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全司法新聞
 
学んで行動することが今後につながる貴重な経験に
3・7中央行動&第29回中央労働学校
 
 3月7日、全労連・国民春闘共闘委員会等による春闘ヤマ場に向けた中央行動が実施されました。全司法は翌8日までの二日間の日程で、これからの運動の「担い手」を作る課題で第29回中央労働学校を開催し、全国からの上京団を配置して行動に参加しました。
 両日合わせて各地連・青年協からの上京団に、県・ブロック国公からの参加者を加え、運営に当たった本部を含めて全体で30名が参加しました。

10%以上の賃上げを要求し、行動する春闘に

 中央行動に参加するに先立って、行動の意義や目的を参加者と共有するために全司法独自の学習会を開催しました。
 講師の井上書記長は「労働者の生活改善を実現するためには、多くの労働組合が統一した要求を掲げ、統一した運動を作っていくことが重要」だと春闘の意義を説明し、物価上昇を上回る賃上げを実現するために「全労連は10%以上、月額3万円以上の賃上げを求め、ストライキも辞さない姿勢で臨んでいる」と述べました。そのうえで、官民一体の運動を作っていく必要があるとし、その一環としてこの日の行動が位置付けられていることを説明しました。
 また、学習会と並行して公務員賃金の引上げや、「給与制度のアップデート」に関する要求を掲げて人事院前行動が実施され、全司法から大杉副委員長が県国公からの参加者とともに参加しました。


春闘の行動に参加してみた!

私たちの運動が「追い風」の情勢を作った

 昼休みには全体集会として、日比谷野外音楽堂で決起集会が開かれ、約2000人が参加しました。
 主催あいさつをした全労連の小畑雅子議長は「私たちの運動が政府・財界も賃上げを口にする『追い風』の情勢を作った」と述べ、ストライキを構えて交渉力を高め、「すべての労働者の大幅賃上げ・底上げ」をと呼びかけました。
 また、行動提起を行った黒澤幸一事務局長は、大手企業の賃上げ報道が行われるもとで「労使の力関係を変えなければ物価高を上回る賃上げは実現できない」とし、粘り強い交渉を呼びかけました。
 このほか、集会では医療・介護、生協、バス・タクシー、公務の各労働組合の代表が決意表明を行い、集会後は国会請願デモを行いました。

「定員法」審議入り前に職場実態を伝える機会に

 国会請願デモを終えて、全司法は独自の議員要請行動として、本村伸子衆議院議員(共産、法務委員)との意見交換を実施しました。
 「裁判所の事務を合理化・効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少する必要がある」(国会に示された「立法の目的」から)として、職員を31人減少させる裁判所職員定員法の「改正」法案が審議入りするタイミングで、国会議員に直接、職場実態を伝える絶好の機会となりました。
 4月期に向けた人員の見通し、とりわけ九州から毎年のように人員削減が続いている状況や、「当局は事件数が減っていることを理由に書記官を減らしているが、複雑困難な事件が増えている」「定員上配置されていても病休等で実際には人がいなくなり、周囲に負担が重くのしかかる。病休者に対する代替要員を作って欲しい」といった実態が出されました。また、「民法改正によって離婚後共同親権が導入されると、事件が増えることは目に見えている。人員を増やすしかない」との発言もありました。
 その他、宿日直や賃金の問題など、若い参加者の発言にもとづいて、幅広く意見交換しました。
 本村議員からは「公務も民間もすべてのみなさんが賃上げできるよう力を合わせていきたい。裁判所の人的体制の強化が重要だと思っているので、今日お聞きした職場実態を国会論戦で訴えていく」との表明がありました。
 議員要請の後は、第29回中央労働学校の位置づけで、まず、中矢委員長を講師に「『みんなで一緒に活動する組織』に変えよう」をテーマに講演がありました(2面に要旨を掲載)。


