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裁判員選任手続きの業務概要についてのこれからのとりくみ
 
 最高裁は、裁判員裁判に関する「具体的運用の早期開示」を求めるこの間の全司法本部の主張を受けて、10月1日、裁判員等選任手続の一連の関連業務を包摂する形で整理した検討資料「一連の業務の流れ」等を職場に示し、現段階における検討の具体的状況を明らかにしました。

この間の経過
 最高裁は、昨年12月末に、裁判員候補者名簿の調製段階から裁判員等選任手続期日に至る各業務について、(1)裁判員候補者名簿データベース作成・管理機能、(2)くじ選定機能、(3)宛名・帳票出力機能等を盛り込んだ裁判員候補者名簿管理システムの開発に4月から着手する予定であることを明らかにし、4月には、名簿管理システムの開発請負契約を締結しました。その後6月13日には、裁判員等の選任手続等に関する最高裁規則が制定されたこと等を受けて、本部は、最高裁に対し、運用の具体化と検討状況の早期開示等を求めてきました。
 これらを受けて、最高裁は、諸要求貫徹闘争の総務局交渉において、「裁判員選任手続については、手続の流れや内容等の概要に関するモデル案を作成しているところであり、職員及び職員団体に示すことができるよう作業をすすめているところである。いずれにしても、裁判員制度の具体的運用に支障がないように、裁判員制度の運用面の検討をすすめ、情報提供を行っていきたい」と回答し、10月1日、裁判員等選任手続の一連の関連業務を包摂する形で整理した検討資料「一連の業務の流れ」等が示されました。

具体的イメージの共有が有用
 最高裁は、一連の業務の流れ等を示すにあたり、「選任手続の検討も相当程度進捗してきている」として、「この段階でその検討の具体的状況をお知らせし、選任手続に関する業務について具体的イメージを共有してもらうことが有用と考えた」、「これにより、選任手続における具体的な業務の内容、名簿管理システムによる効率的な業務処理の方法などが、具体的かつ詳細にイメージしてもらえるものと考えている」、「今後、一連の業務の流れに沿って名簿管理システムの開発作業を進めていく」と説明しています。
 これは、「裁判員制度が、国民の理解と信頼を得て円滑に実施できるよう総力を挙げてとりくんでいるところ」、「その検討状況は、各庁に対して、引き続き適切な時期に説明するとともに、広く意見を聞いていく」「(全司法からも)意見要望等があれば適宜申し出てもらいたい」との諸要求貫徹闘争における事務総長回答の具体化のひとつの表れと言えます。
 また、最高裁は、この間の全司法本部とのやりとりの中で明らかにしてきた「裁判員等選任手続に関する業務の在り方については、適正迅速かつ効率的な事務処理を行うという観点から、裁判員候補者名簿管理システムの利用やアウトソーシングの活用といった方策等も視野に入れつつ検討」との考えをあらためて示しています。

適正迅速かつ効率的な事務処理の実現を
 最高裁は、本部の名簿管理システムの開発状況に関する問いに対して、「08年8月には稼働できるよう開発を進めている」と回答しています。また、画面構成や基本的な操作内容等の概要はいつ頃示せるのかとの問いに対しては、「概要等については、開発の進捗状況も見ながら本年度中には示せるようにしたい」としています。
 名簿管理システムについては、エラーチェックの精度向上と外字の問題や、決定書・選任手続調書等との連携等の問題が考えられます。システム化に馴染むものはきっちりとシステムに落とし込み、効率化を図らせていくことが必要です。
 また、各庁の具体的な態勢と運用にかみ合う権限設定等、システムの設計に関する意見を整理するとともに、08年8月開始を見据えて、早期に概要を示させ、職場の意見を反映させつつ、「使いやすい安全なシステム」を作らせることが求められます。
 また、アウトソーシングに関しては、裁判員裁判の制度趣旨を歪める恐れがないようにすることを前提として、職員の処遇への影響、業務の特性等をふまえて対応させることが求められます。
 事務総長回答の到達点である「総力を挙げて」とりくむ態勢づくりが重要です。
 そのためには、旅費支給手続や書記官業務の内容等全ての情報を、早期に職場に開示させ、「適正迅速かつ効率的な事務処理」態勢を、職場から作り上げていく必要があります。

イメージの具体化に向けて
 運用イメージの具体化にあたっては、訟廷組織態勢検討とあわせて、各庁の実態に応じた訟廷と部の事務の切り分けが必要となります。この点について、最高裁は、「各庁における事務処理態勢をどうするかは、事件動向、事件処理状況、人員配置の状況等を踏まえた上で、選任手続業務を円滑かつ効率的に処理するという観点から、刑事訟廷と立会部の役割分担の在り方を個別具体的に検討」、「刑事訟廷については、各庁ごとにそうした事務処理態勢の検討を踏まえた上で、業務量等に相応しい組織の在り方を検討」と回答しながらも、その概要を「現段階で示すことは困難」としています。
 この観点から「一連の業務の流れ」を見ると、事務の切り分けの問題としては、「コールセンターからの転送電話や候補者の問合せ対応」、「オリエンテーションの実施主体」等が、書記官事務の問題としては、回答票の形式審査や疎明の程度、辞退申出に対する決定手続・通知の運用、オリエンテーションの運用、アウトソーサーとの連携の在り方等、各庁で運用を具体化していくべき様々な問題が残されています。
 また、裁判員裁判実施支部や小規模庁においては、選任手続実施の実施主体とされている訟廷組織の態勢そのものが、ポストや事務分配の問題も含めて脆弱である等の問題も残されています。

これからのとりくみ
 現在、模擬裁判が重ねられ、国民の裁判員制度に対する支持にも直結しかねない辞退事由等の検討がすすめられていますが、それらもふまえつつ、08年8月には裁判員候補者の員数決定を行う必要があります。それまでに、裁判員等選任手続システムの稼働の検証までを完了させ、運用も含めた各庁での態勢づくりを完了させておく必要があります。なお、この員数は、その後の対応業務等にも影響を与えるものと思われます。
 本部は、最高裁に対して、「万全の態勢づくり」を引き続き求めていきます。その前提として、「検討状況の早期開示」を引き続き強く求めていきます。
 各支部においても、疑問や問題点を上申させていくとりくみを強化することが重要です。
 また、各庁における運用イメージの具体的検討状況を早期に開示させるとともに、訟廷組織の整備をはじめとした具体的な態勢づくりをすすめていくことが求められます。
 
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