関わっては、訟廷だけでなく訟廷及び公判部、事務局等を連携・調整する新たなポストが必要」としていますし、「裁判員裁判実施支部への本庁刑事部等からの応援態勢等を含めて全庁的に対応できる態勢整備」も要求しています。これらの要求もふまえつつ、引き続き、裁判員制度実施に伴う「万全の態勢整備」に向けたとりくみをすすめます。
 また、最高裁は、「裁判員係長の事務は、書記官が担当すべきものが多く含まれていることから、裁判員係長は書記官の中から任用される」としています。この間、参事官室提言と訟廷組織との関わりについては、「いまだ案を示せる段階には至っていない」とする回答に止まっている状況等もふまえつつ、引き続き、業務や問題点を整理し、専任事務官の活躍の場の確保に向けた追及を強化していくことが求められています。
 その他、08年諸要求貫徹闘争方針では、「裁判員等選任手続業務の中心となるシステム化やアウトソーシングは、各地裁からみると『最高裁次第』とならざるを得ないことをふまえて、職場の要求が一つでも反映されるよう引き続き追及」していくこととしています。本部は、最高裁が、裁判員選任手続のアウトソーシングに関して、データ入力業務等の一般競争入札を開始している状況等もふまえ、特に国民の裁判員裁判参加への最初のアクセスポイントと考えられるコールセンターについて、「国民の様々な不安や疑問等に的確に答え」られるようにするとの最高裁回答の到達点等もふまえつつ、その態勢整備に向けた追及を強化していくこととしています。
 
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