中央労働学校で楽しく学ぶ

主体性を活かすコーチングを学ぶ

 翌8日の午前には、「相手の主体性を伸ばす対話術〜コーチングを学ぼう〜」をテーマに、国公労連の大門晋平中央執行委員のコーディネートでワークショップを実施しました。
 これは、課題をめぐる1対1の対話の中で、「5W1H」を意識して事実関係を把握し、頭(戦略)、心(動機)、手(知識・スキル)のどこに困難があるのかを把握し、解決策を一緒にみつける(自分自身で答えを見つけるサポートをする)という訓練で、傾聴技術を身につけるとともに、双方に学びや気づきが生まれるものです。
 参加者からは「今まで相談を受けた時に、ただ話を聞いて、結局、問題の解決に向かわせることができていなかったが、本人に問題を言語化させることができ、解決するための課題を本人に考えさせることができると理解できた」等の感想が出され、「活動に取り入れたい」「仕事や私生活に活用できると思った」との声も多く出されました。

 
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全司法第29回中央労働学校講演要旨
「みんなで一緒に活動する組織」に変えよう
中央執行委員長 中矢正晴
 

組合員を「お客様扱い」しないこと

 本部は、新採用職員の加入後のフォローや青年の組織化を考えていくキーワードとして「青年を『お客様扱い』しないこと」だと言ってきましたが、この間、オルグなどで各地のみなさんと話してみて、そもそも組合員を「お客様扱い」しているのではないかと問題意識を持ちました。
 労働組合は、本来、組合員一人ひとりが主人公として、みんなで活動する組織なのですが、いつの間にか、役員が組合員にサービスを提供するような実態と意識が広がってしまっています。ここが、労働組合が組織的に苦戦している最も根本の問題なのではないかと考えています。
 それを変えるためには、活動に参加する組合員を増やすことが重要で、その鍵は「対話」にあります。集会参加でも、署名でも、アンケートでも、組合員と対話を通して、活動の意味を伝え、活動への理解を得て、活動に参加してもらうことが必要です。

意見を引き出し、対話をすすめる「心理的安全性」

 近年、組織運営に関する考え方で「心理的安全性」という言葉が注目されています。「このチームでは率直に自分の意見を伝えても、対人関係を悪くさせるような心配はしなくてもよいという信念が共有されている状態」だと言われます。
 「対話」を通じた活動を目指すなら、「心理的安全性」があって、自由に意見が言える組織にしていくことが不可欠ですが、全司法はどうでしょうか?
 全体としては「馬鹿にされる、否定されるといった心配をせずに、自分の意見を言える」組織になっているとは思いますが、それでも、実際の活動の場面では「こんなことを言っても良いのだろうか」という遠慮や戸惑いはあるように思います。
 「心理的安全性」を大事にして、みんなが考えを出し合い、対話しながら活動を進めていけるよう、様々な工夫を意識的に積み重ねていく必要があります。

役員はみんなの意見を整理するコーディネーター

 「みんなで活動する組織」の役員の役割は、組合員の考えを共有したり、集まって、話し合う場を提供したり、民主的な話し合いができるよう交通整理することにあります。役員はプレーヤーではなく、コーディネーターだということです。
 例えば、組合員が持つ不満や不安を要求に組織することは、労働組合の活動の出発点ですが、組合員に対していきなり「要求はありませんか?」と聞いても、出てくるものではありません。
 職場で「おかしいな?」と感じても、何が問題かが見えないことがあり、その整理のためには一定の「知識」が必要になります。また、出された問題が解決を求める動きにならず、あきらめや我慢で終わることがないように「展望」を示す必要があります。問題を浮き彫りにし、「労働組合で解決していこう」という展望を組合員に伝えることが役員の役割です。
 そのためにふさわしいやり方があれば、職場会も、定期大会も、執行委員会もすべて、これまでのやり方にこだわる必要は全くないのです。

役員を「やりがいのある楽しいポジション」に

 この講演は、これから全司法の役員になってもらいたい若いみなさんに向けてお話しました。労働組合の役員を「面倒で、やりたくない仕事」ではなく、「魅力的で、やりがいのある、楽しいポジション」に変えていきたいと思います。
 そして、裁判所の職場で「大切な役割」を果たしている全司法のバトンをみなさんに繋ぎたいと思っています。まさに今、労働組合は「復権のチャンス」を迎えています。このチャンスを掴みに行きましょう!
 そのために、全司法を「みんなで一緒に活動する組織」に変えていこうということを呼びかけます。

 
 
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